とんでもスキルでダンジョン放浪メシをするのは間違っているだろうか?   作:有頂天皇帝

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まえがき
ベルの屋台料理はコメントや感想などを元に選ばせてもらいました。今回選ばれなかった料理も機会があれば登場させたいと考えてます。思いつきの設定ですがこの作品のベルくんは容姿だけでなくとある部分もメーテリアと似ているようにしました。ちなみにこの作品のベルくんの容姿は原作ベルくんよりも頭一つ分背が低く髪が腰に届くくらい長い。なのでメーテリアたちと暮らしていた頃は女装させられたことが多い。


第九話 怪物祭

怪物祭当日。祭りということでオラリオの都市は普段以上の賑わいを見せていた。ガネーシャファミリア主催のこの祭りのメインイベントはやはり闘技場を一日中占領し、ダンジョンから引き揚げてきたモンスターを観衆の前で格闘し大人しくさせるまでの流れ──調教(テイム)する様子を見世物(ショー)にしたものであろう。

 

神々の恩恵(ファルナ)を持たないオラリオの一般市民にとって冒険者は荒くれ者や無法者のイメージが強いため彼等のマナーの悪さが時折一般市民との軋轢を生んで、治安への不満を募らせる危険性がある。故にダンジョンから生まれる魔石りえきを効率よく回収したいギルドとしては、迷宮探索に繰り出す冒険者達は擁護しないといけなくて、だから怪物祭は【モンスターとの友好】というより、市民へのガス抜きとしてこの祭りの経営にも関わっていた。

 

そんなわけで闘技場の中は怖いもの見たさの一般市民や冒険者などによって観客席は満席となり中には立って見ている者もいるため人で溢れかえっていた。そして闘技場に入れなかったものたちもまた祭りを楽しむべく闘技場の外にある露店巡りを楽しんでいた。その露店の1つでベルもまた料理を提供していた。

 

「はいお待たせしました!ビーフケバブのチリソースがけです!! 熱いうちにお召し上がりください!!」

 

「おう!ありがとうよ!」

 

ベルは客の注文した料理を手渡すと次の料理に取り掛かる。今回ベルが屋台を出す際に様々な料理たちの中から選んだのはケバブだ。ケバブを選んだ理由としては肉や野菜をしっかりと取れるボリューム満点でありながら片手で食べることもできるから食べ歩きできるという利点があるからだ。他の候補にあげていた焼きそばやかき氷などの料理はヘスティアの友神であるタケミカヅチやミアハなど今回屋台を出す眷属たちに提供していてそちらの方も盛りがっているらしい。

 

ちなみに今回ベルが提供しているケバブはムコーダたちの世界の日本と呼ばれる国でよく見られるドネルケバブと呼ばれるもので、事前にクミンやパプリカパウダー、オレガノなど数種類のスパイスやヨーグルト、すりおろしニンニク、オリーブオイルなどで一晩下味をつけておいたミノタウロス、オーク、ジャイアントドードの薄切り肉をを垂直の串に積み重ね、回転させながらグリルで焼き、外側からナイフで削ぎ落とした肉を使い、ピタと呼ばれる平たい円形の焼きパンを半分に切って中が空洞になっているのでその中にケバブや千切りキャベツやトマト、きゅうりや玉ねぎのスライスなどの野菜を挟んで最後にチリソースやヨーグルトソースなどをかけて完成。

 

色々な具材を使用しているためにお高めの60ヴァリスとなっているが、珍しい食べ物なのと人の目を引く巨大な肉塊やお腹を空かせてしまうような美味しそうな香り、そして祭りの雰囲気に当てられたこともあり開店してから客の列は一向に途絶える様子を見せない。ベルは慣れた手つきで次々とケバブを作っては客に提供するのをずっと繰り返していた。

 

「あっちの方もすごい盛り上がってるなぁ・・・」

 

ベルは朝方からずっと歓声が響く闘技場の方に少しだけ視線を向けてからケバブの調理に戻るために手を動かす。

 

 

 

────ベルがブチ切れて暴れ出すまで後二時間。

 

 

 

「────で?僕たちを集めた理由は何かなオーディン」

 

カフェ【ノーネーム】の奥にある個室にて5人の神が集まっていた。オラリオのほぼ全ての住民たちから信仰されたことでウラノスに匹敵するほどの神威を持つヘスティアファミリアの主神・ヘスティア。オラリオの治安を守るガネーシャファミリアと連携しオラリオの秩序を取り締まる少数精鋭のアストレアファミリアの主神・アストレア。歓楽街の半分を所持しイシュタルとはまた違う方面の夜の街として運営されている【歌舞伎町】の管理を務めるオラリオ五大派閥序列四位のシヴァファミリアの主神・シヴァ。戦闘民族【ファナリス】を始めとした戦闘能力に優れた種族たちを中心に妥当ゼウス・ヘラを掲げ日々鍛錬に勤しむオラリオ五大派閥序列二位のアトラスファミリアの主神・アトラス。そして多種多様の種族をまとめあげ今最もゼウスとヘラという最強に近い存在として誰もが認める現オラリオ最強ファミリアのオラリオ五大派閥序列一位のオーディンファミリアの主神・オーディン。

 

部屋の壁側には各ファミリアの団長であるヘスティアファミリア団長Lv.6【聖火の巫女(ウェスタリア)】ことフィルヴィス・シャリア。アストレアファミリア団長Lv.5【紅の正花(スカーレット・ハーネル)】ことアリーゼ・ローヴェル。シヴァファミリア団長Lv.7【不動の男女(グランド・マダム)】ことサイゴウ・特盛。アトラスファミリア団長Lv.7【蒼雷の覇者(ブルー・ドミネーター)】ことムー・アレキウス。オーディンファミリア団長Lv.8【暁の地平線(ログ・ホライズン)】ことシロエたちが待機しており神々の対話を静かに聞いていた。

 

「まぁちと面倒そうなものをワシのとこの眷属(子供)が見つけてのぅ。それに関する情報を共有したくての」

 

オーディンは顎髭を擦りながら左目のモノクル越しに自らの眷属であるシロエに視線を向けて話させる。それに気づいたシロエは少し肩を竦めてからこの場にいる全員に説明を始める。

 

「先日我々オーディンファミリア一軍がダンジョンの遠征途中で奇妙なモンスターと会敵しました」

 

現在最もダンジョンの攻略が進んでいるオーディンファミリア。彼らは先日まだゼウスとヘラしか踏破したことのない60階層に挑むために万全の準備を整えて攻略を進めていたがその途中の48階層にて2本の触手のような腕を持つ芋虫のモンスター──仮称名【巨蟲(ヴィルガ)】の群れと遭遇。アダマントの武装すら溶かす溶解液を吐き出す上に倒しても傷から大量の溶解液を吐き出すことから近接職では部が悪かったために途中から魔法職たち遠距離攻撃部隊が対処をしたがかなりの物資を失ったのと巨蟲の情報を地上に持ち帰ることを優先したために遠征を中断して地上に帰還した。

 

「最初はダンジョンの新種と考えていましたが、このモンスターから回収した魔石を見てその可能性は低いと考えています」

 

シロエはそう言いながら懐から取り出した魔石を全員に見えるように机の上に置いた。その魔石は本来の魔石の色である紫紺とは異なり、色々な色が混ざりあった極彩色だった。それはダンジョンにいるモンスターとも地上に僅かに残っている古代のモンスターたちとも異なる魔石であることがわかり、ヘスティアたちもシロエの語るモンスターが異常であることを理解する。

 

「このモンスターに関しては既にギルドやガネーシャファミリアを始めとした有力ギルドには情報を共有しています。そのため皆さんに情報を共有するのが遅れてしまいました」

 

シロエは申し訳なさそうにヘスティアたちにそう謝罪を告げてからこれが本題だと言わんばかりに話を続ける。

 

「このモンスターに関しては情報が少なすぎるため色々と検証する必要がありますがその話は一旦置いておきます。問題はこのようなモンスターがまだいるのかということです」

 

「それはこの極彩色の魔石を持つモンスターが複数種いる、ということでいいのかしら?」

 

「僕たちはそう考えています。少なくともあの芋虫型だけというのはありえないはずなので・・・」

 

シヴァはシロエの予想を手元にある口紅を弄りながら聞くとシロエはそう返答した。それからもシロエたちは極彩色のモンスターに関する情報共有およびダンジョンや周辺諸国などに関する情報交換しあってその場は解散する流れになるはずだったのだが・・・

 

「団長!?広場の方でヘスティアファミリアの新人の【最速英雄(アキレウス)】が見たこともないモンスターたちを相手に暴れ回ってるそうです!!」

 

「ハァッ!?」

 

オーディンファミリアの団員である女エルフの突然の報告を聞いたフィルヴィスは思わず素っ頓狂な声をあげてしまい、ヘスティアたちもまた何があったのか一瞬理解できず呆然とした。

 

 

 

ヘスティアたちがシロエから極彩色のモンスターなどに関する話を聞いていた頃、ロキファミリアの幹部の1人である金髪の美少女──【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインは紙袋に大量に入っているじゃが丸くんを食べながら歩いていた。

 

(あの兎みたいにモフモフした子・・・。どうやったらあんなに強くなれるんだろう)

 

豊穣の女主人で出会ったヘスティアファミリアの新人冒険者ベル・クラネル。同じ仲間であるティオネとティオナの昔の友人である彼は一人でLv.1しかも恩恵を刻んでからたった1週間でミノタウロスの群れとミノタウロスの強化種を倒しアイズと同じLv.5にまで一気にランクアップを果たした。

 

それはこのオラリオに数いる有力な冒険者たちですら成し遂げたことのない急成長。強さを追い求めるアイズにとってベルの強さを知りたいと思うのは至極当然の考えであり、問題はどうやってベルからその強さの秘訣を聞き出すかなのだが・・・

 

「どうやったら聞けるのかな?」

 

しかし悲しいことにダンジョンでモンスターを倒すことばかりしてきたアイズに他者から教えをこう手段を上手く考えることができなかった。とりあえずベルがやっている屋台に向かい話しだけでも聞けるかとそちらに向けて足を運ぶ。

 

(ロキも言ってた。当たって砕けろっ!!)

 

『ちゃうよ?そういう意味で言ったんやないでアイズたん』とお空に浮かぶロキがアイズの言葉を否定するもアイズにその言葉は届かず脳内のリトルアイズたちもアイズの考えを支持していたためにアイズはベルに突撃訪問を仕掛けることにしたその時だった。

 

「「「「「「ギィアアアアアアアアアアアアア!!」」」」」」

 

アイズが向かおうとしていた広場の方から聞いた事のないモンスターの叫び声と逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえてきた。それと同時にアイズは愛剣であるデスペレートの代わりにゴブニュから借りたレイピアを構えて広場に向かって走り出す。そしてそこでアイズが見たものは・・・

 

「ギィアアアアアア!?」

 

「黙れ雑音。お前たちは根こそぎ刈り取る」

 

────巨大な花のような極彩色のモンスターたちが冷たい目で見下ろすベルが振り下ろした大剣によって両断される姿がそこにあった。よく見ると周囲には灰の山と地面に突き刺さった剣や槍、斧など武器、刃の部分が砕けたり溶けてたりして使い物にならなくなった武器たちが転がっていた。

 

「────えっ、何これ?」

 

アイズは思っていなかった光景を前に思わずそんなことを呟くことしかできなかった。これより始まるは英雄への道を駆け上がる白兎によるオラリオでの英雄譚の始まりの1ページ。この時をきっかけに白兎はオラリオにて物珍し気なものではなくしっかりとした実力をしらしめるのだった・・・。

 




あとがき
今作のベルくんは母親であるメーテリアが甘味を奪われた際に烈火のごとく怒り狂ったように料理に関することに関してブチ切れることがある。それはあの神獣であるフェンリルのフェルやエンシェントドラゴンのゴン爺、ベルの義母であるアルフィアや祖母のヘラたちですら恐怖で涙目になるほどである。そのためベルの前で料理を台無しにする行為は絶対に禁止とゼウス・ヘラファミリア共通のルールとして周知されていた。次回はベルくんが巨大花ことヴィスクラムたちを相手に暴れ回る予定です。それが終わったらソードオラトリアの18階層の話をやりたいなと思ってます。今のところ書けるかは微妙だけどこの小説のR18展開をそれとなくやりたいなと思ってる。ショタベル×アルフィアとか見てみたい・・・

番外編候補

  • イレギュラー・オラトリア
  • アナザー・オラトリア
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