転生したら竜だった件 作:暁悠
『なんじゃと──ッ!?』
「
『待て、待つんじゃ!』
何だよ、まだ何かあるのか?
『ヴェルアーブ。お主、まだ
「いやいや。あの弱そうな
『失礼やな!』
何だ、聞いてたのか──なんて思ったが、確かに失礼か。
「スマンかったな。だが、無茶なのは事実だろ? まあ見てなって。どうにかしてみせるさ」
俺は強気に出る。
『どうにか、って……無茶なんじゃよ! お前が死んでしまっては──』
「死なねーよ。そう誓ってるんだ」
そんな話をしていると、双頭の鷲が俺達の前に降り立った。鷲のような
「ギリリリリ……キシァアアアアッ!!」
「何だ、
挑発を混ぜてそう呟くと、その挑発に乗るように
「
素早く戦闘態勢に入ったナーガがフレースヴェルグを殴り飛ばすが……
『お嬢さん──待つんじゃ! そいつには──』
「止めても無駄ですよ。ヴェルアーブ様が戦うと言うなら、私だって──」
『違う!〝魔化〟した幻獣には、天頂の力でしか対等には戦えんのじゃ!』
え? ──と、目を見開くナーガとレイヴン。つまるところ、俺が纏っている装備でしかダメージは与えられない、と。
「そういうわけね。だから出来る事が限りなく少ないなんて言ったのか」
俺が爪撃を捌きながら言うと──
『そうじゃ。ヴェルアーブが強気に出た以上、お嬢さん方は見ているしかない』
答え合わせが返ってきた。つまり──
「
高速回転する光の刃を飛ばすが──それは、フレースヴェルグの首には食い込まず、弾かれてしまった。
「マジかよ……」
『じゃから言っておろうが! ──まあ、視覚化したのは良い事じゃ。見た通り、あの剣での攻撃しか効力を発揮するものはない』
それを聞いた二人は、緊急事態なのもあって、素直に後ろに下がった。ナーガに参加して欲しくない俺としても好都合だ。
では、試しに。
「
精霊魔法:
ならば……炎、水、風、地……配合属性で試してみよう。それをチャンピオンソードに流して──
「
四色に輝く斬撃を飛ばしたが、避けられてしまった。だが、裏を返せばコレは効くという事。俺は配合属性を剣に付与したまま構えた。
ここからは超高速戦闘。被害を戦闘域外に漏らさないようにするのが大変だった。何せ──
「おわっ、危なっ!?」
フレースヴェルグは、火属性。もちろん火属性の
しかしまあ、段々〝コツ〟も掴めてきたので、もう〝浄化〟してやってもいいんだが……やっぱり──
「それで終わったんじゃあ、面白くないよな……」
そう、面白くない。せっかくなら、貴重な場面であろうこの『敵対状況』で、コイツの能力や……この剣や鎧を抜いた、俺の素の能力がどこまで通用するのか試したい。
ちょっとニヤけてきちゃうな。いつもは、力を制御してたからな。
「──次元天蓋」
俺とフレースヴェルグのみを、『空間断絶』を利用した『次元隔絶結界』で覆う。
「さて、実験と行こうか!」
俺はそう叫ぶやいなや、自身の肉体を
これなら、俺の権能も
……どうせだし、前世で読んだ小説の〝魔術〟を再現してみようか。
「──『水系統魔術』……だっけ? ……
ある作品内に登場する魔術である。俺の場合は少し解釈が違って、超高圧の水球を超密度の質量攻撃として相手にぶつけるものだ。俺はこれを、持てる魔力と『
「キシッ!? キシャアアア──ッ!?」
そりゃ、避けるよな。
しかし、今のは〝
「属性魔法──
相反する、相克の属性──〝水〟と〝火〟を混ぜた複合属性攻撃だ。あまねく法則すら捻じ曲げる超威力を伴った攻撃なのだが、これも避けられた。
なので。
「属性魔法──
コチラはもう何が何だかわからない。極小化された水蒸気爆発と熱風が複合された超攻撃である。こちらは『
なら次は、相殺すら出来ないように天蓋内を埋め尽くしてみようか。
「属性魔法──
これはチャンピオンソードに纏わせているものと同様のものだ。ただし、より純色に近い〝
攻撃を終えると……フレースヴェルグは、ぐったりしていた。流石にやり過ぎただろうか?
「仕方ない。もう終わりにしてやるからな」
そう言って、俺は
「──
一閃。浄化の力が込められた剣が、フレースヴェルグに植え付けられていた邪気を
戦いを終え、俺は──
「全くもう! 貴方様という人は、何を考えているんですか!? あの戦いで、確かに〝
内心で、メンドクセ──なんて思いつつ聞く俺。確かに悪かったけど、どうにかなったんだからいいじゃない。
「その顔、反省していませんね?」
ギクッ。
「え、ええと……ナーガさん?」
「……何ですか」
「まぁ、まぁさ? どうにかなったんだからいいじゃない。ほら、結果良ければ何とやら──」
「それで万が一があったらどうするんですか! まったく、貴方様という人は……」
うぅ……通じなかった……。いいじゃんいいじゃん。ちょっと自分の限界を見てみたかっただけなんだよ。
「まぁまぁ、ナーガ。ヴェルアーブ様の仰る通りでもありますわ」
「レイヴン……」
「
お前もか、レイヴン!
「別にいいじゃん。自分の限界を見てみたかっただけなんだよ」
「「はぁ……」」
二人揃って「これでは、当分は治りませんわね」だの「怒りを通り越して呆れています……」なんて言っている。何だと、コラ。別にいいだろ。
ちなみに。
一方で。
『久しいのう、フレースヴェルグよ! いやはや、本当に良かった』
『そうやな! おれも久々に逢えて嬉しいわ』
「キシッ、キシシシ」
幻獣組は何やら感動の再会のようだ。
『ヴェルアーブ! コヤツ──フレースヴェルグも、お主に解放されて助かったと申しておる! 同時に、永遠の忠義を誓おう、ともな。喜べ、ヴェルアーブ!』
「おお、マジか! 永遠の忠義はぶっちゃけやり過ぎだと思うが……誓ってくれると言うなら、甘んじて受け入れようじゃないか」
ナイスアシストだ、ディゴルネとフレースヴェルグ!
「永遠の忠義と言うなら……どうせだし、フレースヴェルグにも名前をやろう。長ったらしいしな」
「キシャッ!?」
『な、名前じゃと!? そんな──貴様、自分の身がどうなっても良いのか!?』
「どうもならねーよ。消費する魔素は調整するしな」
器用なもので、『案内者』を活用すればそんな事も可能なんだよね。
「それじゃあ……〝ファイヤーバード+フレースヴェルグ〟を
すると──
「うわっ、ゴッソリ持ってかれたな……」
内包する魔素の内、三割ぐらい持ってかれた。まぁそれだけ持ってかれた分、もの凄い進化を遂げるハズだ。
って、あれ? そこまで変わってない──?
《否。
ふーん、それで、どういう事が出来るようになるんだ?
《解。時空間を超越しての『思念通話』や、
凄いな、それ。
「感謝します、我が主よ」
「うん? ファードヴェル……だよな?」
「そうで御座います。麗しき我が主から頂戴したこのファードヴェルという〝名〟……その名を誇れるように、精進致します」
ま、また扱いにくいのが来たな……。
しかしもう手慣れたもので、俺は大仰に頷いておいた。良きにはからえ、と。
そして。
「それで、ディゴルネ? 次の幻獣は?」
『ふんっ、そこまで上手く行くはずもないわ。今回はフレースヴェルグ──ファードヴェルの方から来てくれたが、そうも行かん──』
『いや、もう見つけとるで! それも
『ええ……』
流石のディゴルネも引き気味だった。あまりにも、事が上手く運び過ぎているから。
『そんな……もっとちゃんと確認せぬか! これで間違い──』
『んな事あらへんで。おれがこういう系で失敗した事あったかいな?』
そう言われて、ディゴルネも黙るしかなくなったらしい。ディゴルネもディゴルネで、ラタトスクの事を信頼しているようだった。
『そうや、おれにはくれへんのか、〝名前〟! 忠誠ならいくらでも──』
「いいや、ダメだね。今回は戦闘向きの幻獣だったからあげただけで、お前には──」
「私からもお願いします、我が主」
「え?」
「その者──ラタトスクも、頼もしき仲間に御座います。どうか私のように、貴方様の〝加護〟を──」
……そんなに言われちゃ、断れないよな。
「──仕方ないな。それじゃあ……〝ワードルト〟を名乗るといい!」
「ありがたき幸せやで、ホンマ!!」
名前は結構安直で、リスを英訳した〝スクワール〟と〝ラタトスク〟を足して捩り、それに〝ワード〟を加えただけだ。我ながら、素晴らしいネーミングセンスだと思うよ。
「見てよレイヴン、凄いドヤ顔」
「ええ、いつ見ても誇らしげですわね……」
「ウルサイな、別にいいだろ! 素晴らしいネーミングセンスなのは事実だろうが!」
「事実だから、ですわよ……」
ぐぬぬ……。
まぁ、いいか。無事にラタトスク──ワードルトとも〝魂の回廊〟が繋がったようだし、これからは腕利きの情報屋として活用させてもらおうか。
「ワードルト、俺に忠誠を誓うと言ったからには、扱き使ってやるからな。良き情報屋として活用させてもらうよ」
「喜んで! おれもヴェルアーブ様なら大歓迎やで!」
嬉しそうで何よりだ。
こうして、どんどんと仲間が増えていくのだった。
しかし、ディゴルネは、影で『ぐぬぬ……一体何が起こっているというのじゃ、これは……』なんて頭を抱えていたのだが、当のヴェルアーブは気にも留めないのだった。
名付けパラダイス再び……。リムル&ヴェルドラの事例から分かる通り、〝竜種〟のエネルギーは常人からしてみれば無限大に近いので、一日に二人くらいなら普通に名付けできます。
そして……すみません。週間連載にする、なんて言ったばかりなのに。週間連載、最初はいいと思ったのですが、自分的に書けたらすぐに上げたいし見てもらいたいタチなので断念しました。これからも不定期で、ヴェルアーブ達の物語をお届けします。どうか、暇潰しにでも活用してください。
(モチベーションに繋がるので、良ければどうでもいい事でも感想として残してくださいませ……(強欲))