転生したら竜だった件   作:暁悠

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第十七話 神秘の巨人

 〜砂漠の迷宮(デザートダンジョン):最上階層〜

 

 そこには……不思議なものがあった。

「? 何だ、これ? (ひつぎ)?」

 ガラスのような棺──ではなく、どちらかと言うと……氷の聖櫃(せいひつ)か?

 

《是。純粋な聖霊力で作り出された封印のようなものです》

 

 聖霊力?

 

《解。特殊な物質を操作する力の総称です》

 

 特殊な物質ねぇ……魔素みたいなものか?

 

《是。解析を開始しますか? YES/NO》

 

 YESだ。頼んだよ。

「……どうやらこれは、封印の聖櫃(せいひつ)のようだな」

「「封印の聖櫃(せいひつ)?」」

「ああ。純粋な聖霊力で作り出された封印らしい」

 俺は『案内者』からの受け売りをそのまま話した。

「なるほど……どうしますか?」

「え?」

「いや、アーブ様の事だから、封印を解いてみよう! なんて言い出すんじゃないかなって」

 なんて失礼な奴だ。俺の事を何だと思っているのやら。

「良くも悪くも好奇心旺盛ですものね。まあ〝好奇心は猫を殺す〟なんて言葉もありますけれど、ね」

 人聞きの悪い事。俺はそんなんじゃないさ。多分。きっと、おそらく。

「ま、もうすぐ解析が終わるから、その結果によっては解くこともやむ無しだな」

「やっぱり……いやこれ、私が言ったからでしょうか?」

「いいえ、ナーガ。どうせアーブ様は言われなくてもこう言っていましたわ」

「評価が高いのか低いのかどっちなんだよ!?」

「高いですとも。頼り甲斐のある主様ですからね。ただ……たまに行動があまりにも無茶で突飛過ぎるのですよね」

「私だってヴェルアーブ様の評価は高いです! まぁ、レイヴンの意見には概ね賛成ですが……。それでも、それでも……」

 ナーガが、青薔薇の髪飾りを触りながらモジモジしている。可愛い。

「このプレゼント……本当に嬉しかったです」

 顔を真っ赤にしながら、そう言った。

「あらあらあら、ナーガ。初々しいですわね……可愛いわ」

「なっ、れ、レイヴン!? よ、余計なお世話ですっ!」

「俺も可愛いと思うけどね」

「ヴェルアーブ様……っ!? 本当、ですか?」

 何を今更。今までだって何度も言ってるだろうにな。

「今更だな。ずっと思ってるし、何なら何度か言ってるだろ?」

「そ、そうですよね。そうなんですよね。それはわかってるんですけど……こんな……面と向かって言われてしまうと……て、照れてしまいますから……」

 ああ、可愛い。

 そんな時、レイヴンが耳打ちしてきた。

「アーブ様」

「うん?」

「最初は私も貴方様に惚れかけていたんですけれどね。ナーガを見てから……というか一緒に過ごし始めてから、直ぐに諦めたんですわ」

 ブッ!?

 ここにきて、衝撃の爆弾発言である。

「だってナーガとアーブ様のやり取りが尊いんですもの。応援しなくては損というものですわ」

 何が損なのか。今すぐにでも問い質したい。

「ちょっと御二人共!? 何の話をしているんですかっ!? というか、なんて話をしてるんですか!!」

 ナーガに怒られてしまった。

「まあいいじゃん」

 

《……解析が終了しました。結果をお伝えします》

 

 なんか、『案内者』さんも呆れてないかな? 気のせいだな。

 それで、解析結果は?

 

《解。対象はやはり封印の聖櫃(せいひつ)であり、内部には巨人族(ジャイアント)に似た生命体の反応が検出されました》

 

 何っ!? それは、本当なのか?

 

《是。当たり前です》

 

 誇らしげだな……ま、その解析結果が本当ならスゴい発見だろうし、誇ってもいいと思うよ。でもさ、やっぱり自我あるよね?

 答えはなかった。まぁ……いいか。

「……そうか、中身は巨人族(ジャイアント)か。それも……少し特殊らしい」

 解析の結果わかったのは、この内部に封印されている巨人は少し特殊である事。なんと、超高性能な『魔法無効』を有しており、しかも内包する存在力(エネルギー)が俺達に匹敵する程と来たものだ。

「よし、封印を──」

「待った待った、待ってください、アーブ様!」

「ん? 何だよ、ナーガ?」

「マズイですって。封印されてるって事は、少なくとも()()()()()()()()って事でしょう? もし、意思疎通すら出来ないような危険な存在だったらどうするんですか?」

「ああ……」

 確かに、一理あるな。ただし──

「さっきのレイヴンじゃないが……俺は好奇心が強いんでね。この〝聖櫃(せいひつ)〟は解析済みだから、もしもの時は俺が再封印すればいい」

 なんて滅茶苦茶な──と、ナーガとレイヴンが呟いた。

「まぁ、任せてみるのも手ですわよ、ナーガ。こうなったアーブ様は、もう止まらないでしょうし」

 あ、呆れられている……。俺ってそこまで問題行動ばっかだったか?

 ま、いいや。

「さて……封印を解いてやろう」

 そう言って、俺は聖櫃(せいひつ)に手を翳す。俺は自身の権能を使い、強固な〝霊子〟の柩を分解していく。

 霊子というのは、魔素よりも小さい粒子物質で、魔素を構成するのも霊子だ。霊子という粒子は特殊な波動を放ち、闇色の光を放つ。「身体」という要素の最大の器とも言える〝物質体(マテリアル・ボディー)〟は勿論、それよりも小さな、魂を保護する「身体」の最小単位である〝星幽体(アストラル・ボディー)〟や、その受け皿である〝精神体(スピリチュアル・ボディー)〟にまで干渉する事が可能。あらゆる物質を透過する性質があり、『空間断絶』を利用した『次元天蓋』等の断絶結界でも霊子を完全に防ぐ事は出来ない。

 ま、そんな豆知識はいいとしてだ。そろそろ封印が解け──

「わぁ……」

「美しいですわね……」

 そう、美しいのだ。一見、中性的にも見える容貌の大男が、そこにいた。群青色の短い髪に、俺とは質の違う金色の瞳を持っている。顔立ちは女性寄りだろうか? いや、どちらとも言えない。男にも見えるし、女にも……。

 そして、問題はそこではない。俺の頭を、久しぶりの頭痛が襲う。間は二日も空いていないが、久しぶりに感じられるこの激痛である。思い出すのはやはり、あの夢……。

 その巨人は、薄っすらと(まぶた)を上げた。

「……えっと?」

「…………」

「あの……」

「…………」

 何も喋らねえ!!

「何か喋れよ!!」

「……スマン。まだ、状況に追いつけない……。貴方は……誰なんだ?」

 口調までどっち付かずだ。

「俺はヴェルアーブ。お前は?」

「……オレに、名はない」

 ま、普通はそうだわな。

「端的に説明すると、お前の封印を解いたのは俺だ。ま、だから何だって話だろうがな」

「そんな事はない。オレは……名もなき巨人族(ジャイアント)……」

 まぁ、予想はしていた。これだけ強力な存在なら、名前はありそうとも思ったが……そんな上手くは行かんな。

 ん、あれ? ちょっと待てよ?〝名無し(ノーネーム)〟の時点でこれだけ強力な存在って事は……〝名付け〟したらスゴい事になるのでは!?

 前例は俺とレイヴンだ。資質的に強力な存在なのに、名前が無いせいで存在が世界に定着せず、力も存在も中途半端な状態。名前を得る事で完全に定着し、強力な存在に進化するのだ。俺も生まれたての頃は〝竜亜種(バハムート)〟だったが、〝名〟の自覚と共に、無事〝竜種〟へと進化している。レイヴンなんて、物質存在から一気に精神生命体にまで進化しているのだから、名付けというものによる変化は目覚ましい。

「とりあえず、外出ようぜ。バレないように、その漏れ出てる妖気(オーラ)、どうにかしてくれよな」

「……わかった」

 意志薄弱、という感じだろうか。口調も男女でどっちつかずだし。そういえば、悪魔族(デーモン)も、生まれたての下位悪魔(レッサーデーモン)は意志薄弱らしいな。使役型というらしい。

 言った通りに、巨人は漏れ出ていた妖気(オーラ)を抑え込んだ。そして、俺達に連れられて砂漠の迷宮(デザートダンジョン)から出たのだった。

 

   ◇◇◇

 

 出た、までは良かったのだが……問題発生だ。

「……お主、何者だ」

 目の前に立つのは、俺の後ろに立つ巨人とよく似た巨人だ。蒼髪に金色の瞳……本当によく似ている。

「え、えっと……」

「お主の後ろにいる奴は……どういう事かのう? 確かに、この迷宮に封印していた筈だが」

 凄い睨まれてる……。

「……やめてくれ、ダグリュール。この方は、オレを助けてくれた者だ……」

「それが問題なんだと言っているんだよ。そもそも、お前は危険なのだ。だから封じ込めておったというのに……どうして、聖霊力による封印が解けたのかのう? お主の仕業なのは割れておるから、さっさと話すがいい」

 凄い……睨まれてる……。というか、めっちゃ怖い。

 

《解。個体名:ダグリュールによる『魔王覇気』の影響を確認しました》

 

 やっぱり……ってか、コイツがダグリュールか。()の〝大地の怒り(アースクエイク)〟の異名を持つ、巨人族(ジャイアント)の魔王……。

「なぁ、魔王ダグリュールとお前、どういう関係なの?」

「……さあ……オレも、よく覚えていない……」

 使えね!

「……ふむん。お主が封印を解いた事は、認めるのだな」

「あ、ああ。それが──」

 振り向く前に、『万能感知』で気付いた。俺の後頭部に、魔王ダグリュールの巨拳が迫る。この速度は……避けられな──

「ふんっ!!」

「……っ!!」

 俺の背後の巨人が俺を後ろに投げ飛ばし、魔王ダグリュールの拳を受け止めた。

「……やめてくれと、言った筈だ」

「チィ、貴様が相手では、流石のワシでも厳しいというものよな。ただ、そこの大罪人を許すわけにはいかぬよな」

 そう言って、ダグリュールが俺を睨む。

「貴様は、もう眠っておれ」

 そう言うと──巨人が、地に伏せた。

 何が起こってんだ!?

 

《解。特定の対象への言葉に強制力をもたせる、〝呪言〟のようなものと推測》

 

 また厄介な!

「チッ、なんて奴だ、魔王ダグリュール。俺の友達になったかもしれない奴を……」

 ほぼ口からでまかせだ。

「ほう、アヤツと友達、とな? 面白い事を言うものだ。アヤツは大災であり、暴力の化身のような存在なのだぞ? お主には、自身を解放してもらった恩から従順かもしれぬが、な。ワシにとっては目の上のたんこぶなのだよ」

 目の上のたんこぶって……酷い言われ様だな。

「それを解放したのがお主よ。まったく……何という事を仕出かしたのだ、お主は」

 はぁーーーーやれやれ──と、ダグリュールはため息を吐きながらある程度の説明を締め括った。

「それなら、どうする? 俺を殺すか?」

「当たり前だな。それに……お主を放っておくのは、良くない気もするしのう」

 そう、か。それなら仕方ない。

「……ナーガ、レイヴン。あの巨人を連れて、天空浮遊城(ヘブンホールド)に戻れ」

「させると思っておるのか? それに……天空浮遊城(ヘブンホールド)だと? つまらぬ嘘を吐くものよな。アレが動く筈はない」

「それが動いてるんだな。ついでに、そこの主は俺だ」

「ふんッ、本当につまらぬ嘘だ」

「嘘だと思うのか。それなら、これを見てもまだ嘘だと言えるかな?」

 そう言って、俺は『格納異空間』から天頂の聖剣(チャンピオンソード)を召喚した。

「まさかッ!? まさか、本当に……!?」

「ずっとそう言ってるじゃねーか。というか、天空浮遊城(ヘブンホールド)を知ってる時点で、お察しだろ」

 そうなのだ。俺は何も疑問に思わなかったが……今現在まで、この世界で〝天空浮遊城(ヘブンホールド)〟や〝天頂の聖剣(チャンピオンソード)〟の情報は秘匿されているようだった。天空浮遊城(ヘブンホールド)に『転移』出来る、あの石碑も含めて。

「むう……つまり、嘘ではないのだな。それにお主……何か、普通の人間とは違う。それも……〝魔王〟や〝勇者〟といった存在(モノ)でもなく……」

「流石に気付くか……(さと)いな、魔王ダグリュール」

「ふん。これでも、伊達に永遠を生きておらんからな。さしあたり……〝竜種〟といった所か。それも……()()()()で生まれた、あの波動と同じ……」

 あの場所? 俺が生まれた、あの洞窟の事かな?

「そうそう。俺は〝(すい)(きょう)(りゅう)〟ヴェルアーブ」

「ワシの事は知っておろう。〝八星魔王(オクタグラム)〟が一柱(ひとり)──」

「〝大地の怒り(アースクエイク)〟の魔王ダグリュール、だろ?」

「その通りよ。それで……どうしたものかのう。アヤツが解き放たれてしまったとあらば、ワシも手加減が出来なくなってしまうからのう。お主やお主の従者と、全力で戦わねばなるまい」

 面倒だな、諦めてはくれないのか?

「……ダグリュール」

「おま、何してんだ!? 狙われてんのはお前なんだから、早く逃げ──」

「……一度は、逃げたさ。ただ、恩人様を、置いて逃げるわけにはいかない。まして……相手が、ダグリュールならば、尚更」

 コイツ……。頼もしいね。

 ただ、どうしたものか。生体神格化(アポテオーシス)は使えないし……あの失敗が、ここで牙を剥くとはな。

「なぁ、魔王ダグリュール。ここは、見逃してもらえないかな?」

 ま、ダメ元だがな。応じる筈がないので、少しでも()()出来たらって感じだ。

「ふむん。無理な相談よな。それとも、お主にソヤツの事が制御出来るとでも? ソヤツは、ワシにとっても人類にとっても、手に負えぬ大厄災なのだぞ? お主には忠実とは言えども、その力がいつ、人類やワシらに牙を剥くともわからぬしのう」

 おっと、意外にも理性的な回答を頂けたぞ。これはもしや……。

「俺が制御してみせるさ。それに、コイツが大厄災と化した理由(わけ)には心当たりがある」

「ふむん? 申してみよ」

 食いついた!

「ズバリ、〝名無し(ノーネーム)〟だったのが原因だ」

「ふむん。名とな?」

「そう。俺も、俺の従者の一人も、名前がない事によってこの世界に定着出来ず、中途半端に強力な力が暴走していた──または、暴走寸前だった──んだよ。だからこそ、コイツもそうなんじゃないかなって」

「むう……それが本当だと、立証出来ているのだな?」

 うっ……それを言われると、俺はもう──

 

《是。立証出来ています。個体名:レイヴンの事例については、既に解析済みです》

 

 おお!! 良くやってくれたよ『案内者』さん!!

「出来ている。だからこそ、コイツにも〝名前〟があれば、この世界に定着して、自我もハッキリして力も制御出来ると考えたのさ」

「ふむん……しかし、どうするのだ? 何せ──」

「そうだな……巨人だし、〝ティターン〟とかどうかな?」

「何ッ!? おい、お主! 待たんか──」

 ダグリュールの声は届かなかった。声をかけた時には、もう既に〝名付け〟の儀式は終了しており──

「うわっ……お、俺の魔素が……」

 名付けに伴って、ヴェルアーブの内包する魔素の八割が消し飛んだ。幸い、時間経過によって快復するだろうが……しかし、一時的に見れば大ダメージなのは確かである。

 しかし、その消費魔素量に比例して──

「──お、おう……」

 その巨人──ティターンを、七色に輝く繭が包みこんだ。

 

 巨人に、変化が到来する。

 どっちつかずだった自我は、真に自分自身(オリジナル)と言えるモノに確立され、体内で暴走寸前だったエネルギーが形を成していき、ハッキリとした〝権能(チカラ)〟へと変わった。

 同時に、特殊性の権化だった自身という存在も、進化を遂げる。

 種族は──この世界で初めて誕生する、〝神秘の巨人(ギガンテス)〟という種族に。上位の精神生命体であり、究極の存在へと。

 その力は、存在値にして五千万を超える。ヴェルアーブまでとは行かずとも、この世界における頂上存在へと至ったのだ。

 形成された権能(チカラ)は、究極能力(アルティメットスキル)に相当する規格外のもの。性質変化・激烈波動・魔法無効──その他の権能を形成した巨人、ティターンのエネルギーは、驚く程に沈静化している。暴走寸前で、今にも暴れだしそうだった自然の暴威は、たった一人の〝竜種〟の手で、事前に抑制されたのだった。

 

 七色の繭が弾け飛ぶ。同時に、内部から姿を表したのは──短い、燃えるような蒼髪に、俺とは毛色の違う金色の瞳を持った巨神だった。

「──オレはティターン。偉大なるヴェルアーブ様に仕える者」

 恭しく、そう奏上した。

「……何が起こっているというのだ……? ソヤツのエネルギーが……沈静化した、だと? 一体何が起こっているというのだァ!?」

 ダグリュールは憤慨している。同時に、あれだけ苦労して封印したのに──という、怨嗟にも似た呟きを零した。

「…………ほ、ほらな? 言ったろ、大丈夫だって」

 ちょっぴり予想外過ぎる変化だったが、俺は『予想通りでしたけど?』という表情を崩さずに告げる。

 

《告。個体名:ティターンの解析が終了しました。結果を報告します》

 

 え、抵抗(レジスト)されなかったのか?

 

《是。個体名:ティターンは『解析』を受け入れ、自ら情報を提示しました》

 

 ふぅん。それじゃあ、早く見せてくれよ。

 そう言うと、脳内に情報が表示された。

 

 名前:ティターン

 種族:神秘の巨人(ギガンテス)

 加護:水鏡の加護

 称号:〝大厄災〟、〝暴力の化身〟

 能力:固有能力『性質変化・激烈波動・

         魔法無効』

 耐性:物理攻撃無効、精神攻撃無効、

    状態異常無効、自然影響無効、

    聖魔攻撃耐性

 

 とまあ、圧巻だ。究極能力(アルティメットスキル)は有していないのに、それに相当するレベルの固有能力を有していると来たもんだから。

 性質変化は、俺の固有能力を〝名付け〟と共に一部継承されたものだ。名の通り、軟化・硬化含む自由な身体変質が可能。

 激烈波動は、破壊そのものを司るとも言える波動の力だ。暴走寸前だった過剰なエネルギーが変化したのがこの権能であり、この力には『万物破壊』等の破壊系権能も含まれている。

 魔法無効は、上位の巨人族(ジャイアント)が有する、魔法に対する絶対優位だ。絶対魔法防御(アンチマジックガード)であり、あらゆる魔法攻撃を自動で無効化する権能なのだ。

 筆舌に尽くし難い程に、強力に進化したものだ……。ダグリュールなんて、黙り込んでわなわなと震えている。

「──待て、ちょっと待てぇい!! どういう事だ!? お主は一体、何をした!?」

「何って、名付けだけど──」

「それが問題だと言っておるのだ!! お主は命知らずか!?」

 ──それからこんこんと、一時的とはいえ敵だったダグリュールに説教された。「何を考えて、こんな馬鹿げた事をしたのか」だの、「どうしてそんな狂った対処法を思いついたのか」だの……失礼な魔王である。

「大丈夫だって。言った通り、ちゃんと制御するからさ」

「心配でならんわ。アヤツ──ティターンはな、ワシの手にも負えぬ大厄災なのだぞ? だから手間をかけて封印しておったのに、お主という奴は……」

 本当に大きなため息を吐いて、説教を締め括った。

「……ただ、こうなったからには仕方あるまい。本当に頼むぞ、ヴェルアーブ……」

「任せとけって」

 俺は気軽に応じたが、ダグリュールはずっと俺とティターンを交互に睨んでいた。

「まぁ良い。これも何かの縁であるし、いつか我が〝聖虚(せいきょ)〟ダマルガニアに招待しようぞ」

「お、おう。ありがとう……?」

 リムル、ミリム、ダグリュール……色んな縁が繋がるな、魔王達と。

 こうして……紆余曲折あって、予知夢通りの新しい仲間が加わったのだった。




 ようやく書き終わりました……。かなり難儀しましたよ。
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