転生したら竜だった件   作:暁悠

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終章 これは、遥かな貴方の物語
エピローグ


 ──明くる、翌朝。

 可愛く飾られた、ナーガの部屋で目覚めた。

 少し広い寝台に寝ていたが、今は上半身を起こしている。

 隣には、可愛い寝顔でスヤスヤと眠るナーガ。

 ぶっちゃけて言うと、普通だったら何度かキスして起こしている。しかしまあ……あの、激戦の後だ。あの戦いで、ナーガは多分一番頑張っていた。いや、みんな頑張ってたんだけどね? 俺含めね?

 でも、ナーガはあと一歩で存在が消滅しかけていたのだ。如何に〝上位聖魔霊〟に分類される精神生命体であろうとも、魂が摩耗して消えてしまっては復活出来ない。ナーガは、本当にギリギリの瀬戸際まで頑張ってくれたのだなと、素直に感心する。

 ……まあ、あまりそんな無茶はして欲しくない。今回は相手が相手だったが、もう二度と、そんな事はして欲しくなかった。たとえ、俺がもう一度、ああいう、超危機的状況に陥ったとしても。

「ん……ヴェルアーブ様……」

「おっ、起きたか、ナーガ。おはよう」

「おはようございます」

 ええと、確か昨日は……あの後、ナーガの部屋に運ばれたんだっけ。なんで俺の部屋じゃないのかは謎だが。

 現在時刻は、午前九時半ってトコかな。

 ナーガは、まだ昨日の疲れが取れていないようだった。

「なあ、ナーガ。お前、まだ結構疲れてそうだぞ。寝てた方がいいんじゃないか?」

「い、いえ……ヴェルアーブ様の──」

「眷属たるもの、ってのはナシな。俺の眷属だからとか、だらしないとか、そんな事よりも、ナーガ達には元気でいて欲しいから」

 そう伝えると、ナーガは頬を赤らめながら「承知しました」と答えた。

「ですが、本当に大丈夫です。戦闘行為さえしなければ、大丈夫かと」

 それもそうか、と少し納得する。確かに、力を使ったり疲れる事がなければ、次第に快復していくだろうと思えた。

 しかし、どう声をかけたらいいのかわからない。

「そうか。それならいいんだけどな」

 とりあえずは、そう言っておいた。

 

   ◇◇◇

 

 ナーガと一緒に部屋から出ると、レイヴンと鉢合わせた。

「あら、ヴェルアーブ様。それに、ナーガも。おはようございますわ」

「おはよう、レイヴン」

「それにしても……進展が遅い方達ですわね」

 は? どういう事だ? まさか、俺とナーガの進展が遅いって言ってんのか?

 

《そうです》

 

 おわっ、『案内者』!?

 って、違うのか。

 

《その通りです。私は『道標之王(ゾフィエル)』。主様(マスター)を補佐する究極能力(アルティメットスキル)です》

 

 そうなのだ。ユニークスキル『案内者(ミチビクモノ)』が、究極能力(アルティメットスキル)である『道標之王(ゾフィエル)』へと進化していたのだ。

 あの、まるで人間のように流暢に喋っていた瞬間の数々。あれがある時点で、既に究極能力(アルティメットスキル)一歩手前まで行っていたそうだ。それが、この戦いを通して進化したらしいが……かなりの苦難だったらしい。『全集約(オーバーレイ)』を発動した瞬間に、天頂の聖剣(チャンピオンソード)から俺自身に回帰したユニークスキル『願望者(カナエルモノ)』を取り込んだ上で、収束されたみんなの力の一端を利用せざるを得なかったらしい。

 時間こそかかっていないが、『願望者(カナエルモノ)』を取り込んだ上で『案内者(ミチビクモノ)』を究極へと昇華させるのには、幾億どころではない──それこそ無限回の試行回数を要したらしい。いやはや、よく諦めなかったものである。

 含まれる権能は『思考加速・並列演算・解析鑑定・森羅万象・詠唱破棄・大願(たいがん)(じょう)(じゅ)・法則支配』とまあ、圧巻だった。

 特にヤバイのが『大願(たいがん)(じょう)(じゅ)』だ。これはハッキリ言って、俺の中でも未だにチート判定されている『流転之王(ヴァルナ)』を遥かに凌ぐ勢いでチートだった。

 これは『自由に願いを叶える能力』という、本当にチートな内容だった。しかも、本当に文字通り自由なのだ。叶える願いによっては多大過ぎるエネルギーを消費するが、本当にエネルギーさえあれば何でも叶えられる。軽い世界改変まで行える権能で、自分で聞いていてもビックリした。

 小さな差異であり、矮小な因子だった『願望者(カナエルモノ)』とは、本来こんなに規格外なスキルだったんだなと、思い知らされた気分だ。

 って、そんな話は置いといて。

 気づけば、ナーガとレイヴンが軽い言い合いをしていた。少し振り返ってみると──

 ………

 ……

 …

 これは、俺と『案内者』──ではなく、『道標之王(ゾフィエル)』が精神世界で話し込んでいた時の話。

「進展が遅いってどういう事ですか!」

「そのままの意味よ、ナーガ。ナーガもヴェルアーブ様も、とっくに愛し合っているのに奥手だから何も進展がなくて、ちょっとツマラナイのよね」

「レイヴンっ!? ヒトの恋愛に介入しておいて『ツマラナイ』はちょっと失礼じゃないですか!?」

「あら、ごめんなさい。でも、本当にそうなのよ? 愛し合っているなら、やる事があるでしょうに」

 こんな感じで、言い争いのような事をしている。まあ、その内容は呆れるものだが……。

「やる事?」

「決まってるじゃない。愛し合う者同士がやる事と言えば……ね」

 レイヴンのそんな、些細な後押しにナーガはペースが狂ったようだ。

「やる事……って!? わっ、わわ私達にはまだ早いですよ! ヴェルアーブ様だってきっとそうです! それにそれにゴニョゴニョ……」

 とまあ、凄い焦り様だ。それを見ていた俺は、ちょっとクスッとなったのだった。

 ………

 ……

 …

 そして、今は。

「けど、しなきゃ何も進まないわよ? それじゃあ、貴女も困るでしょう?」

「こ、困ったりはしませんよ! ヴェルアーブ様となら、一緒にいられるだけで光栄ですし──」

「それでも、したいかと問われれば?」

「そっ、それは……そ、そりゃ、ちょっとぐらいは……思い、ますよ? でも、でも……ゴニョゴニョ……」

 何やら微笑ましい事に。このままずっと眺めていたかったが、俺に飛び火すると何も答えられなくなってしまうので止める事にした。それに、このままではナーガが持たなそうだ。今でも、顔全体が沸騰しそうな程、耳まで赤くなっている。

「まあまあ、レイヴン。そうイジメてやるなって。ナーガ、ちょっと困ってそうだぞ?」

「あら。ウフフフ、失礼しましたわ」

 何だろう、前世でもこんな顔を見た事あるような──って、そうだ。あれだ。あの、仲の良い友達に彼女が出来たら、「ヒューヒュー」とか言ってからかうヤツの顔だ。悪意を持ってそういう事する奴もいるが、レイヴンの場合は悪意はなさそうだった。というか、「微笑ましい」とでも思っていそうである。

 そんな事を思っていたら。

『おう、お主等。何やら楽しそうな話をしておるのう』

 ディゴルネが来た。

「なんだ、ディゴルネかよ。お前も俺達を冷やかしに来たのか?」

『まぁそんなところじゃ』

「そんなところなのかよ。ふざけんな」

『おや、嫌か?』

「当たり前だろが! イヤ、まあ、そんな強く拒絶するほどじゃないんだが……」

『それなら良かろうが』

「お前の場合堂々と『冷やかしに来た』って言うのが駄目だ」

『そんなの些細な問題じゃろうて。というかヴェルアーブ』

 あん?

「なんだよ?」

『……お主、少し()()()()か?』

 聡いな。

 

《変化というのは、私の事でしょうか?》

 

 多分そうだぞ。どうする、隠すか?

 

《伝えても問題ないかと》

 

 だったら、隠すのもメンドーだし言っちまうか。

「聡いな、ディゴルネは。そうなんだよね、俺のユニークスキルが究極能力(アルティメットスキル)に進化したんだ」

究極能力(アルティメットスキル)じゃと!? 何を馬鹿げた事を──と思ったが、お主なら有り得そうじゃな。もう、言及はすまい』

 ああ、ディゴルネも内心で言及するのは面倒臭いって思ったんだろうな。

 正解だ。

『お主らは、本当によく頑張ってくれたな』

 ディゴルネが、感慨深そうにそう告げた。

「そうだよな。でも、一番頑張ってたのはナーガだと思うんだ」

「えっ?」

『それには妾も賛成よ。ナーガの覚悟は、見事なものじゃった。永劫を生きてきた妾も、素直に称賛してしまう程にはな』

 それって凄い事なの? ──と、ナーガがディゴルネの発言に疑問を呈している。対するディゴルネは胸を張って『当たり前じゃ。栄誉な事じゃぞ』と言っていた。俺も本当にそうなのかと問いたい程である。

『……じゃが、肝心の天頂の聖剣(チャンピオンソード)は失われてしもうた……。まあ、対〝破局(グリイド)〟用に用意された代物じゃったからな。その危険が去った今、そこにある必要はないんじゃがな……。それにしても、惜しいものじゃ』

 そんな事を、物悲しそうに呟いたのだ。

 まあ、アレの存在理由的には、今は無くても問題はないよな。でも確かに、惜しくはある。だって、アレは結構長い間愛用していた剣だしな。異世界っぽくて好きだったんだが……消費してしまうとは。

 そこまで考えたところで、なんと『道標之王(ゾフィエル)』がとんでもない事を言いやがった。

 

《私の『大願(たいがん)(じょう)(じゅ)』を使えば、再創造が可能です》

 

 馬鹿げていた。

 って、はあ? どういう事だよ?

 

《文字通りの意味です。貴方様の権能である『大願(たいがん)(じょう)(じゅ)』を使えば、天頂の聖剣(チャンピオンソード)の再創造が可能なのです》

 

 ちょっと待ってくれ、何を言ってるかわからない。

 それじゃあ何だ? あれはヴェルダナーヴァが直接創造したモノだってのに、俺の手で再創造出来るって事か?

 

《その通りです》

 

 軽く絶句モノだった。そこまで凄まじい権能だったのか、『大願(たいがん)(じょう)(じゅ)』ってのは……。

 もう一度問うが……本当に、『大願(たいがん)(じょう)(じゅ)』を使えば、天頂の聖剣(チャンピオンソード)の再創造が可能なんだな?

 

《はい。実行しますか? YES/NO》

 

 …………。

 ふふふ、ふはは、ふはははは!

 思わず笑いの三段活用をしてしまったが……素晴らしいじゃないか!

「ふ、ふふふ……」

『なんじゃ、急に笑い出しおって……気味が悪いぞ』

「なあ、ディゴルネ。今から俺は、重大な新事実を話す」

『ほう、言うてみい』

「俺の進化した権能を使えば、天頂の聖剣(チャンピオンソード)の再創造が可能なんだよね」

 俺がそう告げると、ディゴルネは見たまんま絶句していた。ピクリとも動かない。驚愕のあまり死んでしまったんじゃないか──そう疑ってしまう程には、動かなかった。

「おーい、ディゴルネー?」

『………………ハッ。おい、お主! どういう事じゃ!? お主の権能を使えば、あの天頂の聖剣(チャンピオンソード)を再創造出来るというのは──本当、なのか?』

「ふっふっふ……ああ、そうだとも! 実のところ、俺も驚いたんだけどね」

 そう言って、ウインクしてみせた。

 さて、『道標之王(ゾフィエル)』さんや。さっきの質問だが……圧倒的にYES! すぐにでも実行してくれ!!

 

《了解しました》

 

道標之王(ゾフィエル)』が答えたと同時に──

「おお……!」

 俺達の目の前に、光を伴ってひと振りの剣が現れた。だが──

「あれ、なんか違うくね?」

 そう、見た目が違ったのだ。あの幾何学模様のような、奇怪な見た目じゃない。

 見た目は、神秘的な騎士剣といった感じだ。頑丈な柄は焦げ茶色で、鍔はまるで純白の翼のような形をしていた。鍔の中心には、天空色(ゼニスブルー)の菱形の結晶(クリスタル)が嵌っている。柄頭や鍔の一部、両刃の剣身の中央には金色の装飾が施されていた。

『……見た目は違うが、しっかりとその性質は天頂の聖剣(チャンピオンソード)と同じじゃな』

 ディゴルネはやっぱり絶句している。

『……これはお主が創造したものなのじゃから、もういっその事お主なりの〝名前〟を付けてみてはどうじゃ? 性質こそ同じだが……もう、本質的に別物じゃからな』

 確かに。それに……借り物じゃない、俺だけの聖剣になるのだ。異世界チックで、格好いいじゃないか!

「そうだな……それじゃあ、ディゴルネが俺の事〝勇者〟って言ったんだし、この剣の名前も〝勇者(リベラ)〟にしよう」

 リベラ──解放と勇者の名を冠する聖剣が、今ここに誕生した。

『〝勇者(リベラ)〟……ほう、勇者か。覚悟は決まったようじゃな?』

「覚悟? 何の事だか知らんが……今更だろ。とっくに決まってるさ」

 何の覚悟かは知らんがな。

『良い回答じゃ。それでこそじゃぞ、ヴェルアーブ!』

 犬形態のディゴルネだが──ニッコリと、笑ったような気がした。

 

   ◇◇◇

 

 それから俺達は、庭でみんなと過ごした。

 会話の一端を覗かせてやろう。

 

「平和でいいですわね」

「ああ。血筋の問題か……オレの体は戦いを欲しているがな」

「そうなのですか? 後でキイラにでも相手をしてもらっては?」

「その戦い、あたしが行くよ! ずっと戦いたいと思ってたんだ!」

 レイヴン、ティターン、ルインが話し合っていた。物騒な気がしなくもない。

 

「今日は! わたしが! ヴェルアーブ様と遊んでもらうの!」

「ジーナの遊びは全部幼稚なの! ヴェルアーブ様はそんなの楽しくないの!」

「お黙りちびっこ!」

「ちびっこにちびっこって言われたの〜〜〜っ!」

 コチラはアルミラとジーナだ。微笑ましい感じに言い争っている。

 

「まあまあ、順番ですよ」

「遊ぶのはいいけれど……怪我をしないで欲しいな」

 多くの名もなき幻獣達と、ファードヴェルとヘイズヒールが戯れていた。ヘイズヒールは小さな幻獣達の世話係的立ち位置になっていて、今日はファードヴェルがソイツらと遊ぶようだ。

 

「それでそれで? 何があったんだっけ?」

「それでですな、あの真っ暗な空間の中で、ここは地獄!? 俺って、何も悪いことしてないよね!? って」

「ほうほう。って、お気楽やないかい!」

 ダーイン、ドヴァリン、ドゥネイル、ドゥラスロールのお笑い牡鹿四人組が漫才のようなものを披露している。ワードルトが鑑賞しており、ツボにはまったのかゲラゲラと笑っている。

 

「アレには勝てなかったな……」

「そう悲観するな、キイラ。ナーガ様方でも負けたのだから、俺達が勝てるはずもない」

「そうね、そうなのよ。私達の存在理由が問われてしまうけれど、あれには勝てないのよ」

「もう少し、キツイ訓練が必要だな。このまま、ヴェルアーブ様方に頼り切りでいては駄目だ」

「なん……だと……?」

 キイラの発言に、ヴェズフェルとリルインは絶句しげんなりしている。可哀想だった。今度、慰めてやろう。

 

「はぁ……ホント、不甲斐ないぜ」

「まあまあ。わたくしは、ネズさんには届きませんわ。わたくしでは、小さな幻獣達を守るので精一杯でしたもの」

「ノーヴェさん……ああ、ありがとうな。ちょっと元気づけられたぜ」

「ネズさん……い、いえ、お安い御用ですわ」

 お似合いだな。それはそれとして、見せつけてんじゃねーぞ!!

 

 とまあ、平和ここに極まれりな感じだ。

 そんな中、俺はナーガに呼び出しを食らってしまった。みんなに伝えてからナーガと共に訪れたのは──俺が生まれた場所である、今は懐かしきあの洞窟だ。

「おいおい、かなり懐かしい場所に来たな」

「ええ……うってつけ、だと思ったので」

 うってつけ? どういう事だ?

「ふうん……で、俺に用って、何だよ?」

 俺がそう問うと、ナーガは何やらモジモジしながら俺の方を見た。

 何かを躊躇っている目だ。

「……そんなギリギリまで隠そうとする事か?」

 気になったので、ついそう言ってしまった。

「いっ、いえ! 別に、そんな事は……」

 ナーガの目が、覚悟を決めた目に変わった。

「あの──ヴェルアーブ様」

「? 何だよ、改まって」

「その……ヴェルアーブ様、お願いがあります」

 お願い? 珍しいな、ナーガのヤツ。一体何だろう? まあ、『道標之王(ゾフィエル)』を使えば大抵の願いは叶えられそうだがな。

「なんだ?」

「ええっと………………わ、私とっ!」

 うん?

「………………私と、夫婦(めおと)に……なっては、くれませんか?」

 ナーガは、少し潤んだ瞳で俺を見つめた。

 ──って、はあっ!?

 め、めめ夫婦(めおと)!? それって……そういうコト? いやいや、どういうコト!?

 軽い放心状態に陥っていた。

「…………………………夫婦(めおと)?」

 必死に意識をかき集めて、ようやっと発した言葉がこれである。自分で自分を情けないと思うよ……。

「は、はい! えっと……だめ、ですか?」

 駄目なわけはない。わけはない、んだが……急だよね。

 

主様(マスター)も、素直になるべきです》

 

道標之王(ゾフィエル)』さん!? 何を言ってらっしゃるのですか!?

 ──って、確かにそうだな。恥ずかしいのもあって、表立ってこういう話は出来なかったけどさ。

「駄目じゃないさ」

「──え?」

「喜んで。逆に、こっちからお願いしたいよ」

 俺は自分の本心を包み隠す事なく、そのまま伝えた。

 すると、ナーガの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

 涙さえ、出てきていた。

「────うっ、うう……」

「ナーガ!? ちょっ、なんで泣くんだ? えっと……」

「だ、だって……嬉しく、って……ヴェルアーブ様に、そう、言ってもらえたの……すごく、嬉しいから……」

 綺麗な顔が涙でぐちゃぐちゃだ。でも──その表情は儚げで、嬉しそうで……幸せそうだった。

 重なる。

 あの光景。

 あの気持ち。

 でも……頭痛はしなかった。むしろ、この未来に迎えた事が、幸せに思える。

「ヒューヒュー、やるねえ!」

「えっ!?」

 ネズが、俺と肩を組んだ。

「おめでとう、ナーガ」

「えっ、レイヴン!?」

 ぞろぞろと、みんなが姿を現す。

『やっと進展したか、待ちくたびれておったぞ。……めでたいな、ナーガ、ヴェルアーブ!』

「凄いの! ナーガさんとヴェルアーブ様、夫婦になるの!」

「やったーやったー!」

 はしゃぐアルミラとジーナ。その光景がなんだか面白くて、俺はクスリと微笑(わら)った。それだけではない。みんなも、それぞれの祝福の言葉(おめでとう)を俺達に送っている。

 みんなからの言葉を、深く深く噛み締める。

「……ヴェルアーブ様。末永く……宜しく、お願い致します」

「…………おう」

 

 ──かくして。

 何という事もない、ごく普通の人生を送っていた俺、(はや)()(せん)()は、通り魔に刺されて死んで、異世界に〝水鏡竜〟ヴェルアーブとして転生し、グリイドという強敵を打ち破った。

 これが、やがて異世界に名を轟かせる──〝(すい)鏡竜(きょうりゅう)〟ヴェルアーブとしての、最初(はじまり)の物語だ。




 祝・完結!!!!!!!
 ついに書き終えました。ところどころ手を抜いて、必殺「時飛ばし」を使っていましたが……まあまあ、いいものに仕上がったのではないでしょうか。
 イチャイチャという概念を超えて、遂に二人は夫婦として結ばれました。やりましたね。

 思えば、色々な苦悩がありました。続けられるのかとか、無事に書けるのかとか、見てくれる人がいるのかとか……。
 ですがまあ、私にしては、良いものに仕上がったと思います。
 さて、この物語は無事に完結しましたが……この「ヘブンホールドVSグリイド」を第一部として、第二部として続編を書き始めるという考えもあります。もしかしたら、実行するかもしれません。
 書きたかったけど書けなかった事とか、結構ありますしね。第二部が出来るとしたら、そこでは、ヴェルアーブの仲間達は各々の生活を下界──人間界で送るでしょう。第二部は、冒険者チーム〝(すい)(きょう)〟として活動する四人を主軸にした冒険譚にしようかな、なんて思ったり。
 名残惜しいですが、ひとまずは完結となります。書き始めて一ヶ月も経っていないのですがね。寂しい限りですが……一旦は、お別れです。
 また、次のヴェルアーブの物語が出来た暁には、どうぞ楽しんでください。
 それではまた、どこかで。
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