転生したら竜だった件 作:暁悠
渋々ナーガとの触れ合いを切り上げた俺は、リムルに言われた通り、
リムルが話をつけていたようで、特に止められる事もなくスムーズに館を進む。
「荘厳ですね」
「一応は国家元首の……というか、国家の最上位施設だからな」
この説明には不安が残るが、まあ大体は伝わっただろう。ナーガも、納得といった感じでウンウンと頷いているし。
案内された先にあった部屋は──
「うん? なんだ、ここ? 妙に狭いな……」
部屋の中央に巨大な魔法陣がある、小さな部屋だった。
「ここは転移室です。さあ、魔法陣に乗ってください」
黒い髪に赤と金のメッシュが入った、金色の瞳を持つ男が、俺にそう言った。
いかにも〝デキる執事〟といった感じである。完璧超人ってやつかな?
《対象個体は、最低でも
あ、
おいおい、嘘だよな……?
って、
だとすると、リムルって割とマジにヤバイ奴なのでは……? 今は友達同士の関係だが……敵対だけはしないように、細心の注意を払おう。
名前を聞くと、その男はディアブロと名乗った。
名前からしてもう悪魔……。なぜ最初に名前を聞かなかったのか。
まあいいや。
俺はディアブロさんに言われた通り、部屋の中央にある魔法陣に乗った。
「では、転移を開始します」
ディアブロさんが何かの魔法を発動させると、周囲の景色が一変する。
そこは、荘厳な研究室のような──
「おお、アーブ君。来てくれたか」
そんな感じで、
「ほう? アーブというのか。この者には、我の正体を明かしても良いとな?」
「ああ、いいよ」
そんなリムルの隣に立つのは、眩い金髪と
「では、早速名乗るとしようぞ……コホン。我が名は、暴風竜ヴェルドラであるぞ!!」
「あ、うん」
俺の反応としては希薄なものだ。
あーうんうん、わかってましたよ──という感じで応じてしまった。
そんな俺の反応に、ヴェルドラ兄さんは──?
「ちょっと待たんか!! なんだその反応は! あ、うんって! 酷くないか!?」
「ま、まあ、確かに……? バレてたんじゃねーの?」
「何だと!? 我が〝ギメイ〟という仮の名は完璧のハズではないか!?」
どこがだよ。普通に偽名ってすぐわかるよ。
てか、何回か真名を言い掛けてなかったか?
ヴェルドラ兄さん──ギメイの『我が名はヴェル……いや違った、えーと、〝ギメイ〟であるぞ! 憶えておけ!!』という名乗りを思い出しながら、俺はそう思った。
ナーガだが、ちょっとジトッとした視線でヴェルドラ兄さんを見ている。呆れていた。
「うん、わかってたよ? 何回か、普通に〝ヴェルドラ〟って名乗りかけてなかった?」
「な、何っ!? そんな事はないぞ!? そ、そんな事は……ない、し?」
何だこのオッサン! めんどくさいオッサンだな。
なんだか……ザード姉さんに教育される理由がわかったぞ。
ヴェルドラ兄さん、多分本質として自由奔放なんだ。実際、姉さん達は〝暴れん坊さん〟と称していたし。
「そ、そんな事よりもだ!! 我が気になっておるのは、お主の気配についてよ」
おっと、凄い単刀直入に聞いてきたな?
「は? ヴェルドラ、何言ってるんだ?」
「いやあ、リムルも勘が鈍いな。では、我が教えてやろうぞ。コヤツ、アーブから、我と同じ──〝竜種〟の気配を感じたのだよ」
「はあっ!?」
リムルも流石に驚いているようだ。まあ、普通はそうだろう。そういう事が
さて、どうしたものか? 隠し通すか、教えるか。
《包み隠さず伝えるのが
ほう? それはどうして?
《隠そうとした場合、確実に個体名:リムル=テンペストに『解析』されます。個体名:リムル=テンペストが
あーね。
ちなみに、ここでいう〝上位〟とは、権能の強力さではないらしい。大体は強力さの関係だが、今回ばかりは少し違いそうだ。
普通、上位になればなるほど、干渉率や影響力が大きくなる。すると、それよりも下位の能力では
リムルの中に
なので、包み隠さず打ち明ける事にした。
「あー、バレちゃったか。流石はヴェルドラ兄さんだな」
「え?」
「俺、実は〝竜種〟何だよね。真名はヴェルアーブっていうんだよ」
流石に、リムルも驚愕している。ちょっと虚を突けたようで、俺は内心でクスッとなった。
──と、そこで。
《個体名:リムル=テンペストから、
おおっ!? どっちにしてもやってくるんじゃねーか!?
「おいおい、リムル?」
「うん?」
「解析はヤメてくれ。俺だって、バラしたくないものはあるんだから」
「えっ!? あ、ああ……スマンな」
あれ?
リムルのヤツ、なんだか他人事なんだけど……?
ま、まあ、いいか。二度目の解析はないようだし。
「そういえば、ヴェルアーブよ。お主、我が姉上達には会ったのか?」
「え? あ、うん。会ったよ? てかヴェルドラ兄さん、今までどこで何してたんだ? あの二人、心配してたぞ?」
「な、何っ!?」
あ、怯えてる。
ザード姉さんの試験に合格した俺からすれば、気楽なもんだ。もしもヴェルドラ兄さんと同じ状況だったら、俺は鳥肌を立てていただろう。
可哀想だな──なんて思いつつ、俺はかなり気楽に考えるのだった。
トラウマを刺激されたヴェルドラ兄さん。
次回は……ラミリスとディーノ辺りを出せればいいかな。迷宮攻略はその次の回かも。