転生したら竜だった件   作:暁悠

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第三話 暴風竜ヴェルドラ

 渋々ナーガとの触れ合いを切り上げた俺は、リムルに言われた通り、魔国連邦(テンペスト)の執務館にやってきた。

 リムルが話をつけていたようで、特に止められる事もなくスムーズに館を進む。

 

「荘厳ですね」

「一応は国家元首の……というか、国家の最上位施設だからな」

 

 この説明には不安が残るが、まあ大体は伝わっただろう。ナーガも、納得といった感じでウンウンと頷いているし。

 案内された先にあった部屋は──

 

「うん? なんだ、ここ? 妙に狭いな……」

 

 部屋の中央に巨大な魔法陣がある、小さな部屋だった。

 

「ここは転移室です。さあ、魔法陣に乗ってください」

 

 黒い髪に赤と金のメッシュが入った、金色の瞳を持つ男が、俺にそう言った。

 いかにも〝デキる執事〟といった感じである。完璧超人ってやつかな?

 

《対象個体は、最低でも上位魔将(アークデーモン)に分類される悪魔族(デーモン)です。十分に、ご注意を》

 

 あ、上位魔将(アークデーモン)!?

 おいおい、嘘だよな……?

 って、道標之王(ゾフィエル)が嘘なんて吐くワケないか……。

 だとすると、リムルって割とマジにヤバイ奴なのでは……? 今は友達同士の関係だが……敵対だけはしないように、細心の注意を払おう。

 名前を聞くと、その男はディアブロと名乗った。

 名前からしてもう悪魔……。なぜ最初に名前を聞かなかったのか。

 まあいいや。

 俺はディアブロさんに言われた通り、部屋の中央にある魔法陣に乗った。

 

「では、転移を開始します」

 

 ディアブロさんが何かの魔法を発動させると、周囲の景色が一変する。

 そこは、荘厳な研究室のような──

 

「おお、アーブ君。来てくれたか」

 

 そんな感じで、(ひょう)(ひょう)とした態度で俺に話しかけるのは、青みがかった銀髪と黄金(きん)(いろ)の髪を持つ男──リムルだ。

 

「ほう? アーブというのか。この者には、我の正体を明かしても良いとな?」

「ああ、いいよ」

 

 そんなリムルの隣に立つのは、眩い金髪と黄金(きん)(いろ)の瞳を併せ持つ美丈夫──例の〝ギメイ〟だ。

 

「では、早速名乗るとしようぞ……コホン。我が名は、暴風竜ヴェルドラであるぞ!!」

「あ、うん」

 

 俺の反応としては希薄なものだ。

 あーうんうん、わかってましたよ──という感じで応じてしまった。

 そんな俺の反応に、ヴェルドラ兄さんは──?

 

「ちょっと待たんか!! なんだその反応は! あ、うんって! 酷くないか!?」

「ま、まあ、確かに……? バレてたんじゃねーの?」

「何だと!? 我が〝ギメイ〟という仮の名は完璧のハズではないか!?」

 

 どこがだよ。普通に偽名ってすぐわかるよ。

 てか、何回か真名を言い掛けてなかったか?

 ヴェルドラ兄さん──ギメイの『我が名はヴェル……いや違った、えーと、〝ギメイ〟であるぞ! 憶えておけ!!』という名乗りを思い出しながら、俺はそう思った。

 ナーガだが、ちょっとジトッとした視線でヴェルドラ兄さんを見ている。呆れていた。

 

「うん、わかってたよ? 何回か、普通に〝ヴェルドラ〟って名乗りかけてなかった?」

「な、何っ!? そんな事はないぞ!? そ、そんな事は……ない、し?」

 

 何だこのオッサン! めんどくさいオッサンだな。

 なんだか……ザード姉さんに教育される理由がわかったぞ。

 ヴェルドラ兄さん、多分本質として自由奔放なんだ。実際、姉さん達は〝暴れん坊さん〟と称していたし。

 

「そ、そんな事よりもだ!! 我が気になっておるのは、お主の気配についてよ」

 

 おっと、凄い単刀直入に聞いてきたな?

 

「は? ヴェルドラ、何言ってるんだ?」

「いやあ、リムルも勘が鈍いな。では、我が教えてやろうぞ。コヤツ、アーブから、我と同じ──〝竜種〟の気配を感じたのだよ」

「はあっ!?」

 

 リムルも流石に驚いているようだ。まあ、普通はそうだろう。そういう事が(わか)るヴェルドラ兄さんや姉さん方がオカシイのだ。

 さて、どうしたものか? 隠し通すか、教えるか。

 

《包み隠さず伝えるのが主様(マスター)のためにもなるかと》

 

 ほう? それはどうして?

 

《隠そうとした場合、確実に個体名:リムル=テンペストに『解析』されます。個体名:リムル=テンペストが主様(マスター)よりも上位の究極能力(アルティメットスキル)を所持していた場合、妨害(ジャミング)が不可能となります》

 

 あーね。

 ちなみに、ここでいう〝上位〟とは、権能の強力さではないらしい。大体は強力さの関係だが、今回ばかりは少し違いそうだ。

 普通、上位になればなるほど、干渉率や影響力が大きくなる。すると、それよりも下位の能力では妨害(ジャミング)抵抗(レジスト)が難しくなってくる。

 究極能力(アルティメットスキル)には、〝天使系〟と〝悪魔系〟という、大まかな括りがあるらしい。俺の『流転之王(ヴァルナ)』はどちらにも属さないのだが、天使系の中で言う〝美徳系〟という上位七種の究極能力(アルティメットスキル)や、それと対を成す〝大罪系〟の七種の究極能力(アルティメットスキル)の影響は、完全に妨害(ジャミング)出来ない。

 リムルの中に究極能力(アルティメットスキル)の反応を察知(キャッチ)したので、それがその上位七種だった場合はマズイ……というわけで、話した方が身のためなのだそうだ。

 なので、包み隠さず打ち明ける事にした。

 

「あー、バレちゃったか。流石はヴェルドラ兄さんだな」

「え?」

「俺、実は〝竜種〟何だよね。真名はヴェルアーブっていうんだよ」

 

 流石に、リムルも驚愕している。ちょっと虚を突けたようで、俺は内心でクスッとなった。

 ──と、そこで。

 

《個体名:リムル=テンペストから、究極能力(アルティメットスキル)による干渉を受けました。妨害(ジャミング)します……成功しました》

 

 おおっ!? どっちにしてもやってくるんじゃねーか!?

 

「おいおい、リムル?」

「うん?」

「解析はヤメてくれ。俺だって、バラしたくないものはあるんだから」

「えっ!? あ、ああ……スマンな」

 

 あれ?

 リムルのヤツ、なんだか他人事なんだけど……?

 ま、まあ、いいか。二度目の解析はないようだし。

 

「そういえば、ヴェルアーブよ。お主、我が姉上達には会ったのか?」

「え? あ、うん。会ったよ? てかヴェルドラ兄さん、今までどこで何してたんだ? あの二人、心配してたぞ?」

「な、何っ!?」

 

 あ、怯えてる。

 ザード姉さんの試験に合格した俺からすれば、気楽なもんだ。もしもヴェルドラ兄さんと同じ状況だったら、俺は鳥肌を立てていただろう。

 可哀想だな──なんて思いつつ、俺はかなり気楽に考えるのだった。




 トラウマを刺激されたヴェルドラ兄さん。
 次回は……ラミリスとディーノ辺りを出せればいいかな。迷宮攻略はその次の回かも。
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