大神と波紋の冒険ー7人目のスタンド使いー   作:なげすて

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第四話 非番の殺し屋ユタ

香港沖35kmに不時着した俺達は救助された。救助されたはいいものの、陸に上がるまでにジョースターさんは提案した。

 

「今この救助隊の中にスタンド使いが紛れ込んでるとも限らん。一度敵の目を欺くためにも、バラバラに分かれて行動するぞ。地図のメモを渡しておくから、そこの中華飯店で落ち合おう!」

 

俺はその言葉通り、救助後にひとまず適当なホテルをジョースターさんの名義でチェックインしておいた。

 

タイムリミットまで、残り50日。

 

 

……悪く思わないでくれ、俺も他人の金を無断で使うのは嫌に決まってるんだ、なんて念も通じるわけもないのだが、俺にはもっと大事なことがあったんだ。それは、海水にどっぷり浸かってしまった荷物を乾かすことだ。特に、海中から引きずり出したラジオはびしょ濡れで、昼までに大急ぎですべてのパーツを分解して塩を洗い流し、水気を切ってガンガンエアコンの風を浴びせて乾燥させたのだ。

 

組み終えたソイツに電池を入れて、テーブルに乗せスイッチを入れてみる。

 

目の前で指を組んでじっと、俺はソイツが目覚めの声を上げるのを待つ。しかし、2分、3分と分が刻まれる度に、俺の期待は薄れていく。5分もすれば、俺は諦めてしまっていた。

 

長年連れ添った友がこんなにあっさり死ぬとはな、と思った矢先、ザザザと落胆を払拭する砂嵐が響いてきて、また例の声が聞こえてきた。

 

「このラジオは生きてるぞ。幸運なことにな」

「スティール!無事だったか」

「ああ。スタンド……ほぼ幽霊のような状態のこの私は、ラジオが壊れたとしても喋り続けられるものだが、このラジオ本体も、死んじゃあいないらしい」

 

そうと分かればと俺は胸を撫で下ろすよりも先に、窓を閉めてシャッターを下ろす。そして、ソファーに背中を思い切り預けてやる。実はというと、さっきまで俺は、窓の下辺を越えない高さで生活していたのだ。スタンド使いに見つからないように。

 

「ところで、落ち合う時刻は決めてないのか?」

「いいや?ジョースターさん曰く、集まる時間はバラバラでも問題ないらしい。料理の注文さえ切らさなければ多少長く席を占めてても良いし、一ヶ所にスタンド使いが集まればそれだけ磐石になる。寧ろ、集まる時刻を明らかにしたら、敵の刺客がその時刻から逆算して、一人ずつ始末しに来るかもしれないと考えてのことだってさ」

「そうか」

「まあ、これでスティールの安否が分かったんだ。俺もこのホテルに留まり続ける理由も無い。昼時だし、もう向かっても良い頃合いだろう」

「……私のせいで、随分と待たせてしまったようだな」

「いいさ。それより一応聞きたい。周りにスタンド使いの気配はあるか?お前はこれから俺が向かうべき場所を言ってくれるからな。より最適な選択のためなら、待つことも苦じゃねえよ」

「……幾つか気配はするが、立ち止まらなければ問題ないだろう。準備はいいか?」

 

二つ返事で俺はホテルを出た。

 

中華飯店まであと100メートルまで近付いたところで、また一つ曲がり角に身体をよじらせる。追手の可能性を考慮してのこともあるが、堂々と表を歩くと、片っ端から出店や屋台の人々から声を掛けられるのだ。耳慣れない言葉を気さくに大声で放たれると、苦笑しながら断るこちらも心苦しくなってしまう。決して悪い人たちじゃ無いんだろうが、ホットコーラくらいしか聞き取れないこの耳じゃ、とんだゲテモノを口にするかもしれない。もし機会があれば、一行と合流してから廻ってみてもいいだろう。

 

何度も建物の影を縫っていると、何度目の今、建物の隙間から声がした。

 

「むー!!ムムゥーー!!」

「オラオラ!有り金全部よこしな!」

 

建物同士の隙間の薄暗い路地裏で、黄色い衣を頭まで纏った細っちい小男がナイフを片手にカツアゲをしていた。それも、自分より体格の大きな男に。

 

見ていて気持ちのいいものじゃあ断じて無い。だが、普段の俺なら介入はしない。

 

(可哀想だが……他所様の事情にまで首突っ込んではいられねえよな。俺、道端の野良猫にはエサをやらねえタイプなんだ。エサが貰えることを覚えた野良は、狩りを止めちまうらしいし。変に永らえさせちまっても、その先の人生……いや、猫生に支障が出そうでさ)

 

そう思って立ち去ろうとしたとき、妙なもんが目に入った。カツアゲされてる男の背後にある壁が、ゴゴゴと音を立てて動き出したのだ。姿はまるで煉瓦造りのゴーレムのようで、煉瓦の大男は男を抱き上げて締め上げている。

 

掴まれてるヤツは何がなんだかわからず、口を塞がれて声も上げられないまま震えている。フツーの人なら何が起きてるのやら分かりやしない。だが、

 

スタンド使いの俺には、その妙なものは最早『妙』じゃあなくなってた。

 

俺は踵を返して背中を折り曲げた黄衣の野郎に、思いっきり飛び蹴りを浴びせた。ナイフを落としてぶっ飛んだソイツの起こした土埃が止む前に胸ぐらを掴んで恫喝してやる。

 

「お相手様に見えもしねえスタンドでカツアゲたあいい度胸だなあ~~ッ!?」

「て、テメー!何しやがる!?い、いい気になるなよ!俺っちのスタンドは頑丈で、どんな攻撃も通用しなあいただだだだ!!」

 

うるせー口だな、と俺は何発もパンチを浴びせて塞いでやる。ヤツの顔はみるみる腫れ上がっていき、ソイツが言っていた頑丈なスタンドとやらは、カツアゲされてる男から全く手を離していない。スタンドなら忠実に命令を聞くもののはずなんだがどういうことだろう。

 

「ひぃ~~~!やめろ!もうわかった!やめるからもう許してくれーーー!もどれ!【ライノセラス】ッ!」

 

黄衣の男は並みの高校生のパンチにすっかり恐れをなしたようで、両手を上げて降参のポーズを取っていた。ゴーレムもまた同じようなポーズを取っていて、被害者の男はどこへやら、跡も残さず逃げ去っていた。

 

「俺が言うのもなんだが……スタンドも出してないフツーの高校生にボコされて、よくこれまでカツアゲなんか出来たな」

「フツーなら見えない何かに締め上げられればびびって金を落とすし、ちゃちなスタンド使いなら俺のデカさにびびって逃げ出すんだよぉ!オメーがおかしいんだよ!」

「だったら本体を叩くだろうな」

「その通りだ」

 

俺達の押し問答に、割り込んでくる声があった。振り向くとそこには男が立っていた。黒いバンダナを被り、ノースリーブのタンクトップとカーゴパンツ、そして裾をミリタリーブーツに押し込んだ長身の男が、もみ合っている俺達を眺めていた。

 

黒いタンクトップからも浮き出る厚い胸板のシルエットに、袖から覗く白く太い腕。体格だけでいえば、承太郎にも引けを取らなさそうだった。黄衣の男に名を呼ばれたその男は、顔の下半分を覆う黒いマスクを細かに震わせる。

 

「ユ、ユタの兄貴!!」

「うるさいぞ。俺を兄貴と呼ぶな」

「何者だ。お前は」

「スタンド使いさ。……さっきの話の続きだが、強そうなスタンドに対抗する策として、本体を探し叩くというお前の思考は中々に鋭い。お前、身なりからしてここいらの者じゃあ無えな。日本人か?」

「……だったらなんだ。コイツの元締めとして、俺とやり合うつもりか?」

「だからソイツは子分じゃあねえと言ってるだろ。俺が興味を持ってるのはお前だ。どこでその力を手に入れた?」

「聞き出してどうするつもりだ?」

「随分と口が固いな。その意気や良し」

 

俺がここまで頑なに質問に答えないのには理由がある。

 

飛行機に乗る前に、アヴドゥルさんが言っていたことを俺は思い出していた。

『スタンドを出す』ということは、敵に自分の弱点を晒すのと同じことだ、と。どれほど強大なパワーを持つスタンドでも、人から生まれる以上必ず弱点がある。それを先に見切られることは、スタンド同士の戦いにおいて致命的だ、と。

 

スタンドを発現してまだ数日の俺は、明らかに格上のヤツに対してこれ以上アドバンテージを与えないよう、既に臨戦態勢に入っていた。俺の体内で狼男が力を溜めているのが分かる。いつでも飛び出せるように。

 

「……知らねえな。気が付いたらこの力が生えてきたんだ」

「ふむ。……フレウはスタンドを授かったばかり、つまりお前と同じだ。一見、実力が拮抗すると思うだろうが、若いお前が肉体で勝負に持ち込んだら勝つのは当然、お前だ」

 

出で立ちからして尋常では無い強さの気配を放つユタは、一つ提案してきた。

 

「どうだ?試しに俺と勝負しないか?」

「……お前みたいなヤツは試合に乗じて殺すに決まってる」

「今日は非番でね。俺は仕事でしか殺しはやらない。一銭にもならないこの試合に殺すための『価値』はねえ。ま、プロの言葉を信じてもらうしかないな。それに、だ。もし俺を言葉巧みに騙して仕掛けてくるスタンド使いだと思っているのなら、お前にとってこれ以上無いくらい都合が良くないか?自ら正体を明かしてるんだぜ?スタンドを出してみろ。お前から仕掛けていいぞ」

 

『スタンドを出す』ということは、敵に自分の弱点を晒すのと同じこと。先に見切られることは、スタンド同士の戦いにおいて致命的だ。だかそんなスタンド同士の戦いにも、例外はある。例外なのは、射程が長く、かつ素早いスタンド。

 

俺のスタンドは、そのどちらの条件も満たしていた。

 

(バレる前にやる、だ)

 

俺は即断し、無言で狼男を繰り出した。両手を前に咆哮を上げながら狼男は突撃する。

 

左右を壁に阻まれた路地裏に、俺のスタンドを避けられる隙間なんて無い。【灰の塔】の時とは違う。

 

俺のワイルド・ハーツの突進はエメラルド・スプラッシュの弾速より少し速いくらいだ。初見で見切るのは難しい筈だ。そう思っていたのに。

 

狼男が通り過ぎた後に、ユタの痕跡は一つも無かった。ワイルド・ハーツは鼻を数度ひくつかせ、俺の頭の上を見つめている。

 

ユタは俺の遥か頭上、建物の外壁に掴まっていた。無傷で四肢を這いつくばらせて。

 

「なるほど、素早いスタンドじゃあないか。俺程では無いがな」

 

壁面に手指を食い込ませている様子も無く、涼やかに停滞していたユタは壁から手を離して、軽やかに地面に舞い降りた。

 

「さて、次は俺の番だ」

 

ユタは徐に両手をこちらに向けて、五指を開いた。

すると、彼の周囲から風が巻き起こり始めた。俺の背後を過る追い風はユタの両手の下で滞留し、小さな竜巻を作っていく。

 

(なんだ……風か?風が奴に向かっていくぞ……?)

 

「やれッ【セインツ】!!」

 

攻めるか逃げるか決めようとしたその一瞬、その明らかな『溜め』は、一気に解き放たれる。

 

正面からでは立ってはいられないほどの突風だった。いや、もはやそれどころじゃあ無い。強風で俺の身体は徐々に浮き始めている。後ろを振り向く余裕は無いが、すぐに消え入った情けない叫び声からして、フレウはとうに路地の外まで吹き飛んでしまったようだ。

 

「さあ、どうする?」

 

ユタはその場から動かず、ただ俺の次の行動を待っている。至極当然だ。なにもしなくても、既に俺は敗北しつつあるのだから。風は益々勢いを増して、遂に俺の身体は浮かんだ。急いで壁に掛かってる排気パイプにしがみつくが、そのパイプもボルトをガタガタいわせて歪み、折れ始めている。

 

「どうした?そのままではお前はボロ雑巾のようになっちまうぞ?スタンドを使うなり逃げるなり、速いところ行動を起こした方がよさそうだが?」

 

何より厄介なのは風そのものにダメージが伴い始めてることだ。手足に極めて小さい切り傷が出来ていく。

俺は口を固く結んで瞼を閉じるが、唇も瞼も捲れて、口内にまで風が捩じ込まれていく。あと数秒もすれば、体内も体外もズタボロにされちまう。

 

それでも、俺はまだ動かない。なにも出来ない普通の人間のように、はっしとパイプを掴んで離さない。

 

「さあて、なにもしないのならそろそろトドメを……どあッ!!」

 

ユタが吹っ飛んだ。自分のスタンドの風に煽られて……なんて間の抜けた原因によってでは無い。俺に向かって飛んできたユタが起き上がると、さっきまでユタが立っていた場所に、ハッハと荒い息を立てる狼男の姿があった。

 

「バ、バカな……俺の能力は風の能力……いくらほぼ全開でお前に向けていたとはいえ、周囲の気配を感知するための風は纏っていた筈……」

 

俺は狼男を急いで走り戻していたのだ。花京院との戦いで見せた。モノを取って戻ってくるあの指示そのままに。俺は自分のスタンドについてはまだまだ無知だったが、同時に演じていたのだ。まだ一度も戦いを演じたこともない、未熟なスタンド使いを。じっさい未熟だが。

 

俺はうつ伏せに腰を押さえるユタの元へ近付いていく。狼男を側に置いて。

 

「す、すさまじく遠くに移動したと感じ取ってはいたが……こんな素早く戻ってくるとは……」

「ああ。正直俺も驚いた。俺のスタンド、スポーツカー並みに速いかもしれん」

「だが!!」

 

ユタの背中から突風が巻き起こる。そして、ユタは今度は宙に浮いた。目を凝らすと、天使のような姿をした美しいスタンドが、ユタを支えている。ユタは再び中程度の距離にまで離れて着地した。

 

「さて、これで仕切り直しだ。さあ、まだ戦うつもりか?」

「……いいや。今ので分かった。お前、DIOが送り込んだ刺客じゃあ無いな?」

「……」

「黙っていても分かるぜ。お前の【セインツ】……その気になればもっと恐ろしい使い方が出来そうだからな。例えば押し付ける風の密度を高めて、さながら弾丸のように人の身体を抉りとったり、な。そうしない、ってことは、また何か別の狙いがあるんだろ?俺に」

「……ああ。その通りだ。確かに俺はDIOとやらが何者なのか知らないし、本気を出してもいない」

 

ユタは【セインツ】のそよ風で服の汚れを払っていく。服を通り過ぎた風は勢いを増して、レンガの壁に拳大の窪みをガゴォッと作って見せる。

 

「言ったはずだぜ。『非番』だってな。俺には分かってる。力を示してる最中の俺に、お前は手を出してこない。フェアネスを重んじているのかもしれねえがそれ以上に、敵の言葉を信じると決めている。その度胸は評価すべきだ。だが、一匹狼のままではいずれ限界が来るぞ。今のうちに少しはその力を高めておいた方が───」

「待て。俺がいつ一人だと言った?」

「なに?仲間がいるのか?」

「ああ。俺には行かなきゃなんねえ所があるんだ。とっとと仲間と合流しねえと」

「うーむ……」

 

ユタは一度唸ると、

「どうやら俺の早合点だったようだ。悪かったな」と、【セインツ】を消した。

 

「俺は、はぐれ者のスタンド使いに、サバイブするための手解きしてるんだ。さっきの試合も、本気で命のやり取りをするつもりは無かった」

「いつも、こんなことやってるのか?」

「いや、別に慈善でこんなことをしてる訳じゃあない。非番の時で、なおかつたまたま遭遇したら、の話だ。強者の特権、ってヤツよ。フレウと出会ったのはまさしくその一例でな。スタンドが発現したばかりでパニック起こしてるフレウにあれこれ教えたのが俺というワケさ」

「そうなのか」

「ま、フレウは何を勘違いしてか、威を借るようにこんな悪行に手を染めてるがな。止めはしねえ。所詮俺も余所者だからな」

「へへ、ありがてえことです、兄貴」

「それやめろと言っただろ」

 

どこからともなく現れた小物に、ユタは本気で顔をしかめている。

 

「まあ、仲間がいるのは良いことだ。そいつらとは長いのか?」

「いいや。旅の途中でさ。まあ、初日で乗ってた飛行機を墜とされたがな」

「お前の言ってた、DIOの刺客、って奴か」

「ああ。しかしまさか、こんな素っ気なくスタンドを持ってる人に出会えるとはな。スタンド使いはタロットカードに因んだ者ばかりじゃないのか?」

「なんだその憶測は?スタンド自体は素質さえあれば誰にでも発現しうるし、色んな名前、性質を持つものだぜ。人間にも色んな種類がいるように、必しも何か法則性を持ったものになる必要も、また無い。そうじゃあないか?」

「そうか。……そういうものなのか」

「思い込みは足元を掬われるぞ。俺も仕事をする時はそうしてる」

「ユタ。お前の仕事、ってなんだ?」

 

ユタは後ろ手に素早くナイフを取り出し、目の前でジャグリングしながら逆手に持ち替えたり、指先で四方、八方向、十六方向に握りこんでは離してみせる。ひとしきり弄り終えて、ユタはマスクを震わせる。

 

「殺し屋、だ」

「げえ~~。余裕綽々な訳だ」

「そう。お前のように本体を狙う作戦を使ってくるスタンド使いには、こう、ってわけさ」

「俺に一人でいるのはマズい、って言ってたのも、もしかして」

「スタンド使いという生き方と、この仕事。基本誰かと組むことは無いのさ。仲間は募れるうちに集めておけ、ということさ。スタンド使いはその特性上、孤立しやすいからな。特に、子どもの内からスタンドを持っている人なら尚更、さ」

 

何か思い当たることがあるかのように、ユタはそっぽを向いて、マスクを正した。

 

「なら俺はまだまだお前のようになりそうには無いな。俺はつい先日、コイツが出てきたばかりなんだからな」

 

俺は狼男の首に手を回して、頭皮をグーでくしゃくしゃと弄ってやる。

 

「まあ、そうとくれば俺はお前に用は無い。会ったばかりだが退散するよ。刺客とやらには、俺も用心しておく。もしかすると、それに関連した依頼が出るかもしれないからな」

「ああ。ほんの一度揉み合っただけだが、大した怪我もねえし、初めから会ったことは無かった、ということで───」

「オイオイ。今の手合わせで分かったことはあるぜ大神。お前、素早いスタンドを持ってるが、正直動きが単純すぎる。ただ突進させるだけじゃ芸が無い。射程はそこそこあるし、パワータイプでも無さそうだし、何か技を編み出しておかねえと、後々苦労するぞ」

「……分かった。ありがとな」

「また会おう。依頼じゃなければいいな」

 

末恐ろしい言葉を残して、ユタはゆっくりと市場へ消えていった。

 

俺はプロのアドバイスをしっかりとメモして、一行の待つ中華飯店へと足を向けた。

 

到着したのは、俺が最後だった。

 

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