笑術廻戦~もしも竈門炭治郎が五条悟だったら~   作:モッチー7

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第16笑:この罠は誰用?

竈門炭治郎はどう言う訳かナイトプールに渋々行かされていた。

(どうしてこうなった?)

 

切っ掛けは、悲鳴嶼が行った警告から始まった。

「えー…この近くのナイトプールで…盗撮魔が出ている様だ…みんなもプリントを確認して気をつける様に…」

だが、雪賀が悲鳴嶼の思惑とは逆の方向へ向かってしまった事で、話がどんどんややこしくなってしまった。

「……あっ!じゃあさ、そいつ、僕達で捕まえない!?」

「は?」

(何言ってんのこの人……)

「この事件、僕達で解決すれば僕の権威にも箔が付くし、サマーに加担する連中への牽制になるって寸法さ」

善逸はそれを許さなかった。

「ダメです」

「即答!?」

「そう言う思惑を見越したうえでのサマーの罠の可能性も有る。この事件に雪賀が関わるのは反対だな」

だが、雪賀は何故か食い下がる。

(でも、これは逆に椿に頼られるチャンス!)

「安心して。僕の可愛さで盗撮魔なんかやっつけちゃうよ!」

それでも善逸は雪賀がこの事件に関わる事を禁止しようとする。

「ダメです。可愛さ如きで盗撮魔を倒せるなら、警察がとっくに捕まえています」

「ご……如き!?」

因みに、この時の炭治郎は善逸を応援していた。

(押し切ってくれ頼む!)

しかし、雪賀は小声で善逸に悪魔の囁きの様な耳打ちをする。

(これは、椿にマイクロビキニを着せる絶好のチャンスなんだよ)

「な!?」

そう。

雪賀がこの事件に関わる真の目的は、椿の水着姿を見る事であった。

善逸は一旦は揺らぐも、この時はまだナイト・エージェンシーより与えられた覆面警備員任務を優先した。

「く!……ダメったらダメ!それこそサマーの思う壺だよ!」

だが、炭治郎は臭いで舌戦の形勢が雪賀に傾いている事に気付いてげんなりする。

(まさか……その問題のナイトプールに往かされる……のか?)

 

炭治郎の危惧は当たってしまった……

結局、雪賀は善逸と椿の反対を押し切り、盗撮魔が潜むとされるナイトプールにやって来てしまったのだ。

(どうしてこうなった?)

「申し訳御座いません竈門様」

で、肝心の炭治郎が問題のナイトプールに往かされる真の元凶たる寒崎椿のこの時の衣装はと言うと……

(プールでもスーツなんかい)

「……流石に不自然過ぎて、かえって目立つだろ?」

(これが椿さんの……ささやかな抵抗なんですね……)

淫らな思惑が思いっきり外れてしまったので、少しだけ不機嫌になる雪賀であった。

「どうして、僕が用意した水着着ないの?(涙)」

「アレは水着じゃなくて紐です!」

 

「じゃ僕、水着になろーっと」

椿が雪賀にパーカーを着せようとしたので、話は更にややこしくなる。

「えー?椿、照れてるの?かわいー♡」

(しまった!つい……)

「今日は遊びに来た訳じゃないんですからね」

炭治郎が不機嫌そうに雪賀に苦言を呈している中、善逸は怪しい者を早速捕まえた。

「お前今、雪賀にスマホを向けただろ?」

「俺の勝手だろ!あんな可愛い()を見たら、誰だって撮りたくなるだろ!」

変態の呆れた言い分に対し、善逸は現実を突き付けた。

「秋場雪賀は男だよ」

「何寝ぼけてんだお前?」

「じゃあ確認してみろよ」

「へ!良いぜ」

で、その変態は雪賀に容赦無く股間タッチを行うが、

「おりゃ!……え?」

女性が持たぬ筈のアレの感触を味わってしまった挙句、椿に思いっきり殴られた。

「……!?」

「2度と雪賀さんに触るな」

善逸がしてやったりな顔をするので、炭治郎が呆れながら訊ねた。

「善逸、お前、椿さんがああなる事を知っててやっただろ!?」

「当然!あいつのスマホの中を調べる為の良い時間稼ぎになった」

炭治郎はドン引きしながら結果を聴いた。

「……で……どうだった?」

「んー、正直言って黒だな。間違っても灰色ですらない。ただ」

「……『ただ』?」

「今回探している盗撮魔とは色が違うな。肝心のアレが無い」

善逸の意味深な言い回しに困惑する炭治郎。

「……アレ……とは……」

その途端、善逸は炭治郎を連れて物陰に隠れた。

「え?ちょ!?何!?」

「秋場雪賀にはまだ言っていないが、犯人は恐らく女だ」

(……一瞬、『何言ってんだこいつは』とも思ったが、この匂いは本当の事を言ってる時の匂いだ)

「まだ未確定な情報だがな。でも、今回の盗撮事件の被害が最も多いのは更衣室である事は確かだ」

盗撮魔の邪悪さにドン引きする炭治郎。

「更衣室って!?そこはナイトプールに来た人達が着替える場所!」

「そう。最も露出度が高い場所だ。が、故に最も男女の区別が厳しい場所でもある」

「それじゃあ、女性しか入れない場所で盗撮されたから犯人は女性だと言うの?」

「隠しカメラの線も一応考えたよ。でも、ナイトが先回りして買い盗った写真を解析した限りでは、固定された隠しカメラでは不可能なブレがあったし、被害場所も固定されているにしては不規則だ」

「つまり、中に入って直に撮影している?」

善逸は真顔で首を縦に振った。

「……非道い。同性を売るだなんて」

が、善逸は気が緩んだのか、炭治郎の男女兼用水着を視て変な感心をしてしまった。

「なるほど……露出が高ければ破廉恥って訳でもない訳か」

「……お前も椿さんに殴られた方が良いぞ」

 

「うーーーーーん……疑ってかかると、怪しい人ばっかに見えるなぁ……」

ひたすら当ても無く盗撮魔を探す雪賀とそれを心配する椿。

そんな2人の前に、あからさまに怪しげな紙袋があった。

(何だあの人目を避ける様に置かれた紙袋は……いかにも過ぎるだろ……)

問題の紙袋を調べようとする雪賀を椿が制止する。

「待ってください。我妻様に調べて貰いましょう」

呼び出された善逸が問題の紙袋を調べた結果……

「マナー悪いなー。ちゃんとゴミ箱に捨てろって」

で、結局のところ……

「手がかり……ありませんでしたね?」

(それそうだ。問題の更衣室から遠ざかる様わざと誘導してるからね)

「んー……このままだと僕達の負けな気がする」

善逸の気も知らないで負けず嫌いを発揮する雪賀に対して少しだけムカつく炭治郎。

「雪賀!実際にその盗撮魔と遭遇してしまったら、如何する心算なんだよ!?」

だが、これが雪賀にとんでもないヒントを与えてしまうと言う逆効果になってしまった。

「遭遇……そうか!こっちが探すんじゃなくて奴が来て貰えば良いんだ!」

「何でそうなるの!?私、致命的な失態をしでかしたの!?」

炭治郎が自分の失態に対して絶叫している中、椿はハッとしながら嫌な予感がした。

「雪賀さん……まさか……」

雪賀は椿を囮にするべく更衣室へと向かうが、それを観て善逸が絶叫する。

「だーーーーー!(汚い高音)そっちは駄目!男性立ち入り禁止!」

善逸が雪賀を更衣室から遠ざけようと必死に説得するが、説得も虚しく、問題の更衣室から悲鳴が上がる。

「きゃあぁーーーーー!あの人、私の方にカメラを向けたあぁーーーーー!」

(拙い!きゃつが更衣室から出たら、雪賀でもきゃつを捕まえる事が出来てしまう!)

炭治郎と善逸が慌てて更衣室に向かって走るが、その2人のあまりの速さに雪賀が完全に置いてきぼりを食わされる。

「何だあいつら……いくら何でも速過ぎるだろ!?車かよ!?」

と言うか、確かに炭治郎は無惨と戦う運命にあるし、善逸はナイト・エージェンシー所属のホワイトスパイとして散々しごかれてきた。でも、雪賀自身がトラック1周でもうグロッキーになる程の運動音痴なのも問題があった。

「もう……走れない……」

「後は竈門様と我妻様にお任せしましょう」

(頼みますよ!犯人が雪賀さんに出くわす前に!)

 

1人の女性がカメラを手に通路を歩いていると、突然善逸に呼び止められた。

「そのカメラ、何の為に持ってるんだい?」

「なんでって……と言うかナンパかよ?キモ!」

善逸を変態扱いする事で逃げ切ろうとする女性だったが、炭治郎が立ち塞がる。

「嘘を吐くな。そう言うのは臭いで判るのよ」

 

遂に女性盗撮魔を挟み撃ちにした炭治郎と善逸であったが、その割には、この女の不気味過ぎる余裕から不吉過ぎる何かが漂っていた。

「お前さん、まさか感光させて証拠隠滅させる気じゃないだろうな?」

「はあぁ!?何それ?私のカメラに変な物が入ってるって言うの?」

だが、女から出る臭いと音が女の否定的な発言を否定する。

「観光と聴いてフィルムのアレを思い浮かべる時点で、お前はかなりカメラの扱いに慣れてると視た!」

「本当に後ろめたい事が無いのであれば、そのカメラの中身、堂々と魅せられる筈でしょ!?」

問答無用でカメラの中を視ようとする2人に困惑している様に見える女の顔に、善逸は不気味な違和感を感じた。

(何だ?あの眼帯は?目の病気か?)

「それと、その眼帯、外せ」

善逸の予想外の命令に炭治郎は呆れたが、言われた女は先程の尊大な態度が嘘の様に慌て始めた。

「何でよ!?何であんたら如きの前で自分の目を晒さなきゃいけないのよ!?」

「何を言ってるんだ善逸……え?」

「何故『眼帯を外せ』と言われただけでそこまで焦る!?はっきりと眼帯を付けてる理由を言えば良いだけの話だろ!」

女と善逸との眼帯に関するやりとりを聞いて、理解に苦しみ困惑する炭治郎だったが、その困惑のせいで判断が致命的に遅くなってしまった。

「それとも、その眼帯について言えない何かが……炭治郎ちゃん!避けろ!」

突然背後から無数の糸が炭治郎を襲ったが、反転術式と術式対象の自動選別常時発動を事前に習得しておいたお陰で事無きを得た。

「うわあぁーーーーー!あ……あっぶねぇー!無下限呪術常時発動と全集中・常中が無かったら、今頃私はサイコロステーキになってた!?」

「と言うかお前!判断が遅い!どんだけ油断してるんだお前!?」

炭治郎の判断ミスに文句を垂れながら盗撮魔から眼帯を奪う善逸。

「ぐ!?」

「下肆?あの時襲われた化物に似てるな?」

善逸の化物発言を聞いて、珠世に事前に言われた警告を思い出した。

「眼球に数字が刻まれる鬼に注意してください。そいつは間違いなく、無惨直属、十二鬼月です」

(だとすると……この罠の本当の狙いは雪賀じゃなくて……私!?)

炭治郎が盗撮魔と被害者の本当の狙いに気付いた中、善逸はどうしても雪賀の方を気にしてしまう。

「盗撮魔と被害者がグルって事は……やはりこれは罠か!?炭治郎!?」

「はい?」

「そこにいる2人!任せられるか!?」

善逸は恐らく、炭治郎を嵌めた盗撮魔を炭治郎に任せ、自分は雪賀の許へ急ぐ魂胆だろうが、この2人のそもそもの狙いは炭治郎なので、寧ろ相手の思う壺とも言えた。

とは言え、雪賀の事が心配なのもよく解るので、ここはあえて月並みの返答をした。

「解った!こいつらは私が引き受ける!」




原作との相違点

●獪岳

・鬼舞辻 無惨とは無関係。
・プールや海水浴場などで無断で女性をスマホで撮影する。しかも常習犯。
・我妻善逸の罠に嵌る形で寒崎椿に成敗された。

●零余子

・令和7年まで生存。
・竈門炭治郎をおびき寄せるべくナイトプールの更衣室で盗撮騒ぎを起こしていた。
・『まったく最近の探偵ときたら』における『スクープおじさん』に相当する人物。

●母蜘蛛

・令和7年まで生存。
・竈門炭治郎をおびき寄せる盗撮被害者をやらされた。
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