笑術廻戦~もしも竈門炭治郎が五条悟だったら~   作:モッチー7

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第23笑:炎凝呪法VS半天狗

夏油一派に呪術師としての才を認められた幼女鬼と上弦の肆である半天狗との長き死闘は熾烈を極めた。

が、幼女鬼は半天狗を護る4体の分身体の各々の特徴が大分視えてきた。

「如何した如何した!そんな豆鉄砲では俺達は殺せねえぜ?」

「遊ぶなぁー!」

「何か、飽きてきたな」

「殺してから言えぇー!」

と、こんな感じで空喜と可楽は遊びが過ぎて油断・慢心から来る隙が多いので危険度はお世辞にも高いとは言い難い。

特に可楽は飽きっぽいので空喜と比べたらそんなにしつこくない。

寧ろ、

「哀しい。永過ぎて哀しい」

「ならばそ奴を殺せ!そうすれば直ぐに終わるわ!」

哀絶と積怒は神経質に怒っている上に怒号も多いが冷静沈着。空喜や可楽と比べたら隙が無い。

特に積怒は司令塔的な役目を果たしている。

(ならば!)

幼女鬼は炎凝呪法で構築したダブルサブマシンガンを出鱈目に乱射……

「どこを狙っておる?俺はここだぜ?」

に見せかけて血鬼術で弾道を操り、厄介な哀絶と積怒を集中攻撃した。

「何で儂なのだ?哀し過ぎる」

「貴様ら!儂より弱いと思われてるではないか!腹立たしい!」

「実際そうでしょ?特にあの鳥さん、弱いもん」

本来内気で内向的な幼女鬼ではあるが、ここはあえて空喜と可楽の隙を更に助長するべく、挑発的にニヤリとした。

それに敏感に反応してしまったのが、積怒であった。

「舐めるなよ小童が!その分不相応な腹立たしい笑顔ごと飲み込んでくれるわー!」

積怒が再び錫杖から雷を発射する。

だが、寧ろ幼女鬼のニヤリは更に悪辣なモノとなった。

「先ずは1人目」

構築したサブマシンガンの発射モードを単発に切り替え、銃弾に大量の呪力を籠める。

「近付き過ぎだ!腹立たし……」

幼女鬼から離れようとバックステップをする積怒であったが、時すでに遅し。

幼女鬼が発射したチャージショットは、積怒に命中した途端黒い火花となって消滅し、積怒の腹部を吹き飛ばして上半身を床に転がした。

「な……何いぃー!?」

つまり、幼女鬼は黒閃を成し遂げたのである。

無論、ゾーンに入った幼女鬼の猛攻はこれだけでは終わらない。

背後から槍を突き刺そうとしていた哀絶にも、先程のチャージショットを打ち込み、その銃弾は哀絶に命中した途端に黒い火花と化して消滅した。

「か……哀しい……哀し過ぎる……」

チャージショットが本来なら狙って出せない筈の『黒閃』と成ったのは、幼女鬼にとっては幸運だった。

「後は……楽な方が、残りましたね?」

 

その時、幼女鬼は異様な気配を感じてそちらに目が向く。

そこにいたのは、あの老人鬼である。

「アレが……半天狗の本体!?」

半天狗(?)は慌てて逃げる。

「ひぃぃいぃい!弱いものいじめをするなァァァァァ!」

が、当然幼女鬼は逃がさない。

 

諄い様だが本来なら藤襲山に連行・監禁された雑魚鬼として一生を終える筈だった幼女鬼は、夏油一派の導きによって呪術師としての才能に目覚め、火を顕現・放出させて物質を構築する『炎凝呪法』を得て1級呪術師相当の実力者へと成長した。

その後は藤襲山から自分を救い出した夏油一派への恩に報いるべく炎凝呪法に向き合い、構築出来る道具の種類を徐々に増やしていった。

 

幼女鬼の背後に現れた炎がパーソナルジェットパックへと変形し、幼女鬼を宙に浮かべた。

それを観た半天狗(?)が驚き慌てる。

「何じゃそれはァァァァァ!?卑怯とは思わんのかァァァァア!」

そんな半天狗(?)の耳に、幼女鬼の冷たい声が響く。

「嘘を言わないで下さい!上弦と言う事は、私の様ないつも空腹に苦しむ鬼が羨ましがる程人間を食べてますよね?」

「お前はああ、儂がああああ、可哀相だと思わんのかァァァァア!」

叫びながら逃げ回る半天狗(?)をパーソナルジェットパックを使って追撃する幼女鬼であったが、

「何なのこの人!?判断が早過ぎます!どんだけ逃げ慣れてるんですか!?」

半天狗(?)の逃げ足の速さに舌を巻きながら焦る幼女鬼。

(早く本体を倒さないと……例の4体の分身の内の厄介な2人が復活してしまう!その前に!)

幼女鬼の予想通り、チャージショットによる黒閃を受けて2つに割れた積怒が復活しつつあった。

しかも、その再生は他の鬼とはどこか違っていた……

と言うか……何故か攻撃されてない筈の空喜と可楽が徐々に塵となって消滅しかけていた。

「なんだよ!もうおおおおおお!股かよおおおおおお!」

「ちょっと股!ちょっと股!儂もかよおおおおおお!」

塵と化した空喜と可楽を吸収した積怒の上半身が、積怒とは別の鬼へと豹変した。

「不快、不愉快、極まれり」

その途端、木で出来た龍が次々と幼女鬼を襲い、パーソナルジェットパックを破壊してしまう。

「極悪人共めが」

「え?……復活したの1人だけ?しかも、姿が大分変ってない?」

幼女鬼が積怒の変異に驚くその隙に、半天狗(?)が先程の木龍の中へと逃げ込んでしまった。

「あ!?待って!」

「停まれ、極悪人」

異形積怒の言葉に違和感を感じる幼女鬼。

「悪人?敵の間違いでは?」

「貴様は敵であり極悪人だ。『弱き者』をいたぶるからよ」

 

冗談はいい加減にしろと言いたげに、幼女鬼は声を尖らせた。

「や、半天狗は上弦の肆ですよね。これ、下剋上なんで……!あの、階級的に言うと―――」

「先程貴様は、手の平に乗る様な『小さく弱き者』を撃とうとした。のう?」

異形積怒は幼女鬼が言おうとした正論に耳を貸す気は、最初から無かった。

でも、藤襲山に連行・監禁され、臆病で内向的な性格も災いして永き空腹を味わわされた幼女鬼は、上弦のくせに自分勝手な言い訳が多い半天狗に色々と言いたくなる。

「ち……『小さく弱き者』おぉーーーーー!?上弦のくせにふざけた嘘を言わないでください!」

故に……幼女鬼は気付かなかった。異形積怒が言ってしまった致命的なミスに。

「黙れあばずれが。儂のする事に何か不満でもあるのか?のう、悪人共めら」

異形積怒が背中の連鼓を叩くと、木龍達が再び動き出した。

幼女鬼が慌ててダブルサブマシンガンを乱射するが、木龍達は怯まずものともしない。

「く!」

木龍達の噛みつきをどうにか躱した幼女鬼であったが、木龍は口から雷や超音波を発射する。

(コイツ、長距離もいけるクチか!)

思考の中で、幼女鬼は歯噛みした。夏油と言う存在を間近に見ていた筈だが、実際に相対して初めて解る『上弦』と言う壁。隙が見えない。

しかも、もう1人の厄介者である哀絶が未だに復活しない……

もしかすると、哀絶も異形積怒に吸収された可能性も有り得る。

だが泣き言を言ってる場合じゃない。幼女鬼は跳ね起きると、飛び掛かって来る木龍達に対し、ダブルサブマシンガンを打ち込む。

無論、ただで受ける異形積怒改め『憎珀天』ではない。連鼓を叩く事で木龍が再び幼女鬼に飛び掛かる。

大きな質量が床に叩き付けられ、木屑か飛び散る。

すぐさま幼女鬼に反撃を行おうとする憎珀天。

しかし、木龍達が破壊した床の破片が、火に包まれながら膨れ上がっている。

幼女鬼が炎凝呪法で周囲に飛び散る木屑を燃やして誘導弾へと作り変えたのだ。

「いけ!」

幼女鬼が命じると、多数の誘導弾が一斉に憎珀天に襲い掛かる。

対する憎珀天は連鼓を叩いて木龍達に誘導弾を落とさせようとするが、誘導弾は木龍達の噛みつき・体当たり・雷・超音波を全て躱して憎珀天へと向かって往く。

しかし、憎珀天が口から超音波を発射して誘導弾を幾つか撃ち落とした……

様に見えるが、落とされなかった残りの誘導弾は憎珀天を無視して急上昇。

「しまった!貴様ぁー!」

幼女鬼の狙いが半天狗の本体だと気付いた時、木龍達が一斉に炎上した。

「な!?何故!?」

 

想定外連続にあたふたする憎珀天。

それを見越して幼女鬼が指を鳴らすと、今まで撃った銃弾が一斉に火へと姿を変えた。

「何!?」

これが幼女鬼が使う炎凝呪法の真骨頂。

炎凝呪法を使って物体を構築する事も可能だが、逆に構築した物体を火に戻す事も可能なのだ。

憎珀天が最初に出した木龍達も炎凝呪法で構築したダブルサブマシンガンの銃撃を浴びる程受けて胴体に何発か残ってしまっていた。

それを火に戻す事で木龍を焼き尽くそうとしたのだ。

しかも、

「ぎやゃあぁーーーーー!」

本体(?)である半天狗(?)がその炎に耐え切れずに木龍から飛び出してしまったのだ。

「しまった!駄目だ!」

当然、憎珀天が落とし損ねた誘導弾が一斉に半天狗(?)を襲う。

「ひぃぃいぃい!」

半天狗(?)は直ぐに逃走するが、誘導弾はしつこく追いかける。

「おのれ!」

見かねた憎珀天が半天狗(?)を庇いに行こうとするが、

「させません!」

幼女鬼が放った銃弾が憎珀天の進路を阻む。

「……貴様……最早鬼畜の所業」

憎珀天が連鼓を叩くと、先程とは細長い木龍が幼女鬼を縛り上げる。

「あばずれが。今までの悪行の数々、死をもって詫びろ」

憎珀天が必死に連鼓を高速で交互に打ち続けた。

「血鬼術、無間業樹」

その途端、大量の木龍が広範囲を埋め尽くそうとする。

しかも、

「無間業樹……雷鳴風刺!」

その内に8本が、積怒の雷、可楽の風、空喜の超音波、哀絶の激涙刺突を2本ずつ放つ。

だが……焦っていたのか憎珀天は位置取りを間違えた。

「滅びよ……あ!」

渾身の雷鳴風刺が幼女鬼だけでなく、肝心の半天狗(?)にまで命中してしまったのだ。

雷鳴風刺が発生させた爆風に耐え切れずに吹っ飛ぶ半天狗(?)。

「のおぉーーーーー!?」

「しまった!なんて事を……」

しかも、

「いやぁー、今のは凄かったですねぇー。まともに食らっていたら、私が木っ端微塵になるところでした」

そう、細長い木龍が締上げた幼女鬼は炎凝呪法で構築した偽物。

半天狗の分身体に着想を得て、幼女鬼が土壇場で構築を試みたのである。

「な!?」

憎珀天が反撃をしようとするが、幼女鬼は既に銃弾に大量の呪力を籠めていた。

「これで……後は本体のみ」

幼女鬼が放った2発のチャージショットは、憎珀天に命中した途端、憎珀天の3分の2を巻き込みながら黒い火花となって消滅した。

黒閃が必ず鬼の敵となるとは限らない。黒い火花は微笑む相手を選ばない。

結局この戦い、全てにおいて上手をとったのは幼女鬼だった。




原作との相違点

●銃鬼

・本作オリジナルキャラクター。
・最終選別用に生け捕られて藤襲山に囚われた幼女の鬼だったが、竈門炭治郎の観察を目論む夏油一派の策略によって稀血を有する非術師10人と禪院真依・禪院扇の脳を食わされ、1級呪術師に匹敵する呪詛師として覚醒した。
・弾道や軌道などの『動き』を操る血鬼術と炎凝呪法を開花させており、銃などの武器に呪力を籠めて打ち出し、高威力のチャージショットを発射する事も可能。
・引っ込み思案で内向的傾向を有するものの、自分を藤襲山から救い出してくれた夏油一派に奉公するべく鬼特有の傲慢・凶暴に徹しようとする健気な一面も持っている。
・黒閃経験有り。
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