【救済、転生if】沈んだ日も、いつかまた昇るだろう 作:榊 時雨
タルパ号が出航してから間もなくして、ポニー運送がなくなるという話が持ち上がった。
厳密に言えば、有人輸送が廃止になるだけで倒産する訳ではないのだけど。
すぐの話ではないにしろ、大量リストラもあり得るだろう。管理職の人間だけが残り、会社を運営していくんだと思う。
私としては、こんな表向きだけホワイト企業を謳っているブラック企業から退職金ももらったうえでやめることができるなんて、ありがたいこの上ない。
しかし、次の仕事も考えなければならないのも事実だ。
私は医者だし、もちろん医師免許も持っているが、どこかの病院に就いたり、個人で開業するつもりもない。
ただ、やりたいことは何となく実現できそうなので、いつ事態が動いてもいいように準備はしている。
両親も応援してくれるそうだし、感謝しかない
「…タルパのみんなは、どうするんだろ」
いずれタルパにも、解雇予告通知が行くはずだ。…今は、まだ上で留めているだろうけど。
私もポニー運送の正社員だ。タルパのメンバーとは、飲みに行ったこともあるし、それなりに仲が良い…と思っている。
情だって湧く、ともかく心配なのだ。
とは言え…カーリーさんはどこでもソツなくこなせるタイプだし、ジミーさんもカーリーさんさえ居ればどうとでもなるだろう。
アーニャさんは医者としてどこかに勤められるし、スウォンジーさんもあの技術があれば欲しがる企業なんていくらでもあるはずだ。
そうなると、やはり1番心配なのはダイスケくんだ。
彼がスウォンジーさんについて行くのならそれで構わないのだが、仮に職に困るようなことがあれば、私が勧誘しようと思っている
「ダイスケくんが私のところに来たいと思ってくれるかはさておき…次の職場が見つかるまでの保険として選択肢になってあげられれば、それでいいかな」
正直なところ、彼と仕事してみたいという自分の願望も少し入っている
「それでも、ときどきみんなでご飯食べに行ったりしたいなぁ」
これからの未来を想像しながら、私は午後の業務に取り掛かることにした
それから、更に少しして───
その日、私はいつも通りに出勤した。
特に大きな仕事がある訳でもなく、いつもと変わらない業務だけで終わると思っていた。
会社に入って、すぐに違和感に気付いた。…社内が騒がしいうえに、空気も重い
「ねぇ、なにかあったの?」
私は隣のデスクの同僚に訊ねた
「あー…上の人たちが騒いでるよね、
「………え?」