胡蝶カナエにとって
人前に立っただけで萎縮してしまう程人見知りで、内気で泣き虫。虫も殺められない程に臆病。掃除も炊事も不器用で失敗ばかりで怒られ続けていた。
剣術の稽古も同様だった。教わった事が上手く出来ず何度も失敗しては怒られての繰り返し。育手と手合わせした時も緣は攻撃が出来ず防ぐ一方だった。
だが不思議な事に、緣はその攻撃を全て受け流して自分への負荷を減らしていたのだ。攻撃の回避も的確で、稽古が終わる時は殆ど無傷なのだ。カナエはボロボロだというのに。育手が手を抜いている様子はない。
つまり、これは緣自身の力だ。教わったわけでもないのに回避と防御、初めてでこれ程出来るのだ。カナエは緣にますます興味を示した。
「ね、ねえ疼木さん」
だが話しかけようとしても、まるで避けるかのようだった。本人はそのつもりでは無いというのは分かる。緣には身寄りがなく、他に家族も友人もいない。だからこそ孤独と不安を少しでも和らげるべく打ち解けようとしたのだが、逃げられてしまう。
互いに両親が鬼に殺されたという共通点があっても、カナエは笑顔を絶やさない明るくて心優しいまま前を向き続けている。対して緣は悲観的で臆病、人に対して心を開く事が出来なかった。
ただ、カナエが緣の芯に触れる機会が一度あった。夜が更けている中、部屋に戻らない緣を探していた時だった。
月明かりに照らされている庭に一人、緣が立っていた。片手には刀を手に、静かに佇んでいる。何をしているのだろうか?カナエは声をかけようとしたが、不思議と出来なかった。
すると、緣は動き出した。腰を捻ると体幹胴体もついてくるように周り、手に持っている刀を振るう。虚空を斬るその剣技は鬼を斬る為のものではない。実戦では何の役にも立たないのはよく分かる。
だがしなやかな手足と、しっかりとした軸を作り上げている体幹、静寂な時の中と一体と化した肉体。静と動の緩急を織り交ぜた動作。荒い息遣いであっても、決して崩さない儚げな表情。それがカナエの心を奪った。
まだ途中であるが、緣の体力が限界を迎えて動きが止まってしまった。我に返るカナエ。
いつも自分に自信が無く、師範に怒られ続けて萎縮しているふだんの姿とは別人だった。この一時の間だけ、緣は本当の自分になれている。これが緣の本当の実力なんだと。
「凄いわ疼木さん!こんな事が出来るなんて!」
魅了されたカナエは拍手して絶賛した。お世辞ではない。心の底から感動していた。
「わ……私なんて……まだ全然……。お母さんのように……いかないから……」
「でも、本当に凄かったわ!素晴らしい才能よ!」
誰かに見せびらかしたいわけでもない。ただ母の辿った道をなぞるように舞っていた。それでもカナエは手放しに褒めてくれた。照れ臭いがそれでも嬉しかった。
「あ、ありがとう……胡蝶さん……」
「もう胡蝶さんって呼び方。何だか他人行儀みたいじゃない。ほら、カナエって呼んで?」
「あっ……うん……。か……カナエさん」
「さん付けもいらない」
「ご、ごめん……カナエ」
それから、少しずつではあるがカナエに心を開くようになっていた。稽古の時も、自信がつくようになってからは師範に怒られる頻度も減り、成長も著しかった。
唯一無二の親友になった二人は揃って最終選別へと向かう事が出来た。
緣が鬼殺隊としての始まりの時であった。
○○
炭治郎と伊之助が機能回復訓練を受け始めてから数日間、善逸は戦慄していた。二人が機能回復訓練から帰ってくる度に、生気を吸い取られたような状態で病室に戻ってベッドで寝込んでしまう。
最初は二人とも気合いが入っていた。だが……
「改めて言わせてもらう。私はお前達を新米扱いする気はない。同時に手を抜くつもりはない。これから行うのは初歩中の初歩。それが出来なければ、今後下弦は愚か、並の鬼すら殺せぬと心得ろ」
初日は病み上がりという事もあり、あまり指導的な発言はしなかったが、二日目からそれは変わった。歯に衣着せぬ物言いに、炭治郎は思わず驚愕した。だがすっかり立ち直り、好戦的に戻った伊之助には効かなかったようで……
「ふんっ!お前に言われなくても俺は強え!そしてすぐにお前をぶっ倒す!」
と、息巻いて堂々と宣言した。だが……
「お前は野生育ちで獲物を狩る猪と勘違いしているようだが、下弦の鬼所か並の鬼も狩れないお前は精々子鼠程度だ」
那田蜘蛛山では累以外の鬼に苦戦し、剰え死にかけたが故にここにいる。覆しようのない決定的な事実を突きつけられて見事に言い返された上に、伊之助の被る猪の被り物とかけて自然界の動物を持ち出された。それは伊之助には最も屈辱的な例えだったようで、好戦的な態度を一撃で消沈させた。
「特に竈門」
「はいぃ!」
「お前は御館様や柱の方々に向かってあれだけ啖呵切った訳だ。半端は許さん。良いな?」
「はぁい!よろしくお願いしまぁす!」
そうして緣の指導の下、訓練が開始される。
と、こういった経緯があり、二人は早くも心が折れかけているのを目の当たりにしては臆病な善逸が発狂するのも仕方がない。
彼らを教えているのは鬼殺隊で『鬼巫女』と恐れられているあの緣。あの赤い鬼面を思い出しただけでも、善逸は恐怖に呑み込まれて何度も絶叫してしまう。
「怖いよおおぉぉーーー!!明日から俺も遅れて参加するのにいいぃぃーーー!!」
那田蜘蛛山にて討ち取った兄蜘蛛鬼の毒によって、自身も蜘蛛にされかけた。その毒によって手足が蜘蛛のように短くなっていたが、完全に蜘蛛になる前に、駆け付けたしのぶの投薬によって、後遺症も残らず、今ではすっかり元通りとなった。
とはいえ、そこまでの治りが炭治郎と伊之助より掛かってしまった為、善逸はまだ機能回復訓練の参加を許されていない。が、許されてもこのザマでは参加したがらないだろう。
「善逸君も、明日から機能回復訓練に参加してください」
が、先程しのぶから笑顔で善逸に
「無慈悲だぁ……」
普段の善逸ならば、あの豊かな胸に顔を埋められればどれ程幸せだろうと想像するだろう。だがそんな煩悩よりも、素顔を覆っている真っ赤な鬼面から醸し出す恐怖が先行してしまう。
その恐怖の権化たる緣の指導を明日から受けなければならないと知って、布団の中で縮こまってしまっている。
そんな彼を他所に、来客がやって来た。那田蜘蛛山の戦いで炭治郎と共に戦い、姉鬼に殺されかけた所をしのぶに救われ生き残った村田だ。
「お前達、もう雅の稽古受けてるのか?」
「はい。ですが、結構キツくて……」
「ああ……分かるぞその気持ち……」
村田と親しい炭治郎が受けている指導について話すが、同情する村田はその辛さはよく分かるようだ。
「俺もあの人の指導を受けた事あるけど、キツいなんてもんじゃなかったなぁ……。あの人容赦ないし、ボロボロになっても休ませてくれないし、教えてくれてもそれが出来ないと基礎から何度もやり直しさせるしさぁ……」
思い出しただけでも村田の生気が消え、顔も青白くなっていく。隣で聞いていた伊之助ですら頷く始末。
「前は
「何ですか?その姫巫……あっ」
炭治郎が尋ねようとした時、村田の背後を見て絶句した。それに気がついた善逸と伊之助も同様の反応。世にも恐ろしい鬼巫女がいる。
「部外者がこんな所で何をしている?」
「ひいぃっ!ど、どうも疼木様ぁ!さよならぁ!」
緣に気が付いた村田が慌てて出て行った。改めて緣は炭治郎の方を向く。
「竈門。余計な邪魔が入って、尋ねそびれた事があった」
「な、何をですか?」
尋ねられる炭治郎の声色は少し震えていた。こうして緣と相対すると、女性でありながら妙な威圧感と迫力がある。下手な言い訳や誤魔化しなど通用しないというのは言うまでもない。
「お前が鬼殺隊に入隊後の初任務から那田蜘蛛山まで、竈門禰豆子に起こった事を開示しろ」
そう問われて最初は戸惑う炭治郎だが、ここで嘘をついた所で何の意味もない。
竈門禰豆子が鬼になった時に冨岡義勇と出会い、鱗滝左近次を尋ねて水の呼吸を教わった事、入隊してから禰豆子を連れて任務に行っていた事、浅草で無惨と遭遇した事を話した。
「なるほどな。人に紛れて人の振る舞いで人の生活を営んでいる……か。吐き気がする」
「俺が知っているのは、これだけです……あとは……」
「……分かった。情報提供感謝する。もう少しで訓練だが、開始を少し延ばす。後でアオイ達を寄越す」
そう言って病室から出ていく緣。いなくなった後、不意に善逸が呟く。
「不思議だよなあの人」
「えっ?」
「あの人の音……ごちゃ混ぜなんだよな。怒りの中に何か別の音があるっていうか」
善逸は人並外れた聴覚を持っている。それで人と鬼の判別、心音や呼吸音、心理状態までもを読み取れる事も出来る。
炭治郎も匂いで似たような事が出来るのだが、言われてみれば善逸の言う通り、緣の匂いはちぐはぐだった。何故そんな匂いになっているのか不思議だった。
だがその答えに辿り着く事はなく、アオイが訓練の迎えに来た。
○○
次の日の朝。
善逸も加わった事で三人全員揃った。初めて受ける善逸の為に改めて機能回復訓練の内容についてアオイから一通り説明された。
ただ善逸にやり方を説明をした際、善逸は二人を外に連れ出し大声で文句を言い散らかしたが、それ以外は何もなく、帰ってきた時には上機嫌になっていた。
「では、始める。アオイ」
「はい、では私がお相手を務めます」
「は〜い!よろしくお願いしま〜す!」
アオイは善逸の態度にムカっとしたが、いちいち気にしていたらキリがないのでそのまま始める事にした。
女子達による機能回復訓練と知った善逸の勢いは凄まじいものだった。三人娘による柔軟に苦痛の顔を浮かべるどころか笑っており、反射訓練ではアオイに湯呑を掴ませる事なく勝利。この時、カッコつけて「女の子にお茶ををぶっ掛けない」という台詞にアオイをさらに苛つかせた。
さらに全身訓練では、目にも止まらぬ速さでアオイに抱きついた。が、その後制裁が下された。
「よっしゃぁぁぁぁーー!俺もやるぜえぇぇーー!!」
伊之助も善逸には負けまいと、善逸とは違い乱暴ながらも反射訓練、全身訓練に勝利した。
(我妻……しのぶからはよく騒ぎ立てては泣き叫ぶ、なんて聞いていたが……この速さは……)
善逸の電光石火の速さには緣も唸らせる。さらに善逸に続けと勢いをつかせた伊之助もアオイに全訓練で勝利を収めた。
一方炭治郎はというと……
「俺だけずぶ濡れ……不甲斐ない……」
アオイに勝てていなかった。二人は勝てたのに自分だけ負け続けている事に落ち込むが……
「竈門、落ち込む暇があるなら続けろ」
炭治郎に叱責を投げ掛ける。くよくよしている間に二人に置いていかれてしまう。そう考えた炭治郎は、頬をパンッと叩いて気持ちを切り替える。
「はい!お願いします!」
その根気強さが功を奏し、アオイから白星を勝ち取る事に成功した。いよいよカナヲが相手になる。そう思っていた矢先、善逸と伊之助があえなく返り討ちになっているのを目の当たりにした。
二人が湯呑みを取る前にカナヲが刹那の間に別の湯呑みを掴んで薬をぶっかけていた。全身訓練ではいくら追いかけても突き放され、髪の毛一本すら触れられぬ始末。鬼役を交代すると、開始の合図と同時に懐まで迫られ捕まってしまった。ここまで一方的だと最早蹂躙である。
アオイと同じく現役の隊士であるが、実力は軽く凌駕している。しのぶの継子という事もあるだろうが、三人では勝負にならなかった。その間、カナヲと三人の間には決定的に欠けているものを見出している。
結局その日はカナヲに勝てないまま一日目が終わった。
二日目。柔軟を終えた三人が再びカナヲに挑むも、ずぶ濡れになり、髪の毛一本触れられないまま悪戯に時間だけが過ぎた。
四日目も進展なく、夕刻を迎えた。指導を終えようとした時、緣が三人を呼び出す。
「竈門、我妻、嘴平。この差は何故出来たと思う?」
緣に尋ねられるが、三人ともすぐに答えられなかった。カナヲ一人にここまでボロボロに負け続けて、精神が立ち直りきれていないのもある。この時、既に空白の時間が数十秒出来たが、そんな情けを掛けてやる程、鬼巫女は甘くない。
「我妻」
「はぃっ!」
緣に指名されて、恐怖混じりの返事をするが答えが出て来てないのは変わらない。
「分かりません!」
「たわけ」
「ひゃぁぅっ!」
即座に冷淡な一言で撃沈。
「嘴平は?」
今度は伊之助が指名されるが唸るだけで返答らしい返答は来ない。論外というのは言うまでもない。
「話にならん。竈門」
「やっぱり、その……継子だからでしょうか?」
唯一答えられた炭治郎だったが、緣はそれに対して答えようとせず、徐に立ち上がった。
「今日はここまでだ。少しは考えて動け」
そう言って緣は訓練所を後にした。
「は、はい!」
少し反応が遅れたが、炭治郎だけが強い返事をした。
自室に戻った緣は、三人の特徴を纏める。
嘴平伊之助
獣の呼吸を扱う二刀流。その性格を表すように動きは荒く、お世辞にも技巧らしさは欠けているが、その荒々しさと好戦的な性格が敵の意表を突く。
我妻善逸
雷の呼吸を扱うが、小心すぎて今後生き残れるか不安要素が大きすぎる。だが裏を返すように雷光の如く速度は目を見張るものがあり、まだ眠る潜在能力がある。
竈門炭治郎
水の呼吸の使い手。先程の二人のように秀でた才能があるわけではないが、絶え間ない努力と不屈の闘志で下弦ノ伍を追い詰めた。また人一倍強い目的意識を持ち、決して折れる事をしない。
○○
翌日。訓練の時間になったが、緣の前に立っているのは炭治郎だけだった。
「我妻と嘴平はどうした?」
「すみません、声は掛けてみましたけど……」
何と、善逸と伊之助が来ない。昨日の様子から体調を崩したわけでも負傷した訳でもない。やはりカナヲに負けたのが堪えたのだろう。だが鬼巫女を相手に訓練のすっぽかしはマズいと炭治郎は匂いで感じ取っている。
(怒ってる……この上なく怒ってる!)
雷が落ちるなんてものじゃない。そもそも何をするか分かったものではない。戦慄と焦りが同時に炭治郎を襲う。
「分かった……。今日は竈門、幾らでもやると良い」
炭治郎を叱った所で無意味。雅の時とは違い脱走はしていない。
雷は落ちてこなかった。むしろ自由に使わせてくれる事を許してくれた。
「ありがとうございます。明日は二人も……」
「放っておけ」
二人を呼んでくる、と言い終わる前に遮られた。
「え?!」
「お前は悠長に人の心配している場合か?自分身体を心配しろ」
「あっ……いや、そうなんでしょうけど!でも二人は仲間なので……」
「この程度で折れる奴の稽古など必要ない。時間の無駄だ」
失望を露わにした緣が冷たく言い放った。あまりの冷酷するぎる緣の判断に炭治郎は恐れ慄くが、同期として二人を見捨てることなんて出来ない。
「で、でもあの二人もやれば出来ます!きっと気持ちの問題です!だからもう一度機会を……」
「くどい」
たった一言、それだけで炭治郎を怯ませた。
「よく聞け。私は中途が嫌いだ。実戦は生きるか死ぬかのどちらかしかない。この程度の訓練で折れるようなら、私は指導しない。何処へでも勝手にするといい」
緣の言い分はごもっともだが、それでも炭治郎は善逸と伊之助を見捨てる事なんて出来ない。二人には非凡な才があり、必ず優秀な隊士になる事も。何とか覆してくれるよう粘り強く交渉しなくては、そう思った矢先……
「あらあらぁ。何だか大変な事になってますね」
いつの間にかしのぶが間に割って入っていた。思わず炭治郎が尻餅を着く。
「疼木さん、お気持ちは分かりますが、もう少し寛容になっては如何です?今は訓練なのですから、機会を与えてあげてください」
なんとしのぶが直々に説得してくれた。緣とは対照的に物腰柔らかい且つ優しく諭すような感じである。いかに緣でも、上官にそう言われては首を立てに振らざるをえない。
「分かりました……今回は大目に見ます」
何とか撤回を認めたが、浮かれている場合ではない。こんな事が長く続いたら流石のしのぶも庇いきれない。一刻も早く二人を訓練に連れ出さなければならない。
「竈門君、人を心配する前に自分の事を心配した方が良いですよ」
しのぶに見透かされたように告げられた事に気付いた炭治郎は緣の静かなる怒りを察知した。結局この日、カナヲには勝てなかった。
炭治郎が訓練所を出て行った後、緣はきよ、すみ、なほの三人を呼んだ。
「三人とも、竈門が出来ていないものが何か。分かるか?」
「「「はい!全集中の呼吸が、四六時中出来ていないと思います!」」」
三人の意見は一致していた。愚問かと鼻で笑う緣。
「少し手助けしてやってくれ。無論、私の名は決して出すな」
「「「はい!」」」
元気のいい返事で三人は炭治郎の所へ向かった。一人となった緣は木刀を手に取る。
(全集中・常中……果たしてお前に出来るか……)
全集中の呼吸を常に維持し続ける事で、基礎体力が飛躍的に向上し、戦闘能力も遥かに上がる。基礎中の基礎ではあるが、並の隊士に教えても出来る者はなかなかいない。
とはいえ今後、炭治郎達が十二鬼月の鬼と戦う為にも必要不可欠となる。
(いや、出来てもらわねば困る)
灯りを消した訓練所には月明かりだけ。それだけが緣を照らしていた。
○○
同じ頃、炭治郎は全集中・常中のコツを緣に教わる為に部屋に訪れていた。
炭治郎達がここで療養している間、緣もここに住み込んでいると聞いている。部屋はしのぶが手配、というよりかつて緣が住んでいた部屋をそのまま現存してあったのだとか。
「あれ?いないのかな?」
何度呼んでも応答がなかったので出払っているのかと思い後にしようとしたその時、何処からか変わった匂いがした。
「この匂い……何だろう?」
その匂いを辿って歩いていると、その先は訓練所だった。そこから木刀が振る音、着地したような音が聞こえた。
「もしかして緣さんかな?」
気になって訓練所の戸を覗く炭治郎。
(あっ……)
炭治郎の目に映ったのは、木刀を手に美しく軽やかに舞う緣の姿だった。
大正コソコソ噂話
柱から見た緣の評価
悲鳴嶼行冥
「何よりも、自分に厳しく徹している。未だに過去に囚われ続けている」
宇髄天元
「赤い鬼面が派手だが素顔が気になって仕方がない。安産型の尻」
冨岡義勇
「真面目」
不死川実弥
「普通。素直に褒められねェ」
煉獄杏寿郎
「剣技が美しい!何度でも見たくなる!」
伊黒小芭内
「鬼殺隊の模範となるべき存在として当然」
甘露寺蜜璃
「見た目は怖いけどかっこいい!頼り甲斐がある!」
時透無一郎
「鬼のようで鬼じゃない。赤いお面に何の意味があるのか、気になる」
胡蝶しのぶ
「…………」