剣の音は止まない。 作:クリクリストッキングフォロ
放置されてたのでちょっと調整して放出していきます。
新ストーリーの千咲可愛すぎだろなんだアレ。完全にメスの顔というかメスというよりは瑞々しい少女の恋の始まりといいますか表現に困ります神でした。
というか年齢を考えろ漂白者ぁ! 何が先輩だお前! 万年単位で生きてるだろ! 学生やっていい年齢じゃぁないんですわ!
千咲を鑑真すり抜けから70連目くらいで引いたので初投稿です。
少女はグラディエーターだった。
黒潮の侵食により滅ぼされた故郷から、たった一人生き残った悲劇の子。ソラリスの大地にはこのような物語はありふれているが、それでも他と異なるのはその少女は今大成し、現存している英雄ということだろう。
当初、少女は親友すらも失った己の不甲斐なさに絶望していたが、それでも少女はセブンヒルズの民だった。リナシータにおいてラグーナと祖を同じくするものの、分かたれたもう一つの民族。彼らは歳主に感謝しつつも、寄りかからず己の力でもってこの世界を生き抜くことを信念に生きている。
少女はその血を引いていて、そして親友の性格を熟知していたことも大きかったのだろう。少女は親友たる彼女から勇気を得ていたのだ。
殴られれば2倍殴り返すし、受けた借りは必ず、何があっても返す。眠れる獣のような彼女の親友であった己が、いつまでもクヨクヨしているわけにはいかない。
少女の故郷が黒潮により呑み込まれた情報を得たグラディエーターたちが助けに来ると、そこに生き残っていたのは幼い少女一人のみ。石灰と黒潮の淀みに侵食され、延々と人々の残響が木霊する町を恐る恐るグラディエーターたちが進むと、そこには剣を胸に抱いた少女が眠っていた。
こうして、少女は故郷――うわごとの町を抜け出したのだ。
ここから少女は艱難辛苦を乗り越えることになる。
少女の親友ならばいざ知らず、少女にはこれと言った強い共鳴能力はなかった。だからこそ、少女はセブンヒルズを生き抜くための力を授けてくれる師を探す必要があったのだ。
少女は悩んだ末、カトーという引退したグラディエーターに師匠になってほしいと頼むことになる。しかし、そこでも苦難は続く。
「私を弟子にしてほしい」
「何? 見るからにこすっからいガキだ。共鳴能力もなければ、能力もない」
「それでも、お願いしたい。私は故郷を黒潮に呑まれ、生きる術を持たない。誰も助けてくれないのだ、なら私は自分自身の力で生き残らねばならない」
―ーあの子のように強く在れ。
少女は己にそう言い聞かせている。
誰より優れた点がないのならば、せめてその心だけは負けていられない。
虚勢で結構、虚勢すらも張れないのならば、大人しく死ね。
手負いの飢えた獣は未だ未熟だが、それでもその内側には巨大な牙が眠っている。
「――ふむ。俺の試験を乗り越えることができれば、考えてやらなくもない」
「本当か! 早速頼む」
こうして少女の苦難は続く。
カトーが出した試験はカトーに一撃入れること。力も早さも何もない少女に、それは無理難題であった。それでも、少女が心折れることはない。
一日目。まったくもって当たらず、むしろ剣に振り回されているくらいだ。
しかし少女は諦めない。
誰もがその無様を嗤う。
二日目。やはり当たらず、血豆ができた少女が握る剣は誰も傷つけていないのに真っ赤に染まっている。
しかし少女は諦めない。
観衆は変わらず、無意味な努力を重ねる少女の滑稽さを嗤った。
三日目。少女は頭を使うことを覚えた。闇雲に立ち向かっても敵わない。ならばカトーの隙を見つければよいのだ。そう気づきを得たが、その程度で引退したグラディエーターに一撃を入れることはできない。
少女に共鳴能力の才能は人並みなのだから。
しかし少女は諦めない。
共鳴能力を回し続ける。その出力は低くとも、重ね続ければ大きな力になるはずだ。私の力は磁界の制御。ならば、せめて私の手の中にある剣くらい支配してみせろ。
観衆の中に、彼女を応援するものも現れた。不撓不屈にして百折不撓の片鱗を、その少女に見出したのだ。
そうしてカトーを下した少女は地下闘技場に足を踏み入れることになる。その背にあるのは継いだ剣。共鳴能力でもって、己の剣にカトーの剣を取り込んだ新たな牙。
この剣は誓いである。
敗者を背負い、
難題とはある危険な場所に生息するようになった獣の討伐であり、獣の潜む場所は少女の故郷――ファビアヌヌの町。
見知った光景は既に黒潮によって蝕まれ、残っているのはうわごとのみ。
そのはずだった。
少女が辿り着いた先には、既に先客が居た。
一筋の蒼白い光が眼窩を照らし、大気を引き裂く強烈な一撃が大地を轟かす。ファビアヌムの町は谷底に築かれた町であり、その切り立った崖を縦横無尽に駆け回る巨大な獣が咆哮をあげた。
轟音は少女の身体を通り抜け、そしてその衝撃の根本を目にするに少女は気付いた。
――歪で、とてもまっすぐに飛ぶように思えない異形。
しかし、それは確かに『矢』だったのだ。
試される狩人の大地にて、矢を使い獣と戦うのはグラディエーター以外に有り得ない。
街に滞留したうわごとも聞こえぬような轟音を纏う怒涛の攻防に自然と身体が震え、握りしめた剣の冷たさにひっそりと呼吸を落ち着かせる。
おそらく、この先に居るのはセブンヒルズの歴史に名を連ねる英雄に比肩する存在だろう。少しばかり腕に覚えのある小娘程度が介在できるような戦いではない。
だが、それでも。私は行かねばならない。
響くは剣戟、弾ける戦いの律動。
そうして少女は黒潮に記憶を奪われた唯一の帰還者との遭遇を果たす。
「――やはり今の俺では殺しきれないらしい。それで、そこの君は俺に何か用事か?」
「……私は、オーガスタ。貴様が殺そうとしていたアレを、殺す試練を受けたものだ。どうか力を貸してほしい」
「アレを? 英霊であれば真正面から戦っても勝てるだろうが、君は人間だろう。無駄死にになるだけだ」
「それでもやらねばならない。私がセブンヒルズで、オーガスタとして生き残るにはアレを狩る必要がある。頼む、少しばかりの猶予を貰えるだけでもいい」
膝をつき頼み込んだ少女に面食らい、男は眉を動かした。
「どうやら意志は固いようだな。アレを殺しきれん俺の力がどこまで有効かは甚だ疑問だが……それでも君の狩りには少しばかり貢献できるだろう」
自己紹介をしよう。俺は無銘。底知れぬ黒い潮から這い出た亡霊だ。
男はそう名乗り、褐色の顔にシニカルな笑みを浮かべた。
ここが、今もなお続く総督オーガスタと偽剣の英雄の物語が交差した瞬間である。
語りはここらで休憩としようか。
ちなみに数年程前から、偽剣の英雄はセブンヒルズから姿を消している。人知れず人助けにでも精を出しているのかもしれないな。彼の英雄譚は華々しいものでもあるが、その根本はその優しさに満ちた行動にあるのだから。
……連れの方、凄い顔をしてるが……大丈夫か? あぁ、いや、何でもない。
ラハイロイ楽しみだな。
でもモーニエが焦熱長刃ってマジかよ。ルパやん。
未だに凝縮のメインアタッカー獅子舞とDesuwaしかいないのに。