これからちょくちょくこんな感じの話を挟みます。
あと短いです。
臨海学校が終わり、今は8月の中旬。
季節は本格的な夏を迎えていた。
学生たちは夏休みに突入しており、彼女や友人と海に行ったり、地元のお祭りや花火大会などで青春を謳歌している者が多いのだろう。
そんなヤツらがいる中で俺は…、
「古織くん。これ、7番テーブルね」
「了解です、ボス」
「うん、店長って呼んでね」
ひたすらにバイトを励んでいた。
何でこんな状況になっているのかというと、時は夏休み前に遡る。
…………ごめん、遡るの面倒だから簡単に説明させていただきます。
夏休み前日の放課後、猿山に呼び出される。
教室に入るとそこにいたのは、的目くんを除くクラスメイトの男子全員。
聞かされたのは猿山のとある計画について。
その話は、今後の原作へと関係があるものだった。
他の野郎共も猿山の計画に賛同し、それを成功させるためには資金集めが重要になってくる。
そういう経緯でバイトをする事になったのだ。
しかし、ここで不都合が生じる。
実は彩南高校、バイト禁止の校則がある。
ござるくんの情報によると、2年生のセンパイがコンビニで働いているところを教師に見つかってしまい、停学処分になった事例あったとかなんとか。
それを踏まえて思案した結果、
少し遠い場所でバイトすればバレないんじゃね?
という誰にでも思いつきそうな安易な回答が可決した。
その後、彩南から二つ離れた込合という街で、駅近にあるファミレスの求人募集を見つけさっそく応募する。
面接に行くと、夏休みは忙しくなるみたいなので即採用が言い渡された。
ちなみにホール担当です。
◼️
「7番テーブル、バッシング終わりました」
「おぉ!ありがとう、古織くん。仕事が早くて助かるよ」
バックヤードに戻ると、少しふくよかなおじさんである店長が優しい笑みを浮かべる。
「どうだい?夏休みだけじゃなくて、これからもバイト続けてみない?続けてくれるなら、時給も少し上げるよ?」
「いや、それは厳しいっすね。高校生活という青春を無駄にしたくないんで。店長もバツイチ子持ちで大変だとは思いますけど、小説家目指してるなら思いきって仕事辞めたらどうです?毎日、大変そうですし…。切羽詰まった状況になると尻に火がついて、未来のベストセラー作家が誕生するかもしれませんよ?」
「あのね、古織くん。それはあの漫画の店長さんだよね?僕は至って普通のファミレスの店長だよ?凄い美人な女子高生に好意を持たれるなんて経験、一度もないからね?あと、仮にそんなことがあったとして今の奥さんにそれがバレたら、僕はもうこの世にいないだろうね…」
えぇ…、ドン引きなんですけど。
店長の奥さん怖すぎでしょ…。
何ですか、ヤンデレってヤツですか。そんな人、本当に存在するんですか。
その時、来店のチャイムが聞こえてくる。
「ごめん、古織くん。僕は他の仕事があるから、アテンドお願いできるかな?」
「もちろんです、ボス!」
「うん、返事は素晴らしい。でも、店長って呼んでね」
バックから出てきて、早歩きで出入口に向かう。
けれど自動ドアの前で待っている見覚えのある人物を見つけ、俺の足はそこで完全に止まった。
「……あ」
そこにいたのは梨子とララ。
俺の声が聞こえたのか、彼女たちはこちらに振り向く。
「あ、ほんとにいた」
「やっほー!コーリっ」
…なんでいますの?
ここ込合ですよ?彩南じゃないんですよ?
あと、ほんとにいたってなに?
どう考えても誰かからリークされてんじゃん、俺のバイト先。
「…誰から聞いた?」
「え、猿山くん」
梨子の即答に俺は頭を抱える。
いやいや、教えちゃダメでしょうよ猿山さん。
せっかくバレないように遠いところでバイトするって決めたんだから。
ん?でもあれか。別に教師じゃなきゃカンケーないか。
この2人もわざわざ学校にチクるタイプの人間じゃないしな。
ならば、
「いらっしゃいませ!ワグナリアへようこそ♪」
「ここのお店そんな名前じゃないよねっ!?」
◼️
「お会計ちょうど頂きます、こちらレシートのお返しとなります」
「じゃーねー、コーリっ♪」
「それじゃあまたね、古織。バイト頑張って」
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
梨子にレシートを渡し、一礼をする。
自動ドアの音が聞こえ、顔を上げた時には彼女たちの姿はそこになかった。
いやー、なにもなかったね。
まぁ、これが当たり前なんだけども。俺はバイト中な訳だし。
なんかちょっとした展開があるのかなとソワソワしてたけど、なーんもなかった。
強いて言えば、俺がララたちを外から見える席に案内しちゃったから、男たちがファミレスに群がってきた事くらい。
そのせいでピーク時並みの忙しさになっちゃったくらいだな。
でも店長は喜んでたし、良しとしよう。
裏に戻ろうとした瞬間、来客のチャイムが。
振り帰ればそこに、肩で息をしている梨子の姿が。
「ごめんっ、忘れ物した!」
「あっ、そうなん。ならそこで待ってて、俺が持ってくるから。んで、なに忘れたん?スマホとか?」
「いや、そーゆー忘れものじゃなくてね。はい、これ」
「え、なにこれ?」
近づいてきた梨子に渡されたのは、二つ折りになっている薄ピンク色の小さいメモ用紙。
「それ、私の連絡先。猿山くんから聞いたよ。古織、バイトばっかで全然遊びに行ってないって。だからさ、今度皆んなで遊ぼうよ!プールでもお祭りでも何でもいいからさ。ごめん!ララ待たせちゃってるからもう行くね。今日の夜、絶対連絡してね!それじゃ!」
彼女はそう言うと、小走りで外へと出て行った。
梨子の気遣いに胸が温かくなる中、エプロンにメモを入れて仕事に戻る。
今後の楽しみが増えて、より一層気合を入れてバイトに励む。
しかし、人生とはそう上手くはいかないもの。
猿山たちもバイトをしており、皆んなの予定が合わない。
そんな日々をずるずると過ごしていき、いつのまにか夏休みは終わっていた。
ちくせう。
皆さんはユニオンアリーナに参戦したToLOVEるのカードを買いましたか?
私は発売日を勘違いし、どの店舗も品切れで買えませんでした。
マジでミスった、予約しとけばよかった…。