いつから前を向いて歩くことをやめてしまったのだろう。
中学?高校?それとももっと前、小学生の頃だったのか。
今となっては、もうわからない。
いつも通りの道を歩きながら、そんなことを考えていた。
そもそも、どうして急にこんなことを思い始めたのか。
本当にわからないのは、自分自身なのかもしれない。
こんなことを考えている自分が、なんだか恥ずかしい。
駅に着いた。
またいつも通り電車に乗って、家に帰るだけ。
そんな日常の中で、ふと中学の頃の同級生に出会ってしまった。
「○○やん、電車の中で会うなんて偶然やな〜」
なんだこいつは?こんな軽い感じだったか?
「○○どうしたん?まさかウチに会えて喜び噛みしめてんのか。かわいい奴やな〜」
「いや、○○がこんなうざそうな奴だったかなって思ってたとこ」
あ、心の声が漏れた……。
「ほう?もう一度言ってみぃ。大丈夫、ウチ怒らへんから」
いや、絶対怒るだろ……。
ああ、俺の人生は短かったな。来世に期待するか。
「このどアホがぁーーーーーーーーーーーーーー!!」
顔を殴られる。ガチの威力で。
……俺、生きてる?
こんな茶番を電車の中で繰り広げた。
「そっちの高校はどうなん?○○」
「まあまあってところかな。怖いやつとかいないし。そっちは?」
「ウチのところはいつも通りかな〜。特に珍しいこともないし」
そういうものなのか。
みんなが思っていることは、案外同じなのかもしれない。
なんだか寂しい気持ちになる。
それにしても……やっぱり何か変だ。
何かを見落としているような、そんな違和感。
やはり——
「……ところでさ、一つ聞きたいことがあるんだけど」
「なんだい?突然質問だなんて。そんなに聞きたいなら、気兼ねなく聞けばいいのに」
「どうして陸翔の真似をしているんだ?」
と、聞いてしまった。
一体どんな返答が来るのか、不安に思っていると——
「……それは、君が当ててみなよ。君が考えるべきものだ。
私がどんな名前で、どんな姿で、どんな性格で、何を目的として君に会ったのか。
いや、目的とは違うな。そう、これは運命なんだよ。
こうして君に会うのも、きっと運命が導いてくれたんだ」
急に、何かおぞましいことを言い出した。
彼女?彼?は腕を広げながら、踊るように席を立った。
立った?なぜ?ここは電車内だ。
人が多くいるはずの場所。時間的にも、そこそこ混んでいるはず。
なのに、なぜ?
そして、ようやく周囲を見回した。
——誰もいない。
そもそも、いたのかどうかも怪しくなるくらいに、
そいつの声だけが、電車の中に響いていた。