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19.寿命を乗り越えて
私はもうすぐ13歳になる。前世で死んだ年が12歳だから、もう天童寺さりなよりも星野ルビーとして生きた方が長くなるんだ。不思議な気分である。
それはさておき、晴れて私の中学生活がスタートした。懸念していたようなハブられるみたいなことは起きず、何とか近くの席の子と友達になれて順調にJC人生を謳歌できてると言えよう。
なお、自己紹介のときはちょっと引かれた。だよね、ルビーの名前はキラキラしてたから許されてたのであって、この地味地味の私には不相応だよね。まあ仕方ない。
「ルビー、一緒に帰ろ?」
「帰りどっか寄っていこうか」
「ごめん、私今日部活の見学行きたいから一緒に帰れないかも」
「文化部の見学は明日だよ?」
「うん、だから運動部の見学に行くんだよ?」
「「いやルビーはどう見ても文化部でしょ」」
見た目で判断しないで? 地味子ちゃんでも運動したって良いじゃん。
「とにかくそういうわけだから、また明日ね」
「はいはーい」
「またねルビー」
中学で仲良くなってくれた友達2人に手を振って別れる。さてと、私も体育着に着替えて見学に行こうかな。
と、いうわけで私は服を着替えてグラウンドに来ていた。最初の見学は女子陸上部である。
やっぱり風を切って走るのって楽しいし、何より体力つけるならド定番の競技って感じがするよね。朝ランやってる私としてもなじみ深いし、部活として楽しめるかも!
……と、思ったんだけどな。
うん、だいぶ
……そりゃあ私は陸上でも活躍はできるとは思うよ。なぜか急に身体能力が向上した私の脚力ならきっといろんな大会を総ナメできることだろう。なんてったって50m7秒00で、ほぼ丸一日走り続けられる体力持ってるし。
でも、なんかズルしてる気分になるじゃないそれ。私ってただでさえ転生経験でほかの同年代の人より頭脳が……ちょっと? 雀の涙くらいの? 有利があるのにさ。
しまったな。これだと運動部全部ダメかも。一応見学はしに行くけど。
というわけで二つ目の見学先は女子水泳部だった。
……うん、こっちは入っても良いかもしれない。私って水泳もともと苦手だから、今の身体能力でもそこそこの出来で済むんじゃないんだろうか。次に見学に来るときは水着をちゃんと持ってこよう。
次、女子新体操部。ところで体操と新体操って何が違うんだろうか。
「どちらも体の動きを魅せるスポーツね。その中でも新体操は音楽に合わせて演技するわ」
顧問の先生に聞いてみるとそう答えてくれた。
なるほど、体操の中に新体操っていう種目があるだけで、まったく別の種類ってわけではないんだ。面白い。これも候補として考えておこう。
そして次、女子柔道部。なんだけど、人数が少ないのか男子と合同だった。ちょっと残念。上の学年にそれぞれ二人ずつ先輩がいたので話を聞いてみると、どうにも同好会的な色が強いみたいだ。
うーん……練習相手に男子を使えると考えるならあり、なのかな?
そして最後に待ちに待ったダンス部! に、行こうと思ってたんだけど残念ながらダンス部は存在していなかった。悲しい。マイナー部活にも日の光を与えておくれよ神様。
「今日はここまでかなぁ」
柔道新体操水泳、候補としてはこんなところだろうか。まぁ、無理に部活に入らなくても師匠のところで練習自体はさせてもらえるんだけどさ。そこはほら、前世を病室で過ごした身としては色んな青春のあり方を探求してみたいよね。
うちの学校のルールだと運動部同士の兼部はできないから、一年交代でそれぞれさせてくれないかなぁ。だめかなぁ。
「あ、お兄ちゃん!」
「ルビー? お前まだ学校にいたのか」
うんうん悩みながら廊下を歩いてると、女子生徒を何人も引き連れて荷物を運んでいる兄を見つけた。
「悪い、妹と話してくるから先行っといてくれないか」
お兄ちゃんがそう言うと女子の集団は『これがアクアくんの妹なの!?』と失礼なことを言いながら解散した。
悪かったね地味メイクな妹で。
「というか、さっそく女の子引っかけてるし」
「人聞きの悪いことを言うな。委員会の手伝いをしてただけだ」
そう言うとお兄ちゃんは手に持った荷物を見せつけるように私の前で持ち上げる。図書館の本、ってことは図書委員の手伝いなのかな。
「あー! 委員会! そっちもあったなぁ、悩むなぁ、部活と委員会どっちもやってみたいなぁ」
「そういえば今日は運動部の見学会だったな。どこかに入るのか?」
「今のところ候補は3つかな。全部入りたい。そして委員会にも入りたいし文化部とも兼任したい」
「欲張りすぎだろお前」
もう二度とない中学校生活なんだよ? しっかり楽しまなきゃもったいないよ。
「お兄ちゃんは部活入らないの? それこそコンピューター部とかお似合いじゃん」
「俺をなんだと思ってるんだよ」
「夜遅くまでパソコンカチカチしてるニート予備軍だよ。あれいつも何やってるわけ?」
「……」
「もしかしていかがわしいサイトでも見てるの?」
「いや違うが。内職だよ内職。ブログ書いてアフィリエイトで稼いだり、Webサイトのホームページ作って報酬もらったりだな」
へぇ、そんなことしてたんだ。
「で、そのお金でなにするの?」
「……」
「やっぱり女?」
ゴムとかアフターピルとか買うんだろうか。避妊具って高いもんね。
……このロリコンクズ野郎め! ママの墓前で詫びろ!
「だから違うって! お前はほんとに俺のことをなんだと思ってるんだよ!?」
「まぁ何でも良いけどさ。何かあったら相談してね。妹だけど私たちは双子、対等でありたいからさ」
「気が向いたらな」
「あとエロサイト踏んで架空請求来たらちゃんとミヤコさんに相談しなよ?」
「だーかーらーなぁー!?」
あはは、お兄ちゃんが怒った。こっわーい。説教される前にお家に帰ろーっと。
「というわけでさよーならー。あ、お兄ちゃん。今日の晩ごはんは肉じゃがだからね。監督さんのところ寄るにしても食べてきちゃだめだよ!」
「今日は監督のところに行く予定はねぇよ」
家に帰ったら晩御飯の仕込みしないとな。
「でね、結局私英語ディベート部とボランティア同好会と保健委員会と柔道部を兼任することにしたの」
後日、夕食の場にて私はお兄ちゃんとミヤコさんにそう言った。
「多すぎだろ」
「そんなに詰め込んで、生活は大丈夫なの?」
大丈夫大丈夫。ディベート部は不定期開催だしボランティア同好会は私と友達で始めるからこっちも不定期、そして保健委員会はそこまで忙しくないから。
「それと柔道部は一年で辞めて二年は水泳部、三年は新体操やるから」
「「無茶苦茶すぎない!?」」
担任の先生にも柔道部の顧問の先生にも言われたよ。柔道舐めんなって。だから今在任してる男子部員全員投げ飛ばして説得した。私こう見えて柔道歴二年の二級だからね。そして満14歳になって初段を取得したら辞めても良いって条件で柔道部に入部させてもらった。
とりあえず大会出て実績作って、そのあと一級取って、14歳になったら初段の昇格試験受けて退部しよう。ハードスケジュールだね、楽しくなってきたぞぉ!
「なんというか、だいぶスポーツ根性が身についてきてるよな。ルビーのやつ」
「アイドルというよりアスリートの域よね、あれ」
何をこそこそと話してるの二人とも。
「そう言えばルビー、あなたに仕事がきているわよ」
「え、うそほんと!? なになにどんな仕事!」
ついにアイドルとしての私が花咲くときが来たか!?
「商店街のイメージガールとして起用したいそうよ」
「ああそっちかぁ」
「贅沢な子ね、お仕事貰えるだけありがたいと思いなさいな」
「いや嬉しいよ。嬉しいんだけど、うーん」
「あとそもそも、あなたはまだアイドルではないわ」
「ぐふっ……!」
私の心は深く傷を負った。でも大丈夫、きっとこれからだ。地元から私の魅力を全国に広めてやろう。それから立派なアイドルに──!
「今週末の福引大会に早速呼ばれてるから、ちゃんと準備しておきなさいよ」
なれるのかぁ……?
アクアくんはせっせとDNA鑑定資金を貯めているようです。