第一話 ウルク王との邂逅
第一節
地球が誕生してアルビオンに接触し、クリスが産まれてからかなりの歳月が経った。
数多もの生命が生まれ、新たな命を育み、そして死んで朽ちる。繰り返していく都度に少しずつ、ほんの些細ではあるが進化を遂げていった。
小さいな微生物たちも果てしない進化を超えて陸上を闊歩する巨大生物、恐竜へとなっていった。
しかし、宇宙から巨大隕石が落ちてきたことで全てが変わった。
それまで、世界を支配してきた肉食恐竜たちは地殻変動などの影響で餌であった草食動物たちが激減していき餓死が多くなり絶滅の一歩を辿って行った。
中には身体を小さくさせ、少ないエネルギーで生きているように進化したものもいた。
しかし、そのような進化をしたものはごく少数で多く生物は絶滅してしまった。
その結果、身体が小さい哺乳類が勢力を伸ばしていき進化を遂げて行った。
私がこの歴史を知らなかったのなら、このようになることを推測することができただろうか。
全く、いっそ記憶を全て削除してこの生を謳歌するのも悪くないのかもしれないな。
おっと、話がズレてしまった。
ええっと、何処まで話したか。
あぁ、そして哺乳類の内に火を使い出す猿人が現れた。
猿人たちは群れを作ることで強大な生物を殺して生き延びるようになっていった。
そのように人類は人類自身の力で進化を遂げていくはずだった。
確かに、私が元々生きていた世界にも神々がいたが神話のように直接は介入したことはなかったらしい
しかし、この世界では歴史が違う、この世界には神たちが存在した。
人類は神を恐れ奉り支配されるようになった。
その結果、人類は進化を滞らせてしまった。
南米に落ちた隕石に付着していた情報記憶体が地球の植物に寄生することで発展していき、それらの進化体が神として君臨し。ギリシャでは、他宇宙からやって来た宇宙戦艦の
多くの地域は、神の絶対なる力の前に自ら進み服従し信仰をし崇め奉っていった。まぁ、それでも人類は神に反抗して人理を進めるようになるのだれども。
人間は実に面白い。
人間のその感情、思想、行動そのすべてが掛け替えのないものだ。善意も悪意も等しく掛け替えのない、欠けてはいけないものなのだ。
全く、この世界は面白い。私の望んだ世界がここにある。そう思えるだけでも、この生には意味があったのだ。
しかし、この生で一番焦ったのは約1万年前のセファールの件だったな。
今でも脳裏に深く刻みこまれている。
大地は燃え。
あらゆる世界で神が抵抗したが、結果は惨敗。セファールは、神たちと比べ強すぎたのだ。
ほとんどの神は殺され、かなりの力を有していたギリシャも
全く、情けない。戦え、人間なら! あっ、人間じゃ無かった。
当時はそんなことを思ったものだ。
聖剣使いが現れるのが数刻ばかり遅くなっていたのなら、私自身が出張ることになっていただろうな。
そういえば、1000年ほど前にはテュフォンが大暴れしていたな。ゼウスたちが機械であることを知ったことである程度心構えしていたが本当に機械竜だったとは。
見た時は、大爆笑してしまった。
ギリシャの面子は皆、機械生命体じゃないか! 、っとね。
しかし、まぁ神々はまた逃げ出していたがゼウスだけは立ち向かっていたな。
流石、オリュンポス十二機神の中でも最強と言われるだけはある。
てっきり、ゼウスも逃げ出すのかと思ったよ。セファールの時に真体を破壊されていたからね。普段の脳みそが男性器にあるんじゃないと思えるほどのクソったれ具合からは想像もできなかったよ。全く、これだから型月は面白い。
初めて、地球に訪れてから早46億年近く訪れていない。せっかくこの世界に転生したのだから、観覧者をやめて観覧席から舞台に上がることにしようか。
ちょうど今は、紀元前2600年頃で丁度ギルガメッシュ王が即位したばかりの頃、通称子ギルである時期だ。まずはウルク接触を始めて行こう。
余談だが、私の見た目はかなり目立つと考え、認識誤認の魔術礼装を身につけ姿をウルク市民と変わらない格好に見えるようにした。
第二節
ウルクは、グランドクソ野郎(大体諸悪の根源、迷惑ごとを持ってくる天才。そのくせ、いいところを持って行ってチャラにするのが気に入らん。カッコつけずにさっさとアヴァロンに帰れや)が言っていたように、麦と羊と泥の国が似合う国であった。
建築物は、泥、いや正確には粘土で作られ、日差しを入れるために小さい壁穴を空けられており、21世紀にも通用できる町づくりが行われていた。
市場では四方八方、どの方向から男の、女性の、少年の、少女の、老婆の様々な者の呼びかけてくる声が止まらず、辺りには果物や羊肉などの良い香りが漂ってきて食欲を搔き立ててさせていった。軽く周囲の店を眺めると、服屋にパン屋にアクセサリー店など多種多様な店が陳列されていた。ウルクからすべてが始まったという意見も前世で聞いたことがあったが強ち間違いでもなかったなと再認識した。
そのように店を眺めつつ、市場を覗き見ていて回っていると「ちょっと、そこの」という声が右方の店から聞こえてきた。
そこには、周囲と比べるとかなりの歳を重ねている老爺が一人で店を切り盛りをしていた。老爺の店は服屋のようで、かなり質の良いものが揃っていた。
「はい? なんですか」
老爺に軽く返答する。あくまでも、ただの一般人のようであるかのように取り繕いながら。
老爺は、腰を曲げ顔を近づけながら「あんた見ない顔だけど、他の街から来たのかい」と落ち着いた声で尋ねてきた。
「あっ、はいそうなんですよ。前から来たかったんですけど今日は用事があって」
とりあえず、無難なカバーストーリーを伝えたが商人は、長年の感と経験からか私が嘘をついていることを見抜いた。しかし、それを口に出すことはせずにおとなしく私の話を飲み込んだ。
「へえ、そうなのかい。せっかくだから何か買って行かないかい。コイツとかどうだい、最近手に入れた良物なんだが」
店主が取り出したのは、それなりに絹の衣服であった。品質は、この神代であるからか現代と比べかなりのものであり、普通に良いものであった。
「せっかくだし貰おうかな、お代はこれで」
私は、事前に蔵から取り出して巾着袋に詰めていた宝石を一握りほど掴み取ったあと、商人に手渡した。
「お客さん、こんなに頂けないですよ!」
店主は、受けとったものが宝石であることを確認すると慌てふためき、衣服を持って立ち去ろうとする私を身を乗り上げて必死に止めた。
「何ですか、お代は払いましたよ?」
「これにこんな価値はない! こんなものいただけないよ」
確かに、この質の物で宝石を出されたのならそうなるか。
「別に、チップだと思ってくれればいいさ」
そう答えると、老爺の店主はチップの意味が分からず混乱し、私はその間に気配を遮断し、服を取り仕舞いながら服屋から立ち去るとジグラットへと向かった。
第三節
ジグラットに着くとやたらと慌ただしい声が聞こえてきた。まるで、熊が山から降りてきたみたいに。
気配を消しながらジグラット内部に侵入して覗いてみると、神官や兵士、その他のすべての民たちが慌てふためき焦りを見せていた。何事かと、感づかれないようにしながら近くにいた神官たちの話を覗き聞くと、どうやら今朝からギルガメッシュ王がジグラットからいなくなっており業務が滞ってしまっているらしい。
どうやら、英雄王の片鱗がこの時から現れ始めていたようだ。いや、賢王であったとしてもたまにはそういうことがあるか。彼は、確かに神の血が流れているが、人間の血も流れている半神半人だからな。しかし、ギルガメッシュ王がいないのならば別に此処に居座る必要もないし、探しに出るか。
そう考え着くと、人気のないところに移り、第二号を解放して翼を展開し、ウルクの上空へと駆けて行った。
ウルクは、上空から見るとかなり交通や建築物が整備されていることが分かった。それはまるで、平安の頃の京のようであった。それも、平安よりも実用的に区画整理が行われており、到底紀元前2600年の都市だとは思えなかった。
しばらくの間、ウルクに関する考察を行うと、ギルガメッシュ王を探そうと神眼殺しを外してウルク全体を解析し始めた。しかし、このウルクにはギルガメッシュ王が存在していなかった。さらに、解析を進めるとギルガメッシュ王が日も上がっていない夜更けに、このウルクを離れて旅に出たということを知り得た。
そこで、解析対象をウルクからその周辺に変え、対象を解析し直した。
すると、ウルクからそう遠く離れていない森にギルガメッシュ王が存在していた。ギルガメッシュ王は、森の深くの巨大な木の木陰で身を任せながら目を瞑り、ゆったりと休息をとっていた。
うん、やっぱりギルガメッシュ王が自らの意思でウルクに戻るまで待つことにしよう。休息は、大事、絶対。
過去の自分を思い出しながら、その結論に至ると待っている間、暇なのでついでにほかの町を解析して時間を潰すことにし、よさげな岩に着地して座り込んだ。
第四節
ウルクは活気があり、かなり栄えていたが他の街はそうではなかった。
他の町では、凶作のせいで民はみな腹を空かせ、まだ免疫をあまり持っていない子供が病に倒れ、餓死するものもいた。他の町は、ウルクとは違って神からの加護を受けていない土地のため、凶作が発生してこのような状態になるものが多くあった。
神である私であれば、そのようなこと造作もなく救うことはできる。しかし、それは行ってはいけない。人間の可能性を信じるものであるのならば、私のような神という名の化け物ではなく人間自身が克服しなければならない。私が介入するのは、日常の些細なことを手伝うことや人類の存亡が掛かった、人類が対処しけれないことが起こった時のみにすべきなんだ。
そのように、考えを再確認しながら神眼殺しを掛けながら蔵から湯呑を取り出して、落ちかけて行く夕日を眺めながら茶を嗜んだ。神となった私にとって食事や睡眠などは取る必要はないのだが趣味としてこうして綺麗な景色を眺めながら食事や睡眠を取ることにしている。基本的には、レーアも誘っているのだがね。
しばらくの間、そのようなことを行い続け、夕日が地平線に触れる頃であった。私の座り込んでいた岩の後方から、何者かが接近してきた。
その何者かは、私真後ろにまで近づくと幼く高い声で尋ねてきた。
「こんなところで何をしているんですか?」
振り返り確認すると、そこには金髪で赤い目を持った少年がいた。
「君がウルクに帰るのを待っていたんだよ、ウルクの王ギルガメッシュ」
赤い目の少年は少し目を見開き、私が己のことを知っていることに対して驚愕しているようであった。
「あは、気づいていましたか。貴方のような人いや、神に気づかれない訳ありませんか」
おっと、気づかれてしまったようだ。気配を改竄しているのだがね。まぁ、彼の目は千里眼のため見抜いてもおかしくはないか。
「おや、君のその目はそんなことまでも見破ることが出来るのかい。神性は出していないのだけどね」
「確かに神性は出ていませんね。しかし、その程度で騙せるのは民たちと馬鹿な神ぐらいですよ」
その発言は、多方面に喧嘩を売っているようなものだけれどもわざと言っているのだろうか。恐ろしい子だな。
「看破されてしまったか。まぁ、そこは問題はない、予定よりも早くなっただけだ。そんなことより、ギルガメッシュ王、君はでジグラットを離れてここにいるんだ。此処はかなりウルクから離れているけども」
視線を辺りに、散らしながら軽く尋ねた。
此処の森はウルクから近いとは言え、歩いて来たとなればそれなりの時間を要する距離に位置していた。おおよその理由は、すでに推測していたが本人から聞くことに意味があるということで尋ねてみることにしたのである。
「少し、仕事が嫌になりまして、逃げ出したんです」
彼は、苦笑いしながら気恥ずかしそうにしながらそう呟いた。
なるほど、名君である子ギルにもそのような人間らしいところがあったのか。いや、ホロウでも三枝との関わり合いなど人間らしいところがあったか。
「なるほど、まぁ分からなくともないかな。で、いつ戻るつもりなんだい。逃げ続ければあの国は崩壊してしまうけど」
第七特異点でのときに比べればそこまでは逼迫していなくとも他国との闘いなどウルクはそれなりに多忙な筈であった。その中で国の最高権力者が抜け出すなどのことをしてしまえばウルクの士気にも関わるものである。
「もう、帰るつもりだったんですけど。不思議な方が居ましたから」
そういうと、私の隣に座ってきた。
「確かに君からすれば私は不思議な存在だね。知らない神に尚且つおかしな格好をしている、いや、おかしな格好は神だったら別におかしくないか」
イシュタルやその他諸々の神たちはよくわからないセンスを持ち合わせているため、やたらと露出の多いもの着たり、ややダサいデザインの服を着たりしている。
あれは一体何なんだ?
「貴方のは可笑しいの方向性が違いますよ。別に可笑しいとは思っていませんよ。未来を見たときに見たことがありますからその服は」
「へぇ、じゃあ未来をも見通せる君には。私の正体を知っているのかな」
「知りません、教えてくれるんですか不思議な神様?」
ギルガメッシュは私に顔を近づけなから笑顔で返事を返した。
「まあ良いか。ンンッ、私の名前はカイザ・ウォーカー。
本来、根源が行うはずであったこの宇宙の創生という仕事を押し付けられた原初の神だよ」
「なるほど、貴方が根源の意思代行者ということですか」
「代行者でもあるんだけどね。根源の言うことに従ったのはそう言う契約をいつの間にか交わされていたからであって今後は言うことを聞く気はないからね」
全く、改めて考えるとあの転生の神もそのような契約をしたのであったら私に伝えて欲しいものなんだけどね。
「て言うか、よく私の話を信じてくれたね」
ギルガメッシュには、私の言うことを知るすべがない。
知り得るとすれば、それは根源に接続したか創生前夜を観測したものぐらいなものだけど。
ギルガメッシュの目には過去を見ることはできない。
「貴方はわざわざそんな嘘を言うような神ではないと思いまして」
「有難いことだね、ギルガメッシュ王」
「まっ、そろそろ話を中断しようか。ギルガメッシュ王、君はそろそろウルクに帰らないといけないだろう」
「そうですね、では付いてきてください!」
「ん、どうして私が着いていくことになった?」
純粋なる疑問であった。私とギルガメッシュはまだ出会ってから数時間程度で知人程度の間柄であった。
「だって、貴方は面白い神ですから。僕の友達になりませんか」
友達になりませんかって。そんな昔の漫画じゃないんだから。
しかし、まぁ────
「良いよ、今日からギルガメッシュ王。君とは友達だ」
「友達になったんですから王と付けるのはやめてほしいんですけどね」
「じゃあ、ギルって呼ぶことにするけどいいかい」
「まあ、良いですけど」
私の願いに、彼は少し悩みながら了承してくれた。
「じゃあ、ギル。もうとっくに日が落ちたわけだけど平気なのか?」
私は純粋な疑問からギルに問い掛けた。
「大丈夫ですよ、此処からウルクまで歩いていけば日が昇る頃には着きますから」
ギルは笑顔で応えたが私はその様子を見て、嫌なことを考えた。
「いや、そう言うことじゃなくて。ただでさえ多い仕事をウルクに着いてからこなさないといけないんじゃないのか?」
私がそのことを言った瞬間、ギルは口を開けたまま石像のように固まってしまった。
どうやら、頭にもなかったようだ。
「って、手伝ってくれませんか、ほら友達は助け合うと言うじゃないですか」
震えた声で、生まれたての小鹿のような声で頼んできた。
「はぁ、久しぶりの仕事であまり力になれないかもだけど。早速ウルクに戻ることにしよう」
友達の仕事を手伝うのなんて、何年ぶりだろうか──
「『拘束制御術式第一号解放』」
「『時空操作』発動」
私は時空を操作してウルクに繋がったワープホールを作り出した。
「さあ、ギル」
「その時空の歪みのようなものは?」
「あっこれ。これは私の権能使用して作ったものなんだけど。ここを通れば歩くに着くから」
「貴方はどこまで僕に興味を持たせるんですか」
ギルは微笑んでそう言った。
「取り敢えず、早く行こう。仕事が溜まっていることだ」
私はギルが手を掴むと超高速でウルクへと飛んでいった。
第五節
「ギル、幾らなんでもこれは多すぎないか」
「しょうがないですよ、これでもいつもより少ないんですよ」
ウルクに戻ってからは色々大変だった。衛兵に槍を向けられるわ、ギルガメッシュがそれに対してキレてそれを収める羽目になるわ、神官に質問責めはされるわ。とりあえず、ギルの友達ということで通したけど。
神なんて言ったらとんでもないことになりそうだったし。
はぁ、面倒臭かった。
ふと、片付けていた書類を見た。
「はぁ、全く。こう言うの専門外なんだけどな」
そんな言葉をつぶやいていた。
私ことカイザ・ウォーカーにも書類仕事の経験はあった。
初めては生徒会長の手伝いだった。
当時、高校生二年生だった私はクラスメイトであった友人が生徒会会長になった後クラスメイトに助けを求められた。
生徒会会長になったばかりのクラスメイトは前生徒会長とは犬猿の仲で碌な引き継ぎも行なわれなかった。
私はそのクラスメイトを助けに応じて書類仕事を手伝った。
その後も科学者になった私は学会用の書類や研究資料の作成など様々な書類仕事を行った。
しかし、政治関係の書類仕事はあまりしたことがなかった。
「ところで、ギル。もう仕事は終わるんだけどさギルはあとどれくらいで終わりそう?」
「僕もあと少しで終わりますよ。カイザはこの仕事が終わったらどうするんですか?」
「私は、一旦アルカディアに戻るつもり。あっ、アルカディアっていうのは私の世界の名なんだけどね」
「へぇ、カイザは自分の世界を持っているんですか」
期待の眼差しで、私を見つめてきた。
「そうなんだよ、今度招待するよ」
「じゃあ私はアルカディアに戻るから、また明日」
私はそうギルと別れを済ましてアルカディアに戻った。
はい、こんにちはメガネキャラ最高です。
ようやく完成しましたバビロニア編第一話、いかがでしょうか。
今回は、難産で投稿が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。次回は、もう少し早く書けるように善処いたします。
今回からついに主人公カイザ・ウォーカーが型月の歴史に足を踏み込みました。
これからは、もっと深く踏み込んでいくので楽しみにしてください。
さて、ここらで筆を置かせていただきます。
ご拝読ありがとうございました。
次は何編がいいですか?ちなみにここで選ばれなくてもやる可能性はありますが日本編は短いかもしれません。それとケルト編の一部は絶対出ます。
-
ギリシャ編
-
北欧編
-
ケルト編
-
日本編
-
ブリテン島編