第一節
エルキドゥがウルクにやってきてからかなりの時が過ぎた。
ギルガメッシュに危害を加えようとしたことで民たちから嫌がられていたが、今ではすっかりエルキドゥと親しくしている。
しかし、私にとっても誤算だった。まさかエルキドゥがギルを止めてくれるとは。
今までは、職務などの所為でどうしても見逃してしまったこともあったが、エルキドゥが来たおかげでギルの暴走も未然に防ぐことができるようになってきた。
本当にありがたい。今度お菓子でも差し入れようかな。
しかし、そんな一見平和そうなウルクには大変重大な問題が蠢いてしまっているのだ。
それは、木材不足だ。
今までは、ここら一帯の木を伐採してどうにかしてきたのだが、発展が進み木材の消費量が増大してしまって供給量を上回ってしまった。
木材ならレバノンの方に大量があるのだがそこでとある障害が出てきた。
フワワだ。
またの名をフンババ。
レバノン杉の森の番人で神々からは完璧な人間と称されたもの。
最近、木材を採取しようとレバノンの森に入った民たちが重症で帰ってきたという事件があった。他にも、ただ近づいただけな者たちにも危害を加えたという報告を受けたこともあった。
ここら一帯に採取可能な木材は少なく、今はかつての私が植林政策で植えた若木を伐採して何とかしているがそれも枯渇するのは時間の問題だろう。
そうもう既に、フワワに話をつけに行くしかなかった。まぁ、おそらく不可能だろうが。
眼で視てみたところ、あれはとうに理性というものがなかった。ただ理性なく森に近づくものに危害を加える機械になり果ててしまっている。話など、到底通じないだろう。先程述べた件においても説得しようとした民もいたらしいが、フワワは咆哮を上げながら追いかけてきたらしい。
幾ら、私であろうがああいうものを説得はできないだろうね。まぁ、中を弄ればその限りではないが。
そのように思索を巡らせながら私自身が話をつけに行こうとすると、突然エルキドゥが自分が行くと言い出した。
おそらく、エルキドゥも育ての親に近いものであるフワワに思うところがあるのだろう。
私は、意を汲み入ってエルキドゥを尊重することにした。
するとエルキドゥは、なぜかギルを誘いレバノン杉の森にへと向かった。
一緒に向かったのは、少々違和感があった。
そもそも、ギルはこの件は私に一任していた。しかし、エルキドゥが行くことになるとついていくことにした。
幾らフワワだとは言え、エルキドゥであれば苦戦などはしない。それどころかエルキドゥが圧倒するだろう。
それなのにギルは、エルキドゥについていく行くと言い出した。
そのことについて考え続けた結果、私はそれらの行動は抑止力によるものだと結論付けた。
抑止力またの名をカウンターガーディアン。
集合的無意識によって発生したもの。
星の存続、延命を望むガイアと人類の存続を望むアラヤ。
主にこの2つが存在しているが、今回の件はアラヤの方だろう。
今回の件でガイアが動くとは到底考えられない。
おそらく今後も本来の歴史と違う行動を起こせば抑止力が介入してくるのだろう。
そもそも、本来存在しないはずの私が存在している時点でアウトだろうに。
そんな私が今このように存在できているのは根源が其処ら辺を計らってくれたに違いない。
であれば、この世界の抑止力は私に関係することに対してはそこまでの干渉をすることはできないだろう。
まあ、あまり考えなくてもいいか。
エルキドゥが来た時にも考えたが今は人代ではなく神代、アラヤなど取るに足りないものだ。基本ガイアの劣化コピーのようなものだ。
冠位の奴らを呼び出すなんてことはしないだろう。条件は、揃っていないはず。うん、私が排除対象にならない限りは。多分、ね。
自身の考えが自分自身で信憑性にかけてきたので、抑止力についての思考を辞め頭の端に追いやった。
えっ、ギルたちを待っている間、何をしていたかって?
そんなの決まっている。
政務だよ。
ギルもエルキドゥが来てからは、手伝ってくれてたんだけど生憎とエルキドゥに同行して居なかったからね。
特段深い意味は無いけど、半月がいつのまにか満月になっていたな。
いやー、本当にこういうときだけは化け物でよかったなとついつい思ってしまうや。愚かしいことにね。
みんなは、真似しないでね。死ぬから。
第二節
レバノン杉の森の番人にであるフワワをギルとエルキドゥが退治して三日ほど経ち。ようやく、ギルとエルキドゥの二人がウルクへ帰還してきた。
「ウルクの民よ。王の帰還だ、丁重にもてなすが良いわ!!」
ギルは、エルキドゥを連れながらそのようにしてウルクの民に言い放った。
ウルクの民たちは、そのような様子をみて、王とエルキドゥのフワワの討伐と帰還を祝い始めた。
ギルとエルキドゥを祝うために行われた祭りは、太陽が沈み星々が煌めき始めてもなお続いていた。
仕方ないか、レバノンの杉の森に近づく者を善悪関係なく排除していたからな。民たちにもかなり危害を加えたフワワを王が重い腰を上げて対峙したのだから『聡明で慈愛に満ちたかつての王に戻った』と思われても致し方ないか。
さて、これで障害は無くなった。レバノンはここから離れているため、ここ数週間は運搬には時間が掛かるだろうがそれも時が流れれば軽減するだろう。
これからは木材不足が解決してさらにこのウルクは発展を遂げるだろう。その代わり、私の仕事も多少増えるだろうが。まぁ、一人で行っていた時ぐらいだろう。
大丈夫だ。問題ない(問題大有り)
と、まぁ話は変わり、かの当人たちであるギルとエルキドゥは祭りに対してあまり興味がなさそうだった。
まぁ、讃えて欲しかったのは帰ってきた時の第一声で理解できた。
しかし、ただいま現在民たちがやっているのはギルとエルキドゥを讃えてのことじゃ無い。ただフワワが死んで喜び、はしゃいでいるだけだ。そのことを踏まえればあれはもはや祭りではないね。
二人は、ジグラッドの屋上で何か話しているようだったけども流石に眼は使わないことにした。
幾ら友人とは言え、プライベートは覗かない。
それが、私の信条の一だ。
何処ぞの宮廷魔術師は、覗いて愉しむだろうけどもね。奴がまだこの世界に発生していない、それだけで気が楽だよ。まぁ、見られて困ることなんて特になっ。
いや、別世界の知識を見られるのは不味いな。今度、暇が出たら対処しておこう。
「しかし、みんな楽しそうだな」
グランドクソ野郎の対策について考えながら、粘土板と睨めっこしていると窓から騒がしい声が聞こえてきた。
私は、手に持っていた粘土板を下げ、窓から外の様子を確認した。
外では、民たちが火を灯しながら酒を飲み、肉を食べて豪勢に楽しんでいた。
執務室から覗き見れるだけでも、皆が大騒ぎで馬鹿みたいにはしゃいでいて、笑顔に満ちていて幸せそうにしている。
ああゆうのは、見ていて悪くないな。
ふ、私も変わったものだな────
そんなことを考えながら粘土板を片付けていると、ギルとエルキドゥが話し終えたようだったので、屋上まで二人に話しかけに行くことにした。
仕事は、あとからでもどうにでもなる。いっその事レーアをこちらに呼ぼうかな、いや辞めておこう。それで嫌われたら、精神性障害を患うことになってしまう。
私の分だし、一人で頑張ってこなそう。
そう思い立つと、粘土板を机に放り、風の如く屋上へと向かった。
屋上に着くと、既に歓談が終わった後で話すこともなく、民達を眺めている二人がいた。
「ギル、エルキドゥ、久しぶり。ウルクの民たちは相も変わらず元気だね、朝からずっとあの様子じゃないか」
二人の元へ近づきながら、二人に話し始めた。
「それほどまでも、民からすればフワワが死んだことは嬉しいことなのだろうよ」
ギルは、下で騒ぎ回っている民たちを眺めながらそう呟いた。
その目には、民たちの歓喜を良しとする感情とこの先についての微かな不安が写っていた。
そんなギルを横目に私は再び口を開き始めた。
「しかし、フワワを殺したとなればエンリル辺りが騒ぎ出しそうなものだけど」
「奴らも、恐れているのだろうよ。自身の始まりでもある物の代行者である貴様に」
「まぁ、僕とギルを一人であしらえるんだから。おおよその実力は、理解しているんじゃないかな」
そのように二人は、間も無く問いを返してきた。
それもそうか。天の鎖と天の楔、両方を軽くあしらえるもの。
それだけでも、下手に手を出すべきではないと考えるっ、か──
確かにシュメルの神達でも私に勝てるかというと不可能だろうね。まぁ、直視を使わなければ一部の奴らならそれなりにやり合えるだろうが。
なるほど私は、抑止力の一つになっているわけか。当初の目標とかなり乖離してしまったようだな。
一先ず、思考を止め終えると、二人からフワワについての話を聞くことにした。
話を聞くとやはりフワワは、もう既に正気を失っていたらしい。
話をしようと説得をしたが意味は無くただ己に近づくものを排除する機械に成り果てたものだったらしい。
話が通じないと分かると向かってくる攻撃を避け、鎖で拘束して止めにギルが乖離剣で終わらせたらしい。
その後はフワワが亡くなった場所にエルキドゥは石を置いてウルクに帰ってきたらしい。
きっと、置いた石というのは以前に話した墓石だろう。
おや、そんな話は知らないだって?
型月名物、知らない話だよ。まぁ、文句は作者に言ってくれ。
メタ発言フェーズを終えて私が感じたことは
エルキドゥ、『彼は私たちと接して人間らしくなってきている』だった。
初めて対面したあの日から、彼はかなり変わってきた。
かつては、かなり道具らしい考えを持っていたが今では人間に近い考えも話すことが多くなってきた。
良いことなのかは、判断のしようがないが個人的では良いのではないかと思う。私のような化け物からすれば人間になって行くというのは、素晴らしいことだと思うからね。
せっかくなのでギルとエルキドゥを連れて祭りに参加することにした。
ギルは、最初は拒否して方がエルキドゥが乗っかってきたことでギルも渋々着いてきた。
祭り場は、相変わらずお祭り騒ぎでかなりうるさかった。
その中でも一段と目立っていた人物がいた。
「何やっているんだ、あの人」
その人物とは、いつも真面目で規則に従順で報告をよくしている神官であった。
みんなも知っての通りの運動不足の前回エルキドゥの報告を行ってきた神官の彼だよ。
メタ発言してきてどうしただって?
いつものことでしょ。考えるな、感じろというやつである。
話は戻り運動音痴の神官は、いつもの様子とは違い酒を飲みながら周囲の人間にだる絡みをしていて、遠い未来で言う酔っ払いと成り果てていた。
周りの人々たちがこちらへ視線を向けていることに気が付いたのか、神官も視線をこちらに向けると、身体を強張らせた。
「ギルガメッシュ王、それにエルキドゥとカイザ殿。何用で此方にいらっしゃったのでしょうか!?」
神官は、先程までの酔っ払いからいつもの自然体に戻り姿勢を整えてそのように言ってきた。
もう意味ないのだが、やはり人は危機的状況になると良いも覚めるという文献はみたことがあったが実際にこの目に写すことになるとは思っていなかったな。
「やぁ、久しぶりだね、神官君。なぁに、大したことではないよ。君たちがやたらと楽しそうにしていたのでね」
私は、優しい口調で穏やかに笑顔を向けながら伝えた。
しかし、神官の彼は変わらず身体を強張らせたままであった。
「ご醜態をお見せしてしまい申し訳ありませんでした、カイザ殿」
其の言葉を紡いだ神官の彼の顔は、みるみる青白冷めていき、汗がまるで降り積もった雪が日の光で溶け、流れていくかのように彼の頬から首元に流れていった。
「いいや、私には何も害を負ったわけではないから問題ないよ。この祭りは、フワワを討伐したことを祝うものだ。決して、神を祝うようなものではない、そのような祭りはそのように楽しむことが正しい」
「ただ、他の人間に迷惑を掛けるのは少々目に余るがね」
目を細めながら彼のことを見つめる。
彼は、己がしたことが己が考えているよりも重大なことに気が付いたのだろう。さらに、身体を強張らせてしまった。
「了解しました、カイザ殿。以後、このようなことがないよう、善処致します」
眼鏡を軽くズラシ、神官を解析する。
どうやら嘘はなかったようだ。まぁ、そのような人間ではないことは知っていたが。念のためにね。
そんなことを行っていたせいか、周囲の民たちは驚き怯えていたため。私は一言、呟くことにした。
「君たち、私は何も君たちの祭り騒ぎが駄目などと言っているわけではないんだよ。ただ、節度を考えなさいと言っているんだよ、あとはギルとエルキドゥに任せる。楽しみなよ、諸君。良い、夜を」
笑みを浮かべながら、頭を少し下げるとジグラットの執務室へと歩みを進めていった。
執務室に戻ると、私は机いっぱいに積み上がっている書類を片付け始めた。
全く、ただでさえ多いってのに粘土板に書かれていて面倒だ。
第三節
しばらくの間、書類を処理していると何やら玉座の方が騒がしいことに気がついた。
何事かと思い、眼で見てみると何やらやたらと露出度の高い服を着た女がギルに求婚の言葉を口にしていた。
その様子を見てギルの傍に立っているエルキドゥが困った仕草をしていた。
おそらく、求婚のはずなんだがやたらと上から目線で供物を寄越せだかなんだか。
求婚ってそんなこと言うもんだっけ? 私は、あいにくそういう経験はギャルゲーでしか見たことがないのだがその中でもあのようなものは見たことがない。
暇つぶしにその女を解析をしてみると、なんという事でしょう。
その女性は、あの女神イシュタルだとか。
ああ、そう言えばメソポタミア神話でもフワワを殺したあとに求婚されたとか書いてあったような。
とりあえず、私は執務室を離れて王座に向かうことにした。
道中では、『あのイシュタル様が王に求婚なされた。ウルクは安泰だ』などの声が四方八方から聞こえた。
何が安泰だ! 奴と結婚した男達がどのようになったか知らないわけじゃないだろうが。ドゥムジがその最たる例だろうが!?
そのように考えながら走り続けて玉座の付近まで来ると人が多すぎて到底、玉座までたどり着けなかった。
そこで、私は後方へと下がり助走をつけて壁を走った。
民たちが、何事かと怪訝な目でこちらを見つめてきたがそんなのはお構いなしと走り抜けて行った。
玉座の間の方までに着くと、壁を踏み込み斜め上に飛び上がり、滑空しながら王座の元へ向かった。
玉座の付近には、見覚えのある服装をした女と王座に座しているギルとその傍で佇んでいるエルキドゥしか居なかったので楽に着地を行えた。
ふぅ、民たちが女神の気まぐれで厄介事に巻き込まれないようにすこし離れたところで話を聞いていて楽に済んだ。
メガネを外して、女神を念の為もう一度解析する。
正真正銘、金星の女神か。
遠坂凛が依り代になっているわけではなく、本体であるため厄介そうだな。
服装はFGOのときと同じだが、見てくれはそうではなかった。
確かに、美を象徴するに値するほどに美しい豊満な肉体ではあるが、中身が駄目だな。
解析結果を見ながら思考を続けていると、イシュタルが私のことを観察してきた。
「何かしら、この人間。いきなり、飛び上がってきたけれども。ギルガメッシュ、貴方の召使いか何かかしら」
求婚の最中に登場されたのが気に入らなかったのか。目の前の女神は機嫌を悪くして、私を睨み付けながら言い放ってきた。
「たわけ、あの程度の偽装礼装をも見抜けとは間抜けめ。そのようだから、貴様らは」
召使い? この私が?
決して召使いを馬鹿にするわけではないんだけど、それでも頭にくる。
こいつは、ウルクの土地神ではなかったのか!? 全然内情とか知らないんだなこいつ、それにこいつ大してウルクに貢献していないし、こいつ土地神の役割ほぼ放棄しているじゃん。やはり、お姉さんの方に任せた方が良いのかもしれないな。
一旦メガネを掛け直し、深く息を吸い込み精神をある程度整えた。
「いいように言ってくれるじゃないか、金星の女神イシュタル。お前今私のことを召使いと言ったな、残念大外れだよ。いい機会だ、愚かな神のためにこの偽装礼装も外そう」
私は、指を鳴らしてイシュタルに目を向けた。
指を鳴らしたことにより、カイザ・ウォーカーに掛けられていた偽装礼装は解け、真なる格好が顕になった。
銀髪に、日焼けなど知らないような白い肌、蒼いズボンと純白のワイシャツを着込んでおり。襟元には、チェーンにつながれた小さな鉄の棒が複数繋がっているアクセサリー。シャツの上には蒼いマント。留め具には、一つの鎖が用いられており、それには一つの星のような装飾品が付けられ。着用している黒色の眼鏡の奥には、服の色にも負けない蒼色が秘められていた。
イシュタルは、私の真の姿を見て驚いたのか私に釘付けになっていた。遠くからこちらを眺めていた民たちも。
皆が、注目してきて少し恥ずかしいな。数人程度であれば問題ないけど、この人数は無理だよ!
こちとら、身を隠す時まで発表とか本当はしたくないのに半強制的にやらされて、大人数の前でなんか到底普段通りに話せないからスピーカーの質の低さを利用して事前に録音していたレコーダーから文を流してバレないように口パクで乗り切ってきた男なんだから。
神になってからは、人間性が薄れたせいか話せるようにはなったけど。それでも、少し胃が痛くなるんだよ。
ああ、もうアルカディアに帰って娘と世間話をしながら趣味に浸りたい。
後方の民達の方に目を向けると、先程まではショッピングモールの初開店の当日並みにいた民達が綺麗さっぱりと消え去っていた。
おそらく、巻き込まれることを恐れて逃げ出したな。
まぁ、そりゃそうなるか。
ああ、よかった。これで、気がけなく話せるよ────
「さて、自己紹介でもしようか。やぁ、始めまして金星の女神イシュタル。私の名は、カイザ・ウォーカー。神様でギルとエルキドゥの友人だよ。精々、その少ない脳味噌に叩きこんでおけ、この駄女神が!」
私に釘付けになったのも束の間、その私が発した言葉を聞きヒステリックを発動した。
「何ですって、この美と豊穣の女神でありける女神イシュタルに対して不遜極まりないわ。マアンナ」
イシュタルは、マアンナを呼び出し天に上り、高笑いをしながら私に対してビーム攻撃を行ってきた。
ふん、そう来るか。単純すぎるな
私は、牙月を取り出しつつ。向かってくる複数のビームを見定め、魔弾を放ち相殺する。
それら全ては、衝突部を中心として爆破を起こしていった。
それと同時に、牙月を手に取り爆破ごと薙ぎ払った。
斬撃より煙が晴れると、向こうには向かってくる斬撃を回避するために天井近くまで飛び上がった女神が見えた。
「く、何よ。これで勝ったつもり!勘違いも甚だしいわ」
イシュタルは、マアンナで青い閃光を放った。
放たれた閃光は、先程の攻撃よりも遥かに早いものであり、苦渋ながら拘束を外すことにした。
「『拘束制御術式第三号解放』
状況A『クロムウェル」による承認認識
眼前敵の戦闘不能状態までの間
能力使用限定解除開始」
手袋に刻まれた紋章が赤く輝きながら、向かってくる閃光を避けて床が壊れるほどに踏み込みイシュタルのいる天井まで飛び上がった。
「な、マアンっ」
其の言葉が紡がれる前に、懐に入り込み頭でみぞうちに一撃を喰らわせると。イシュタルは、天井を破壊して上空まで飛び上がっていった。
逃がすまいと、イシュタルの肉体によって開けられた穴から外へと向かった。
「カイザの奴め、派手に壊してくれおって」
ギルガメッシュは、頭を押さえながらもカイザ・ウォーカーと女神イシュタルのいる天を見上げた。
「彼って、僕たちが言えたたちではないけれど三人の中で一番に被害を出しているよね」
「そうだな、エルキドゥ。奴自身、壊すまいとしているのだろうがな。奴が本気なれば、この程度ではすみまい」
「確かにね、でどうする。僕たちも加勢に行くのかい?」
「いや、奴一人で十分だろう。制限を一つでも解けば一人で戦った方が楽なのだ、あやつはな」
「じゃあ、待っている間どうするんだいギル?」
「勿論、業務に決まっているだろうエルキドゥ。奴に叱られるのはもうこりごりだろう」
「そうだね。じゃあ、僕は万が一民たちに被害が出ないように守ってくるよ」
エルキドゥは、民の元へ。ギルガメッシュは、業務へと打ち込み始めた。
第四節
天に上がった私たちは、攻防を繰り広げていた。
イシュタルは、お得意のビーム攻撃を遠距離から打ち込んでいた。
一方、私は第二号を解放せずに足に魔力を込めて力場を作ることによって空中戦闘を行っていた。
しかし、幾ら私とは言え二つのことを同時並行で行っているのでかなり面倒くさい。
いっその事、第二号を解放して翼で飛行しようとも思いついたが、それはプライドが許さない。
私は、足に魔力を込めて力場を作り戦闘を続けた。
イシュタルは、合間変わらずにちまちまと遠距離からの攻撃しか行わなってこない。
あれ面白いの? しかも殆どがゴリ押しの思考性の無い単純な攻撃のせいで簡単にいなされてるし。
拘束を解放しなかったほうが楽しめたかな。
よし。終わらせるか。
私は、刀身を自身の頬付近まで近づけて構えを取った。
「『百花繚乱』」
それが放たられた瞬間、イシュタルの眼前にあったマアンナは17分割なんてのは甘く思えるほどにまるでジグゾーパズルのような有様に成り果て、それらは地面へと落下して行った。
「な、何が起きて」
その光景にイシュタルは信じられないと同様を隠せていなかった。
それはそうだ。幾ら私が力を制限して吸収した神秘をアルカディアに戻しているからとは言え、身体能力の拘束は解放した。
幾ら主神に作られた神造兵装とは言え私に比べれば、天と地の差がある。
そのように呆気に取られているイシュタルの上空へと上がり、奴の頭上を殴りつけた。
視覚外からの攻撃だったためか、防御もできずに急落下していき、けたたましい衝撃音と煙とともにジグラッドへと一直線に衝突した。
「戦闘中は、一つのことに集中しすぎればこうなる。私は、そんな隙を見逃すほど甘優しい者ではない」
私は、落下して行ったイシュタルを追ってジグラッド内部に戻った。
イシュタルは、王座の間で倒れていた。
「あなた何者よ。お父様のマアンナをあんな風にするだなんて!」
「先ほど名を名乗った時に行ったはずだ。私は、カイザ・ウォーカー、根源からこの世界を創り出した者。君たちの始祖にあたるもの、っなに!?」
イシュタルに話していると私の視線には、先ほど破壊したマアンナが天井から空いている穴を通って主人のイシュタルの元に戻ってくるが写った。
どうやら、破損パーツを組み合わせ自己修復を行ったようだが辛うじて形を保っているようなもので到底嘗ての性能を出せるものではなかった。
「どうやら、それの方が優秀のようだ」
流石アヌが作り出した弓だな。もし会うことがあれば、茶を嗜みながら語り合いたいものだな。
「これで実力は理解できただろう。理解したのなら即刻このウルクから出て今後一切ウルクに危害を加えるな。しかし、要求を飲まないと言うのならば、死ぬ方がマシだと思えるようにしてやるよ」
拘束を全解放すると、途端イシュタルは恐れおののき全身を震わせた。
っち、これだからクソガキは!
落胆しながらイシュタルを見限り、周囲の修復を終えると拘束を起動させてギルに話しかけた。
「こんなところかなギル」
振り返りギルに軽く確認を取ると。
「フハハハハ!!!!! 久方ぶりに面白いものが見られたわ。ああ、良いぞカイザ。元よりそのような駄目女神に未練などない。なおさら恋焦がれるわけなぞ毛頭ないわ、奴と結婚したものがどうなったかなどお前が知らぬはずもあるまい」
そのようにギルは、イシュタルの滑稽な姿を腹を抱え笑いながらそう答えた。
イシュタルは、私の言動に対しての怒りが恐怖に打ち勝ったのか私たちに言い返してきた。
「よくもこの私を辱めてくれたわね。貴様たちとウルクに厄災をくれてやる、精々恐れ敬うがいいわ」
そのような言葉とともにマアンナと共に屋根を破壊して飛び去って行った。そのせいで屋根からは、小さい瓦礫がポロポロと降ってきて私の頭にも滓が降り注いだ。
せめて、窓の方から出て欲しかったな──。せっかく直したのに。
しかし、恐怖より自らに対する怒りが勝つとは。そこだけは多少評価するのに値するな。
私は杖を取り出して、軽く地面に突くと落ちてきたカケラたちが破壊部に戻り、天井は元の状態にへと戻った。
はぁ、しかしこのままだと神話通りにイシュタルがグガランナを引っ張ってきてウルクを攻めに来るけども。
まあ、問題ないか。元々あれはギルとエルキドゥだけでもどうにかなる代物だからな。
片付けも終わりやることがなくなったので執務室に戻り作業を進めることにした。
司書レーアちゃんによる解説コーナー
「どうも皆さま、ご配慮くださりありがとうございました。本作に登場する主人公ことカイザ・ウォーカーがマスター。レーア・ウォーカーです」
「どうも!娘の様子が気になって突撃した主人公のカイザ・ウォーカーです」
「急遽コーナーに乱入してきたマスターのことはさておき。このコーナーは、型月作品恒例の解説コーナーをパ「レーア!尊敬を込めた再現だから!決してパ〇〇じゃないから」
しかしマスター「いいから、これ以上介入するとお上が鉄槌を打ってくるから」
「わかりましたマスター。では本題に戻りましょう」
「このコーナーでは、主に作者の言い訳や話に登場してきた武器の詳細や設定などを可能なだけ伝えるものです」
「では、初めに今回期間が延びてしまったことについて話しましょう」
「今回期間が延びてしまったのは、当初作者は前回から早めの段階でこの話をある程度完成させていました。しかし、その段階であることに気が付いたのです」
「実はこの話その段階だと軽く二万文字くらいあったんだよ」
「その通りですマスター。そうして作者は、そんなに多くては読者の皆様がたが飽きてしまうのではないかと怪訝を示してその段階のものに修正を加えて二話にすることにしました」
「そこで修正部分が多くて時間がかかってしまったんだよ。それと作者自身のスケジュールのせいでなかなか作業が進まなくなってしまったんだよ」
「作者も今回ばかりは申し訳なさそうにしていたから、許してくれるとありがたいです」
「さて、レーアさん。次へ行きましょう」
「ええそうですねマスター。ええっと、次は今回の話に登場した技についてですね。これはマスターの方が詳しいのでは?」
「そうだね。今回の話で私がマアンナを破壊する際に使った剣技「百花繚乱」は第二話のアルカディアで葉を切る修行から編み出したもので一瞬にして相手を微塵にするものなっだよ」
「ええ、私もマスターの太刀を拝見したことがありますが非常に美しかったです」
「さて、今回話すべきことも終わったのでこれにて幕を閉めることにしましょう」
「「ご拝読ありがとうございました。次話をお待ちください」」
次は何編がいいですか?ちなみにここで選ばれなくてもやる可能性はありますが日本編は短いかもしれません。それとケルト編の一部は絶対出ます。
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ギリシャ編
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北欧編
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ケルト編
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日本編
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ブリテン島編