とある転生者の旅路   作:メガネキャラ最高

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テスト期間で投稿できなくて申し訳ありませんでした。

いやぁ、ついにフワワが登場しましたね。この作品では主人公君の語りしかありませんが、今後の進展次第では登場するかもしれませんね。

そして何より、待望のまほよの銀幕デビュー!!!

どうせ鬼滅だと思っていたので、激しく動揺しました。

今年は型月が豊作ですね。

AIさんに主人公君の画像を作ってもらいました。自分は、画力皆無なので。

https://img.syosetu.org/img/user/v2/4823/66/219116.jpeg




第七話 神代との決別の日 後半

第一節

 

 

 

 もはや瓦礫だけが辺り散らばる神殿跡にて、彼の者と無の具現たる龍は対面する。

 

 気候の影響による乾燥した空気もここでは意味も成していなかった。

 

 両者互いに動きはない。

 

 見つめ合っているだけだが、殺伐した雰囲気が辺りに充満している。

 

 日差しのない。暗雲が立ち籠った空によってそれはさらに強調させられている。

 

 これから始まるカイザ・ウォーカーのエゴによって発生した戦い。

 

 それは、どちらかが倒れるまで終わりなどしない。

 

 長らくの静寂を超えて、今ここに新たな物語が紡がれ始める。

 

 それは、「」にも未だ記録されていない。

 

 本当の意味で新しい物語が。

 

 新たなる神話が今この瞬間に。

 

 

「さぁ、片を付けようか!我が半身たる龍よ!」

 

『黙れ!!!!愚か者が!!!!!!!!』

 

 それが開戦の狼煙となった。

 

 龍は翼を展開し、エンリルの眼においても止まらぬ速度で彼の者に爪を立て、その身を掻こうとする。

 

 対するカイザ・ウォーカーもまた、自身に強化の魔術を掛け、地面を蹴り上げて龍へと突撃していく。

 

 地面は、両者の行動の余波により罅が入り、砕け散って粉塵は中を舞う。

 

 両者共にエンリルの眼には、残像だけしか視認することができなかった。

 

『(何だ、あれは。レベルが違い過ぎる)』

 

 龍の実力は、先程の攻防にて織り込み済みであったが、問題はカイザ・ウォーカー。彼の者であった。

 

 彼の者は、エンリルとの戦闘時を遥かに超える力を所持していた。

 

 彼は知らないが、実は彼の者は自身の拘束制御術式に細工を仕込んでいたのだ。

 

 それは何故か。

 

 それは抑止力の介入を防ぐためにある。

 

 嘗て彼の者は、自身の抑止力を自身を転生させた神及び根源による温情だと考えていた。

 

 しかし、同時に世界に衝撃を与えすぎれば矛を向けてくるとも考えていた。

 

 そこで、彼の者は自身の力の拘束に用いる術式に更なる拘束を付けた。

 

 しかし、既に「」と契約を結んだ彼の者にとってそれは不要。

 

 術式の拘束を完全に破壊したのであった。

 

 彼の者の力は、以前の数倍かそれ以上のものとなった。

 

 エンリルが考察に耽っていると、両者の距離があと僅かになっていることに気が付いた。

 

 両者が衝突する間際の一瞬、彼の者は姿勢を低くして右拳を握り締めると迫り来る爪を殴り付けた。

 

 爪は打撃部から亀裂が走り、粉々に砕け散った。

 

 爪を砕くと、彼の者はその勢いのままその場で回転しながら龍の腹部と地面の隙間に入り込み、腹部中央に遠心力を効かせた全力の拳を叩き付けた。

 

 腹部は、徐々に凹み、龍の肉体は上空へと吹き飛んだ。

 

 しかし、龍はすぐさま翼で勢いを殺し、彼の者目掛けて炎を吐き出した。

 

「確かに広範囲で、触れれば即アウト。大概の存在であれば、有効だな」

 

「まぁ、私には対して脅威ではないが」

 

 苦笑を交えながらそのように言い放つと、彼の者は言葉を紡ぎ、世界に語り掛ける。

 

「龍よ。世界よ、思い出すがよい」

 

「『我は汝。汝は我』」

 

「『我は古き時より世界を傍観した根源の代行者』」

 

「『我は旧支配者の座に座りし者。我が真名カイザ・ウォーカーの名の下に半身たる貴様に我が世界を刮目させよう』」

 

「『影より出で。世界に呑み込み、刻み込め』」

 

 カイザ・ウォーカーの真下に位置する影が不自然に揺らぎ始める。

 

 まるで、そこに何かがいるように。赤子が産声を上げ、暴れるようにそれは規模を拡大して行く。

 

「『それは全ての可能性。過去、現在、未来を映し出す世界の隣に存在する世界』」

 

「『刮目せよ。今宵、時は満ちた。今こそ、その忘却されしものを思い出す時』」

 

 揺らぎは、さらに激しさを増して波を打ち。影は、形容し難いもの姿を形取っていった。

 

「『顕現せよ。忘れられし影の世界(ロスト・シャドウ・ワールド)』」

 

 詠唱を終えると共に形容し難き影は尋常までに口を開くと急速に、世界を一瞬にして影に吞み込んでいった。

 

 龍の影響で暗雲が立ち込めていた景色は、更なる深みへと至る。

 

 また、影によってか彼の者に向かい放たれていた龍の炎も姿を消した。

 

 世界には、完全に影が満ちている。

 

 龍の更なる高さの空には、銀色の針と緑褐色の円盤をもつ巨大な時計盤が地面を眺めるように鎮座していた。

 

『何だこれは、、、まさか貴様!!新たな世界を創り上げたな!!!!!!』

 

 龍はその事実に気づくと焦燥を見せながら彼の者に向かい吼えた。

 

「ああ、その通りだよ。この世界は私の権能により、創られた影の世界。固有結界に近い者だな」

 

 固有結界、心象風景を世界に映し出す魔術の到達点。

 

 空想具現化とは異なり、星のバックアップを受けておらず。世界からの修正力を受けて長時間の発動は極めて困難である。

 

 しかし、彼の者に抑止力の修正力は働かない。

 

 この世界は『創生』の権能および『時空操作』、彼の者の全てが注ぎ込まれ顕現した世界。

 

 故に魔術である固有結界とも精霊や星の末端が行使する空想具現化とも呼べぬ技なのである。

 

 龍がその事実に驚愕していることなど知らぬと言わんばかりに彼の者は世界に対して一つの命令を下した。

 

「行け」

 

 立ったそれだけ。二文字の言葉であったが、それには幾多の意味が込められていた。

 

 ただし、その意味を知るのは彼の者。あるいはその命令を下された世界のみであろう。

 

 そして、世界は彼の者からの命に応じて、行動を開始した。

 

 龍の周囲何キロばかりの影から、数多の武器が姿を現した。

 

 剣、槍、斧、弓矢。中には見慣れない物も存在していた。

 

 それらは龍を包み込むように球状に展開されていき、龍目掛けて絶え間なく射出されていった。

 

 龍も負けじと炎で武器を消滅させるが、自身を覆い尽くす武器たちに炎による処理が間に合わなくなっていった。

 

 そうして、ついに龍の身体には何本かの武具が突き刺さってしまった。

 

 しかし、一般程度の武具であったために龍にはさほどダメージが入らなかった。

 

 龍は、多少の犠牲を覚悟して展開された武具たちに突っ込み脱出を図った。

 

 その目論見は、勿論成功を果たして、龍はさらなる武具たちをその身に突き刺さらせた。

 

『このような鈍ら程度で我を打ち倒せるとでも思ったか!笑わせるな!!』

 

「まさか、その程度でくたばるとは思っていないさ。その程度の質の物で敗れたならば、先ほどの一撃ですでにこの戦いは終わっている」

 

『それがわかっていながら、なぜ貴様はこのようなことを!?』

 

「それには莫大なまでの神秘を内包している。であれば、こんな使い方もできるんだよ」

 

パチン

 

 彼ものが指を鳴らす。

 

 その瞬間、龍の身体に突き刺さった武具たちが発光を始めた。

 

 龍はその様子に武具たちを払おうとしたが時すでに遅し。

 

 武具たちは、眼をつぶさんとまでに光り輝くと爆破した。

 

『グッガガガガガガ!!!!!』

 

 それは壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

 

 自滅を前提とすることによって魔力の籠ったものを通常の何倍もの威力として出力することが出来る一種の裏技。

 

 本来、その行為と神秘にはあまり関係が無いが何せ最低でも千年ものであるために異例として効果を発揮していた。

 

『貴様がそのような手を使うとはな』

 

 煙が晴れると龍の姿が露わとなった。

 

 全身から血が滴り地面に落ちて行って、血管が浮かび上がっていた。

 

「全く、君は知らなさ過ぎる。まぁ、そういう風に細工したからなんだけどね」

 

 クスクスと微笑みながら、口を滑らす。

 

『何だと、貴様まさか』

 

「おっと、私としたことがつい口を滑らしてしまった」

 

「まぁ、もういいか。そう、私は君の存在を薄々感じていたんだよ。そこで私は46億年前からずーっと君を欺いた」

 

「何さ、私の身体にいるんだからね。思考は読まれてしまう。何たって君は私なんだから」

 

「そこで私は、君が成長する間の短い期間に手を打った」

 

「簡単なことだよ。私の記憶を弄り回したんだよ」

 

 そう、彼の者はあの戦い。冠位の竜との戦いの後に、切り札となり得るもの。その全てを自身の知識から封印した。

 

 いつか起きるかもしれないことのために。

 

「そして、封印したものの中の一つがこの世界。影の世界だ」

 

「何せ賭けだったからね。封印の解除は、仮定した脅威との遭遇を経て、それに対抗することが可能な状態になることと設定していたからね。もし君が魂、肉体、精神のどれかでも破壊したならば私は詰んでいたさ」

 

「しかし、面白いだろうこの世界は。これらは武器の影。けれども性能は同一。しかも、何処ぞのアーチャーとは違いこんなものも呼び出すことが出来るんだよ」

 

 彼の者の手元には、一本の剣が携えられていた。

 

 その剣は、星の内海にて異星の侵略者を排除するために鍛えられた聖剣。

 

 伝説曰くそれは百もの松明の光を一つにしたような光を放つ黄金の剣。

 

 上空の龍に向かい構えを取る。

 

「さて、あまり暴れてくれるなよ聖剣!」

 

 剣に魔力を注ぎ込む。

 

 彼の者が行ったのは、所有権の強制取得である。

 

 聖剣に過剰までに魔力を注ぎ込むことにより、聖剣の承認術式を一時的に乱すことによって術式に隙を生じさせ、その間に所有権を強引に刻み込んだのであった。

 

 それは、惑星の運営と肩を並べる無制限の魔力を生成することが可能な龍の心臓があるからこそ為せる技であった。

 

これは、大いなる侵略者を打ち破った聖なる剣。我は真なる所有者ではなくとも、この一瞬。この剣を払おう!!

 

 世界から光の粒子が溢れ、黄金の剣にへと収束していく。

 

「『束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流』」

 

「『仮初の担い手が今ここに。今こそ星の聖剣を払おう』」

 

「一回使ってみたかったんだよね!」

 

 そして、一歩前へと踏み込む。

 

 そして声高らかに剣の銘を叫ぶ!

 

エクスカリバー!!!!!!!

 

 剣の先端から、眩い光が放出する。

 

 それは世界の影を塗りつぶさんとする勢いで龍に向かった。

 

 しかし、それは龍の俊敏な速度により回避した。

 

 聖剣から放たれた光は、龍に躱されるとさらに上空に鎮座している大時計に衝突した。

 

『何?』

 

 龍は、光が終息すると怪訝の意を持った。

 

 聖剣の光をモロに喰らった大時計に傷が一つも付いていなかったからである。

 

「その時計は壊れないよ」

 

『何だと?』

 

「おいおい、先程から口調が荒くなってきているがどうした。私のことを我が主とも言わなくなったな!君が知らないこの世界が怖くなってきたか?」

 

『戯言を。貴様を我が主と呼ばぬのは貴様を軽蔑しているからだ』

 

「ふーん、そりゃ私のことに理想を見過ぎていただけだろ。私は傲慢で、享楽主義のかなり碌でなしだよ」

 

「前にも言っただろう。君は私の一側面、善寄りな側面だけを見ていただけだ。その点、レーアは私の性質を理解してしていた訳だから凄いよね」

 

ガコン

 

 その言葉と共に時計盤が途轍もない勢いで針を進み始めた。

 

 その影響で、世界には轟音が響き渡る。

 

 通常の人間がこの場にいたならば、鼓膜は破れ、それに連なる器官もまた機能を失っていたことだろう。

 

『一体何をする気だ!?』

 

 焦燥から困惑に変わっていく。

 

「あの時計はこの世界の時も司っている。私の権能がそれに関わっているわけだけど。さて、それは何でしょうか?」

 

時空操作、、、か

 

 龍も気が付いたようで、落ち着きを覚えた。

 

「正解、正解、大正解。お見事、お見事」

 

 彼の者は両手を叩き、拍手喝采を龍に向けた。

 

 その様子に龍の表情が強張った。

 

『こんな茶番をして一体なにが目的だ』

 

「目的?面白いことを言うね、君。目的なんてないよ。ただ私が面白そうだなと思ったからやっただけだよ」

 

「しかし、そうだな。君が求めるならば作っても良いか。それじゃあ、君にこれから行うことの説明を受ける権利を得るための試練だったということで君に報酬を与えよう」

 

「今から行うのは英雄の召喚だよ」

 

『バカな、そんなこと出来るわ、け、」

 

「おや、気が付いたかい。そう私がこの世界の時を進めたのはこの時代には英雄が大していないことに起因した。しかし、この時を進めた世界では違う。今では紀元前から西暦にいたのまでの英雄達の影が蓄積されている」

 

「集え、一騎当千。万物不当の英雄達よ!」

 

 両腕を広げて、彼の者は果敢に言い放つ。

 

 そして、世界の影からそれらは現れた。

 

 騎士、弓兵、槍兵、魔術師。

 

 数多の英雄達がそこに佇む。

 

 与えられた役割は、龍の討伐。

 

さぁ、狩りの時間だ。存分に楽しめ!!!

 

 幾千の戦人たちは、龍を襲い掛かって行った。

 

 龍は抵抗する為に炎を吐き、尾を払い、再生させた爪にて英雄たちを討ち滅ぼしていく。

 

 しかし、彼らには己が象徴、宝具を携えていた。

 

 龍が幾ら強かろうと多勢に無勢であった。

 

 龍の身体には、傷が目立っていった。

 

 そこで龍は気づいた。世界の主の姿が見えないことに。

 

『まさか!?』

 

「『我は創生の任を遂げた神性。旧支配者の座に座わりし存在』」

 

「『世界よ。万象を集結し凝縮せよ』」

 

 世界の陰から純白の粒子が溢れ出し、彼の者の眼前に渦を描きながら集結し球状に整形していく。

 

 そして、大玉ほどの大きさのエネルギー球は手毬程度のサイズに凝縮していく。

 

 龍はそのエネルギー球を確認すると、炎を自身に纏い、自身の許容範囲を超えるほどまでに構内に炎を口内に収束し凝縮した。

 

「『無への帰還(アブソリュート・ゼロ)!!!』

 

 

「私も使わせてもらうことにするよ。ギル、エルキドゥ」

 

「『世界より与える究極の一撃(エヌマ・エリシュ)』」

 

 龍が荒々しく告げるのに大して彼の者は友人たる天の鎖のように穏やかに告げた。

 

 両者の攻撃は、一直線に両者の元へと向かい、衝突した。

 

 龍の炎の性質上、彼の者の攻撃は意味を為さないと考えられたが事実は異なった。

 

 彼の者の攻撃は、龍の炎など意味を為さなず龍の身を貫きとおした。

 

『何故、我が炎が通用しなかった』

 

 龍は、疑問を呈した。

 

 それに彼の者も応え、口を開きこう述べた。

 

「あの光線には、私の権能である『創生』も含んでいた。君の無など私に掛かれば造作も無かったんだ。君の敗因は、私の意識を殺さなかったこと。根源と契約を交わすことができなくなっていれば君がこの肉体と力を行使し続けられただろう」

 

 龍はその返答を聞くと、今までの固い姿が偽りに感じれるまでに傲岸不遜に笑い始めた。

 

『成程、流石は我が主というものだ』

 

「おっ、じゃあ。私のことを再び主と認めるのかい?」

 

 彼の者の声色が色を取り戻した。

 

 それは、いつも通りの娘や友人たちと接する際に発される物だった。

 

『ここまでの醜態にされてしまえば認めざる終えない』

 

 龍は身体を奮い立たせて上空へと舞うと、彼の者の肉体へと突っ込んだ。

 

 しかし、彼の者の肉体に傷は付かずに龍は世界から姿を消した。

 

「お帰り私の子よ」

 

 それは、家に帰ってきた我が子を見つめる母親のような慈愛に満ちた表情をしていた。

 

「さぁ、決着を着けに行こうか」

 

 世界はするりと元の世界へと戻っていく。

 

 影は薄れ、世界には父たる太陽の威光が差し込んでいった。

 

 

 

 

第二節

 

 

 

『決着は着いたか、では次は俺とやろうか』

 

「ああ、もう邪魔をする者もいない。今度こそ、決着を着けるようか」

もう一つの戦いが今始まる。

 

「こい、牙月」

 

 戦いの火蓋は、今ここに。

 

『やはり、良い!あれで幕が閉じなくて心底感謝する!!』

 

 エンリルは、手元のエンキにて彼の者を撃ち倒さんと連撃を繰り出す。

 

 キシュア・ゼルレッチではないが、速さ故に斬撃が幾多が分裂して見えた。

 

「『百花繚乱』」

 

 彼の者は、それに対して自身の技にて対応した。

 

 幾多にも自らに襲いかかる剣筋に、エンリルはエンキにていなしていく。

 

 が、しかしエンリルには対応しきれずに行くばかりか傷が付けられて行く。

 

 エンリルは一瞬の隙を付き、彼の者の後方へと周りエンキを振り翳した。

 

 しかしそれは彼の者の両手によって軽々しく受け止められた。

 

『何!?』

 

 流石のエンリルでも2本同時に、受け止められるとは考えていなかったのか驚愕を顔に浮かべたがすぐさまそれは笑みにへと変わった。

 

 エンリルは、嘗てのようにエンキから手を離して彼の者のみぞおちに拳を入れた。

 

 彼の者はエンキの持ち手に手を掛け、エンリルの拳に突き刺した。

 

 そして、エンリルの顎に強烈な回し蹴りを喰らわせた。

 

 しかし、そこで終わるエンリルでもなく。エンリルは、倒れかけると腕に噛み付いた。

 

「!良いぞ、それでこそ戦いと言うものだ!」

 

 彼の者は、エンリルを地面に叩きつけその影響により地面には、巨大なクレーターが形成した。

 

『グハァ!』

 

 衝突の衝撃により、エンリルの口からは血が吐き出され意図せずか彼の者の顔面に掛かってしまった。

 

 しかし、彼の者は激昂などせず口元に垂れてきた血を舌なめずりして口に含んだ。

 

 彼の者は、まるで妖艶のような。身体は火照り、息は荒く、かの吸血鬼のような容貌であった。

 

 そんな様子もさることながら、彼の者はエンリルを地面に押し付けながら走りだす。

 

 エンリルの顔は加速度的に抉れていき、地面には赤いしみが一直線に引かれていった。

 

「早く抵抗しないと抉り死ぬぞ!!!!」

『うぉぉぉぉ!!!!!』

 

 エンリルは、自身ごと辺りの地面を竜巻で吹き飛ばし彼の者の手から離れることに成功した。

 

「やれば出来るじゃないか。さぁ、次はどうするんだ。君の攻撃にも芸がなくなってきたが」

 

 エンリルは、上空にて自身の拳に刺さったエンキを抜くと一本を自身の口に、もう一本を左手に持ち構えをとると彼の者目掛けて突撃して行った。

 

 その速度は、音速にも匹敵し、エンキの閃光によりエンリルまでもが輝いているように見えた。

 

「ああ、なんて言う。最っ高だ!!!!!!」

 

「お楽しみはこれから存分にこの日を楽しもう」

 

 しかしそんなお楽しみは、佳境にして終わりを告げた。

 

 煙が晴れるとそこには、倒れ伏したエンリルが彼の者を見つめていた。

 

何だ、その様は!!??

 

俺もあの龍にやられた傷のせいで、こんな様になってしまったんだよ

 

 そう、エンリルは微かにだかその身体に炎を喰らっていたのであった。

 

 かの炎の性質は、無。

 

 それは、徐々に身体を蝕んで行ったのであった。

 

 先程の彼の者と同じように。

 

黙れ!そんな泣き言を聞くほど私は甘くなどない!立て!立って私と戦え!私と貴様の戦いをそんなことで終わらせてたまるか

 

 彼の者に、人に見えざる神気を漲らせていた。

 

 当の本人にその自覚はないが。

 

 本来の彼の者の神気には他の者に安らぎと成長を促す効果を持つが、今の神気はそのようなものではなかった。

 

 大地は、干からび。生命は、恐怖によりその命を絶った。

 

『俺も出来ればそうしたいが、もう身体が限界だ

 

 その言葉に、彼の者は目を見開き次第に立ち昇っていた神気も収まって行った。

 

「そうか、貴様も私を満足させずに行ってしまうのか?」

 

 哀しげな顔だった。落胆でもあった。そして、絶望も混じっていた。

 

 そんな彼の者をエンリルは優しく語りかける。

 

『何を、お前の目的は私の排除だったろ。それなのにお前は無意識の内に戦いに愉悦を求めた。俺とお前、似ているが同時に似ていない』

 

『俺は人間の抵抗する様子や苦しむ様を見るのが好きだ。それが一番面白いと思っているからだ』

 

『しかし、お前は違う。お前はその中の戦いや結果その全てを重視する。俺とは根本的に異なる』

 

「そうか、君と私の違いはそこか」

 

お前は、ウォーカーという神は、一体いつまでこの世にしがみつくきだ。戦いに飢えたお前は言ったいつまで居座る気だ

 

 彼の者はいつもの笑みを浮かべ、傲岸不遜に語りかける。

 

「勿論、この神代の終焉の時までさ。私はこの世界を終焉へと導いた。であるならば、私にはそれを遂行し、見届ける義務がある」

 

なぁに、あとたった数千年。それが過ぎれば私はこの世から身を退けるさ

 

たかが数千年。この世界の誕生を待った1万年と比べれば屁でもない

 

「じゃあな。お前のことは好きになれなかったが、戦いはここ数年の中でも格段に楽しかったよ」

 

『それは良かった。俺も満足できたさ」

 

 彼の者は、刃をエンリルの胸に突き刺す。

 

 エンリルは、光の粒子となりそれらは宙へと舞って行った。

 

 そこには、地面に刺さった彼の者の刃のみが鎮座していた。

 

 彼の者は、地面から愛刀を引き抜くと鞘を取り出して腰に納めた。

 

「さて、残りを片付けに行くか」

 

 彼の者は進む。

 

 物語の一つの区切りに向かって進み続ける。

 

 

 

 

第三節

 

 

 

『どうする!あのエンリルが殺されたぞ!!』

 

『落ち着け、、流石の奴でもここに来れるはずがあるまい」

 

Hello everyone!!!!

 

『『!?』』

 

「おいおい、君たち。何をそんなに怯えているんだい?ここは、笑うところだろ。ほら、笑えよ。こうやってさ」

 

 ニタニタと気色の悪い。悪魔の化身のような笑みを浮かべた。

 

『化け物、化け物が!!!!!』

 

「おいおい、白けさせないでくれよ。お前たちは、この私に立ち向かったんだろう。だったら最後の、全てを出し切ってから言ってほしいものだがね。エンリルはそうして終わりを迎えたぞ」

 

 神々の元へ歩みを進める。

 

『コツコツ』という足音が、引き攣った静寂故に際立つ。

 

『黙れ、化け物。何故貴様のような化け物が何故人間に肩入れする』

 

 その言葉にふと歩みを止めてしまった。無意識だろう。彼の者は、自身の足に目線をやり、すぐさま元に戻した。

 

「何故か。そんなの決まっている。人間が好きだからだよ!

 

「君たちだって、よく人間に肩入れしているじゃないか。それと同じだよ」

 

『私たちと貴様を同じ分類にするな!!!』

 

「へぇ、君たちは自身を化け物だと認められない訳か。まぁ、それもいい。私の戯言だと嘲笑え。だが、それが私が止まる理由にはならない」

 

「貴様らは既に私の身内に手を掛け、私の友人は危篤な状態に成っていた」

 

「さぁ、誰から殺されたい?エンリルも最後は潔く受け入れたんだ。まさか、自分は悪くないですとでも言うつもりでれば問題ない。そんなことは私も戯言として無視するからね」

 

 瞬間、彼の者側頭部に目掛けて三叉槍が雷を纏いながら迫って行った。

 

「これは、了承と受け取ってもいいのかな。マルドゥク」

 

『ああ、我々は貴様になど負けぬ』

 

「よし。では始めようか」

 

「さぁ、精々頑張って抗えよ。愚者共」

 

 そこから始まったのは、鏖殺であった。

 

 彼の者は、手始めにはたき落とした三叉槍にてマルドゥクの胸を突き刺し、地面に押し、頭部を目に捉えなれなぬほどの速度にて幾多にも突き刺した。

 

 それは、一方的であった。

 

 圧倒的な戦力差よる暴力。

 

 マルドゥクにも類い稀なる戦闘技術を持ち得ていたが、彼の者の速度には通用しなかった。

 

 最も、彼の者が速度を遅くしていた場合であってもそれは軽く相殺、あしらわれていただろう。

 

 その様子に他の神々の恐怖は高まり、中には失禁するものまでで始めた。

 

 次に彼の者が目をつけたのは、シャマシュであった。

 

 シャマシュは、自身が狙われていると察知し、自身の権能にて太陽を顕現させ、彼の者目掛けて放った。

 

 それに対して、彼の者は右腕を伸ばし手の甲を向ける。

 

 すると、右腕から白銀の龍が飛び出して太陽を意図も容易く喰らってしまった。

 

『な!!!』

 

 そんな驚いているシャマシュを龍は喰らった。

 

 バキ、ゴギャ、メタ、ビャ。

 

 咀嚼音が辺りに響く。

 

 数秒もすると『ゴグン』という嚥下音が龍からした。

 

 龍は久しぶりの食事で、まだ食べたり無い様子。

 

 周囲の神々に目線を合わせ、涎が床に滴り落ちている。

 

「『喰っていいぞ』」

 

 その言葉に、龍は他の神々を次々に口に咥えて行った。

 

 ある程度の量になると、龍は一瞬口を開けた。

 

 その瞬間に咥えられていた神々が我先にと逃げ出そうとしたが間に合いはしなかった。

 

 瞬きの内に、龍の口は閉じられた。

 

『ギガャ』

 

 そんな音と共に、はみ出ていた身体は龍の口から溢れ『ベチョ』という音と共に血を床に撒き散らしながら落下した。

 

 もう逃げる場所などない。

 

 彼の者は、地平の果てまで追いかけるだろう。

 

 

 

 

第四節

 

 

 

「最後に残ったのは君か。アヌ」

 

『お主の龍、少々食べ癖が悪いのではないか』

 

 アヌは床に目線を移す。

 

 床は一面神の血で満ちており、所々に食べ残しの肉片や骨、抉れた眼球などが散らばっていた。

 

「そうだね。まぁ、これでだいぶお腹を膨れたし、次食べる時はそう悪く食べることはない筈だよ」

 

 彼の者の右腕は、元通りになっており。つい先ほどまで龍であったことなど想像付かないほどに平常であった。

 

『そのようなものか。さぁ、仕留めるといい。儂で最後だ』

 

 アヌは彼の者の言葉を聞くと、軽く頷き、瞼を閉じた。

 

 その様子に彼の者は、自身の愛刀を抜きアヌへと近づいて行った。

 

「ところで、何故君は私を止めなかった?我らは君の子だったろ?」

 

『彼奴らは、自身の意思で決めた。それがエンリルの策略であったとしてもエンリルは彼奴らの意識を操作した訳ではない。であれば、私が止める理由はない。私はあくまでも神の長。彼奴らの責任を取るだけだ』

 

「なるほど、それが君の信念か」

 

「それでは、お別れだ。神々の長たる天空の神アヌ」

 

「君と話せて良かった」

 

 その言葉とともに振り下ろされた刀は、アヌの首を断った。

 

「さて、後始末。後始末っと」

 

 彼の者は、自身の胸に手を当てると胸から光の球体を取り出した。

 

 それは、龍が喰らった神々を一つにまとめたもの。

 

 それは、彼の者の手から離れると、「」にある座にへと還っていった。

 

「最後に、一目見に行くか」

 

 彼の者はその場を離れる。

 

 

 

 

第五節

 

 

 

「明けない(神代)はない。いつか終わりは来る。これから始まっていくのは人という無限の可能性を持った獣の時代。さぁ、君たちは何を選ぶ。私は、君たちにこの地を与えよう。だから、私に見せてくれ。星の瞬ぎのように短くも、濃厚で美しい話を」 

 

「やけに五月蠅い者がいると思えば、貴様かカイザ」

 

「やぁ、ギル。おはよう。そして、新しい世界へようこそ」

 

「ふん、それを言うにはまだ早いだろう。ただ神がこの地から消えただけだ」

 

「だけど、神が居なくなったことで確かに神代は終わった。今日からは、人代に移り変わるいわば引き継ぎ作業の時。確かに、各地ではそんなことは起こっていない。だけど、この地が神と離別したことで徐々にそれも変わっていくことだろうさ」

 

「貴様は、今後どうするつもりだ。この地から離れるのだろう」

 

「まだ決めてはいないんだけど。そうだね、ギリシャにでもしようかな」

 

「ほう、あの土地に行くのか?」

 

「まぁ、時期的にも悪くないし。歩いて行くにも結構近いしね」

 

 ちなみに彼の者は、歩いて行くと言っているが直線距離でも1800kmでありこれは軽く日本本州、青森から山口県までの距離である。

 

 それを近くと言ってしまえる感性は、かなりイカれているといっても過言ではないだろう。

 

「おや、君たちだったのかい。話し声がよく聞こえたよ」

 

 ジグラッド屋上部に現れたのは、呪いの影響が消え去ったエルキドゥであった。

 

 そして、私達を視認するとすぐ側まで近寄って来た。

「ぁあ、もう元気みたいだねエルキドゥ」

 

「君のおかげさ。シドゥリから聞いたよ、君が僕の呪いを肩代わりしたってね」

 

「私、彼女にそこまで言っていないんだけどなーー本当にあの子は察しが良いや」

 

「それでカイザ貴様、見たところ呪いが掛かっているとは見えないが解呪したのか?」

 

「ん、まぁ、なし崩し的に。本人は無意識でやっていたからね」

 

「へぇ、それじゃあ。君は、ここに残るかい?」

 

「いや、悪いけどエルキドゥ。さっきもギルに行ったんだけど私はこの地から離れるよ。それが私の責任であり、責務であるからね」

 

「そうかい。じゃあ、君とはこれでお別れかな」

 

「いいや、確かにこれは別れだろう。けど、一緒会えないことではないさ!エルキドゥ、別れとは出会いの裏返しさ。きっといつか会えるさ。恐らくは、遥かな未来。極東の儀式か星見屋の元にてね」

 

「ウルクの民の諸君。私の名はカイザ・ウォーカー。英雄王と自然と人を愛した者を友人に持つただの神だ!先に述べたように私は君たちに期待している。さあ、幕を開けよう!そして刮目しよう。新たなる神ではない人の時代の幕開けを!!!!」

 

「それでは、私はここにて失礼。また彼の地にてお会いしよう」

 

 

 

 




 司書レーアちゃんによる解説コーナー

「どうも皆様、ごきげんよう。コーナーの主であるレーア・ウォーカーです」

「長らくの間、お会いできなかったことをお詫び申し上げます。これもすべて作者のせいなのですが」

「そんなことはさておき、このコーナーの意義を果たすことにしましょうか」

「さて、今回解説することはマスターの新たなる力についてでしょうかね」

「まず一つ目として、忘れられし影の世界(ロスト・シャドウ・ワールド)について話しましょう」

「あの世界はアルカディアとは異なりますが、前世のマスターが考案して『止めだ。止め』と思考の果てに捨てたものでして、未知のものに対抗する術として拾い上げられたものの一つです」

「とは言え、何せ初期考案を行ったのはマスターが幼童の際でしたからね。かなり手が加えられています。初期考案では『時空操作』は組み込まれておらず、性質である影。観測した世界の現身というだけでしたからね」

「今のように英雄の召喚は行えませんし、できたとしてもその人物が生きている者しか行えません」

「まぁ、そんなことをしなくても座から英霊を引っ張ってくればいいのですが」

「まぁ、それは言わないほうがいいですね」

「二つ目としては、『世界より与える究極の一撃(エヌマ・エリシュ)』ですね。これは先に述べた》の奥義であり、世界の全てをエネルギーの凝縮体として発射するマスターの攻撃の中でも指折りものです」

「この攻撃は、|忘れられし影の世界《ロスト・シャドウ・ワールドに設定した世界の数によって威力を増すという性質を持ち得ているので頂点に立つ可能性を持っています。チートですね」

「まぁ、そこまでの火力であれば世界が消し飛ぶでしょうけど」

「基本そこまで出さずとも、あの世界の生物程度殺せるでしょう。マスターは、素手でさえ神を殺すことができますから」

「ああ、そして最後に黒龍とマスターの龍の力ですね」

「マスターの龍と黒龍は、既に違えておりマスターが使えるのは白銀のマスターの龍の力のみだけです。黒龍を使うとなれば、マスターの身体での行使ではなく召喚としてですね」

「さて、ここらでお開きにしましょうか。久しぶりのコーナー楽しかったですよ」

「では、皆さん。また次回にてお会いしましょうか、さようなら」




次は何編がいいですか?ちなみにここで選ばれなくてもやる可能性はありますが日本編は短いかもしれません。それとケルト編の一部は絶対出ます。

  • ギリシャ編
  • 北欧編
  • ケルト編
  • 日本編
  • ブリテン島編
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