ハリー・ポッターと紅色の魔法使い   作:六原

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本編で書けなかった、『みぞの鏡』に関する2つの話。

どちらもハリー視点です!



番外編:みぞの鏡

 

――クリスマス休暇――

 

 

僕は冬の夜のホグワーツを歩いていた。

図書室でニコラス・フラメルと賢者の石について調べようと思ったから。

アリスに聞くのが一番早いだろうけど、僕たち3人だけで情報を留めておかないと、どこから犯人にバレてしまうか分からないからやめた。

賢者の石に関する本はどうやら禁書棚にあるようなので、借りることはできない。禁書は先生からのサインがいるけれど、誰が犯人で誰が協力者か分からない状況で頼むわけにはいかない。というわけでこっそり図書室へやって来た。バレないように、クリスマスに誰かから送られてきた透明マントを羽織って。

 

 

図書館に入り、目的の棚の前で手に持っていたランタンを床に置く。本を引き抜いたその時、音が鳴った。

まずい、バレる!!慌ててランタンの火を吹き消し、その場を離れ、廊下へ出る。

廊下をひたすらに走り、慌てて部屋に入る。

 

 

その部屋は広かった。

そして、真ん中に布の掛けられた大きな鏡が置かれていた。鏡のフレームに書いてある文字を読む。

 

「『すつうをみぞののたなあ、くなはでたがすのたなあはしたわ』…?」

 

なんて書いてあるのかよく分からなかった。さらに鏡には『みぞのかがみ』と書いてあった。

みぞの鏡…?と思いながら鏡の鏡面を見る。

そこには僕が立っていた。しかし両脇に女性と男性が立っていた。

 

「もしかして父さんと母さん...?」と言うと2人は頷いた。

 

しかし2人は鏡の中にしかいなかった。

 

 

 

 

それから僕は、父さんと母さんに会うために、毎日その部屋に行って、鏡を見つめた。

僕が会いたかった両親と会わせてくれるなんて、なんて素晴らしい鏡なんだろう。

 

ある日ロンを連れて行った。

ロンは「見ろよハリー!!僕がグリフィンドールのクィディッチチームのキャプテンになって優勝してるよ!!君にも見えるだろう?」と言ったけれど、僕には両親しか見えなかった。

 

ロンは毎日鏡を見に行く僕に共感してくれはしなかった。

どうしてだろう。あんなに素晴らしい鏡なのに。あれを見ている間だけは幸せな気持ちになる。

 

 

「ハリー。」

 

鏡から目線をそらす。後ろにはダンブルドア先生。

 

「ダンブルドア先生!!」

 

「ハリー。そんなにこの鏡が良いかね?」

 

「だって、父さんと母さんに会えるんです。この鏡を見ている間は。」

 

「そうかもしれん。しかし、この鏡の虜になってはいけない。この鏡は見る者の心の中の望みを映すのじゃ。過去に何人もの魔法使いがこの鏡の虜になった。」

 

当然だ。こんな鏡が合ったら誰でも虜になるだろう。

 

「だがハリー。君は虜になってはいけない。君の両親の為にもじゃ。」

 

先生は言葉を切って、「君には多くの友がいる。その友と過ごす時間は君にとって幸せでないのかね?」と僕のことを青色の瞳で見つめた。

 

「そんなことはありません。」

 

「だったら、過去を見つめるのではなく現在を見つめるのじゃハリー。よいかの?この鏡は別の場所に移す。決して探すでないぞ?約束できるかの?」

 

僕は頷いた。そうだ。僕には友達がいる。

 

「先生には、何が見えるんですか?」

 

「そうじゃのう…。儂には儂が手袋を持っているのが見える。」

 

そう言って先生は微笑んだ。

 

 

 

 

――魔法薬の試練の後――

 

魔法薬を飲んで炎の中に飛び込む。ハーマイオニーが正解はこれだといったのだから、絶対にこの魔法薬が正解だ。

炎を抜けるとまた部屋があった。真ん中には『みぞの鏡』が置かれていた。不思議に思って近づいていくと、横から呪文が飛んできた。

「っ!!」

呪文を唱えようとするも間に合わなかった。

そこにはクィレル先生。

 

「まさか先生が…!?」

 

「そうだ。ずっとスネイプを疑っていたようだが…。セブルスのせいで随分賢者の石を手に入れるのが遅くなった…。」

 

スネイプはむしろ賢者の石を守ろうとしていた!?

 

「とにかく...」

 

クィレルは途中で黙った。代わりにまた別の声が聞こえる。小声で、なんて言っているのかは聞き取れない。

するとクィレルはおもむろに頭に巻いていたターバンを解き始めた。いつも巻いていた紫色のターバンの下には何があるのだろう…。

クィレルが僕に背中を向ける。

 

「久しぶりだな、ハリー・ポッター。」

 

クィレルの後頭部にもう一つ顔があった。しかも、クィレルとは違う声で話している。

 

「まさかヴォルデモート!?」

 

「ずっと近くにいたというのに気が付かないとは愚かなだなあ。」とヴォルデモートが嗤う。

 

「スカーレットはここまで来れなかったのか?」

 

なんでアリスの事を聞いてくるんだろう。それにどうしてアリスを知っているんだろう…。

 

「わ、我が君…。き、きっと、トロールが追い払っているのでしょう...。」

 

「アリスがトロールに負けるなんて有り得ない!」と叫ぶ。

 

「ト、トロールを打倒せるはずがない。ハロウィンの時のトロールとは強さが全然違うからな!」

 

クィレルが呪文を放ってくる。

呪文を撃ち返そうと構えていた僕の杖は吹き飛ばされてしまった。

まずい、ヴォルデモートに対抗する手段がなくなってしまった。

クィレルが僕に杖を向けたその時、

 

「まて、こいつに賢者の石を取り出させるのだ。」とあいつがクィレルに行った。

 

 

クィレルに杖を向けられながら、みぞの鏡の前に立つ。

そこには僕の両親も、僕の怯えた顔も写っていなかった。

鏡の中の僕は賢者の石を持っていた。そしてウィンクをした。すると、ローブの片方のポケットが重くなった。そして、鏡の中の僕は賢者の石を手に持っていなかった。

まさか…と思いながら、気づかれないようにそっと触る。

 

「おい、何が見える。」

 

「えっと、グリフィンドールが優勝しているのが見えます。」

 

賢者の石をヴォルデモートに渡すわけにはいかない。なんとか隠さないと。

 

「と、言っておりますが…わ、我が君。」

 

「嘘をついている。」とヴォルデモートが言う。

 

騙すことはできなかったか…。

「賢者の石の手に入れたのか!?は、早く寄越せ!!」とクィレルが呪文を放ってくるが、倒れた僕のポケットから、賢者の石は落ちなかった。

 

「どこに隠している!!」とクィレルが床に倒れている僕に近づいてきて、僕の手首を握った、その時。

クィレルが「うわぁぁっ!!」と叫び声を上げながら僕から手を離した。

僕を掴んでいた手のひらはヤケドして爛れている。

 

「おい、どうしたんだ!」とヴォルデモートが焦ったように叫ぶ。

 

「わ、私がポッターに触ったら…皮膚が!!」

 

「そんなこと気にするな!!賢者の石を早く奪え!」

 

クィレルがまた僕に近づいてくる。

僕はそんなクィレルの顔を掴んだ。

クィレルが痛みに叫ぶ。掴み続ければ倒せる…!!

やがてクィレルの叫び声は止んだ。

 

「これで倒せたと思ったかハリー・ポッター!!」と言いながら黒い煙のようなものが僕の体をすり抜けて部屋から出て行った。

 

これで、賢者の石を守れたといっていいのかな…?と立ち尽くしていると、後ろから足音が近づいてきた。杖を構えようとして、吹き飛ばされてしまったことを思い出す。まずい!!と、

 

「ハリー。儂じゃよ。」と優しく微笑みながらダンブルドア先生がやって来た。

 

「先生!!クィレルにあいつが…ヴォルデモートが!!」

 

「うむ。そうだったようじゃな。詳しい話はまた後で聞くとしよう。して、ハリー。賢者の石は?」

 

「えっと、ここに…」とポケットから取り出す。

 

賢者の石は赤色で、結晶のようだった。

 

「あの、先生。僕が鏡の前に立ったら、勝手にポケットの中に入っていたんです。どうしてですか?」

 

「それはハリー。お主が賢者の石を守ろうと思っていたからじゃよ。」

 

確かに僕は賢者の石を守ろうと思っていた。クィレルやヴォルデモートは賢者の石を奪おうとしていたから駄目だったってこと…?

 

「ハリー、疲れただろうから医務室に向かうとしよう。ミス・グレンジャーもミス・スカーレットも君のことを心配していた。」

 

「2人に会ったんですか!?」

 

「儂を呼び戻そうとしていたようだったが、ちょうどフクロウを飛ばしたときに入れ違いでホグワーツに戻ってきてしまったようでな。おお、そうじゃ。ミス・ウィーズリーを連れてきてくれと言われておったんじゃ。」

 

ダンブルドア先生がこぶしで手のひらを叩いた。

 

「先生…。僕がクィレルに触れたら皮膚がやけどしていったんです。どうしてだったんですか?」

 

「それは君の母親が君を死の呪文から守るために自分を犠牲にしてハリーに与えた愛の力じゃよ。」

 

驚きながらも優しく僕の事を見つめてくる。

 

「あいつは愛の力を信じておらん。」といって先生はクィレルに近づいて行った。

 

「クィリナスはヴォルデモートに利用されていたのじゃろうな…。」

 

少し悲しそうにクィレルを見つめる。

 

「では、ハリー。もうこの部屋に用はない。君の友人の元へ行こう。」

 

僕は落ちていた杖を拾って、ダンブルドア先生と共に部屋を出た。

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