「はあ…。」とロンがため息をつきながら隣の席に座った。
「おはよう。どうしたのロン。」と朝食を食べながら返す。
「最近ママがロックハートの野郎に夢中でさ。庭小人の駆除なんて分かり切ったことでも一々あいつの本を開くんだよ。」
ロックハート―ギルデロイ・ロックハートは最近有名な魔法使いで、自らの体験を本にして出版したところ大売れしているらしい。らしい、というのは私は読んでいないから。
確かに最近ハリーとウィーズリー家で庭小人の処理をしていた。と言っても庭から遠くへ投げるだけなのだけど。そんなこと、魔法界では一般常識だ。
「へぇ。その本に魅了の魔法でもかかってるんじゃないの?」と私が言うと
「そう思ってフレッドとジョージがママからその本を取ろうとしたらこっぴどく叱られたって。」とさらにため息をつく。
「それはもう末期ね。」
見た目でやられてしまう魔女が多いらしいから。
「ハーマイオニーもあいつのファンみたいよ。」
前に私に向けて長文の手紙を送ってきた。
「ハーマイオニーまで?!あいつの何が良いんだろう...。」
「さあ?私にもわからないわ。」
彼の功績はどう考えても嘘だろう。だって吸血鬼をニンニクで倒すことはできないと遠縁の吸血鬼から聞いたことがある。
「でも、来年の闇の魔術に対する防衛術の教科書は、ロックハートの本全種らしいわよ。」とさっき届いた教科書リストの紙を見せる。
「はあ?嘘だろ!!これが全学年共通だって?お金が足りないよ!」
パーシー、フレッドとジョージ、ロン、ジニーで…
「5人分買わなきゃいけないものね。私が買ってあげましょうか?」
「もしもの時は頼むよ...。」とロンはさらにため息をついた。
にしてもこれを教科書にする教師なんているのだろうか。
いや、まさか、ね。ダンブルドア先生が教師職に就くことを認めるはずがないもの...。
ダイアゴン横丁で新学期の教科書を買う日になった。今日はハーマイオニーとも合流する予定だ。
ダイアゴン横丁へは
「ハリー、これは使ったことがあるかい?」とリーマスが聞くとハリーは首を横に振った。
「じゃあ俺が見本を見せてやるよ。」と言ってフレッドが暖炉へ行く。
「この粉を入れて、中に入る。そして…『ダイアゴン横丁!!』」
フレッドが炎に包まれ、消える。
「ほら、簡単だろう?」とジョージが言う。
「まあ、行き先を言い間違えると大変なことになるけどな。」という言葉を聞いてハリーの顔が引きつる。
「次はハリー。行ってらっしゃい。」とモリーさんに促され、暖炉へ向かうハリー。
炎の中に粉を入れ…
「ダ、ダイア、、ゴ横丁!」
ハリーが言うも、灰にむせてしまったようでしっかりとは言えなかった。
「ハリー、大丈夫かしら。」とモリーが言うと、
「もしかしたら違う場所に行ってしまったのかもしれない。探してこよう。」とリーマスが姿くらましする。
その様子を見て、「なんで姿くらましで行かないんだ?」とロンが私に言ってくる。
「大人数だと何回も同じ人が姿くらましと姿あらわししなきゃいけなくなって大変だからでしょ。」
全員ができるならその方が早いけど。全員を付き添い型で連れて行くには流石に人数が多すぎる。
「なるほど。」
「ほら、ロンも行ってらっしゃい。」と私が言うと、ロンが暖炉に入っていく。
ロンが消えたのを見て、私もつづく。
「ハリー!!」
リーマスに連れられてハリーがやってくるのを見て、グリンゴッツの前で合流したハーマイオニーが叫んだ。
「ハーマイオニー!久しぶり。」
「ハリーはノクターン横丁に行ってしまっていたようだ。」とリーマスがモリーさんに言う。
ノクターン横丁...。ノクターン横丁は闇魔術の製品が売られている、ダイアゴン横丁とは対照的な場所だ。
ハリーは私達と合流する。
「じゃあ教科書を買いに行きましょう。」とフローリシュ・アンド・ブロッツ書店に向かうと、人だかりができていた。それも魔女たちの。
「ねえ、あそこ!ロックハートじゃない!?」とハーマイオニーが黄色い声を上げる。
人だかりの中心を見るとどうやらサイン会をやっているみたいだ。あいつの。
「ふーん。」
「アリスだってサイン欲しいでしょ?」とハーマイオニーが詰め寄ってくる。
「きっとハーマイオニーの方が偉大になるから、私はハーマイオニーから貰いたいわ。」
「えっ、えっと...。私が彼の功績以上の事ができるとは思えないわ。」とハーマイオニーは顔を赤くして返す。
「そう?すぐにできちゃうと思うけどね。それに言っておくけど、今の時点で私たちの方が偉大だわ。だって賢者の石を守り切ったもの。」
「それは…確かにそうだけど。」
と私たちが話していると、「おや!!そこにいるのはハリーじゃないですか!!」とロックハートが言った。
ロックハートはハリーの方へ近づいてくる。ハリーが嫌そうな顔をしていることに気づいていないようだ。
大方、自分が話しかけて嫌がる人などいないと思っているのだろう。
見ていてかわいそうなので、
「こんにちはロックハートさん。私の事はご存じで?」とハリーの前に出る。
「おや。初めましてお嬢さん。ハリーのお友達かな?」
「ええ。私、アリス・スカーレットと言います。勿論、ご存じですよね?」と圧をかけながら言う。
「あ、ああ。スカーレットさんでしたか。」
絶対にピンと来ていないな。
「アルバニアに行かれましたよね?あそこ、私の遠縁が住んでいるんです。」
ロックハートの顔が引きつったのが分かった。
吸血鬼を倒しにアルバニアに行ったのなら、遠縁の吸血鬼の話は聞いているはずだと思って名乗ってみたが、思った通りだ。
「え、ええもちろん…。」
視線が泳いでいる。ロックハートをじっと見つめる。
「い、いや、実はですね。今年のホグワーツの闇の魔術に対する防衛術の教師に就任しました!!」
…話を変えたな。明らかに動揺していたし、この話を深堀りされたくないのだろう。
いや、それよりもこいつがホグワーツの教師?!なんでダンブルドアは認めたのよ!!
「ありがとうアリス。助かったよ。」とハリーが言う。
「別にいいのよ。私もあいつに言ってやりたかったからね。」
「アルバニアの遠縁って?」とロンが聞いてくる。
「自分で調べて。」と言うとロンが「えー。」と肩を落とした。
そして私たちは教科書を買うことになった。
こいつの本を買うなんて屈辱だわ。
「ほら、ジニーにあげるわ。」と買ったばかりの教科書をロンに渡す。
「え、アリスはいいの?」とロンが言う。
「あいつのが手荷物にあるなんて嫌だもの。」
「さすがにロックハートの事が嫌いすぎやしないか。」とロンが言ってくる。
「ホグワーツに行ったら徹底的にいたずらしてやるわ。」と私が決意を固めたのを見て、
「おう!俺たちも協力するぜ!」とフレッドとジョージが頷いた。
「ねえ、ところでジニーは?」
ここにいるウィーズリー家は双子とロンだけだ。
「ああ。父さんと母さんと一緒にいるよ。ほら。」
とフレッドが指さした先にはアーサーさんとモリーさんだけでなく、ルシウスとドラコがいた。
「なんでマルフォイがいるんだよ!!」
本当に。
まあ教科書を買いに来たんだろうけど、アーサーさんに絡みに行っているのは見過ごせない。
「やばいぞ。ほっておくとそのうち乱闘が始まる!!」と3人が駆け出す。
私とハリーも追いかける。
「おいルシウス!私の子供に何の用だ!!」
「おやおやこれはアーサー。魔法省は大変ですなあ。しかも娘の教科書代すら払えないときた。」
「何をしに来たんだ!」とアーサーさんが杖を抜く。
「私と戦おうというのですか。」とルシウスも杖を抜く。
2人は店の中で戦おうとしてるようだ。フレッドが言った通り乱闘騒ぎになりそうだ。はあ...。
「ルシウス。教科書を買いに来たんでしょう?乱闘するために来たんじゃないはずよ。」
杖を振ろうと構えていたルシウスに言う。
「…ミス・スカーレット。」
私が言うと悔しそうにルシウスは店から出て行った。
「もう!店の中で乱闘を始めないでちょうだい!!」とモリーさんがアーサーさんに言う。
その様子を見ていたハリーが、
「僕、ノクターン横丁でもマルフォイを見たんだ。」と言った。
「マルフォイってどっち?」
皆名字で呼ぶからどっちか分からない。
「どっちもだよ。」
ノクターン横丁にマルフォイ親子がいるのはただ事ではない。なにか企んでいるのだろうか。
「これは今年も大変そうね。ドビーもいるし。」
「そうだ!!ドビーもいるんだった!」とハリーがため息をついた。
庭小人
庭にいる小人。投げると目が回ってどっかにいく。
煙突飛行粉
フルーパウダー。暖炉に入れて行き先を叫ぶとそこに行ける。ただし暖炉が登録されているところだけ。
グリンゴッツ
魔法界の銀行。地下に金庫があり、そこにはトロッコで向かう。
ハーマイオニーはマグル界のお金を魔法界のものに両替していた。
ギルデロイ・ロックハート
書籍を多数出版し、自伝のサイン会イベントを行っていた。
アルバニアにいる遠縁
ここは小ネタ的要素なので分かったらさらに楽しめます程度です。
アルバニアと言えば吸血鬼。スカーレットの吸血鬼と言えばの方です。
きっと現地の人から気を付けるように言われたりしていたのでしょう。
(アリスは別に吸血鬼ではありません。ただの魔法使いです。)
ハーマイオニーがロックハートに取られた気分になるアリス。ロックハートアンチに。
権力の力で大人を黙らせるアリス。
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