ハロウィンのあと、ハリーが『スリザリンの継承者』と言われることが多くなった。
「ねえ、なんでスリザリンの継承者なの?」
「最初に現場を見つけた僕たちが犯人じゃないかって思われてるんだよ。」とハリーが教えてくれた。
「秘密の部屋はサラザール・スリザリンが作ったとされていて、継承者が来たときにその部屋は再び開かれるらしいの。」
へえ。それでスリザリンの継承者…。
サラザール・スリザリンはホグワーツの創立者の一人だ。他はゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー。寮の名前は創立者から来ているということだ。そしてスリザリンは他の三人と決別してこの学校を去った...らしい。ずいぶん昔の事だしどこまでが事実かは分からないけれど。
「そもそもハリーはグリフィンドールじゃない。」と私が言うと、
「でも僕、組み分けの時に最後までグリフィンドールかスリザリンかで悩まれたんだ。だからもしかしたら…。」と不安そうな顔をするハリー。
「結局はグリフィンドールになったんだろ?それにハリーにスリザリンは似合わないさ。」とロンが言ったものの、ハリーはまだ不安そうな顔をしていた。
「スリザリンの継承者だなんてマルフォイの方がお似合いさ。それにあいつはマグル生まれを嫌ってる。まさに適任だと思わないか?」
まあ確かに。ハリーよりは可能性がありそうだけど。
「でも、継承者はこの学年じゃないんじゃない?だって、去年秘密の部屋が開かれたはずでしょう?」
「いや。何らかの条件が別であるのかもしれない。それで今年マルフォイが行動し始めたんだよ。」
まあ、ドラコを疑う価値はありそうだ。
新年度以前からマルフォイ家が怪しい動きをしていたし。
「でもどうやってマルフォイを探るの?」とハリーが言うと、
「マルフォイから直接聞くしかないわ。」とハーマイオニーが言う。
「でもどうやって聞くんだ?普通に聞いても教えてくれるとは思えない。」
「魔法薬を使うのよ。ポリジュース薬を使えば相手に成りすませるの。だからそれでスリザリン生に成りすまして情報を聞き出すのよ!」
ポリジュース薬!!なんとまあ作るのが大変な魔法薬をハーマイオニーは選ぶものだ。でも、ポリジュース薬があれば確実だろう。
問題は...
「いつ、どこでつくるの?」
「うーん。少なくとも一か月はかかるから、その間誰も来ない場所でないといけないわ。」
「じゃあマートルがいるトイレは?」とハリーが提案する。
確かにあそこは学校の端だし、マートルがいることで人が来ないだろう。
魔法書は家にあるだろうし…。
「材料はどうするの?」
「スネイプの材料棚から奪おう。」とロンが言う。
「…それなら私が何とかするわ。」
もうちょっといい案があればそれにしようと思ったけど、よりによってスネイプ先生の材料棚から!?
それならリーマスに頼んだ方がいい。なんだかんだ、ポリジュース薬を作ることを許してくれるだろうし。
スネイプ先生の材料棚からとったら確実に私たちの仕業だってバレるわよ!
「じゃあお願いするわね。」
「ええ。手に入ったら連絡するわ。」
そんなすぐには手に入る材料ではないのでしばらく待つことになるだろう。
今日はグリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合が行われる。
シーカーはハリーとドラコで戦うことになる。
「ハリー!!マルフォイにプレーを見せつけてやれよ!」とロンがハリーに言う。
ドラコも上手いけれどハリーと比べたら下になってしまうからおそらくは勝てるだろう。
ハリーに匹敵するのはプロ選手とかになりそうなぐらいハリーは上手だ。
ハリーはロンの言葉に「うん。頑張るよ。」と頷く。
そして試合が始まった。今のところグリフィンドールがリードしている。が、ブラッジャーの動きがおかしい。
本来ブラッジャーはコート内の選手全員に襲い掛かってくるものなのに、1つがハリーをしつこく追い回しているように見える。そのため、フレッドとジョージがハリーに付かなくてはいけなくなり、もう1つのブラッジャーが真っすぐ私達に向かってくるというようになってしまっている。
ビーターでないとブラッジャーが打てないので、私たちは避けるしかない。それにフレッドとジョージも試合を決めるシーカーを優先して守らねばならない。誰かの妨害だろうか。前にもスリザリンとの試合で妨害された気がする。
ブラッジャーをなんとか避けながらプレーしていると、ハリーがスピードを出して飛び始めた。ドラコもそれに続く。スニッチを見つけたのだろう。ハリーのスピードにフレッドもジョージも追いつくことができないため、ハリーが避けながらスニッチを追っている。
私も敵から打ち込まれたブラッジャーを避けながらクアッフルをゴールに投げ入れる。
グリフィンドール70点目。
対するスリザリンは60点。
ブラッジャーのこともあり厳しい戦いだ。けれどここでスリザリンの方が点が高くなれば勝ち筋は無くなる。
と、試合終了の笛が鳴った。スニッチをつかんでいるのは...ハリー!!
試合はグリフィンドールの勝利で終わったが、ブラッジャーは、まだハリーを狙っている。
「『フィニート(呪文よ終われ)!』」
私の呪文が当たり、ブラッジャーが粉々になる。
「ありがとうアリス。」とハリーが痛そうな顔をしながら言う。
「どこかやられたの?」
「スニッチを取ろうと手を伸ばしたら腕に当たっちゃって。」
「すぐに医務室へ向かいましょう。」といつの間にかグラウンドに降りてきていたハーマイオニーが言う。隣にはロンもいる。後ろからマクゴナガル先生が急いで駆けつけてきている。
と、「まあに、このくらいのケガ、僕にかかれば何てこと…」といつの間にか来ていたロックハートがハリーの腕に杖を向ける。
…悪い予感がする。
「『ブラキアム・エンメンドー』!」
「させない!!『プロテゴ』!!」
ロックハートが放った呪文がプロテゴによって阻まれる。
ふう…。危なかった。ブラキアム・エンメンドーって骨抜き呪いじゃなかったっけ?
骨折を治すより骨を生やすほうが時間がかかるし痛い...らしい。最悪の事態にならなくてよかった。
「ちょっと!なんで先生の呪文を阻んだの?」
「知らないかもだけど、ブラキアム・エンメンドーって骨を丸ごとなくしてしまう呪文なのよ?そうですよね?」とマクゴナガル先生の方を見ると、
「ええ。ギルデロイ、貴方にはなぜ生徒にこの呪文を放ったのか聞かなくてはなりません。」とロックハートを軽く睨む。
「取り敢えず医務室に行こう。」とロンが言い、共に医務室へハリーを連れていく。
「瞬時に判断を下したミス・スカーレットに10点。」とマクゴナガル先生が医務室に向かう私の背中に向かって言った。
ハリーが医務室に行ったその夜、ハリーが寝ていた医務室のベッドの上になんとドビーがやってきたという。
「あのブラッジャーはやっぱりドビーの仕業だったんだ。僕がケガして帰るように。僕がそんなことであそこに戻るもんか。」
とハリーが怒ったように言う。
というか怪我したら医務室に行くから意味がない気がする、と思ったが、もっと重症だったら聖マンゴに行くことになっていただろうからホグワーツにしばらくいない、と言うことはあったかもしれない。
「にしてもあれはやりすぎだったと思うけど。」
ハリーを守るために行ったのだろうけど、逆にハリーを命の危機に至らしめていた。
「僕もそう思うよ。」とハリーは頷いて、「あと、キングズクロス駅の壁が通れないようになっていたのもドビーがやったって。」と言った。
「それじゃあ僕はただ巻き込まれたってことか?とんだ迷惑だ!!」とロンが叫ぶ。
「やっぱりドビーはハリーをホグワーツに居させたくないのね。」とハーマイオニーが考え込む。
「どうしてなのかしら。もしかしてこの『スリザリンの継承者』騒動と関係があったり?」
「それだったらよりマルフォイが怪しくなるな。」とロンがハーマイオニーの言葉に頷く。
スリザリンの継承者で思い出した。私たちが医務室を訪れたのはまた別の理由だった。
いや、ドビーの話も大事なのだけど、
「私、第二の被害者が出たって聞いたんだけど。」と聞く。
「ああ、うん。隣のベッドにいるよ。」
「ちなみに誰か分かる?」
私達の元には『誰かが襲われた』という情報しか届いていないのだ。
「コリンだよ。コリン・クリービー。僕のお見舞いに来ようとしていたみたいなんだ。」
コリン?
「コリンってハリーの事を追いかけて写真を撮ろうとしていた彼?」とハーマイオニーが言う。
そういえばそうだ。
授業移動の度にハリーの写真を撮ろうとしてくるグリフィンドールの1年生。
いつも私達で無理やり止めていたけれど。
「誰がここに連れてきたんだ?」
「先生たちだよ。廊下で倒れていたって言ってた。あと、カメラを持っていたからカメラで撮ってないかと思って中を見ようとしたら中のフィルムが溶けたんだ。直接は見ていないけど、先生たちがそう言っていたよ。」
フィルムを溶かす?やはり強力な呪いのようだ。
果たして私達で太刀打ちできるのだろうか。呪いの強力さに恐ろしくなってくる。
「あ、そうそう。材料が届いたから『あれ』を作り始めましょう。」
やはりなんだかんだリーマスはポリジュース薬を作ることを許してくれた。秘密の部屋についても調べてみると手紙に書いてあった。
「やっとね。これ以上被害者を出さないためにもポリジュース薬を完成させましょう。」とハーマイオニーと頷きあう。
ホグワーツはサラザール・スリザリン、ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクローの4人で遠い昔に作られました。喧嘩の原因はマグル生まれを入れるか入れないかで、サラザールのみが反対したこと、だそう。
クィレルに妨害されたり、ドビーに妨害されたりして、スリザリン戦でこんなに妨害されているのは何なのでしょうね。
ブラキアム・エンメンドー
骨抜き呪い。当たってしまうと骨がなくなってへにょへにょになってしまう。
骨を一から生やすのは時間がかかるしとっても痛いそう。
巻き込まれて特急に乗れなかったロン
多分二人同時に壁に向かったから巻き込まれちゃったんでしょう。
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