ハリー・ポッターと紅色の魔法使い   作:六原

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ディメンター

 

「久しぶり、ハリー。」

 

「やあ、アリス。あれ、リーマスは?」

 

ハリーが一人でホームを歩いてきた私を不思議そうに見た。

さっきまで隣にいたんだけどなあ…。どこ行ったんだろう。

 

「あー。先に乗り込んじゃったみたい。」

 

「そっか…。」

 

ハリーが悲しそうに言った。

そんなにリーマスに会いたかったのだろうか。

 

「まあでも、ホグワーツで会えるから。」

 

「そうだね!」

 

二人で特急の中を移動する。

 

「それで、隠れ穴ではどうだった?」

 

「うん、楽しかったよ!パーシーが首席に選ばれて、モリーおばさんが大喜びしてたんだ。」

 

「さすがパーシーね。ビルも首席だったんでしょう?二人も首席を出すなんてすごいわ。」

 

「でもまあ、三人目はちょっと厳しそうだけど。」

 

フレッドとジョージは勉強をほっぽり出しているからなあ…。いたずらグッズを作るのも結構大変だから、天才ではあるんだけど。

ロンは...うーん。別にそこまで成績が悪いわけじゃない、というかむしろいい方だけど、流石に首席は厳しそう。

ジニーも首席まで行けるかは今後次第って感じかな。

 

「どうかしら。ジニーはまだとれそうだけど。」

 

「僕だって取る気だよ。」

 

コンパーメントの扉が開かれて、ロンとハーマイオニーが入って来る。

ハーマイオニーの手には猫が抱かれていた。

 

「あら、それじゃあ私が教えてあげましょうか?」

 

首席をあきらめてはいないらしいロンにハーマイオニーが言った。

 

「それは止めておくよ。」

 

「女子の首席はハーマイオニーで決まりでしょうけど。」

 

流石に女子の首席は確定している。

 

「そんなことないわ!!アリスの方がテストの点が高かったじゃない!」

 

「たったの10点、でしょ?今年は抜かされちゃうわよ。」

 

闇の魔術に対する防衛術でのみ私が10点高かったけど、たかが10点だ。

しかも私はリーマスとシリウスから教わっていたから点を取れたけど、勉強で私に追いついているハーマイオニーの方がよっぽど優秀だ。

 

「そういえば、みんなは選択科目はどうしたの?」

 

ハーマイオニーが尋ねてくる。

そういえば選択科目について話していなかった。

 

「ちなみに私は古代ルーン文字と数占い、あと魔法生物飼育学よ。」

 

「私もハーマイオニーと一緒よ。」

 

ハーマイオニーは当初全科目を取ろうとしていたけれど、大変だからと止めた。

全科目取ると逆転時計(タイムターナー)を使うことになるし。

タイムターナーは時間を巻き戻せて便利だけど、それゆえに寝る時間が短くなったりもするし。

なにより、ハーマイオニーにマグル学は必要ないし、占い学は多分向いていないだろうから。どちらかというとハーマイオニーは論理的なタイプっぽいので占い学は多分向いていない。。

 

「僕たちは占い学と魔法生物飼育学だよ。」

 

どうやら全員魔法生物飼育学を取ったようだ。

 

「魔法生物飼育学といえば、教科書が暴れて大変だったよ…。」

 

ロンがため息をついた。

 

「背表紙を撫でればいいのよ。」と、私がロンのかばんの中で暴れる教科書の背を撫でると普通の本のように大人しくなった。

 

「本当だ!!ありがとうアリス。おかげで紙を食べられる心配がなくなったよ!」

 

自分の教科書を撫でたハリーが言った。

ということは紙を食べられたんだろうな…。

 

「こんなのを教科書にするなんて、先生はどんな人なんでしょうね。」

 

「きっとやばい奴だよ…。こんなのを教科書にするなんて普通じゃない。」

 

 

 

新学期のことについて話していると、

「ねえ、何だか寒くない?」

とハーマイオニーが突然言った。

 

「そうか?」

 

ロンは首を傾げた。

 

「確かに言われてみたら少し寒いかも。」

 

四人で顔を見合わせていると、今度はすぐに分かるぐらい寒くなった。

コンパーメントの扉と窓が白く凍っていく。

 

「どうしたんだろう?」

 

と不思議そうに言うハリーの息は白い。

 

特急の速度が段々遅くなっていく。

そして特急は停止した。

 

「まだホグワーツじゃないよな…?」

 

「ええ。まだかかるはずよ。」

 

ロンとハーマイオニーが不安そうに言う。

 

「ねえ、女の人の叫び声が聞こえない?」

 

顔を真っ白にしたハリーが呟いた。

 

「そんなの聞こえないわよ?」

 

ハーマイオニーが心配そうに言う。

 

「きっと寒いからよ。ほら、『インセンディオ(炎よ)』。」

 

持ってきていたランタンに火を灯すが、コンパーメントの温度は寒いままだった。

 

「どういうこと?もしかしてただ寒気が来てるとかじゃないってこと?」

 

「じゃあ誰かが魔法を使って?」とロンが言ったその時、天井の電球が割れた。

 

パリン、と音を立てて破片が飛び散る。

幸いにもランタンがあったので、完全な暗闇にはならなかった。

 

「おい!!いったい何が起きてるんだ?」

 

「見て!!外に何かいるわ!!」

 

ハーマイオニーが指さした先には、白い布のようなものの姿。

 

「嘘、どうしてディメンターが…。」

 

ディメンターはホグワーツに配置されるとは聞いていたけど、特急を襲うのは聞いていない。

 

「ディメンターだって!?」

 

「ディメンターはアズカバンの看守でしょう?どうしてここに…。」

 

ディメンターがコンパーメントの中へ入ってきて、ハリーの魂を吸おうとする。

慌ててディメンターに杖を向ける。

 

「ディメンターにはどんな呪文も効かないわ!!」

 

ハーマイオニーが慌てて私に言ってくる。

 

「大丈夫よハーマイオニー。『エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)』!!」

 

私が唱えると銀色の狼が現れ、ディメンターが消えていく。

狼はコンパーメントの扉から外へ飛び出していった。

と、同時に寒さがなくなった。

寒さもディメンターの仕業だったのか…。

 

「アリス、今のは...」

 

「守護霊の呪文よ。ディメンターに効くのはこの呪文だけなの。」

 

とにかく今はディメンターに襲われていたハリーを助けなくては。

 

「ハリーは?」

 

「多分気絶しているだけだよ。」とロンが言う。

 

よかった…。ディメンターに幸せな記憶を吸われてしまうと、廃人になってしまう。

最悪の事態は避けられたみたいだ。

 

「二人もチョコを食べて。食べたら元気がでるから。」

 

まだ少し青ざめた様子の二人にかばんから取り出したチョコを割って差し出す。

 

「ええ…。ありがとうアリス。」

 

三人でチョコを食べていると、扉が開いた。

 

「アリス!!」

 

リーマスが慌てた様子でコンパーメントに入って来る。

 

「狼の守護霊が廊下を走っていたからあわててやって来たんだが、無事みたいだな。」

 

「ええ。私は大丈夫なのだけど、ハリーが影響を受けちゃったみたい。」

 

リーマスがハリーに近寄る。

 

「おそらくはしばらく待てば目覚めるだろうから、そしたらチョコレートを食べさせるんだ。いいかい?」

 

「分かってる。」

 

リーマスは車掌に言ってくる、とコンパーメントを出た。

 

「アリスって守護霊が出せたのね!」

 

チョコを食べて元気になったのか、ハーマイオニーが聞いてくる。

 

「夏休みに練習したのよ。実践では初めてだったからよかったわ。」

 

チョコをかじると、段々と体が暖かくなっていく。

 

「私も出せるようになりたいわ!!教えてくれない?」

 

「いいけど、習得するのに結構時間がかかるわよ?」

 

「うーん。新しい授業も入って来るし、今練習したら大変かしら?」

 

「そうね。まあでも、ハーマイオニーならいける気もするし、どうする?」

 

「やっぱり、教えてもらおうかしら。でも、授業に慣れてきてからお願いするわ。」

 

「それまでに教え方を考えとくわね。」

 

「二人は余裕があっていいよなあ。」

 

私とハーマイオニーのやり取りを聞いていたロンが羨ましそうに言った。

 

「だって、結局将来必要になるんだったら、今のうちに習得しておいた方が絶対にいいもの。」

 

「将来守護霊を出すタイミングなんてあるか?」

 

「あるわよ!!守護霊はメッセージを運ぶことだってできるのよ?」

 

「フクロウを使えばいいじゃないか!」

 

「フクロウ便だと途中で手紙を奪われるかもしれないから、重要なことは守護霊呪文を使うのよ!!」

 

「へえ。それも本に書いてあったのかい?」

 

「そうよ…。」

 

ロンからの皮肉っぽい質問にハーマイオニーは少し顔を赤くしながら答えた。

このまま放っておくとずっと口げんかしていそうなので、話を変えようと口を開く。

 

「ハーマイオニーは将来魔法省で働きたいの?闇祓い志望?」

 

「うーん。まだ具体的には決めてないけど、魔法省で働くのもありだとは思ってるわ。」

 

「重要情報なんて魔法省しか扱わないさ。」

 

「いいえ!そんなことありません!!」とロンを軽く睨んでから、

「でも、何というか、今の魔法大臣の下で働くってなると...ね。」と言った。

 

「今の魔法大臣ってファッジだろ?別に大した特徴は無くないか?」

 

「だって、ハグリッドを逮捕するのを許可したのはファッジよ?」

 

まあ確かに理想のリーダー像ではない感じがする。

そういえばハリーを無罪放免としたのもファッジだ。

 

と、

 

「あの…えっと、何があったの?」

 

とハリーが起き上がった。

 

「ハリー!!」

 

「ハリー、とにかくチョコレートを食べて。」

 

戸惑うハリーに無理やりチョコを渡す。

 

「ハリーがチョコを食べている間に何があったのか説明するから。」

 

「う、うん。分かったよ。」

 

ハリーにディメンターが襲ってきたことと、ディメンターは幸せな記憶を奪ってくることを説明する。

 

「ディメンターが襲ってきたとき、母さんが僕をかばってヴォルデモートに緑色の呪文を放たれてるのが見えたんだ。」

 

「ディメンターが近づいてくると、その人のトラウマが呼び起こされるの。」

 

「なんでそんなのが野放しにされてるんだ!?」とロンが叫んだ。

 

「さあね。」

 

ホグワーツに配置されるとは聞いていたけど、流石にホグワーツ特急を襲ってくるのは聞いていない。

そもそもホグワーツに配置されるのもよくわかんないけど。

ディメンターのことも結局は魔法省が決めるわけだから、やっぱりファッジを信頼は出来ない。

 

 

ホグワーツ特急が再び止まる。

でも今度こそ、ホグワーツに到着だ。




ここまで来たのが嬉しすぎて書いてる時のタイトルは「やっとほぐわーつ!!!」です。
ホグワーツまで行くといろんなことが起こって楽しいんですよねー。
読み返してたらここまでの話での漢字ミスが多すぎて…。


首席
学年で一番頭がいい人。
勝手に女子と男子で選ばれると思ってた。監督生と多分混ざってる。

タイムターナー
逆転時計。時を巻き戻す。つまり未来から来たハーマイオニーと現在のハーマイオニーと言う感じでハーマイオニーが2人いる状況になる。なのでルールとしては、もう一人の自分に会ってはいけない。
選択科目をすべて取ると授業の被りが起きて、タイムターナーを使って授業に出席することになる。
原作ではハーマイオニーは全科目取ったため、タイムターナーを使用していた。
原作では結構話の展開的に重要だったので、タイムターナー無しで話を進められるのか?

ホグワーツ特急からは呪文使っていいという解釈。理由として魔法使いしかいないし、ギリギリホグワーツの敷地と言えると思ったので。

ディメンター
吸魂鬼。幸せな記憶を吸って生きている魔法生物。
普段はアズカバンの看守。

緑色の呪文
アバダケダブラ。死の呪文。

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