ハリー・ポッターと紅色の魔法使い   作:六原

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タイトルを闇の魔術に対する防衛術にしようとしたらロックハートの回でもう使っていた…。

三人称視点です!!!


まね妖怪

ついに闇の魔術に対する防衛術の授業がやって来た。

 

「今日はリーマスの授業よ!!」

 

「やっぱり安心感があるわね。」

 

「これまででまともだったのはリーマスだけだしな…。」

 

ロンはクィレルとロックハートを思い出しながら言った。

皆の頭の中にも二人の顔が思い浮かんでいた。

 

「僕、ずっとリーマスに教えてもらいたいよ。」

 

頭に憑依されていた人に教えてもらうのも、忘却呪文で人の手柄を自分の手柄にしていた人に教えてもらうのも流石に遠慮したいなあ…とハリーはため息をついた。つまり今のところまともな闇の魔術に対する防衛術の先生というのがリーマスしかいないのだ。

 

「ところで!初回って何をするのかしら。リーマスの事だから驚くような授業をしてくれるでしょうし。何か言われたりしてないの、アリス。」

 

「さあね。楽しみはとっておきべきだって教えてくれなかったのよ。」

 

「僕、占い学の教室に行く時とは正反対の気持ちだよ!!」

 

「楽しみで仕方がないんでしょう?」

 

「ああそうさ!!」

 

今にもスキップしそうなほど、ロンはご機嫌だった。

その様子につられて他の三人も笑顔で廊下を歩いた。

 

 

 

リーマスが教室に入ってくる。

 

「みんな、待たせたね。」

 

リーマスが生徒たちに微笑みかけると、大きな拍手と歓声が上がる。

 

「まってたぜリーマス!!」

 

「ルーピン先生!」

 

リーマスは全員を嬉しそうに見まわしてから、「今日は実地授業をしようと思うんだ。さあ、みんな後についてきて!」と教室の扉を開いた。

 

移動するために立ち上がりながら、「やっぱリーマスは最高の教師だ!!」とロンが言った。

 

アリスは「やっぱり実技だった!戦ったりするのかしら?いえ、生徒同士ではさすがにさせられないでしょうし…ということはリーマスと!?」と考え、「楽しみね!!」とハーマイオニーに言った。

 

「私も楽しみだけど、貴女ほどではないかもね。」

 

期待で笑顔のアリスを見てハーマイオニーも笑った。

 

 

 

「あら。もう着いたのかしら?」

 

生徒たちを引き連れて歩いていたリーマスが扉の前で立ち止まった。

アリスたちは後ろの方にいたので、目的地に着いたから止まったのか、何かあって立ち止まったのか判断できないのだ。

 

ハーマイオニーの言葉が聞こえたらしいリーマスが、

 

「ちょっと厄介なことになっていてね。」と苦笑しながら杖を抜いた。

 

リーマスの言葉を聞いてアリスが生徒たちの隙間から、前で何が起きているのか覗こうとする。

成長期のグリフィンドールの男子生徒は、身長が大きく、体つきもよく、アリスの視界はほとんど塞がれているのだ。

 

そんなアリスに、「教室の鍵穴にガムが詰められていて、中に入れないんだよ。」とハリーがそっと教えてあげた。

 

「大した問題じゃないさ。じゃあみんなよく見ているんだよ、『ワディワジ(逆詰め)』!」

 

リーマスが呪文を放つと、鍵穴からガムが部屋の方へと飛んで行った。

すると、部屋の中から「うわぁ!!!」と叫びながらピーブスが飛び出してきた。

ピーブスは部屋の扉をすり抜けて、廊下の先へ飛んで行ってしまった。

 

「ピーブスの悪戯だったみたいだね。ホグワーツに通っていたころはよく悪戯に引っかかっていたよ。」と言いながら、リーマスは扉を開いた。

 

 

部屋の中にはタンスが一つ置かれただけだった。

生徒たちは皆、これから何が行われるのか期待に胸を膨らませながら席に座った。

 

「部屋の中に魔法生物でもいるのかと思ったよ…」と安堵のため息を吐いたロンの言葉が聞こえたのか、

「いや、魔法生物はいるよ。この中にね。」とタンスに近寄りながらリーマスが言った。

 

「さて、この中に何がいるのか、答えられる人はいるかな?」とリーマスが言うやいなや、ハーマイオニーが手を挙げた。

 

「この中にはまね妖怪がいると思います。」

 

ハーマイオニーの答えを聞いてリーマスは驚いたように頷きながら、「正解だ。では、まね妖怪の説明もできるかな?」とさらに質問をする。

 

「はい。まね妖怪は目の前にいる人の一番の恐怖を映し出します。今は教室に人がたくさんいるので誰の恐怖になればいいのか分からず、タンスから出てこないのだと思います。」

 

「流石だね。」とリーマスは満足そうに頷く。

 

リーマスに褒められ、ハーマイオニーは少し照れて赤くなった。

 

 

「よし。では一人ずつまね妖怪と戦ってみようと思う。でも、何もなしに戦うんじゃない。呪文を教えよう。『リディクラス』だ。この呪文について知っている者は?」

 

アリスとハーマイオニーが手をあげたのを見てリーマスは、「ミス・グレンジャーにはさっき答えてもらったからミス・スカーレットに答えてもらうことにしよう。」とアリスをさした。

 

「はい。この呪文はまね妖怪にしか効果がありません。効果としてはまね妖怪の姿を変えることができます。この呪文を使うことで恐怖の姿から全く恐怖でない姿にすることができます。まね妖怪は笑われることに弱いので、この呪文は最も効果的だと言えます。」とアリスは立ち上がって答えた。

 

リーマスはアリスの答えに満足そうに頷き、「そうだ。まね妖怪を倒すためには、ばかばかしい姿に変える必要があるんだ。」とまとめた。

 

そしてリーマスはネビルを指名し、彼の恐怖であるスネイプに彼の祖母の服を着せるイメージを持たせ、まね妖怪と戦わせた。ネビルが呪文を唱えると、睨みつけてきたスネイプの服がおかしな魔女の服に変わり、教室が笑いに包まれた。

 

「よし、この調子で皆もやってみよう!!」

 

生徒はぞろぞろとタンスに並ぶ。

我先に!と先頭を争うのはグリフィンドール生らしいと言えるだろうか。

 

教室はまね妖怪の恐怖の姿への悲鳴とばかばかしい姿への笑いが交互に起きていた。

ロンは巨大な蜘蛛にローラー靴を履かせ、滑って転ばせた。

 

「よしいいぞ!!」とリーマスはまね妖怪を笑いながら生徒たちを褒めていた。

 

「よし、次は僕の番だ。僕の恐怖は何なのだろう…」とハリーが滑って転んでいる蜘蛛の前に立った時、リーマスがハリーとまね妖怪の間に割り入った。

 

まね妖怪は銀色の球体に変わり、リーマスによって風船に変えられ、タンスに閉じ込められた。

 

「よし、今日はここまでにしよう。まね妖怪は別のクラスでも使うから、君たちに倒されちゃう前に授業を終わりにしなきゃね。まね妖怪と戦った全員にそれぞれ1点ずつ。質問に答えてくれたミス・グレンジャーとミス・スカーレット、まね妖怪との見本を見せてくれたミスター・ロングボトムには2点ずつだ。」

 

リーマスが言い、授業は終了となった。

 

 

「なんで僕の番の直前で終わらせたんだろう…。」

 

廊下を歩きながらハリーはそのことをずっと考えていた。

まね妖怪を倒したことを誇らしげに話すロンの言葉はハリーの耳を右から左へ流れていくだけだった。

一方アリスとハーマイオニーは、順番が回ってこなかったため、番が来ていたら何に変身していたのか予想していた。

 

「ハーマイオニーはマクゴナガル先生が答案用紙を持ってたりするんじゃない?それかトロールかも。」

 

「確かにトロールはトラウマね。アリスはトラウマになってなさそうだけれど。」

 

トロールは倒せるから怖くないし、ヴォルデモートには会ったことないからそんなに怖くはないし…。とアリスは考えて、

 

「うーん、トロールよりはディメンターの方が怖いかもしれないわ。」と言った。

 

「ハリーは?」

 

まだ自分の番の直前で終わらせられてしまったことに不満で、会話に入ってこなかったハリーにハーマイオニーが声をかける。

 

「僕はディメンターかな。」

 

「例のあの人じゃないのかい?」

 

「ディメンターの方が僕にとっては恐怖かな。」

 

そう答えたハリーを不思議そうにロンは見つめた。

 

「でもロンはまね妖怪が蜘蛛になってたじゃないの。」

 

「確かに。僕だって例のあの人より蜘蛛の方が怖いってことだもんな。」

 

ハーマイオニーにまね妖怪について指摘され、ハッとなるロン。

 

「他のみんなもそれぞれの怖いものって感じで、ヴォルデモートは一回も出てこなかったわね。」

 

「意外とみんな怖いと思っていないのかしら。」

 

ハーマイオニーが首を傾げる。

 

「いやいや。十分怖いさ。でも一番じゃないってだけだ。だってさ、僕小さいころに抱きしめてた蜘蛛のぬいぐるみをフレッドとジョージに蜘蛛に変えられたんだぜ?そんなことされたら誰だってトラウマになるさ...。」

 

しばらく話しながらハリー達は歩いていたが、不意にハリーはアリスに近寄り、話しかけた。

 

「アリスはさ、どうしてリーマスが僕の番で止めたか分かる?」

 

まだそのことを気にしていたのね、とアリスはため息を吐いた。

 

「きっとまね妖怪がヴォルデモートに変身すると思ったんでしょう。私もそうだと思っていたから、ディメンターだって聞いて少し驚いたわ。」

 

どうして僕が実際にやる前に止めたんだ...みんな僕を勝手に決めつける...とハリーの心の中でリーマスへの不満が沸きあがる。

 

「リーマスに頼んでまね妖怪と戦わせてもらう?」

 

「いや、いいよ。そういうことじゃないんだ。」

 

「勝手に止められたのが嫌なの?」

 

アリスの言葉にハリーはわずかに頷いた。

 

「リーマスは過保護なのよ。ヴォルデモートが出てきてハリーが精神的にダメージを受けてしまわないか心配だったのね。それに、他のみんなも少なからずヴォルデモートへ恐怖を持っている。教室でヴォルデモートが出たらパニックになってしまうと思ってハリーを止めたんだと思うわ。」

 

「分かってるよ。分かってるんだけどさ...。」

 

リーマスの肩を持つアリスに、ハリーはさらに不満を抱いた。

 

「でもそうね。勝手にこうだって決めつけたのはリーマスに比があるわ。それに、ハリーがもう充分一人で戦えるってことをまだ知らないのね。」

 

充分一人で戦える、というアリスの言葉に、アリスへの不満が軽くなる。

次第に冷静になっていき、これまでアリスに自分の不満を押し付けていたことにハリーは気づいた。

 

「そうだね。ごめんアリス。君にこの…むしゃくしゃした感情を押し付けて。」

 

「大丈夫よ。親の責任を取るのも子供の役目だわ。」

 

そう言って笑ったアリスを見て、ハリーは、親代わりであるリーマスへの不満を言っていた自分が恥ずかしくなった。

自分の両親への不満を言われて、僕はマージ伯母さんを膨らませてしまったのに、アリスは僕の味方までしてくれた...。

申し訳なさと自分の話を聞いてくれた感謝を込めて、「ありがとう。」とハリーは言った。

 




コメントをいただいて、三人称で書いてみました。どうでしょうか?
私的には三人称で書いてみて、とても書きやすく感じました。
ご意見ありがとうございました!


闇の魔術に対する防衛術教師にまともな人が全然いない。
今後登場する人もあんままともじゃない。クィレルの前まではまともであってほしい...。

・ワディワジ
この場面で有効な状況なんてあるのか??
こんなマイナーな呪文も使えるルーピン先生は流石。

・ピーブス
ピーブスって今回初登場でしたっけ
ホグワーツにいるポルターガイスト。悪戯ばっかりするので、ホグワーツの全教師が手を焼いている。

・リーマスは1978年までホグワーツに通っていた。

・まね妖怪(ボガート)
ほぼ作中で言われていた通り。目の前に立つ者の最も恐れるものに姿を変える。
特定の形を持たない。有機物にも無機物にもなれる。
水中に沈む赤子の姿を映し出せていたので、どんな形にでもなれるものと思われる。
(『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』参照。)

・リディクラス
意味は「ばかばかしい」。面白い姿を想像しながらこの呪文を唱えることで、まね妖怪の姿を想像している姿に変えることができる。

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