あんまり時間的には進まないですが、
「よし、さっそく守護霊の呪文について、今日から頑張ろうか、ハリー」
「うん。よろしく、リーマス」
リーマスは自室でハリーを教えることにした。
この部屋にはハリーとリーマス以外にもう1人いた。
アリスが部屋の端で座っていることに、ハリーは部屋に入った瞬間から気づいていた。
今もリーマスに返事をしたものの、目線はアリスの方へ向いている。
「最初は感覚をつかむのが難しいと思うから、アリスにも練習に付き合ってもらうよ」と、ハリーの目線に気づいたリーマスが説明した。
「守護霊を出せるように頑張りましょうね、ハリー」
アリスに微笑みかけられ、ハリーは「うん」と力強く頷いた。
しかしやはり声からは不安を感じ取れた。
「呪文は『エクスペクト・パトローナム』。この呪文で、守護霊を出すことが出来る。それは知っているね?」
まずは基礎的なところの確認だ。呪文を知っていないとお話にならない。
「うん」
「それじゃあ、守護霊を出すにはどうすればいい?」
リーマスがハリーに質問する。
「えっと、確か、幸せなことを考える?」
「そうだ。グリフィンドールに10点」
「ぽいぽい加点しないでよ?」
とアリスがリーマスに言う。
「いや。守護霊呪文は学校で習う範囲じゃないから、この加点は適切だよ。予習はばっちりと言う訳だ」
「そうね。じゃあ、守護霊を出せるとどんな便利なことがある?」
「ディメンターを退治できる」
ハリーは目の奥に闘志の炎を燃やしながらそう言った。が、アリスは困ったように首を傾げた。
「うーん。そうとも言えるし、そうじゃないとも言える......」
「え、アリスだって、守護霊を出してやっつけてたじゃないか!?」
アリスの守護霊はホグワーツ特急でもクィディッチの時もディメンターに立ち向かい、ハリーを救った。
それを知っているハリーは、アリスの答えが不思議だった。
「具体的には退治してはいないんだ。遠ざけるだけだ」
それを聞いてハリーは少しがっかりした。ディメンターを倒して自分の身を守れるのだと思ったのに、と。
「本当に協力な守護霊なら倒せるらしいけどね」
「ああ。あと、守護霊を出せることの利点はもう一つある。実際にやってみようか。アリス」
リーマスがアリスに目配せする。アリスはリーマスの考えが分かったようで、
「オッケー。『エクスペクト・パトローナム』」と守護霊を出した。
狼の守護霊は駆け回ることなく、アリスの前に座っている。
「私はアリス・スカーレットよ。これをリーマスへ」
とアリスが守護霊に言うと、守護霊はリーマスの前に座り、「私はアリス・スカーレットよ」と言った。
「守護霊って話せるの!?」
「いや。これは伝言のようなものだ。言葉をあらかじめ入れて置き、遠くにいる者へ届けることが出来る」
守護霊はいわば霊体、実態を持っていない。なのでどこでも飛んで行けるし、壁も気にする必要がない。
「これがね、とっても便利なの。フクロウ便で済むならいいんだけど、フクロウ便って検査されたり、途中で襲撃にあったりする可能性があって。絶対にそう言うのを避けなければいけない情報を伝えたい時とか、いち早く伝えたい時は守護霊を使うといいわよ」
「取り敢えずは守護霊を追い払えるようになろう。さあ、早速練習を始めようか。杖を構えて」
ハリーは慌ててローブから杖を取り出した。
「振り方は意識しなくていい。そうだな......。動かさないで、真っすぐ腕を伸ばすんだ」
ハリーは杖先を真っすぐ前に向けた。
「幸せなことを頭いっぱいに考えるんだ」
ハリーは自分が魔法使いだと分かった時、クィディッチで初めて勝った時、杖を買った時、と幸せなことを思い浮かべてみた。
「そしたら呪文を言ってみよう」
「『エクスペクト・パトローナム』!!」
ハリーは強い言い放ったが、杖先からは何も出なかった。
「僕、幸せなことを考えたつもりだったんだけど......」
「その記憶では不十分だったようだね。この呪文はとても難しい。だが、何度も練習をすれば成功するはずだ」
「私も一発で成功させることは出来なかったもの。だから何度も挑戦しましょう?」
「うん。ありがとう2人とも」
次の日は、ハーマイオニーの守護霊呪文の練習だ。
「アリス!今日もよろしくね」
前回と同じ空き教室で練習することになった。
「うん。前回より少しでも進歩すればいいんだけどね」
「一応練習してみたんだけど、結局守護霊は出せなかったわ」
とハーマイオニーがため息を吐く。
「幸せな記憶でいっぱいにするのよ」
杖を構えたハーマイオニーに、横からアリスが言う。
「ええ。『エクスペクト・パトローナム』!」
ハーマイオニーが唱えると、杖先から白い靄が出た。
「アリス!これって!!」
「やったわね!」
と2人で手を合わせて喜ぶ。
「ここまで来たら、実体まではあと少しよ!頑張りましょう!!」
「ええ!!」
とハーマイオニーの守護霊呪文の練習は順調そうだ。
一か月後には、ハーマイオニーの守護霊呪文は完成しかけていた。ぼんやりとシルエットが見えるようになってきたのだ。そのことがよっぽど嬉しかったのか、ハーマイオニーは朝食の席でも上機嫌だった。
その様子を見てハリーは焦りを感じた。ハリーは未だ前進できていないのだ。ほとんど同じ期間練習しているはずなのに、あと少しのハーマイオニーと、全くのハリー。どうしても自分と比べてしまうのだ。
「ハーマイオニー。順調そうだね」
とハリーがハーマイオニーに声をかけた。
「ええ!あと少しだってアリスから言って貰えたのよ!」
と満面の笑みでハーマイオニーが答えた。
ハリーは、
「......そっか」
と俯いた。その様子から、あまり進んでいないんだな、とハーマイオニーもロンも分かった。
アリスはリーマスから聞いていた。
「大丈夫よ。焦らずにね。ハーマイオニーだって、ここから先で躓くかもしれないし」
とアリスが悪戯っぽく言って励ました。
「そうね。案外幸せなことだけを考えろって言うのが難しいのよ」
「そうか?」
とロンが首を傾げた。その向かいではアリスがハーマイオニーの言葉に何度も頷いていた。
「だって、守護霊は何かな、とかそういう雑念が頭をよぎるのよ」
「でももう出せそうなんだろ?これでハーマイオニーもハリーも守護霊を出せる様になったらさ、僕だけ出せないんだよな」
「ロンも一緒に練習したいの?」
「守護霊呪文を出せるような凄い奴が周りにいっぱいいるなんてすごいなって思ってさ。憧れるよ」
「ロンなら、練習したら出せるようになるわよ」
「いや。ディメンターに襲われたら3人に頼るさ」
とロンは笑って言った。
「大群が襲ってきたら見捨てることになるわよ」
とハーマイオニーが呆れたように言ったが、
「ディメンターが襲ってくるなんてめったにないんだから平気さ!!」
とロンは気にしていない様子だ。
「将来後悔するわよ?」
とアリスもロンに呆れた。
1時間目の授業は呪文学で、ペアで行う授業だった。
そこでは、ハリーとアリスがペアになった。
今日習う呪文は『フィニート・インカンターテム』。呪文を終わらせることが出来る。
その練習として、ペアにかけられた呪文に対処する授業だ。
「『インカーセラス(縛れ)』」
とアリスが唱えると、ハリーが縄でぐるぐる巻きにされる。
が、ハリーは縛られたまま、何もしない。
「ほら、ハリー。早くほどいて?」
とアリスが声をかけると、
「......あ、ああ。うん。えっと、『フィニート・インカンターテム(呪文よ終われ)』」
とハリーは慌てて呪文を唱えた。
しかし慌てていたからか、呪文は発動しなかった。
「『フィニート』。ほら、ハリー。もっとしなやかに杖を動かして」
とアリスが言うものの、ハリーは心ここにあらずな様子だ。アリスが省略形の呪文を使ったことにも何も反応していない。
「どうしたの、ハリー。そんなに守護霊が出せなくて困ってるの?」
とアリスが声をかけると、
「うん。リーマスの言った通りにしてるはずなんだけど......」
とハリーが俯いたまま答えた。
「代わりに私に教えて欲しいって言いたいの?」
「リーマスが悪いんじゃないって本当は分かってるんだよ。分かってるんだけど......」
中々上達しないことで、ストレスが溜まっているようだ。
「幸せなことがもっとあったらいいんじゃないかしら?」
「え?」
「幸せな記憶が沢山あった方が良いんじゃないかなって思って」
「僕はダーズリー達のところで暮らしてたから、それで幸せな記憶が少ないってことか!!」
と、納得がいって笑顔になったハリーを縄が縛り上げた。
勿論呪文を唱えたのはアリス。ハリーは目を疑った。
「ちょっとアリス!」
「それを言い訳にしないの。すーぐ自分の育った環境を理由にするんだから!!これから作ればいいじゃない」
アリスは腰に手を当てて、呆れたように言った。
「どうやって?」
「......どうしよう?取り敢えずリーマスとシリウスと話し合ってみよっかな」
「楽しみにしてるよ」
「じゃあ授業を続けましょうか」
「『フィニート・インカンターテム』!!」
ハリーの呪文によって、縛っていた縄がほどけていく。
「よし!成功したぞ!!」
「次は私の番ね」
「えっと、『ウィンガーディアム・レヴィオーサ』!」
ハリーが杖を振ると、アリスの体が急上昇した。
アリスは驚きながらも冷静に上を構えた。
「『フィニート』急に浮かび上がるからびっくりした......」
と地上に戻ってきたアリスが言った。
「ごめん。でも、これが一番最初に思い付いて」
と2人が話していると、
「アリス、あなたやっぱり、フィニート・インカンターテムじゃなくて、フィニートって言ってるわよね?」
と、ロンとペアを組んでいるハーマイオニーがやってきた。
「うん。長いと言い間違えそうで」
「そういう問題じゃないわ!」
「え?違うのかい?」
とロンが首を傾げた。
「全然違うわ!!理論上では無言呪文と同じくらい難しいのよ!?」
とハーマイオニーがロンに向かって言った。
「昔からフィニートで教えてもらってたからかな?そんなに難しいと感じなかったけど......」
「フィニートでもいいが、授業ではフィニート・インカンターテムで覚えてもらいたいですね」
といつの間にかやって来ていた、フリットウィック先生がそう声をかけた。
「分かりました、先生」
その日の放課後は、守護霊の呪文の練習。
いつもと同じように、ハーマイオニーはアリスに教えてもらいながら守護霊を出そうと奮闘していた。
「一旦休憩にしましょう」
守護霊の呪文は体力的にも精神的にもとても大変な呪文だ。
2人で話しながら休憩をしていたが、不意にハーマイオニーが、
「アリス、あなた無言呪文出来るわよね?」
と言った。
「まあ、簡単なのなら......?」
とアリスは内心とても焦りながら答えた。無言呪文を使うのはとても難しい。アリスは無言呪文の才能があった。けれど、どう考えても一般の3年生が習得できるものではない。なるべく隠していようと思っていたのだ。
「今日の呪文学で、ハリーに無言呪文でインカーセラスしてたでしょう?」
見られてたのか......。とアリスは俯いた。
「インカーセラスはとても難しいわけじゃないけど、今の私達が無言呪文で使えるのはルーモス、ノックスぐらいのはず。ねえ、入学前から無言呪文を習ってたの?」
ハーマイオニーは才女だ。その才能を甘く見ていたな......とアリスは反省した。
「まあ、ね。無言呪文は習っていたわ。あとね、杖の材木が無言呪文に適しているものらしいの。だから成功させやすいのかもね」
「アリスの育ての親ってリーマスでしょ?」
「うん。でも、無言呪文を身に着けるべきだって言ったのはシリウス。過保護なのよね」
無言呪文が使えたほうが自分の身を守るのに役立つ!将来の為にも絶対に習得すべきだ!というシリウスの強い主張の結果、無言呪文を習得することになったのだ。
「私も無言呪文が使いたいわ!!」
とハーマイオニーが目を輝かせる。
「別に今習得しても役に立たないよ?戦いの時に強いものだし」
「そうね......。じゃあ、時が来たら」
「うん。時が来ない方がいいけどね」
と2人で笑う。
「アリスが使える無言呪文で一番強いのは何?」
「プロテゴかしら?」
プロテゴは防御呪文で、盾を出すことが出来る。が、それを習うのは5年生だ。
「私はまず使えるようになるところから始めなきゃなんだけど」
「私はアドバンテージが大きいだけだって。予習してるだけよ。すぐにハーマイオニーに抜かされるわ」
突然、扉がノックされた。2人とも心当たりがなく、顔を見合わせた。
「アリス、ハーマイオニー」
と扉越しに声が聞こえた。
「ハリー!?どうかしたの?」
とハーマイオニーが慌てて扉を開ける。
「今日はリーマスと練習じゃなかった?」
とアリスが不思議そうに言う。
「うん。そうだったんだけど、ちょっと席をはずせって。......スネイプが来て、そう言ったんだ」
「スネイプ先生が来たの!?」
予想外の人物の登場に2人とも驚く。
「うん。魔法薬を持ってたよ」
「それは本当?」
アリスがハリーに近寄って聞いた。なにやら真剣なまなざしでハリーを見ている。
「うん。なんか、緑色の煙が上がってて、いかにも怪しそうだった」
それを聞いてアリスの表情が硬くなった。
「ハーマイオニー。今日の練習は終わりにするわ」
「え!?なんで?」
突然アリスに言われ戸惑うハーマイオニー。
「私、2人と話してこなきゃ」
「僕、リーマスに続きはアリスから教えてもらえって言われたんだけど......」
「じゃあ、ハーマイオニー。私の代わりによろしくね」
「え、ちょっと!!私、成功してないわよ!?」
「それでもハリーよりは進んでいるはずよ。じゃあね」
と言って2人に手を振り、アリスは部屋を後にした。
「......どうする?」
「2人で頑張るしか無さそうね」
部屋に残された2人は顔を見合わせ、頷きあった。
あのですね、この作品の大まかな流れを書いたのを過去の私が勝手に消してしまって!!
もう何にも覚えてません!ここまでの流れもあんまり覚えてません!!まずいです!
なので今後作風?が変わるかもしれません
しかも別作品も書いた影響でごちゃごちゃです。
頑張ります......。ラストまでちゃんと書いていたのに!ああああ。ショックです。
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