ハリー・ポッターと紅色の魔法使い   作:六原

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飛行訓練

 

次の授業は飛行訓練だった。グリフィンドールとスリザリンの合同だそう。これは何も起きないわけがない。なんてったってこの2寮は仲が悪いことで有名だから。それよりも、『グリンゴッツに強盗が侵入』という新聞の見出しが気になるけれど。あの鉄壁のグリンゴッツが侵入を許すなんて…中々の腕前の魔法使いであることは確かだ。闇の陣営の仕業かもしれないから、気をつけなくては…と考えていると

 

「ねぇ、アリス。」

 

とハーマイオニーが声を掛けてきた。不安そうな顔をしながら分厚い本を数冊抱えている。

 

「どうしたら箒で飛べるのかしら。クィディッチ今昔を暗記したのだけれど…」

 

やはり不安なのか早口で言われる。クィディッチ今昔はクィディッチのチームの情報やクィディッチの起源、ルール、道具が書かれているだけで技法は載っていないと思うのだけど。

 

「箒に乗るのに知識はあんまり必要ないわ。」

 

「え!じゃあどうやって習得したらいいの?」

 

「まあ、実践あるのみ、ね。」

 

と言うとハーマイオニーはがっかりしていた。後ろで、ネビルが皆に届いたものを見せているのに気づく。

 

「ねぇ、アリス。あれって何?」

 

「あれは思い出し玉といって、握り主が何かを忘れていると中の煙が赤くなるの。ほら、」

 

ネビルが握ると思い出し玉は赤くなった。

 

「へぇ…魔法道具って面白いのね。」とハーマイオニーが言う。

 

「他にも色々あるから紹介したいけれど、飛行訓練だから急ぎましょう。」と言い、朝食を食べる。

 

 

 

ハリー視点

 

いよいよ飛行訓練だ。校庭には沢山の箒が置かれていた。

 

「なにをボヤボヤしているんですか!箒の前に立って!」

 

フーチ先生が呼びかける。

 

「箒の上に手をかざして『上がれ!』と言う!」

 

皆口々に、上がれ!と言った。僕が上がれ!と言うと、箒は手の中におさまった。周りを見ると箒が上がっている人は少なかった。ネビルの前に置かれた箒はピクリとも動かなかったし、ハーマイオニーの箒も上がっていなかった。2人ともとても緊張しているみたいだ。ロンは何度目かで上げることに成功していた。皆の様子を見ていると、

 

「さすがねハリー。」

 

と隣のアリスがささやく。

 

「ありがとう。アリスも一発で上げられたんだね。」

 

アリスの手には箒がしっかりと握られていた。それに、流石なんて元から僕が箒を上げることに成功すると分かっていたみたいだ。

 

箒が上がらなかった人も取り敢えずは手に持って、いよいよ飛行だ。

 

「では、皆箒に跨って。3.2.1.で行きますよ。では…3.2.…」

 

1と言う前にネビルが「うわぁー!!!」と叫びながら上がっていった。

箒をコントロール出来ていないのか猛スピードで上昇していく。フーチ先生が「戻ってきなさい!」と叫ぶ。ネビルが掴まっている箒は暫く空中を旋回していたが、箒のスピードに耐えられなかったのか、ネビルが手を離してしまった。急降下するネビル。

 

「ネビル!!」と思わず叫んだその時、右隣から風が吹いた。

 

 

 

ハーマイオニー視点

 

ネビルが1と言う前に上がっていってしまった。先生から言われていたのにどうして?とてもじゃないけど理解できない。ネビルは今にも落ちそうだ。取り敢えず助けないと…!箒で飛んで助けにいく?でも、飛んだことないし…ミイラ取りがミイラになりそう。じゃあ呪文?なんの呪文を使えばいいのかしら。こういう時は…えっと…と私が焦っている横でアリスは箒を握り直している。もしかして…

 

「アリス!?飛んじゃだめって先生に言われているでしょう?」

 

「でも助けに行かないとでしょ?」

 

「それに、練習していないのに飛ぶのは危ないわ!」

 

「大丈夫よ。」

 

アリスが自信ありげに返したその時、皆の悲鳴が聞こえた。皆が見ている方を見ると、ネビルが箒から落ちて急降下していた。

 

「そんな…この高さから落ちたら…!!」

 

アリスに呪文を聞こうと横を見ると、横にいたはずのアリスがいなかった。まさか!と思いネビルの方を見ると、箒にのったアリスが身を乗り出してネビルの片腕を掴んでいた。さっきまで横にいたのに…!?

 

「ネビル、大丈夫?」

 

「う、うん。ありがとうアリス。」

 

ネビルも安心したみたいだ。2人共無事で良かったけど、無茶しすぎ…。ゆっくりと地面へと降下し、ネビルの足が地面に着く。続いてアリスも箒から降りる。

 

「2人とも、ケガはありませんか?」

 

フーチ先生が慌てて駆け寄る。

 

「私は大丈夫ですけど、ネビルが手首を捻ったみたいで。私も保健室まで付き添います。」

 

捻っているなんて分からなかったけれど…「では、私は保健室に行きますから、それまでの間勝手なことはしないこと。ミス・スカーレットは許しますが、貴方達が箒で飛んだ場合、クィディッチのクを言う前にこの学校から出ていってもらいますよ。」と言ってフーチ先生はネビルとアリスと共に校庭から出ていった。

 

 

 

マクゴナガル先生視点

 

デスク作業に一息つき、校庭を見る。

 

そう言えば今日はグリフィンドールとスリザリンの飛行訓練でしたね。やはりハリーにはジェームズの才能が受け継がれているのでしょうか…

 

窓から外を見ると、ロングボトムが箒から落ちているところだった。

まずい、と窓を開き杖を構えたその時、箒にのったアリスがロングボトムを掴んだ。

箒に乗りながら、落下しているロングボトムの腕を掴めるなんて…これはクィディッチチームに入れるべきです!!今すぐウッドに打診しましょう!!

 

自室をでて、アリスを呼び止めるために校庭へ向かう。その途中の渡り廊下で、2人の生徒が箒で飛んでいるのが見えた。あれは…ミスター・マルフォイとハリー?どうやらガラス玉を取り合っているようですね。フーチ先生がいない間に飛ぶのは危険行為ですから叱らねば。今年は忙しいですね…と見ていると、ハリーが私の部屋の窓に向かって急発進した。と、窓の手前ギリギリで止まった。初めての飛行であれをやってのけるなんて…あの飛行技術は素晴らしい!!やはりジェームズ譲りでしょうか。ハリーもクィディッチチームに入れましょう!!と校庭に向かって歩く。

 

 

 

ハーマイオニー視点

 

ハリーがネビルの思い出し玉を取り返した。まったくもう、皆は喜んで歓声を上げているけれど、あんな挑発に乗って箒で飛ぶなんて…と呆れていると、

 

「ミスター・ポッター!!」

 

と呼ぶ声がした。振り向くとマクゴナガル先生が立っていた。

 

「先生、違います!マルフォイが…」

 

「くどいですよ。さあ、ミスター・ポッター。私に付いてきてください。」

 

と言って歩き出した。ハリーは不安そうな顔をして後ろをついて行った。

 

「そんな、ハリーだけ連れて行くなんておかしいよ!マルフォイだって飛んでいたのに!」

 

ロンが言うと皆も頷く。先生にダメって言われていたのに飛んだのが悪いんじゃない。はぁ、まったく、これくらいの規則も守れないなんて。せっかくアリスが稼いでくれたグリフィンドールの点を減らさないで欲しいわ。

 

 

 

ハリー視点

 

僕はマクゴナガル先生の後ろをトボトボ歩いていた。

そんな…もう退学だなんて…。と考えていると、

 

「ところで、アリスはどこにいるのですか?」と聞かれる。

 

アリス…?なんで彼女の場所を聞くのだろう?

 

「ネビルの付き添いで保健室に行きました。」

 

僕の答えを聞くと、マクゴナガル先生は廊下を右に曲がった。

しばらく歩いていると、消毒液の匂いがしてきた。と、廊下の少し先の方からアリスが歩いてきた。保健室から校庭へと戻ろうとしているみたいだ。マクゴナガル先生と僕を怪訝そうに見ている。

 

「アリス、付いてきてもらえますか。」

 

「はい、わかりました…」

 

不思議そうにしながらもアリスが僕の隣に来る。

 

「ねえ、ハリー。何かあったの?」

 

アリスが小声で僕に言う。

 

「えっと、ネビルの思い出し玉をマルフォイが奪って…その、僕、取り返そうと思って箒で飛んだんだ。」

 

「あら、」

 

「そしたらマクゴナガル先生が来て、付いてきなさいって。」

 

「どこに行くのかしらね。」

 

「きっと校長室か僕の寮室だよ。僕、きっと退学になるんだよ…。」

 

「それなら私もついていく必要はないでしょ。」

 

確かに、なんでアリスも連れて行くんだろう。取り敢えず退学にならなければいいけど。と、先生が立ち止まり、教室の扉を開いた。

 

「先生、ウッドをお借りしても?」

 

「ええ、構いませんよ。」

 

フリットウィック先生が答え、一人の生徒が出てくる。

 

「さあ、行きましょう。」

 

マクゴナガル先生が再び歩き始める。ウッドは僕たちのことを不思議そうに見つめていた。

と、マクゴナガル先生に教室に入るよう促される。教室に入ってすぐ、

 

「ウッド、2人は素晴らしい逸材ですよ。」と先生がウッドに言った。

 

「ミス・スカーレットは落下していく生徒の腕を箒にのりながら掴みましたし、ミスター・ポッターは小さな球を怪我一つ負わずにキャッチしてみせました。それに急スピードで飛行していたところから、窓にぶつかるギリギリで止まってみせました。」

 

その言葉を聞いて、ウッドが目をキラキラさせてこちらを見る。よくわからないが、とにかく退学は免れそうだ。と、

 

「先生、もしかしてクィディッチの話ですか?」とアリスが言った。

 

「ええ。アリスはチェイサーに。ハリーはシーカーにしようと考えています。」

 

??チェイサーにシーカーって、何のことだろう。

 

「アリスはクィディッチの経験は?」

 

「簡単なゲームなら。シリウスに教えて貰ったので。」

 

マクゴナガル先生は納得そうに頷く。

 

「ハリーは初めてですか?」と聞かれ頷く。

 

「これはニンバス2000やクイーンスイープ7番なんかがいいですね。」とウッドが言う。

 

「1年生の規則を曲げられるかどうかダンブルドア先生に話してみましょう。」とマクゴナガル先生が頷く。

 

話に全くついていけずポカンと口を開けている僕を見て、アリスが笑った。




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「クィディッチ今昔」
クィディッチ発祥のルーツやルール、各国のチームなど様々なことが書かれている。
なお、実際に発売もされているので気になった方はぜひ

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