サブタイトルの意味を考えながら天成は生活すべきなので投稿します。
「えー……皆さん、長いことお疲れさまでした。これより発表を行いますが……」
説明が始まった。運営と救助者の双方からの減点方式であること、合格者が五十音順に並んでいること。モニタへ一斉に表示された名簿を見て、どこだ。「あ」まなりだから、最初の方。
「あー、あー……。あまなり、……うん」
あった。よかった。あれだけ頑張って奔走したのに落ちてたら……俺はどうすればいいのか分からなくなる。落ち込むじゃ済まない。不合格は、雄英では爆豪と轟。たしかあっちでも変わらないはず。
ボーダーラインは五十点。採点内容が記載された紙が配られて、具体気にどの行動がどう繋がるのかが連ねてある。点数は……できれば八十点超えてるといいな。ぺらっと紙を確認して。
「きゅ……」
九十八。
「九十八!? 天成えっぐ!」
絡んできたのは瀬呂。今日だけじゃなく、瀬呂はかなり俺に気を使ってくれていて。定期的に話しかけてくる。
「俺も驚いてるよ……」
減点されているところは、自分がいなくなった場合の考慮ができていないこと、役割分担含めて自分が走りすぎていること。……最適化したつもりなんですけどそこ。あんまり別々にしすぎると指揮系統混乱するじゃないですか……いや前者に関しては全面同意なんですけどね、ちょっと考えられてなかった。
仮免を得たということは、個性の使用を許可される代わりに社会的責任が生じる事、いずれ来たる未来の事、ヒーローとしての規範の事、精進に励んでいただきたいと。そして、不合格者には週末の特別講習とテストで通れば仮免許が発行されることが発表された。
一次は落とす試験、二次に進んだ者はなるべく育てていきたい、と公安のお兄さんは語って、締めの言葉を残して戻っていった。
本当に、よかった。
発行された免許証を眺めて、そう思う。ヒーロー活動許可仮免許証。ヒーローネーム〝ウンターハイレン〟。証明写真は移りが悪い自信があった。そんなことが気にならないほど喜ばしいことだけ──
「天成君!!」
「ぐあっ」
突然襲ってきた衝撃にすっ転びかけて、何とか立て直す。さっき救助でペアになってくれた子──水無月だったか。ネイビーのシャツを着用した彼女は、表情を輝かせていて。
「……離れて……くれない?」
「うん離れる!」
「天成ぃ──むぐ」
峰田の声がどっかから聞こえたけど、まあ問題ないだろう。多分。それより、彼女がこうして突撃してきたことの方が気になる。
「とりあえず……どうしたんです?」
「私一年だよ~、敬語禁止~!」
一年生で仮免。彼女の通っている学校の方式なのか、それとも彼女が特殊なのか。
「じゃあ……水無月。なんか用事あった? 忘れものとか?」
水無月はわっしと俺の手を掴んできて。
「さっきはありがと! ばり助かった~!」
「いや、こちらこそ……水無月いなかったら、俺が生食作るのもやってたし。正直助かった」
それから彼女は、発目ちゃんもかくやという速度で喋り始めて。最後に「連絡先!! 交換!! しよ!!」と締める。
「……いいけど?」
「なんで疑問形なの~? まあいいや、QRコードちょうだい!」
言われるがままにスマホを差し出す。フレンドに追加された旨が来て、名前は〝雫帰〟。
「雫に帰るって書いて〝シズキ〟! シズって呼んでくれると助かるな~」
「ああまあ……わかった……」
俺は相澤先生から、水無月は向こうの生徒から呼ばれていて、お互い逆方向に歩いていく。
「あ、忘れてた!
それだけ言い残して、彼女は行ってしまった。
なんかこう……無碍に出来なかったな。何でだろう。分からないけど、ともかく、俺は仮免を取ることに成功した。そしてその数時間後。
「うえ……」
体調を崩した。
原因は〝万全じゃないのにフルで動いてやらかした〟。
まだ激しい運動は禁止で、応急処置も指揮も取ってしまい、疲労のあまり寮でほぼ気絶。連絡に出ないことに心配して、隣に座ってた尾白の証言もあって部屋がこじ開けられた。バスで寝てた最中、めちゃくちゃに熱が出てたらしい。
──体調気を付けてね~!
図らずしも、
相澤先生は「寝てろ」って経口補水液と冷えピタと、あとゼリー飲料を置いて帰ってしまった。ヤバい時は連絡しろって。
皆には怒られた。熱出したの黙ってたとかじゃなくてお前無理するんじゃねぇって。ヤオモモちゃんには申し訳なさそうな顔もされた。ほんとゴメン、自分の限界誤認してました。
ぼんやりした頭のまま、俺は心操に電話を掛ける。
「やっぽー、心操」
『お前今何時か分かってんのか……?』
「じゅーいちじ。寝てた?」
『いや、寝てないけど。仮免受かったんだろ? その様子だと』
「うん。合格したから報告したかったけど、さっきまで寝てたからさあ……」
『おめでとう。そしてお前疲れてるな。寝ろ』
即座に通話を切られた。酷いとは思わないけど、さっきまでがっつり寝てたせいで眠れないのに……。まあいいや。先生にも言われたし、適当に動画見ながら寝落ちよう……。
結局、俺は始業式を休むことになったけど。『ごめん、体調崩した』。それだけ朝に送って。
「……お前、その状態で仮免も実技もやったのか?」
「うん」
「で、熱出したのか」
「うん」
「…………。はぁ……お前さ、無理なものは無理っていうのは簡単で、それをできるのが優秀とか思ってないよな」
「うん」
「その〝うん〟はどっちだ」
「思ってない」
始業式の翌日。緑谷と爆豪が謹慎になったという情報を聞いた天成は、「ああ、そんなのあったな……」と内心漏らしていた。そして、昼休み。食堂の一角に腰を下ろした直後、口を開いたのは心操だった。「現状を聞かせろ」。どうしたの、ではないのは心操の気遣いであった。
「順番に確認するぞ」
・林間合宿で右目を喪失した
・リハビリが必要
・A組のみんなの前でも〝俺〟を出せるようになった
・激しい運動禁止の状態で仮免を受けた
・それで熱を出した
「……これでいいか」
「これでいい」
「…………もう、終わったことについては言わないよ。でも、この先同じように無理するなら俺の心臓が持たないんだけど」
「……ごめん」
「次同じ事やったら多分、俺は酷いこと言うと思う。応援はするけど、それは危険を許すって訳じゃないんだぞ天成。頼むから、これ以上自分を痛めつけるみたいなことすんなよ……」
ペットボトルを握った手に力が入って。俯いた心操の顔は見えない。しかし、震えた声は俺のことを心配してることだけは、はっきりと分かった。
「……やらない。できる限り」
「やるな。できる限りじゃなくて、やるな」
助けられるからやる、という理屈は分かる。しかしそれは、助ける側が壊れれば終わりの理屈で。現に天成は、狙撃手の命たる右目を喪失している。いっそ、死んだ方が終わりとさえ思える地獄に等しい負傷を、背負ってしまった。
心操人使にとっての〝心配〟は、強さによるものではなく。その使い方が、自らを削り、渡し、消費するものに固定されていることを理解しているからで。怒りではなく、焦りや恐怖の色が強かった。
具体的なビジョンを、見てしまうのだ。
倒れる。
連絡がつかない。
──俺じゃ、間に合わなかった。
だから、出た言葉がそれだった。無理するな、ではない。自分が嫌われてもいい。遠ざけられてもいい。それでも、〝酷いこと〟を言ってでも、天成を止めると。
お互い適度に距離を保って友人でいることが楽なのは分かっている。それでも、天成が誰かに止められる経験をこれ以上、逃してはいけないと。心操の中で何かが叫んでいた。
これでも、もし。天成がまた無理をすれば。天成の選択をもう、尊重できないかもしれない。ヒーローを続けて壊れてしまうのならそれをやめて生きてくれと。お前とはそれでも一緒にいるから、それでも価値は変わらないからと。
「……分かった」
その言葉を区切りとするように、チャイムが鳴った。これ以上は話すことはないと、出来ないと告げるように。
遠い。
近い。
ちょうどいい。
ほとんどが遠く近く、掴めない状態に、俺はいた。
「くそ……」
いまだ測れない距離感にへの苛立ちはチーターとかサブ垢よりも強い。だって、自分に責任があるものだから。それなりの広さがある練習場で、床に置いた複数のコーンをひたすら倒さないようにするだけ。引っかからないと思ったらかかる。別の日はテープで引いた線を不規則に跨いだり踏んだり。踏めたと思ったのに、踏めていない。どうして、と思っても、脳が現状に追いついていないからとしか言えない。
だから、どうしても。きつかった。苦しかった。始めてからもう半月なのに。平面、というか机ならなんとか掴めるようになったし、仮免の時は何とかなったのに。どうして。
「あの時はなんか脳内物質で補完されてたんだろ。それを成功体験にするな」
相澤先生にはそう言われた。けど、悪い成功体験を詰んだ身体はそれを当然として認識して動けと言ってくる。
前にも、こんなことがあった。三年前。俺以外が皆いなくなってしまったあの日。車のフレームに挟まれて何とか生きていた俺は、めちゃくちゃになった三人の姿を見た後に──意識を無くしていたらしい。骨折、圧迫、一部の挫滅、末梢神経の障害。医者に説明されても、ただ文面を読み上げられただけとしか思えなかった。
あの時は、左側だった。手足の動きが上手くいかない。痛い。骨が折れて筋肉が潰れて、それが治ったと思ったらリハビリがあって。上手く動かないだけだった。でも今は違う、見えてるし動けるのに出来ない。その事実に、どうしても苛立つ。
「なんで、だよ……」
見えてる。使えてる。掴めるはずなのに。
「俺、馬鹿だったのかなぁ……」
自分の身体は何とかなるからと。散った仲間を助けるために突っ込んで、それで右目がなくなった。何も出来ず、救えず、拳藤ちゃんに回収された。
生きている意味がなくても生きてていい、って言われたけど。言葉は理解できても、自分に当てはめることなんてできない。だから、あの時の行動を激しく後悔していた。別のルートを通っていたら。無理矢理振り切って他の誰かと合流していたら。そしたら、こんなことにはならなかったのかもしれない。
終わったことにうだうだ言ったってしょうがないのは、分かってる。けれど、あの時自分ができたことはあったんじゃないか、それで今も変わらず戦えたんじゃないかって、どうしても思ってしまう。
狙撃ができない。
支援ができない。
直接的な火力に繋がる個性じゃない俺は、隣に立つことも出来ない。
何も、出来ない。
「返して、くれ……」
左目でも、手足でもいい。吹っ飛んだって構わない。でも右目だけは、ダメだった。命だった。アナみたいに左で覗く? 練習はやってる。短い時間でできることじゃないし、実際に、こうやって見えても見えない。動いてない物じゃないとまだ、当てられない。接近戦ではありえない場所から飛んでくる蹴りをまともに食らうし、拳が当たらない。
苛立ちがだんだんと悲しさに変わっていって、床にへたり込む。どうしたらいいか分からない。リハビリを続けないといけないのは、分かってる。そうじゃない。そうじゃないんだ。
どれだけバイアルとダーツで誤魔化したって、俺はもう、誰かを助けることなんてできないのだ。的確に敵と味方に薬液を届けることが、出来ない。
涙がトラックに染み込んでいくのが歪んで見えた。奪った本人を恨むなんてことは考えられなかった。ただ無力感だけがあって、自分じゃどうしようもないのが苦しい。こんなふうに思ったのは、みんながいなくなったあの時だけで、あの時とは違って俺は助けられる手段を持っていて。──欠損でさえなければ。
欠損でなければ。
欠損でなければ、眼球の損傷で済んでいれば。まだ、時間はかかっても復帰の見込みはあった。
「天成」
「……はい、分かってます」
リハビリは一定の時間。きつくなったら休憩もOK。そういうルールの上でやっている。相澤先生か、来られないタイミングではミッドナイト先生が教えに来てくれる。アラームじゃないのは多分、心臓がびっくりしないように。
立ち上がって、タオルとか水筒をしまって練習場を出る。毎日使うから、白線やコップみたいな道具はそのままだ。
大して汗はかいてないから、そのまま部屋に直行だ。共有スペースを通って、そこで梅雨ちゃんがいるのに気付く。
「お疲れ様」
「いつもありがとう。梅雨ちゃんもね」
それだけ。泣いちゃった日が分かるのか、腫れも跡もなくしてるのに彼女はそういう時だけ声を掛けてくれる。それが心に染み渡って、感謝と胸の奥で温かいものが滲む。妹とやり方が似てるんだ。必要な時だけ関わってくれて、それはそれとして聞きたいことは何でも聞いちゃう好奇心旺盛で、でも彼女とは違って元気で明るい女の子。それが李羽だった。そんな彼女を三年たっても愛してくれている人がいるのがあの時、嬉しかった。
「ねえ李羽」
写真立てにおさまった家族四人での写真を一瞥して。
「お前、いい友達持ったよなぁ……」
今の雄英生徒がどう過ごしているかを見たい、という取材でどっかの会社からお兄さんが来た。日常的な姿が取りたいってことで俺たちは普段通り過ごしていたし、今回ばっかりは部屋でのリハビリになる。流石にそういうところは見せられないからね。爽やかって感じの記者さんだ。
いずれバレちゃうかもしれないけど、今日はものもらいってことにして医療用眼帯をしている。幸いにも目の周りには傷がないから。
ほら、雑誌の取材で「でかい負傷をした子がいる」なんて書かれたら学校の立場ないし。流石にね。俺が勝手に気を使ってるだけ。
いつも通りバランスよく食事を摂って。授業を受けて、帰宅。リハビリの焦りはそれなりにあるけど、部屋でできるものもあるし、過剰に焦る必要はない。
「珍しいね。銃型のサポートアイテムかい?」
分解、組み上げ、装填。マガジンに銃弾を込める。たまに空の薬莢を弄ったり。割と共有スペースで繰り返してる行動だけど、お兄さんには気になったらしい。
「俺の個性はそれが前提で。自分の道具ですし、手早くやれるのはいいことですから。個性は使用禁止ですが……」
「そうなんだね。体育祭でも拳銃のようなサポートアイテムと……それから手から液体を出していた。一気に作るのは難しいという事かな」
「……まあ、そんなところです。お兄さんもカメラのメンテナンス、やるでしょう?」
「うん。気持ちはすごくわかるよ。ところで、薬莢を見せてもらってもいいかい?」
空の薬莢なら比較的問題ない。というかパワーローダー先生から許可取ってるし。手渡すなとは言われたけど。だから、手に持ったまま見せてる。
「珍しい形だ。拘束用の麻痺弾みたいなものを撃ち出すのかな。特注かい?」
「ええ。……恐らく」
先端が柔らかくて、銃弾自体の衝撃はごく少ない、いわば〝合法ダムダム弾〟だしね。ヒロアカ世界だから成立するものだろう。変形じゃなくて弾頭の機構で、負傷にならない程度の衝撃があると薄いカプセルが裂ける。
「あ、銃の方はダメですよ。これ教えたら俺もお兄さんも罰則受けちゃうんで」
「うん、分かってる。流石にそれは機密だろうね。一応銃器だから。形状からの推測程度に留めておくよ」
ありがとう、と言ってお兄さんは去っていった。バイオライフル、自分が希望したとはいえなかなか気持ち悪い形状だな……。空の薬莢受け、二本差す弾倉。ロシアの
だから銃としてはちょっとスタイリッシュじゃない。でも機能は満点。気持ち悪いとは言ったが正直かわいいとも思う。半年も触ってたらそりゃ愛着も沸くし、愛称だって付けたいくらいだ。
運用思想とメーカーさんとの打ち合わせはすごく細かくて長かった。合格してからちょっと経ってすぐ。服はぱぱっと決まったけど、特にバイオライフルは「有効射程ができれば600mくらい」から始まり、エトセトラエトセトラ。めちゃくちゃな要求しやがってこのクソ客がって思われても文句言えないのに。
……それをパーフェクトに再現しちゃったメーカーさんすごくない? 頭上がらないし足向けて寝られないよ。弾丸なんて雄英で作れないから納品してもらってるし。
俺が求めたのは、相手を完封することじゃなくて「気付かれず、戦場の主導権をこちらに傾ける」ことだ。これ自体に殺傷能力はいらない。──通常の弾丸と違って。必然的に、雄英の設備がどれだけ揃っているといっても作ることは難しい。
パワロ先生には「やりたいことに最適化した結果イカれた性質になったな、メンテする身にもなれよ……」だった。はい、自覚してます。患部で留まってすぐ溶ける、狂気のDMRだよな。でもサポートとしてはお行儀いいでしょう先生、全長短いおかげで取り回しはいいですよ。いつもメンテナンスありがとうございます。入学当初に書面で書かされたからね、パワロ先生(メンテ)→相澤先生(確認)→俺の順番で触るってね。
重量配分、整備性、トリガーフィール、全部最悪。だから組み立てて解体して装填の練習も。欠かしちゃいけない。
右目が使えない、左目での狙撃に転向する。その覚悟があるなら、猶更。
記者さんが帰っていったあと、俺は皆に尋ねた。
「なあ、この子に名前つけるなら何がいいと思う? 〝バイオライフル〟のままでもいいけどねぇ、ほら、呼んであげた方が機嫌よくなりそうじゃない?」
すぐに反応してくれたのは上鳴だ。
「必殺技みたいにか? 確かに、お前にとってそいつって分身みたいなものだよなぁ。友達にもチャリに名前つけてる奴いたわ」
やっぱりいるんだ。愛着が湧く物だけじゃないけど、多分日本特有の付喪神様とか、八百万の神々みたいな感じなんだろうな。
「そいつなんてつけてたの?」
「スカイハイハイ」
「スカイハイハイ!? チャリなのに!?」
「正直俺も思ったわー。で、壊れて二代目はスカイ・ヘル・アンド・ヘヴン・ハイハイになってたぜ」
「常闇かよ!」
上鳴が提供した話題のせいでとんでもないことになっている。クセがありすぎるだろ。で、と口を出したのは尾白だ。
「天成のライフルの名前だっけ? 〝インフラサイト〟とか? ほら、命を繋いでくれる存在なわけだし」
…………初手からとんでもないもの来たな? いや善意だし偶然だから言えないけど。おのれウィドウメイカー。
「うーんなるほど? でも
「確かに……」
「じゃあスナちゃんだろ。スナイパーのスナ」
「チベスナっぽくて面白いなそれ。名前って意味ではめちゃくちゃそれっぽくね?」
「近い近い。そういう系統を求めてたのよ」
「あとはライちゃんとかどうよ。めっちゃ速くヒールくれるじゃん雷みたいに、あとライフルのライ」
「名前負けしてるねぇそれ。これ亜音速銃よ?」
「亜音速なんだそれ、初めて知ったんだけど。あとさらっとお前の名前入ってるな上鳴電気の〝電〟の部分」
「ほんとだわ」
うーん、と瀬呂が唸って。
「お前あの薬グレの時どうやって名前つけたのよ」
「……バイオバイアルは願いと機能性で付けました……」
「願いと機能性?」
「グレネードみたいに兵器じゃなくて、薬液を詰めた容器──まんまだけど、バイアル。鎮静とか回復のための容器として」
「あーなるほど? じゃあ難しい訳だ」
「その時は〝バイオバイアル〟がぴったりだ、むしろそれしか感じられないって感じだったのよん。皆の必殺技でもそういうのない?」
「確かにそういうのあるね! まんまとかじゃなくてどうしてもそれがいい! みたいなの」
葉隠ちゃんがめちゃくちゃに同意してくれてる。やっぱりみんなもそういうのあるんだ……。
「そういえば爆豪って前から必殺技は名前決めてたんだよな? そこらへんどうなんだよ」
振り向いた爆豪は一言。
「あ? てめェの子供くらいてめェで機嫌取りやがれ」
「うおー辛辣」
……確かに。子供かどうかは置いといて、確かに人に決めてもらうものじゃないかもしれない。子供の名前だって、画数は気にするかもしれないけど大半の人間は両親に決められる。俺の名前は〝余り物〟じゃなくて「数多/あまりにも・沢山の」の〝あまり〟だし。人数かは置いといて、愛されるようにって。
願いを人に与えてもらうのは、確かに違った。
「その一言聞いて決まったわぁ」
「お、マジ!?」
「教えて教えて!」
皆が期待の目を向けてくるのに対して、俺は短く宣言する。
「──未定!」
全員が、ずっこけるというのがふさわしいような反応をした。
「無理矢理決めるもんじゃないし! 皆ありがとねぇ」
「そのオチはアリだけどナシだろ……」
瀬呂の感想は多分、ここにいる皆のものを代弁してると思う。
そういえば相澤先生の抹消使ってる時の色どっちが好き? 原作とアニメでゴリゴリに違うんですけどぉ……
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赤(アニメ)
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金(原作)