STEINS; GATE ~存在証明のレジスタンス~ 作:明治アル蜜柑
これにて第五章は終了。結構短い話となりました。あまり展開がなくて退屈させてしまっていたらすみません。
では、お馴染みの章タイトルについてです。
原作では『弾性限界のリコグナイズ』となっていましたが、本作では『弾性限界のイグノア』としました。
弾性限界とは、物体に力を加えた時、その物体が元の形に戻れる限界という意味です。リコグナイズとは認識すること、認めることを意味します。過去に経験した事だと認識する、仕事において業績を評価するというニュアンスで使われるようです。
このことから、永劫回帰において無限に繰り返してきた世界線にもついに限界が訪れた、という意味なのではないかと考えました。ダルと真帆は既に動き出しています。それなのに、岡部はずっと腐ったまま。というよりも、紅莉栖のことを過去の出来事だと捕え、ヴィクトルコンドリア大学を目指すために過去を忘れようとしているように見えました。
紅莉栖のことでずっとうじうじと悩んでいる状況から考えれば前進とも言えるかもしれませんが、結局が現実から目を背けているだけ。過去の事であると認識するというのは、過去との決別という意味もあるかもしれませんが、この章における岡部のそれは、現実逃避に他なりません。決して良い意味でこのタイトルが付けられたのではないと考えました。
そこで、今回は『弾性限界のイグノア』としました。
イグノアとは無視をしたり、見過ごしたりすることです。岡部自身、レスキネンの動向やロシアが過去改変の実験を行った事で、限界が来ていることは理解しているはずです。このまま解決策を見出せなければバッドエンドになることも。ですが、そういった不安や危機感を無視して、ただひたすらに突っ走る。そうしなければシュタインズゲートを目指すことは出来ない。そんな意味を込めてこのタイトルとしました。
さて、この章は最終決戦の準備期間という形にしました。何の準備も出来ていなかった1.129954世界線とは違い、こちらではかなり余裕をもって準備をすることが出来ています。その分、原作では描かれることのなかった岡部たちの内面に触れることが出来ました。
鳳凰院凶真の復活が確定しているこの1.130205世界線では、岡部の覚悟はとっくに決まっているわけですが、2025年時点での “執念オカリン”が誕生するために、この時点から岡部にはあらゆる人の想いを背負ってほしいと考えていました。その代表が、『オペレーション・アークライト』という作戦名に込められた想いです。
原作では、まゆりのスマホに保存されたメールを読むことで、岡部は作戦名を知る事になるわけですが、慌ただしく、作戦名まで気にしている余裕はありませんでした。本作では、まゆりの想いを知る鈴羽が名付けました。かなり早い段階から作戦名が決まっていましたが、岡部はこの時点までその意味と向き合ってきませんでした。
岡部にとって、まゆりとは幼馴染であり、一緒にいることが当たり前の存在です。紅莉栖がいなければ、岡部もまゆりへの気持ちを自覚する未来もあったのかもしれません。ですが、紅莉栖と出会ってしまった以上、まゆりに対して恋心を抱くことはなくなってしまいます。まゆりが自分にそんな想いを抱いている事さえ気づかないでしょう。
だからどうしてもそれを自覚させたくて、無理にでもこのシーンを入れました。考察考察ばかりで、こういうシーンを描くのが下手くそな私ですが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
さて、次章はいよいよ大詰めです。最後まで楽しんでいただけるよう微力を尽くします。
それではまた!