STEINS; GATE ~存在証明のレジスタンス~   作:明治アル蜜柑

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激しい爆風を全身に受け、俺は吹き飛ばされていた。気付けば、地面に這いつくばっていた。腕の中にはかがりがいるのが分かる。

 

タイムマシンはどうなった?まゆりと鈴羽は無事なのか!?

 

 

周囲の状況を確認するために立ち上がろうとすると、腕の中のかがりがそれを制止した。

 

「ダメ!おじさんは見ちゃダメ!」

 

「かがり……?」

 

「私が目を塞いでおくから、おじさんはこのままラボに戻って!」

 

俺に観測するなということだ。それはつまり……。

 

「クソっ!」

 

かがりの指示に従って、俺たちはラジ館を脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「かがり、タイムマシンはどうなったんだ!?」

 

「大丈夫!破片はあったけど、ママとおねーちゃんは見つけられなかった!」

 

タイムトラベルの瞬間に、タイムマシンが爆破された、ということだ。だが、2人の死体が見つからないという事は……。

 

俺は2人の死を観測したわけではない、ということ。

 

まだ、希望は繋がっている。ラボに戻りさえすれば……。

 

 

 

ラボへの帰り道、秋葉原の空と地上で、激しい戦闘が繰り広げられていた。ストラトフォーだけでなく、他の勢力も入り乱れているようだ。その様相は第三次世界大戦の幕開けと言わんばかりで。

 

 

誰にも見つからないように大きく迂回しながらラボに戻って来た時には、日はすっかり暮れ、暗闇の中で爆発の炎や曳光弾の軌跡などが夜空を照らしていた。秋葉原の街全体が、蜂の巣をつついたような大騒ぎだった。

 

 

 

 

 

 

ラボの電気は消えていた。室内にはダルと真帆、そしてフェイリスとルカ子がいて、真っ暗の部屋の中で、テレビとPCのモニタだけが光を放っていた。

 

「オカリン!」

 

「かがりちゃんも!よく無事で……」

 

「って、ひどいケガしてるニャ……!」

 

「大丈夫ですか⁉」

 

「戦闘に巻き込まれたん⁉」

 

「急いで手当しないと!」

 

俺とかがりは倒れこむように床にへたり込む。

 

「だ、大丈夫だ。それよりも話を聞いてくれ」

 

混乱する頭で、これまでのことを説明した。

 

レスキネンがストラトフォーの人間だったこと。『Amadeus』の秘密の日記をこじ開けた事。『オペレーション・アークライト』のDメールは無事に届いた事。2人を乗せたタイムマシンが破壊されてしまった事。

 

「クソっ!こんなのってあるかよ!あるのかよっ!」

 

ダルは拳を握りしめ、怒りを露わにしている。

 

「ダルニャン!怒るのも悲しむのも後ニャ!」

 

「え?」

 

「キョーマ!まだ希望は残されているのニャ!?まだやり直せるのかニャ!?」

 

皆が悲しみに沈む中、フェイリスだけは毅然とした態度を崩さなかった。

 

「あ、ああ。俺は2人の死を観測していない。かがりのおかげでな。だから……」

 

「ダルニャン!タイムリープマシンの準備を!キョーマがもう一度やり直せば、全てうまくいく!マユシィとスズニャンを助けられる!」

 

「フェイリスたん……おうっ!」

 

フェイリスの言葉に、全員の顔に生気が戻った。

 

「まて、ダル。今はまだ、タイムリープマシンは使えないはずだ。まだ電波障害が解消されていない」

 

タイムリープマシンは過去に電話をかけることで時間遡行を可能にする。電波障害がある今、おそらくタイムリープは出来ない。

 

「ダルは復旧の目途を調べてくれ!復旧次第すぐにタイムリープする」

 

「私たちは?」

 

「タイムリープまでにいくつか考えたいことがある。無策で飛び込んでもまた失敗するだけだ」

 

考えなければならないことはいくつもある。

 

俺はポケットから鈴羽のスマホを取り出した。

 

「これは……?」

 

「鈴羽が受け取ったムービーメールだ。『オペレーション・アークライト』の概要が記されてある。まずはこれを見よう」

 

鈴羽が最後にわざわざ託したのだ。俺たちが知るべき情報があるはずだ。

 

「再生するぞ」

 

 

 

 

『やあ、鈴羽。元気かい?父さんだよ。こちらは2025年だ。色々なことを君に託してしまって、本当に申し訳なく思う。許してくれ、頼む。それともう一つ、君が過去へと跳び立つ前に、何も教えなかったことも許してほしい。本当は全部話したかったんだけど、タイムパラドックスを考えるとそれも出来なかったんだ。きっとこの1年、辛い思いをさせただろう。本当にすまなかった。つーことで、このムービーメールの本来の目的に移ろう。『オペレーション・アークライト』の詳細を伝える。これは本当に一瞬のミスも許されない、ギリギリの闘いになる。心して聞くんだ。いいね?』

 

 

 

今よりもずっと痩せた姿のダルは、鈴羽への柔らかな表情から、キリっと締まった顔に変わる。

 

 

 

『タイムトラベルする先は、鈴羽の考えている通り、2010年8月21日。オカリンと鈴羽が牧瀬氏の救出に向かった空白の1分間だ。辿り着いたらまゆ氏はオカリンのケータイに電話をかけてほしい。あの日、オカリンはまゆ氏にケータイを預けていたから、もう1人のまゆ氏に繋がるはずだ。……言うべき言葉はまゆ氏に任せる。ボクらの言葉じゃなくて、まゆ氏自身の言葉じゃないとあの日のオカリンには伝わらないだろうからね。織姫の想いはきっと、彦星に伝わると信じてる』

 

 

織姫と彦星。………鈴羽がこの作戦の名前を付けた意味。

 

まゆりの想い。まゆりの言葉……。

 

 

『そして鈴羽。オカリンのことは全てまゆ氏に任せるんだ。鈴羽は到着と同時に、もう一度別の時代へ跳んでもらわなければならない。跳ぶ先はどこでも構わない。燃料の問題で、おそらくまともなタイムトラベルは出来ないはずだ。ただ、出来ればさらに前の時代に跳んでほしい。そうしないとタイムパラドックスが発生する可能性がある……っていうのは鈴羽なら分かってくれるはずだ。君たちがどの時代に跳んだとしても、ボクらは必ず見つけ出して迎えに行く。ボクが開発したトレーサーがあれば、君たちがどこへ跳んだのか発見することが出来るからね。心配しないでくれ』

 

 

言葉を締めくくり、ダルの顔が緩む。だが、一拍おいて、息を大きく吸い込んだ。

 

 

『そして最後にオカリン。君は鈴羽からスマホを受け取っただろう?』

 

 

「俺……」

 

 

『オカリン。君は間違ってない。君が何かを悔いる必要はない。一度の失敗で諦めるな。大丈夫。その状況は僕らも一度通ってる』

 

 

「っ……!」

 

 

『アークライトは必ず成功する。何度だって挑戦しろ。必ずシュタインズゲートに辿り着ける!』

 

そう、か。そうだ。未来のダルなら、俺たちが今いるこの状況だって……。

 

いける。

 

やれるぞ。

 

やってやるぞ!

 

 

 

 

『健闘を祈ってるのだぜ。狂気のマッドサイエンティストよ』

 

 

ふん。まさかこいつにこれを言われるとはな。

 

 

『エル・プサイ・コングルゥ』

「エル・プサイ・コングルゥ」

 

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