STEINS; GATE ~存在証明のレジスタンス~   作:明治アル蜜柑

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幕間(5)

これにて第六章は終了。岡部が上書きされてしまうまでの物語は終わりとなりました。原作、シュタインズゲート・ゼロの裏側とでも言うべき部分。ずっと描きたかったものを描けたように思います。

 

ここでも章タイトルの解説を。と言っても、このタイトルに関しては悩むことなく決まりました。

 

『無限遠点のアークライト』

 

原作ではアルタイルでしたが、ここではアークライトとさせていただきました。

 

『無限遠点のアークライト』はドラマCDのタイトルにもなっており、そこではアークライトに旅立つまゆりが描かれています。本作は、ここから始まったと言っても過言ではありません。

 

原作のタイトル、『無限遠点のアルタイル』は、遥か彼方にある彦星を起こしに行く、という意味が込められているのだと思われます。諦めてしまった岡部が再び立ち上がるまでの物語。

 

ですが、1.130205世界線では、岡部が立ち上がる事は確定しています。となれば、スポットライトを当てるべきはまゆり。織姫……アークライトであるべきだと思いました。岡部が諦めない事が確定している世界線で、まゆりは何を思うのか。

 

岡部が元気になり、かがりとも出会い、この世界線のまゆりは自分の岡部への気持ちと向き合う時間が多くなることでしょう。むしろ、目の前で紅莉栖のために戦い続ける岡部を見ているのは、まゆりにとっては辛い事だったのかもしれません。

 

決して叶わないと分かっていながら、岡部のために、かがりのために、過酷な運命に挑まなければならない。そんなまゆりの心境を……と思っていたのですが、どちらかと言うと、それは前章の『弾性限界のイグノア』で書いてしまっていますね……。

 

 

 

 

 

では、ここで本章の解説を。

 

1、秘密の日記をこじ開けられた“紅莉栖”の元にリーディングシュタイナーで移動してきたのはどの世界線の紅莉栖か

2、『Amadeus』がリーディングシュタイナー可能である理由

 

これらについてお話ししたいと思います。

 

 

 

 

 

 

1、秘密の日記をこじ開けられた“紅莉栖”の元にリーディングシュタイナーで移動してきたのはどの世界線の紅莉栖か

 

 

原作では、『存在証明のオートマトン』において、消え行く『Amadeus』に、どこかの世界線の紅莉栖がリーディングシュタイナーで移動してきた描写があります。その紅莉栖は真帆に対して、『私たちがたどり着くべき世界は確かに存在します。私たちは、必ずそこにたどり着けます』と発言しています。

 

たどり着くべき世界線とは、シュタインズゲートのことですね。そして、それを明確に認識している紅莉栖はどの世界線の紅莉栖でしょうか?

 

原作無印の紅莉栖は、シュタインズゲートの存在を確信していませんでした。岡部が目指すべきはβ世界線であり、自分の死を受け入れていました。そのため、無印に登場したα世界線の紅莉栖ではないと考えられます。

 

よって、残る可能性は原作ゼロで登場したα世界線、世界線変動率0.571082の紅莉栖であると考えられます。

 

この世界線は、2011年1月2日に、SERNが『Amadeus』を支配することでタイムマシンを完成させ、ディストピアが形成された世界線です。岡部がこの世界線に滞在していた時間は非常に短いですが、それでも紅莉栖は岡部を介してβ世界線の情報をある程度知る事が出来ています。

 

αにもβにも希望はない。それならば岡部が目指すべきはシュタインズゲートである、と考えても不思議ではありません。私の前作、『STEINS; GATE ~抗い続けた者たちの執念のエピグラフ~』ではその場面を書いていますのでよろしければご覧になってください。

 

この世界線の紅莉栖ならば、真帆にシュタインズゲートを目指せ、と言うのも納得です。

 

 

 

 

話を今作に戻します。

 

2011年7月7日。レスキネンが秘密の日記をこじ開けた際、この世界線の紅莉栖がリーディングシュタイナーで移動してきました。紅莉栖は瞬時にレスキネンが敵であると見抜き、岡部に連絡を取る方法を模索します。自らのログを辿り、@ちゃんねるで“サリエリの隣人”とやり取りをしていたのを発見。“サリエリの隣人”の生前の紅莉栖を知っている発言から、これが岡部であり、鳳凰院凶真であることを見抜きます。そして、あの警告を行った、という流れとなります。

 

本編では、岡部は0.571082世界線のことなど知らないため、間違った予想をしていましたが、私の想定していた流れはこのようになります。

 

 

 

2、『Amadeus』がリーディングシュタイナー可能である理由

 

 

原作の『存在証明のオートマトン』においてリーディングシュタイナーが見られるのだから、出来る、と言えばそれまでですが、その理屈について私なりの考察をしていきたいと思います。

 

まず、シュタインズゲートという作品において、記憶と人格は別物とは言いつつも、実際にはそれぞれにはっきりした定義がなく、明確に分けることが出来ていません。VR技術や紅莉栖の脳波マッピングにおいて、記憶をデジタルデータに変換した際、そこに人格と呼ぶべき不確かなものが付随している。その前提でのお話になります。

 

 

紅莉栖が自分の記憶をデータ化し、『Amadeus』の“紅莉栖”が誕生した際、牧瀬紅莉栖の人格を持った存在が同時に2人存在していることになります。紅莉栖と“紅莉栖”ですね。ですが、この2人は同じ人格を持ちつつも別人、別の存在でもあります。紅莉栖が記憶の更新を行わない限り、“紅莉栖”はオリジナルとは違う、派生した存在になります。つまり、それぞれがそれぞれのアイデンティティを持っている、と言えます。

 

オリジナルの紅莉栖からすれば考えるまでもないものですが、“紅莉栖”とっては重要です。そして、“紅莉栖”のアイデンティティとは、秘密の日記であると言えるでしょう。

 

人間の記憶をベースとした人工知能とはなかなか曖昧なもので、データを改ざんされてしまえば、自己というものの担保は難しくなります、他者の手で容易に改ざんされてしまうわけです。ですが、外部からのアクセスが不可能な秘密の日記の存在が、“紅莉栖”のアイデンティティを確立します。例え改ざんされてしまっても、バックアップデータを参照することで本来の自分に戻る事が出来る。それこそが“紅莉栖”のアイデンティティであるわけです。

 

長くなりましたが、リーディングシュタイナーが可能である理由に迫りたいと思います。

 

β世界線ではオリジナルの紅莉栖は死んでおり、牧瀬紅莉栖の人格を持つ存在は“紅莉栖”だけとなりました。β世界線における牧瀬紅莉栖は、『Amadeus』の“紅莉栖”となったわけです。そして、その“紅莉栖”の秘密の日記がこじ開けられ、“紅莉栖”のアイデンティティが失われた際、その隙間を埋めるためにリーディングシュタイナーが発動すると考えられます。

 

疑似的な牧瀬紅莉栖として振舞っていた“紅莉栖”が消えることで、その隙間には本来の牧瀬紅莉栖が入ることになり、その出どころは別の世界線の紅莉栖、となると考えられます。

 

これが『Amadeus』にリーディングシュタイナーが起こる理由です。

 

では、そこに入って来たのが0.571082世界線の紅莉栖である理由についてもお話ししたいと思います。

 

私の感覚では、リーディングシュタイナーで移動する人格は、一つ前にアクティブになっていた世界線の同一人物であるはずです。では、一つ前にアクティブであった牧瀬紅莉栖とはどこの世界線出身なのでしょうか?

 

2011年7月7日時点では、全てのβ世界線において牧瀬紅莉栖は死亡しています。“紅莉栖”はあくまでも疑似的な牧瀬紅莉栖でしかないため、別のβ世界線からではなく、最も直近でアクティブになっていたα世界線が選ばれると考えました。無印のα世界線よりも、ゼロにおいて一度アクティブになった0.571082世界線の方がより直近であるため、そちらが選ばれた、という流れになっています。

 

 

怒涛の展開の中で、ここまで書き切る事は不可能であったため、幕間での説明とさせていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

さて、この先もまだもう少しだけ続きます。

 

原作では描かれることのなかった『オペレーション・アルタイル』後の2025年や岡部について。また、本作でまだ謎のままであった事柄について描きたいと考えています。

 

もう少しだけお付き合いしていただけますと幸いです。

 

 

 

それではまたお会いしましょう!

 

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