キヴォトス、先生大量発生中!?   作:ユメ先生

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百鬼夜行の先生:桜花祭の顛末

 

 

 

 

 百鬼夜行の先生が、商店街を練り歩く。

 彼女は毎日、同じ時間に神木や街並みを見渡せる展望台まで歩いて、しばらく景色を楽しんで帰っていく。

 

 今日もそうだった。先生はベンチ代わりの長椅子の前に立ち止まると、着物の裾をはだけさせると艶めかしい太ももが露わになる。ここで歓声が飛ぶ。

 それと一緒に姿を現した彼女の三本の尾が、長椅子の上の埃をさっと払ってから座るのだ。

 

 観光客や生徒達は、皆その姿に吸い寄せられる。

 イズナもその一人だった。

 

「せ、先生!!」

 

 その日は、彼女は勇気を振り絞って、彼女に話しかけた。

 護衛の生徒が銃を向けるが、先生は手で制した。

 

「なんや、うちの子やん。なんか用かいな」

「は、はい!! 実は──」

 

 イズナは自分の夢を話した。即ち、キヴォトスいちの忍者になること。

 だが、忍者とは主命に従って動く者。

 彼女は、自分達の先生ならそれにふさわしいと思ったのだ。

 

「先生、私の主になってくれませんか!!」

 

 そう告白したイズナに、彼女たちの先生はキセルの煙草を吹かしてこう言った。

 

「──ママゴトなら友達とやりなはれ」

 

 と。

 

 

 

 

 百鬼夜行連合学院で、桜花祭が始まった。

 

 百夜堂のお祭り運営委員会に招待されたシャーレの先生は、彼女たちがお祭りを邪魔する魑魅一座の面々に頭を悩ませていることを知ることになった。

 

「“百鬼夜行の先生に助けを求めたの?”」

 

 先生は先日のミーティングで、強い存在感を示した女先生を思い返してそう言った。

 

「ええと、うちの先生は政治とか、学校の運営や行事とか、興味無いみたいで……」

 

 シャーレの先生の言葉に、シズコはちょっと困った風にそう答えた。

 

「課題デス!!」

「“課題?”」

「Yes!! 伝統ある百夜堂は、もう既にネームバリューがありマス!!

 センセイは他のお店とか、Serviceの質を上げる活動をしてマスので、我々には厳しいのデス!!」

 

 フィーナは楽しそうにそう言った。

 

「は、はい、そうなんです。

 例えばですけど、うちの先生はいろんなお店を食べ歩いて、気に入ったところにお墨付きを出して、それを公表しているんですが……」

「まだウチには、お墨付き、無いデス!!」

「なんで嬉しそうなんですか!! お陰で最近うちの評判落ちてるのに……ううう、先輩達から受け継いだ百夜堂の看板に、私の代で泥を塗るわけには……」

「センセイは、ワタシ達に期待してるのデス!!」

 

 なるほど、とシャーレの先生は頷いた。

 

「うちのセンセイは、任侠の人デス!!

 お墨付きを頂いたあかつきには、ワタシ達が一皮向けたということ!!

 獅子は子を崖下に突き落とす、と言う奴デス!!」

「“あえて厳しく接しているんだね……”」

 

 それが彼女の教育方針らしかった。

 しかしそれでお祭りが中止になっては困る、シャーレの先生は唸る他なかった。

 

 結局三人は、陰陽部に頼ることになった。

 

 その後、修行部と合流し、魑魅一座を撃退することになった面々。

 

 そこでシャーレの先生は、お祭りを案内してくれたイズナが魑魅一座の破壊活動に参加してる理由を問うた。

 

「イズナは今、忍者としてそのように命令を受けているからです!!」

 

 と、彼女は硬い表情でそう言った。

 

「忍者とは、耐え忍ぶ者と書きます!!

 イズナはかっこいい忍者として、そしていずれ運命の主君に出会う為!! 今は先生と戦うのみです!!」

「“命令……?”」

 

 そして捨て台詞を吐きながら、イズナは魑魅一座と退却して行ったのだが。

 

「相変わらず元気が取り柄やねぇ」

「う、ううッ、先生!!」

 

 一部の撤退する魑魅一座の前に、百鬼夜行の先生が現れた。

 番傘を持つ生徒の頭を撫でながら、目の前の戦いをどうでも良さそうな態度で。

 

「頑張っとるなぁ、いつもは二言目には伝統伝統や言うとるけど。

 今日は伝統を壊してまわっとるん? まあしゃあないわな、伝統はあんたらになんもしてくれへんもの」

「う、うるさい!! こんなお祭り、私達は認めないからな!!」

 

 捨て台詞に更に捨て台詞を重ね、魑魅一座は去って行った。

 

「あんなアホなことしとる暇あるんなら、オシャレでもすればええのに。

 うちの制服、どこの学校よりもハイカラでオシャレやんか。着飾ることも知らんのは可哀想やわ」

 

 そんなことをぼやいていると、おやまあ、と彼女はシャーレの先生御一行を発見した。

 

「先生!! こちらにいらしたんですか?」

「あまりにもうるさいて、客から苦情きはったんよ。

 せやからちぃっと様子見に来たんやわ」

 

 ミモリが駆け寄ると、百鬼夜行の先生がそう答えた。

 

「なんや、シズコいるやん。ちょっと甘いもん食いたいところやったんわ。なんか出してな」

「は、はいぃ」

 

 シズコは苦手意識があるのか、委縮した様子で頷いた。

 

「先生、甘い物が欲しいんだって!?」

 

 だが、それを見ていた周囲の店の店主たちが騒めいた。

 

「ちょっと今回の祭りの為に新作を作ったんですよ!! 是非食べて行ってください!!」

「おい、邪魔だ団子屋、こっちが先だ!!」

「先生、こっちも新しい饅頭を出したんだ、食べて行っておくれ!!」

「どけ、業突く張りの大人ども!! 先生はうちらの先生なんだから、こっちが先に決まってるだろ!!」

 

 大人や生徒問わずに、彼女の周囲に商品を持って詰め寄り始めたのである。

 

「わぁ、うれしいわ。みんな、運動して甘い物欲しいところやったろ? この人たちが奢ってくれるらしいで」

「え、本当ですか!! 丁度小腹が空いてたところだったんだ!!」

「うん、糖分補給は大事だよね」

 

 百鬼夜行の先生の言葉に、カエデとツバキが笑みを浮かべる。

 彼女は差し出された甘味を、修行部の面々に流れるように配りだした。

 

 甘味を出した店主たちはちょっとガッカリした様子だったが、まあ仕方ないかと美味しそうに食べてる修行部の面々を見て笑っていた。

 

 それを見たシャーレの先生は思った。これが魔性か、と。

 

 

 

「シャーレの先生も大変やねぇ、こんな辺境くんだりまで来はって」

 

 日が落ち、百夜堂でイチゴ餡蜜を食べている百鬼夜行の先生がそう言った。

 

「“いえ、折角招待されたので”」

「まあなんも無いところやけど、飯だけは美味いんで楽しみはっておくんなまし」

「そ、それはつまり、ついに百夜堂にお墨付きを!!」

「それで、あのアホどもどうにかする算段を付けるんやろ?」

 

 袖にされ、揉み手ですり寄っていたシズコはあえなく撃沈した。

 

「とりあえず、魑魅一座に命令している奴が居るみたいだから、その元凶を捕まえようってことになったよ、先生!!」

「へぇ、賢いやん」

 

 カエデの説明に、百鬼夜行の先生はそう述べた。

 

「“百鬼夜行の先生、イズナという生徒は知っていますか?”」

「知っとるで。貧相やけど将来性はあるわな。この間も話しかけられたわ。色香身に付けば化けると思うたんやけど、忍者ごっこしたい言うてな」

「“彼女の夢を聞いて、そんな風に思ったんですか?”」

 

 シャーレの先生は、少しだけ咎めるようにそう言った。

 

「うちは現実を教えただけや。ママゴトは友達としなはれ、って。

 もう高校生なんやから、いつまでもごっこ遊びしとると勉強遅れるで、ってな。

 夢なんてもんは初恋と同じようなもんや、叶わないようにできとる。仮に叶っても、現実とは違う言うて悩むようになるもんや」

「“勉強はもちろん大切です。でも、勉強だけが全てではないと思います”」

「シャーレの先生。うち、勉強が嫌や言う子には、いつもこう言うてんねん」

 

 ちょっと剣呑な二人の先生の空気に、生徒達が尻込みしていると。

 

「なあ、あんた魑魅一座やったんやろ?」

「ええ。もう足は洗いましたけど。先生のお陰です」

「そのお面、あれやろ、老舗の手作りやぁ言う奴」

「そうです!! 魑魅一座はどの派閥でも、お面は伝統と格式を重んじた手作りの老舗の工芸品を買うんですよ!!」

 

 百鬼夜行の先生の言葉に、番傘持ちの元魑魅一座の生徒がそう言った。

 

「知っとるか? あの老舗、昔は古臭い言うて潰れ掛けてたんやで」

「ええ!? 知らなかったです!!」

「それが昔の魑魅一座の連中が、伝統の為や言うて一人ずつ買って行ってそれを付けることでシンボルにしたんや。

 それでその老舗も経営を持ち直しとって、今も続いてるんや。義侠って言う奴やな」

「そうだったんですね、知らなかったです!!」

「ううぅ、なんという美しい義侠心デス」

 

 彼女の話にフィーナまで感激してると、百鬼夜行の先生はニヤリと笑った。

 

「今の話な、う そ 」

 

 これには、話を聞き入っていた生徒達もズッコケた。

 

「ほらな、勉強できな、こんな風に簡単に騙されるんや。

 えらい大学や入った連中も、カルトやらなんやらにも騙されるんやで。

 勉強できないならもっと騙されるに決まっとるやんけ」

 

 彼女は立ち直った生徒達に、そう言った。

 

「うちも昔売られた先で勉強や嫌や言うて暴れたもんやけど、姉さんらに教養ないと男に良いように騙されるで、言われてしゃあなし勉強させられたもんや。

 うちは勉強は将来の為やとか、未来の可能性の為とか、こそばゆいことは言わんわ。自分が損するから学べ、ガキに言うことはそれで十分なんや。聞かんやつは知らん」

「“……仰る通りです”」

 

 先生も、多くの子供は目先の利益しか理解できないのを知っている。だから勉強をさせるには目先の損を語るのは合理的だと判断するしかなかった。

 

「でもな、あの老舗の職人たちが後継者おらんて愚痴ってたわ。

 それで伝統の製法が途絶えて、機械で量産する言うたらあのガキどもは何ていうんやろな」

「……きっと、そんなのは認めないと言うんでしょうね」

 

 元魑魅一座の生徒は悲しそうにそう言った。

 

「それで形だけでも伝統が残らなくなったら本末転倒やないか。

 伝統言うんは時代に合わせて更新するもんや。以前までの方法を蔑ろにするんとは違うで」

「……じゃあ、先生は今回の花火、ホログラムで再現する装置をミレニアムから発注した奴なんですけど、それは賛成ってことですか?」

 

 シズコが恐る恐る彼女に尋ねた。

 

「ええんやない? 花火の破片で怪我するなんて危険性も無くなるんやろ?

 でも花火師は一年掛けて次の祭りの為に花火を準備するんや。祭りが終わった次の日からな。彼らを蔑ろにしたらあかんで?」

「はい、それは勿論です」

「なら、うちが言うことは無いわ」

 

 伝統と進歩の両立、それは切っては切り離せないと百鬼夜行の先生は語ったのだ。

 

「センセイ、いやアネゴ!! やっぱりアネゴと呼ばせてください!!」

 

 百鬼夜行の先生の話に感激したフィーナが目をキラキラさせてそう言うと。

 

「なんや、フィーナ。あんた、舎弟で満足なんか?」

「!?」

「任侠語るなら、ごつい旦那をモノにして、抗争相手の組にカチコムぐらいしなはれ」

「は、はい、アネゴ!! フィーナはクミチョーのダンナになって、ダンナがパクられたら代わりに相手の組に一人でカチコミしマス!!」

 

 フィーナの発言に、また生徒達がズッコケた。今度はシャーレの先生も一緒だった。

 先ほどの会話との温度差が違う。

 

「“なるべく反社会的組織はやめようね……”」

 

 シャーレの先生はそのように言うしかなかった。

 

「なんや、ワイルドハントの先生も人生は如何に派手に散るか、言うてんやん。

 世界に爪痕残す生き方の何が悪いんや」

「それとこれとは違うような……」

 

 常識人のミモリが引きつった笑みでそうツッコミを入れた。

 ちなみに最近のワイルドハントの先生と言えば、生徒の作品を片っ端からぶっ壊しながらライブ配信などをしている。

 

「あの人の言うてることも、うちと同じや」

「“そうなのかなぁ……”」

 

 ロックすぎる生き方を生徒が選ぶのは勘弁してほしい、そう思うシャーレの先生だった。

 

 その後、夜のパトロールに向かった面々。シャーレの先生が歩けば騒ぎに当たる。

 その騒ぎに乗じて暗躍するイズナを見つけた先生は、一人彼女の後を追った。

 

 純粋なイズナとなんやかんやで一緒にお祭りを見て回ることになった二人であった。

 そこで先生は、イズナに訊いてみた。

 

「“百鬼夜行の先生に、自分の夢を話したんだって?”」

「……はい、いつまでも御ままごとしてるな、と言われてしまいました」

 

 イズナはお耳をぺたんとさせて、そう言った。

 

「でも!! 私達の先生は言ってくれたんです!!」

「“え?”」

 

 

「イズナ言うたか? あんたの忍者はママゴトやないんやな?」

「はい!! イズナは絶対にキヴォトスいちの忍者になります!!」

「なら、周りを認めさせなあかん」

 

 百鬼夜行の先生は、イズナにそう言ったと言う。

 

「遊びやなくて、本物の忍者やって実力を周りに見せつけるんや。

 昔のごっこ遊びの忍者やなくて、本物にならなあかん。

 フィクションのファンタジーやなくて、現実の忍者になるんやで」

 

 

「“百鬼夜行の先生……”」

 

 彼女はイズナに道を示していた。

 その事実に、シャーレの先生は感動していた。

 

「それじゃあ、先生。イズナはそろそろ課題をこなしに行きます」

「え?」

「それでは、ドロン!!」

 

 イズナは煙玉で先生の前から消えた。

 彼が咳き込んでいると、シャーレの先生を尾行していた魑魅一座の生徒が先生を拉致する為に現れた。

 シャーレの先生は黒幕に接触するべく、自ら彼女らに付いて行くことに決めたのだ。

 

 

 桜花祭を中止に追い込もうとしていた黒幕は、なんと商店街の会長だった。

 彼はお祭り運営委員会のやり方が気に食わないのだと言う。

 

 自分のやり方ならもっとカネを稼げると豪語する彼は、その口でイズナを利用し内心で嘲笑っていたと吐露した。

 魑魅一座と一緒になってイズナの純真さを嘲笑していた面々に、先生は忍者について熱く語りだした。

 

 そして、彼はこう言った。

 

「“現実が見えていないのはあなた達の方だよ”」

「なんだと?」

 

 

「せやねぇ」

 

 彼らが拠点としていた廃墟の入り口から、下駄の音が鳴る。

 

「最後まで自分らの足元がお留守や気づかんとは、ほんま笑えるわ」

「貴様は、百鬼夜行の先生!!」

 

 彼女は番傘を指す生徒を伴って、シャーレの先生の窮地に現れた。

 

「シャーレの先生、なにしてはるん? 新しい遊びなん?」

「丁度いい、百鬼夜行の先生。我々と手を組まぬか?

 貴様はカネの稼ぎ方を分かっている。学校と商店街、両方から祭りを制してカネを稼ごうではないか!!」

「興味ないわ」

 

 黒幕の誘いを、百鬼夜行の先生はにべも無く切って捨てた。

 

「うちは働かんでも、男どもが進んでカネを貢いでくれよる。なんでうちがあんたと汗水垂らさんとあかんのや」

「こ、この、ふざけやがって!!」

「それよか、さっきの話、ホンマにお笑いやったで」

 

「なあ、イズナ?」

 

 しゅたっ、と天井裏からイズナが降りてきた。

 

「はい、先生。こちらが、奴の店に隠してあった裏帳簿です」

 

 彼女は自分たちの先生に、黒い帳簿を差し出した。

 

「なッ、貴様、それはうちの店の裏帳簿!!

 我々を裏切っていたのか!!」

「あんた、引っ越し先の家の内見とかしよらんの?

 近くに迷惑な住人やら、珍走団が居るかもしれへんやん」

 

 激昂する黒幕に、百鬼夜行の先生は着物の袖で口元を隠してせせら笑った。

 そう、イズナは最初から、彼女の指示で魑魅一座の内偵をしていたのだ。

 

「なんや、狐に()鹿にされたみたいな顔しはって。ホンマ笑わせてもろうたわ。自分は忍者や言うてるのに、平気で側に置いて利用した気になっとるあんたらは」

 

 頭足りてるんか、と彼らの言葉の意趣返しと言わんばかりに嘲笑う百鬼夜行の先生。

 

「“イズナ!!”」

「ッ、シャーレの先生」

「“イズナはやっぱりカッコいい忍者だよ!!”」

 

 先生は、目を輝かせてそう言った。

 そう、イズナはずっと、心を殺して忍者として悪党どもと一緒に、大好きなお祭りを邪魔していたのだ。

 任務の為に耐え忍ぶその姿を、先生は本物の忍者だと称えたのだ。

 

「は、はい。はいッ!!」

 

 イズナは笑顔でそれに応じた。

 

「くッ、それを返せ!! お前達、やつらを生かして返すな!!」

「あんた、さっきは自分ならもっとカネを稼げるや言うてたけど」

 

 激昂する黒幕に、百鬼夜行の先生は語り掛ける。

 

「あんたに出来るんは、どうせ文化の寿命を切り売りして、一時だけ客からカネをせしめることだけやろ。

 後には何も残らん。悪事でカネ稼いできた輩は、自分が無法で稼いだカネを自分の実力や思うんやから滑稽やわ」

「この、言わせておけば!!」

「なあ、猫のナニって小さいんやってホンマか? ナニだけやなくて器も小さいんやなぁ」

 

 もはや言葉にならない罵声と共に、魑魅一座の銃撃が始まった。

 彼女は番傘を広げ、その銃弾を全て弾いた。

 

「ほら、終いや」

 

 その時だった、お祭り運営委員会と修行部の面々が、廃墟に駆けつけてきたのは。

 

 

 お祭りを邪魔する悪党は退治され、シャーレの先生は大団円で花火の時間を迎えられた。

 

 イズナと一緒にホログラムの花火を見終えた彼女は、シャーレの先生を自らの主として、認めた。

 

「主殿、実はうちの先生から、自分がこれと決めた運命の主君を見つけたら、こうしろと教わったのです」

「“え?”」

 

 先生は、人込みで満ちた展望台で隣り合わせだったイズナが、密着したことに気づいた。

 そして、耳元で囁かれる。

 

「主殿、実はイズナ──男の子なんですよ♪」

「“……え、ええッ!?!?!?!?!?!?!?”」

 

 その瞬間、先生の脳内はバグり散らかした。

 

「えへへ、嘘でござるよ、ニンニン♪ これが忍法、脳破壊の術です!!」

「“え、ええぇ”」

 

 もう、え、としか発話出来なくなってる先生。

 

「……それとも、主殿。イズナの色仕掛けで、嘘か本当か確かめてみますか?」

 

 それは、少年的な健康美を醸し出す少女が、色香を称えた瞬間のギャップを見出した時のそれと似ていた。

 

「えへ、えへへ!! 成功した、成功しました!! これで主殿は、イズナに夢中ですね!!」

 

 無邪気に笑うイズナを見て、シャーレの先生は思った。

 百鬼夜行の先生は、恐ろしい才能を見出してしまった、と。

 

 完全に情緒を破壊された先生は、しばらくの間イズナと密着してドギマギさせられるのだった。

 

 そして後日、腕利きの忍者が出現したとして、忍術研究部がイズナをスカウトしようと接触したのはまた別の話である。

 

 

 




ちょっと仕事で目を離した100人目を軽く超えてたので、それが高評価かわからなくて草ww
なんか催促したみたいですみません。ちょっと弱気になってただけなんです。作者も人間なので。でも、皆さんのノリの良さ、大好きです。作者はそれに、更新で応えますね!!

ちなみに今回、番傘から仕込み刀を抜いて百鬼夜行の先生が無双する展開も考えてました。ほら、百花繚乱の元ネタが新撰組なので。でも流石にそれは別の機会にしますね。(没設定だとは言っていない。

次回は、ミレニアムの先生でパヴァーヌ一章か、女先生達の女子会、教授の講義、のいずれかを予定しています。

あなたはどの先生に勉強などを教わりたいですか?

  • トリニティの先生
  • ゲヘナの先生
  • ミレニアムの先生
  • アビドスの先生
  • 百鬼夜行の先生
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