キヴォトス、先生大量発生中!?   作:ユメ先生

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ゲヘナの先生:ゲヘナ軍団襲来!?

 

 

 

 時間は昨夜に巻き戻る。

 

 合宿場からほど離れた廃墟。

 深夜と言う時間帯に、スバルはそこに一人やってきていた。

 

「……定時報告の時間だ」

 

 廃墟の壊れた窓から差す月明りに、サオリの姿が浮かび上がる。

 彼女を視界に収めたスバルは、ヘイローを一応確認してから不満を口にした。

 

「定時報告の方法ですが、別にこうして直接口頭でする必要はないと思いますが。スクワッドは相変わらずこんなアナログを重視しているんですね」

「ああ、通信だと傍受の可能性もあるし、メールの類も電子的に記録が残る。それはリスクになりうる」

「そうですか。

 ではこの話も偶然通りかかった誰かに聞かれる可能性もありますね」

「それはない。他のメンバーが周囲を警戒している」

「それは良かった。そのうちテレパシーで報告しろとでも言われるかと思ってましたからね」

「……テレパシーなどと。非現実的だ」

 

 スバルの嫌味は、クソ真面目なサオリには通じなかった。

 所詮八つ当たりであり、スバルもこの堅物には嫌味など通じないのは長い付き合いで承知していたが、それでも言わずにはいられなかったのだ。

 

「(まただ……)」

 

 相手がサオリだと思うと、感情的になってしまう。

 スバルはそれを未熟であると思い、恥じていた。

 それは彼女がアリウスの先生と出会って、少なからず起こった変化だった。

 

 とは言え、仕事は仕事、任務は任務である。

 彼女はサオリに報告を行った。

 

 作戦通り、任務遂行に問題無し、と。

 

「では、私は帰ります」

「……スバル」

「なんですか? 何か不備でも?」

「いや……」

 

 スバルを呼び止めたサオリは、なぜか歯切れが悪かった。

 

「……言葉にするのは難しいが、私はお前に謝らなければならない」

「なんですって?」

「私は自分なりに、常に最善を選択してきた。

 だが、先日自分を見つめ直す機会があった」

 

 サオリは、スバルに顔を合わせられないと言うように視線を逸らしていた。

 

「お前はいつも私のやり方に物申していたな。

 やはりそれは、私に配慮が足りなかったのだと、実感させられた」

 

 スバルは唖然とした。口をあんぐりと開けて、サオリを見ていた。

 

「私は自分が思っている以上に、身勝手で自己中心的な人間だった。

 これまで不快にさせていたのなら、謝罪をさせてくれ」

「……何が言いたいんですか?」

 

 我に返ったスバルは、吐き捨てるようにそう言った。

 

「今更、仲良くしてほしいとでも言いたいんですか!?」

「だから言葉にするのが難しい、と言ったんだ」

「なるほど、的確な自己認識のようですね」

「だから今、己に恥じ入っている」

「……言いたいことはわかりました」

 

 サオリのような堅物が己を省みているのに、自分が冷たく突き放すのは違うと、スバルは己の中の不平不満を一旦飲み込んだ。

 

「反省する振りなど誰でもできます。己の過ちを認めているなら、行動で示してください。百の謝罪よりもそちらの方が重要ですから」

「ああ、そのつもりだ」

 

 言ってから、スバルは思った。自分は何様のつもりだ、と。

 謝意を示す相手を頭から抑えて上から目線の発言などと。

 

 スバルの脳裏に、自分達の先生の顔が浮かんだ。

 彼ならどうするか、と。

 

「…………我々も見知った仲です。年下には言いにくいこともあるでしょう、相談があれば聞きますので、遠慮は不要です」

 

 そうして出た言葉がそれだった。

 これには、サオリも目をぱちくりとさせた。

 

「なんですか、その何か言いたそうな顔は!!」

「いや、そんな言葉を掛けられるとは思わなくてな」

「そうですか!! 私はそろそろ戻りますよ!!」

 

 後輩達には当たり前のように出来ていたはずなのに、なぜかスバルは気恥ずかしくなって、サオリに背を向けた。

 

「……すまない。……いや」

 

 サオリは、彼女の背にこう言った。

 

「ありがとう」

 

 スバルは何も言わず、腕を上げて手のひらをヒラヒラと揺らしたのだった。

 

 

 

 

 翌日のお昼。

 

 この日は山海経の先生に料理を教わり、カレーを作ったアリウスの生徒達。

 不器用だとアリウスではやってられない。不器用さを矯正されて彼女達は生きて来たので、誰もがそつなくカレーを作り上げた。

 そのままそれが昼食になった。

 

「カレーってこんなに美味しかったんだ……」

「偶に手に入るパウチのカレーって全然美味しくないもんね……」

「温かいってだけで全然違うんだね」

「次から私達も温めて食べようよ」

「そうだね!!」

 

 子供たちは楽しそうにそんなことを話している。

 だが、大人たちは笑えなかった。彼女達はレトルト食品を正しく調理して食べることすら知らなかったのだ。

 

 それは、御相伴に預かっている補習授業部の四人も同じだった。

 アリウスの生徒達は楽しそうにしているのに、奇妙な居心地の悪さを感じていた。

 見下すのも、憐れむのも違う。ある種の居た堪れない、痛々しさを抱いていたのだ。

 

 

 そんな昼食が終わった頃だった。

 ゲヘナの先生の電話が鳴った。

 

「はい、もしもし……。ああ、ハスミちゃん、お世話になってます。

 ……ええ!? それマジか……。わかった、俺が対応するわ。ごめんな、迷惑を掛けて」

 

 彼が電話を切って、溜め息を吐いた。

 

「ハスミ先輩から? 先生、何かあったの?」

「うちのガキどもが大勢、トリニティの自治区に向かってるそうだ」

「ええ!?」

 

 コハルは彼の言葉に驚いた。

 現在、エデン条約に向けて政治的に両学校はピリピリしている状態だ。

 面倒ごとかと思いきや。

 

「悪い、ちょっと行ってくる」

「“はい。分かりました、お気を付けて”」

 

 シャーレの先生に声を掛けてから、ゲヘナの先生は行ってしまった。

 

「一体なに事でしょうか……」

「ゲヘナ側の奇襲作戦だろうか」

「そんな縁起でもないわ!!」

「そうですね、今のところ何にも情報がありませんし、断定は難しいでしょう」

 

 補習授業部の面々が不安そうにしていると、程なくしてゲヘナの先生は戻って来た。

 大勢のゲヘナの生徒を連れて。

 

 これには先生達も、他の生徒達も目を白黒させた。

 特に、何事かと見に来たアリウスの生徒達は警戒を示したが。

 

「わあぁ、ここが先生が泊ってる合宿所なんだ!!」

「みんなでお泊りしてるんでしょ、楽しそう!!」

「ねえねえ、キャンプファイヤーしようよ!!」

「いいねいいね、面白そう!!」

 

 きゃぴきゃぴとしたゲヘナのギャル達が、わいわいとしていた。

 それを引き連れたゲヘナの先生は、疲れ切った表情をしていた。

 

「“ゲヘナの先生、これは……”」

「遊びに来たんだと」

 

 ゲヘナの先生は、端的に説明した。

 

「俺、SNSにその日の業務報告を簡単に挙げてるんだけどよ」

「えッ、そうなんですか!! 今度見てみますね!!」

 

 アビドスの先生が今時の若者みたいな反応を示した。

 

「今日は午前授業だから、こいつらそれを見て俺のところに遊びに来たんだってさ」

 

 ただそれだけ。思い立ったから、遊びに来た。計画性も欠片もない。

 

「あ、シャーレの先生だ、やっほー!!」

「“うん、やっほー”」

 

 そこには、シャーレの先生の知り合いの生徒も居た。キララやエリカ達である。

 

「ねえ先生、あそこに居るのがアリウスって学校の生徒なんでしょ?」

「ああ、そうだぞ」

「あたしら、知ってるよ。この間、あの子たちの先生がバズってたよね!!」

「それ、制服のジャケットでしょ? うちの上着って黒ばっかりだから白いのもいいよね!!」

「そうだな」

 

 ゲヘナの陽キャギャル軍団に彼女らの先生は左右から上着を引っ張られてたじたじだった。

 そして、それは彼だけではなかった。

 

 彼女たちが合宿場に雪崩込み、アリウスの生徒達を取り囲んだ。

 

「ねえねえ、一緒にキャンプファイヤーしようよ!!」

「ならバーベキューも良くない? 皆も一緒にやんない?」

「どうせならトリニティっぽいキャンプファイヤーにしない?」

「いいねいいね、楽しそう!!」

「他には何して遊ぶ?」

 

 アリウスの生徒達は目を白黒させて、困惑している。

 ギャル津波に揉まれ、されるがままになっている。

 

「あ、みんな、見てみて!!」

 

 そんな中で、キララが声を挙げた。

 

「この子たちの銃、全然デコってなくない?」

「あッ、ホントだ!! 盛れてないじゃん!!」

「嘘、カスタムってないの!?」

「ええぇ、信じらんないんだけど!?」

 

 彼女たちの中に、すぐさまそんな声が広がる。

 

「先生、ちょっと銃用のカラースプレーとかオプション買ってくるね!!」

「おう、もう好きにしろ……」

 

 ゲヘナのギャルたちは、ダチョウの群れのように去って行った。実際大差ないと思われる。

 

「な、なんなんだ、あいつら……」

 

 あるアリウスの生徒の言葉が、自分達の心境を代弁していた。

 

「も、もしかして、ゲヘナの部隊かなんかじゃ……!!」

「じゃあ、あの意味不明な言動は、暗号か何かって、コトォ!?」

「きっと潜入部隊かなんかなんだよ!!」

 

 彼女たちは、混乱していた。

 だって、想像と違い過ぎていたから。

 

 彼女たちはゲヘナを憎み、それを当然として教えられてきた。

 他者への批判が無料の娯楽であるように、彼女たちにとって憎悪こそが生きる為の慰めだった。

 

 そしてゲヘナには、風紀委員会と言う分かりやすい強敵が居る。

 キヴォトス最強を誇る組織、敵対者の象徴。

 分かりやすい敵として、これ以上無いものだった。

 

 それが、彼女たちにとっての“ゲヘナ学園”だった。

 

 しかし、こうして出てきたのが頭からっぽのダチョウ軍団だった。

 

 

「くくくく、その通り……」

 

 そして、彼女らの勘違いに悪乗りをする男が居た。

 ゲヘナの先生だった。

 

「奴らはゲヘナの優等生ども(嘘ではない)。あのヒナでさえ、奴らに囲まれれば成す術がないのだッ(嘘ではない)!!」

 

 何も考えてないだけで悪さはしないしちゃんと毎日出席してテストにも参加してるだけで不良天国のゲヘナでは上澄みなのは間違いないし、彼女たちを攻撃する理由が無いのでヒナも彼女らに囲まれたら揉みくちゃにされてあの毛量の髪の毛を好き放題されてしまうのだッ!!

 

「あ、あの風紀委員会のヒナも!?」

「あんな集団が居たなんて……ッ」

「ど、どうしよう、トリニティに攻めて来たのかな!?」

 

「不安がる必要はないぜ、あいつらは俺の指揮下にある(大嘘)。俺の言うことにちゃんと従ってくれるのだ(半分本当)。

 部隊教練だと思って、あいつらのノリに付き合ってやれ(丸投げ)」

 

 ゲヘナの先生の適当な言葉に、アリウスの生徒達は緊張した面持ちで頷いたのだった。

 

 

 午後にも予定はあったが、ゲヘナの生徒達の襲撃(あながち間違いではない)に遭って明日に見送りとなった。

 

 彼女らは教室を借りて、アリウスの生徒達の銃器の塗装やカスタマイズを始めた。

 

「ねえ、このステッカー可愛くない? 銃身に張っちゃおうよ!!」

「そ、そこに張ったら整備性に差支えが……」

「やっぱり制服に合わせたコーデが良くない? こっちのカラースプレーとか試そうよ!!」

「こ、こんな迷彩を考慮しない色に、何の意味が……」

 

 ゲヘナの生徒の押しの強さに、困惑する彼女達。

 

「やっぱさ、グレランっしょ」

「ソードオフがパナいって」

「グレネードで派手な方がいいじゃん!!」

「派手さなら散弾がいっぱい散らばった方がキレイじゃん!!」

「(おろおろ……)」

 

 グレネードのアタッチメントや工具を持って揉めるギャル達に、アリウスの生徒は自己主張できずにいると。

 

「なにやってんだお前ら」

「あ、せんせー。せんせーはグレランの方がいいと思わん?」

「今時のキヴォトス女子のトレンドは可愛くて派手でエグイ銃でしょ」

「お前らの好みを押し付けんな。お前らのスマホのアクセサリーみたいにちゃらちゃらしてんのはアリウス流じゃないだとよ」

 

 な、と彼が委縮しているアリウス生に言うと、彼女はうんうんと何度も頷いた。

 

「銃の重量が変わるのは、手が馴染まなくなるから、ちょっと……」

「あー、それな」

「わかるー。違和感出まくりでマジヤバだもんね」

「んじゃ、こっちにしない?」

 

 そうして、今度はお気に入りの塗装方法やステッカーを取り出し始めた。

 

 

 そんな光景を、補習授業部の面々がそっと様子を見に来ていた。

 

「ゲヘナの生徒って本当に騒がしいのね……」

 

 呆れたようにコハルがそう言った。

 

「よう、お前ら。まあ、それだけが取り柄だからな」

 

 ゲヘナの先生が廊下に出て来た。

 どちらの生徒も大勢いるので、複数の教室で跨って作業をしているから、別の教室を見に行こうとしていたのだ。

 どの教室からも、ゲヘナ生の楽しそうな声が聞こえている。

 

「“でも楽しそうですね……”」

 

 一緒に様子を見に来たシャーレの先生が微笑ましそうにそう言った。

 

「子供らしくていいだろ? 若さって奴だ。

 若さと言えば、どいつもこいつもスカートの丈が短い。俺は眼福で良いけどよ、キヴォトスのガキどもってあまり異性を意識する必要がないからって、ちょっと攻めすぎだよな」

「ちょっと!! ゲヘナの先生、エッチなのはダメだからね!!」

「え……正義実現委員会(おまえら)が言うの?」

 

 シャーレの先生が深く頷いている横で、コハルが吠える。

 しかし、ゲヘナの先生は信じられないものを見る目で見ていた。

 

「そうですね、例えばハスミさんのスカートのスリットとか、かなり攻めていますよね♡」

「はあ!? なに言ってるの、ハスミ先輩がエッチだって言いたいの!?」

「いえ、真面目に彼女が許されて私がダメな理由を教えて欲しいです……」

 

 割と真顔で言うハナコに、コハルが更に食って掛かり始めた。

 

「アコはともかく、この間ヒナと話した時、あれ、こいつ意外とスカートの丈短いなってなったし、寒くないのかね?

 こっちのガキどもってファッションに気合入れすぎだよな。いや別に俺は良いんだけどな、ギャルっぽくて」

「“ギャルを嫌いな人は居ませんからね……”」

 

 シャーレの先生がわかりみが深そうに何度も頷いている。

 

「何がギャルよ、先生達のエッチ、スケベ、変態、死刑ッ!!」

「おほほほ、お子ちゃまが喚いておるわ」

 

 ふざけてゲヘナの先生はコハルを挑発しだした。

 

「そうやって私達もエッチな目で見てるんでしょ!!」

「え……」

 

 ゲヘナの先生は補習授業部の面々を見渡した。

 

「……なんか、その、すまん。お前達をエロい目で見ようとしたらなんか、罪悪感が……」

「意味はよくわからないが、馬鹿にされたのは分かった」

「そうですね……コハルちゃん、今回ばかりは加勢しますよ!!」

 

 凄く申し訳なさそうにしているゲヘナの先生に、アズサが素早く関節を決め始めた。ヒフミも片腕を逆方向に曲げ始めた。

 

「死刑、死刑執行!!」

 

 顔を真っ赤にしたコハルが彼をぽかぽか叩き始めた。

 シャーレの先生が若干羨ましそうにしている。

 

「あー、うん、これはこれでご褒美かもしれん」

「うふふ、ゲヘナの先生。私もですか?」

 

 わざとらしく体をくねらせ、しなを作るハナコ。

 彼女の肉感的な仕草を見て、割と余裕そうなゲヘナの先生は目を逸らした。

 

「いや、お前の場合、トリニティの先生がTS美少女になったらお前やナギサみたいになるんだろうなって、頭に過っちゃってな……」

「……皆さん、まだまだゲヘナの先生は余裕そうですよ」

 

 ハナコ、キレた!!

 

「ヒフミちゃん、ここはこうやって、こうした方が」

「なるほど!! やってみます、ハナコちゃん!!」

 

 ヒフミのクソ素人な関節攻撃に、彼女の指導が入る。

 

「あ、待て、それはシャレになんない!! いたたたた!!」

 

「あはは、なにそれ先生、面白そう、私も混ぜてよ!!」

「うちもうちも!!」

 

 彼は廊下に居たので、必然的に左右の教室からはその様子は丸見えだし声は筒抜け。

 その様子を見たゲヘナ生たちが、わらわらと出てくる。

 

「“え、ちょ、なんで私まで……”」

 

 ゲヘナの先生に空きが無いので、その矛先はシャーレの先生に向かった。

 二人の先生は生徒達に揉みくちゃにされるのだった。

 

「ふ、ふふ、うふふッ、あはははッ」

 

 そんな様子を見て、ハナコはお腹を抱えて大笑いしていた。

 

 

「よう、勝手にお邪魔してるぜ。……って、なにしてんだ、お前ら」

 

 そんなゲヘナが是とする混沌の光景に、一人の大人が現れた。

 迷彩柄の軍服に、狼マスクの被り物をした男。

 

 SRTの先生だった。

 

 

 

 

「ねえ、あなた達は何とも思わないの?」

「うん? 何が?」

「アリウスは昔から、ゲヘナの敵なんだよ!!」

 

 堪らない、といった様子で、アリウスの生徒の一人が言った。

 それは他の同胞も同じで、彼女に視線が集まった。

 

「え、敵? なにそれ、知らん、怖……」

「なにそれって」

「ふふッ、うち知ってるよ。饅頭解説動画で見たからね!!」

 

 このゲヘナのギャル軍団で随一のインテリにして眼鏡っ子、テストの平均60点前後のギャルが言った。

 

「アリウスって、昔うちらゲヘナとやり合ってたんだって。でもトリニティと一緒に戦おうってなって、自分らは独りでやるってなったんだってさ」

「えー、マジ、ちょー勇気あるじゃん」

「それでそれで、仲間じゃないなら敵じゃんねって、昔のトリニティから攻撃されたんだってさ」

「なにそれ、ひどくね?」

「それな、マジあり得ないわ、バチギレ案件」

 

「でもさ、その敵って昔の、話じゃん。何でそんなこと気にしてるん?」

 

 ギャルの一人がそう言った。

 

「そうそう、うちらには関係ないっしょ」

「ねー」

「なんで、なんで、なんでそう思えるの!?」

 

 彼女たちの言葉は、アリウスの生徒には無神経な言葉に過ぎなかった。

 

「だって、うちらもう、友達じゃん?」

「え……」

「そうそう。もう敵とかじゃなくね?」

「実際、もうマブじゃん」

「それな」

「それよりさ、次は今流行のコーデの話しない?」

「それ賛成!! 暗い話はもう無し無し」

 

 その時、ばん、とスバルが机を叩いた。

 

「あなた方にとっては昔でも、私達にとっては今も続いている話なんですよ」

 

 過去の事をさらっと流されようとしている。それにスバルは耐えられなかったのだ。

 

「……なんか、怒ってね?」

「……もしかして地雷だった?」

「うわぁ、ヤッバ。マジどうしよ」

 

 すると、ギャルたちはさっと集まってささっと会議を終えた。

 

「ならさ、これからは楽しいことを続ければよくない?」

「は、はあ?」

「そうだ!! 今度ゲヘナに遊びに来なよ!!

 それならうちらが敵じゃないって分からん?」

「それガチ名案じゃん!! 」

「すごい神ってるわ、うち天才じゃん」

 

「ちょっと待って、みんな」

 

 その時、インテリ眼鏡っ子ギャルがハッとなった。

 

「他所の学校の子がさ、うちらの自治区通るの難易度高くね?」

 

 その言葉に、ギャル達も顔を見合わせた。

 

「あー、マジそれな。今日、ここに来るまで三回ぐらい襲撃されたしね」

「トリニティってマジ神ってるよね。さっき買い物した時、一回も撃たれなかったしさ」

「うちらの自治区が終わってるってのが正しくね?」

「それなー」

 

 それを聞いたアリウスの生徒達は戦慄した。

 自分達の自治区でも、そこまで無法が蔓延っていない。

 むしろ不良なんて一人も居ない。

 

「やっぱりあいつら、ゲヘナの部隊かなんかなんじゃ……」

「このふざけた態度も、演技なんじゃ……」

 

 そして、アリウスの生徒達にとって疑い合うのがデフォだった。

 

「そだ、ヒナちゃんが一緒に来てもらえれば良くない?」

「それなら不良とエンカウントしないし、名案じゃん」

「あんた今日、頭好ハオじゃん!!」

 

 ここでギャル達で勝手に話が進んでいることに、アリウス生たちは危機感を覚えた。このままでは流される、と。

 

「ゲヘナの地を歩くぐらい、私達には何ともないから!!」

「そうそう、私達がゲヘナの生徒に負けるわけ無いしッ」

 

 それは単なる強がりだったのだが。

 ギャル達は急に笑顔になった。

 

「それって、ゲヘナに遊びに来てくれるって、ことぉ!?」

「えぇ、マジ嬉しいんだけど!! 今度皆で色んなところ回らん?」

「とりあえず映えスポット巡りは確定な」

「それな」

 

 アリウスの生徒達の、危機感の通りになった。

 

「せんせー、今度うちの学校にアリウスの皆連れて来てよね!!」

「……おう、わかった」

 

 廊下でしなしなになったゲヘナの先生が、片手をあげて応じた。

 

 こうして、彼女らの今後の予定が勝手に決まったのだった。

 

 

 

 





恐怖のゲヘナギャル軍団にわからされるアリウスの生徒達……閃いた!!

と言うか、SRTの先生が来たのに、ギャルを書きた過ぎて来ただけになってしまいました。仕方ないよね!!

次回は彼を中心に、エデン条約編や外の世界との関係性を深堀していきます。

あなたはどの先生に勉強などを教わりたいですか?

  • トリニティの先生
  • ゲヘナの先生
  • ミレニアムの先生
  • アビドスの先生
  • 百鬼夜行の先生
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