キヴォトス、先生大量発生中!?   作:ユメ先生

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アビドスの先生

 

 

 

 ここはアビドス高校。

 かつて、ゲヘナ学園やトリニティ総合学園をもしのぐ勢力を誇ったと言う超巨大学校。

 

 しかし、その栄華は度重なる災害によって衰退し尽くした。

 その全校生徒はたった五人になるまでになっていた。

 

 

「いやぁ、ごめんねアヤネちゃん、セリカちゃん。

 入学して早々こんなことになっちゃって」

 

 ホシノは校門の前にバリケードを設置しながら、僅か二人の新入生に苦笑いを浮かべてそう言った。

 

「いえ、アビドス高校の窮状は、中学の頃から知った上ですから」

 

 セリカと一緒にハードルを改造したバリケードを校門前のグラウンドに設置しながら、アヤネはそう言った。

 

「うちもそんな感じだったわ。

 でもまさか、不良集団に狙われるなんて」

 

 セリカは溜息を吐いて、バリケードを固定する。

 

 そう、アビドス高校は現在、カタカタヘルメット団なる地元の不良集団に度重なる襲撃を受けていた。

 

「ヴァルキューレは自治権がどうのこうので役に立たないし、連邦生徒会の対応は私がもっと子供の頃から“さっさと出て行けば”だもの」

 

 セリカが憤るのも無理はない。

 連邦生徒会は既にアビドス高校を学校として運営できる能力が無いとみなしている。

 他の学校に転校を促すのは統治機構からすれば常識的な対応だ。

 

 ある意味では、こんな砂に埋もれてどうしようもないこんな学校にしがみついているこの五人の方が異常なのかもしれなかった。

 

 それでも、地元を愛する者、他に行き場がない者、──そして学校と言う巨大な墓場で墓守をする者。

 

 彼女達がここを出ていくと言う選択肢は無かった。

 

「ああでも、聞きました?

 今度から、新しくどの学校にも大人の先生が配置されるそうですよ?」

 

 まとめて五個のバリケードを抱え上げて持ってきたノノミが笑顔でそう言った。

 

「私も聞いた。ニュースのトピックに出てた」

 

 弾薬ボックスを配置しているシロコも顔を上げて話題に乗る。

 

「何を今更。どうせうちみたいな潰れ掛けの学校なんて後回しにされるでしょ!!」

 

 感情的になったセリカがそう吐き捨てる。

 

「でも、先週話題になったシャーレだっけ?

 そこの先生が、キヴォトスの全校ほぼ同時に着任するって発信してたよねぇ。なんだか面白そうじゃない?」

「なに言ってんのよ、ホシノ先輩!!」

 

 アビドス対策委員会の会計担当に任命されたセリカはぷんすかと怒りを示した。

 

「連邦生徒会の通知は見た!? その大人の先生とやらの雇用費は、こっちが出すのよ!!」

 

 アビドス高校は毎月、七百万円以上の利子を銀行に払っている。

 その上に職員一人分を負担しろと言われたのだから、彼女が理不尽に思うのも当然だった。

 

「まあまあ、落ち着こうよセリカちゃん」

「……そうですね、こう考えましょう。どういう理由であっても、人手が増える、と」

 

 苛立つセリカをホシノは気の抜けた表情で諫める横で、アヤネはポジティブにそう口にした。

 

「そうですねぇ、今はお金を払ってでもこの学校に来てくれる生徒や職員はいませんもんね……」

 

 ノノミは少し寂しそうに、そう現状を口にした。

 

「よく知らないけど、大人って私達子供とは違うんだよね。

 だったら、現状を変えてくれるかもしれないよ」

「夢見すぎよ、シロコ先輩」

 

 セリカはツンケンしながら作業を続ける。

 

「夢、か……」

 

 そうだ奇跡なんて起こらない、ホシノはその事実、現実をよく知っていた。

 

 自分が慕っていた先輩も、儚い奇跡に縋りながらも現実に裏切られた。

 どうしようもない人だったが、あんな最期を遂げる謂れは無かった、と。

 

「そうだね、期待するだけ無駄だよね……」

 

 そう呟いて校舎に物資を取りに戻るホシノを、ノノミは振り返って何も言わずにその小さな背を見つめていた。

 

 

 

 それから二週間ほどして、その日はやってきた。

 ついに一学校一先生制度が実施され、今日から先生が各学校に配備される。

 

「あの、今連絡が取れました。

 迎えに行った方がよろしいでしょうか」

「うん、その方が良いと思う。アビドス砂漠は住宅地でも遭難するって有名」

「一応、年上の大人だから。対面上は敬った方が良いわよね」

 

 モモトークのメッセージでやり取りをしているアヤネに、シロコは頷き、セリカさえも消極的な肯定をした。

 キヴォトスの子供たちにとって、大人とはそう言うもの。いずれ自分たちがそうなると言う実感さえない、漠然とした隣人に過ぎないのだ。

 

「あ、迎えは必要ないそうです。

 自分で来れるとのことです」

 

 アヤネが迎えに行くとメッセージを送ったところ、そう返事が返って来た。

 

「ん、大丈夫なのかな」

「良いんじゃない、相手がそう言ってるんだし」

 

 セリカは投げやりにそう言った。彼女は愛銃の分解整備をしながら、ヘルメット団との戦いに備えている。

 

 それから、しばらくアヤネはメッセージでやり取りをしている。

 委員会の部室で弾薬の確認をしていたノノミはふと彼女に視線を向けた。

 

「アヤネちゃん、何だか話が弾んでるみたいですね?」

 

 ノノミはアヤネの顔がほころんでいることに気づいた。

 

「あ、そうなんです。なんと、我が校に赴任する先生は、アビドス高校のOGらしくて」

「OGってことは、女の人なんだ」

「そりゃあ、うちは女子校だし、当然ですよ」

 

 なんとなく大人と言われて男性を想像していた面々はそんな感想を漏らした。

 シャーレの先生が男性と言うのもあり、そのイメージに引っ張られていた。

 

「アビドスの現状を憂いていて下さって、卒業後も母校に戻って来れたことを本当に嬉しそうに話して下さっているんです」

「そうなんですか!? それはよかったです!!」

 

 その事実に、ノノミも笑顔で喜んだ。

 

「なんて言うか、大人って結局他人だと思ってたけど、うちの卒業生なんだ……」

 

 セリカの言葉端から角が取れ、同じ境遇と言う連帯感が態度を軟化させた。

 

「よかったね。もしかしたら、今度こそ何とかなるかもしれない」

「うん、うん!! ホシノ先輩にも教えてあげないと!!」

「そう言えば、ホシノ先輩はどこだろう」

「またどこかの教室で昼寝してるのかもしれません」

 

 探しに行きましょう、と二年生二人は部室を出て行った。

 

「でも、赤の他人じゃなかったけどさ」

 

 しかし、セリカの表情は曇っていた。

 アヤネはそんな同期の方を見やる。

 

「別にアビドスの現状を在学中に変えられたわけでもないってことじゃない」

「セリカちゃん……」

 

 どこか悲観的な彼女に、アヤネは何も言えなかった。

 

 

 

 

 場所は変わり、アビドス最後の都市部。

 

 そこに乱立するビルディングの一つに、ホシノは訪れていた。

 エレベーターで特定の階層に到着し、息を整えて目的の扉を開ける。

 

「待っていましたよ、小鳥遊ホシノ」

 

 真っ暗な一室に、闇が蠢いていた。

 窓のシャッターの隙間の光が、その正体を暴く。

 

 怪人だ。一切の肌の露出を排し、ビジネスマンと言わんばかりの格好。しかし、その首から上はまるで闇がひび割れたかのように走る不気味な光が、まるで人間のような目や口を模っているだけだった。

 

 黒服、ホシノがそう呼ぶ大人だった。

 

「急に呼び出して何の用なの?」

 

 ホシノは後輩達には見せない、うんざりしたような視線と声音でそう言った。

 

「それは勿論、以前より提案していた事案について前向きに検討をして頂きたく……と言いたいところですが」

 

 くっくっく、と怪人は嗤う。

 

「小鳥遊ホシノ、あなたは奇跡を信じますか?」

「……何を言ってるの?」

 

 ホシノにとって、この怪人は自分を昔から勧誘し続けているうっとうしい存在に過ぎなかった。

 結局のところどうでもいい他人であり、その為人など知る由もない。

 

「ああ、その様子ではまだ御会いしていなかったのですか」

「何が言いたいのさッ、宗教勧誘でもしたいの?」

「まさか」

 

 黒服は愉快そうに上ずった笑い声で否定した。

 

「あなたのような子供に、私達の事業の素晴らしさは理解できないでしょう」

「ああそう、じゃあ要は済んだってことでいいんだね?」

「小鳥遊ホシノ。貴方は奇跡を信じますか?」

 

 黒服は、再びホシノに問うた。

 

「奇跡なんて、在るわけないじゃない」

 

 彼女はそう断じた。

 

「そうですか。私もキヴォトスに来て長いとは言えませんが、多くの不可解な現象に触れ、今に至っています。

 しかし、此度の事変はこれまでとは格が違う」

 

 怪人は愉快そうに顔を形作る燐光を強め、そう言った。

 

「奇跡など存在しない。それが正しい解である場合、此度の事変はどのように解釈すべきでしょうか」

 

 黒服はワークデスクから立ち上がる。

 

「或いは、()()()()()()()()()()()()()()()()のか」

 

 窓のシャッターの隙間から、黒服は階下を見下ろす。

 

「実に興味深い事例です……」

「……」

「おや、まだいらしたのですか?

 それとも、私の提案を受け入れる気になったのですか?」

「ッ、もういいよ」

 

 ホシノは訳が分からず、苛立ちを示して踵を返す。

 そんな彼女に、黒服は語り掛ける。

 

「キヴォトスと交流のある他所の、ある領域に伝わる神話に依ると、人の肉体と魂は死後別たれ、冥府にて肉体が魂に舞い戻ることで復活が成されるとされていたそうです。

 それが奇跡でも何でもないとするのならば──」

 

 どたん、と彼の言葉はホシノがドアを閉じる音で遮られた。

 

 

 

「本当に、大人って連中はどいつもこいつもッ」

 

 ホシノは理解していた。

 大人とは子供を平気で搾取し、騙し、裏切り、陥れる存在であると。

 

 最初は皆優し気に近づき、やがて本性を表す。

 そうやって、自分勝手に子供たちから奪っていく。

 

 だから、ホシノは大人の先生が赴任すると聞いて、これっぽっちも信用するつもりはなかった。

 自分達に害を成すなら、自分が汚れ役になってでも追い出して、最悪の場合■してでも──。

 

 ホシノの心は荒み切っていた。

 一年生の頃から、あの時から、先輩を失ってから。

 

 後悔と苦痛と、懺悔の日々だった。

 後輩を、同じ目に遭わせまいとする日々だった。

 

 だが、崩壊のカウントダウンは待ってくれない。

 自分が卒業したら、後輩たちはどうなる?

 

 来年の入学生は? その来年は、その次の年は?

 

 アビドスの砂のように、両手からあらゆるものが零れ落ちていく。それを見せつけられるような毎日。

 

 ホシノは誓った。決して、決して再び失ってなるものかと。

 

 ああ、だからこそ──。

 

「ああ、ホシノ先輩!!」

 

 アビドス高校の校舎に戻り、対策委員会の部室に戻る。

 

「ごめーん、みんな。寝坊して遅刻ちゃったぁ」

「もう、ホシノ先輩ったら!! 先生がこちらにいらしたんですよ!!」

「今、ホシノ先輩のこと、聞いてたのよ!!」

 

 しっかり者のアヤネが怒り、気難しいセリカが笑っている。

 

「私もホシノ先輩からのお話だけで、実際に会えるとは思いませんでした」

「ん、聞いた通り、弱っちそう」

 

 ノノミが、シロコが、ホシノを見ている。

 

 

「ホシノちゃん」

 

 彼女が、大人の先生が、ホシノを見ていた。

 

 その容姿は、アビドス高校の制服から安っぽいリクルートスーツを着ている以外、殆ど変わっていなかった。

 

 ホシノの先輩、梔子ユメその人だった。

 

「あ、あ、あッ」

 

 ホシノの脳は、その事実を即座に処理できなかった。

 

「えーと、……ただいま!!」

 

 あの時と同じ笑顔、あの時と同じ声、同じ同じ同じ同じ────。

 でも、ヘイローは無い。起きている生徒は必ず現れる、それが無い。即ち、死者だった。

 

「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 恥も外聞も無い。

 心の、魂の底からの絶叫だった。

 

 キヴォトスでも最高の神秘を有し、全ての生徒と比べても五指に入っても異論は無いだろう実力者であるはずのホシノが、本気で怯えて恐怖し、叫び声をあげて逃げ出した。

 

 後輩達の制止を求める声も聞こえない。

 

 亡霊だ!! 怨霊が、化けて出てきた!!

 ダメな後輩だった自分を恨み、復讐しに来たのだ!!

 

 そんな混乱の極みにある非現実的な思考に苛まれながら、ホシノはひとつの目的地へと向かっていた。

 

 誰にも教えていない、知らされていない筈の、恩人の亡骸が眠る墓標へと。

 

 それは手入れなどされておらず、砂に半ば埋もれかかっていた。

 大きめの石と柵で作った十字架が刺さってるだけの、粗末な墓標(ピラミッド)

 

「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だッ!!」

 

 半狂乱になりながら、砂をかき分け、手で地面を掘り返す。

 他の生徒達よりもずっと価値のある指をボロボロにしながら、自ら築いた恩人の墓を暴く。

 

「な、無いッ」

 

 そこには、何も無かった。

 放置された葬儀屋から調達した棺の中は、からっぽだった。

 

 死体も、骨も無かった。

 

「なんでッ、どうして!!」

「──ホシノちゃん」

 

 後ろから抱きしめられる。

 知っている温もり、頭上に押し付けられる弾力。

 

「聞こえる? 私は生きているよ?」

 

 どくんどくん、と心臓の音がする。

 走って来たのか、非常に速いリズムを刻んでいる。

 

「そんな、なんで、何が起こって……」

「あのね、私もよくわかってないの」

 

 頭上から聞こえる声は、思い出の中に置き去りにした時のままだった。

 

「あの時、砂嵐に巻き込まれて、倒れちゃった私はどうしてか外の世界の病院で目を覚ましたの。

 それからずっと入院してて、ある時、卒業証書が送られてきたの」

「……」

「私、大学で勉強して、キヴォトスに戻って来たよ。

 だって、ホシノちゃんを独りにさせていられないし、アビドス高校を何とかしないといけないからね!!」

 

 現実を、受け入れられなかった。

 いや、死者が蘇って目の前に現れた以上、何が現実だと言うのか。

 

「ご、ごめんなさいッ、ユメ先輩!!

 あの時はッ、あんなこと言いたかったわけじゃ!!」

「うん、分かってるよ。ホシノちゃんは優しい子だもんね!!

 えへへ、ありがとうね、私の代わりに学校を守っててくれて」

 

 涙が流れる。

 現実に、感情が追いつく。

 

「それに、あんなに良い後輩ちゃん達に恵まれて……。

 ホシノちゃんも良い先輩になれたんだね」

 

 遠くから、ホシノの後輩達の声が聞こえる。

 ホシノを心配している声だ。

 

「……はいッ」

 

 これが奇跡か、夢幻なのか、ホシノにはわからなかった。

 だが、どちらでも良かった。

 

 これが、彼女の現実なのだから。

 

 

 

「え、私の日記帳? もう、ホシノちゃん、何言ってるの、ちゃんとここにしまってたはずだよ?」

 

 ユメは、いやアビドスの先生は、何でもないように分校舎の生徒会室から『楽しいバナナ採り』と掛かれた学習帳を取り出した。彼女の名前もちゃんと書いてある。

 

「そ、そんな、私はちゃんとそこを探したはずなのに!?」

「またまたぁ、もしかして見落としてただけだよ、きっと」

 

 そんなはずがない、とホシノは確信していた。

 この対策委員会のある分校舎の隅々まで、ホシノはユメの日記を探し尽くした。

 

 それなのに、特に二重底のギミックなどがある筈もない引き出しから、彼女は日記帳を取り出した。

 

「はい、これ。今更かもしれないけど」

 

 彼女はそれを、ホシノに両手で差し出した。

 

「ホシノちゃんを、正式にアビドス高校生徒会の生徒会長に任命します!!」

「……はい、ユメ先輩」

 

 ホシノはただ、それを受け取る。

 ただそれだけの光景なのに、ドアの隙間から顔を出してみていた後輩たちは、おおー、と声を漏らした。

 それはまさしく、戴冠の瞬間だったのだ。

 

「それじゃあ皆、私達で今度こそ、アビドスを昔みたいにいっぱい人が来るようにしようね!!」

「はい、先生!!」

 

 こうして、彼女達の現実が続いていく。

 

 

 

 そう、……現実が続いて行くのだ。

 

 それからしばらくして。

 

 

「ねえ皆!! 聞いて聞いて!!

 カイザーが発掘していた校舎の中から、大昔の生徒会が遺した美術品の保管庫の場所がわかったんだ!!」

 

 そして繰り返される、砂漠のど真ん中で水着姿のままスコップを振るう不審者の集団。

 

「ユメ先輩!! 本当にこの場所であってるんですよね!!」

「うん、今度こそ、絶対に間違いないから!!」

「またですか!? それ何度目だって自覚あるんですか、一生のお願いだって一度だけなんですよ!!」

「う、ううぅ、懐かしいホシノちゃんの辛辣な言葉……なんで私だけ、後輩の皆みたいに優しくしてくれないのぉ」

「もうあなたは大人でしょ、泣き言言わないでくださいよ!!」

「そ、そうだよホシノちゃんッ、私、大人になったんだから、もっと尊敬しても良いんだからね?」

「大人のカードの使用上限五万円」

「……」

「私聞いたことないんですけど、ユメ先輩!!

 そんな低い使用制限!! どんだけ信用ないんですか!!

 奢るって言っておいて結局、この間行ったラーメン屋で、ノノミちゃんが支払ったじゃないですか!!」

「ひ、ひぃん……」

 

「ホシノ先輩、生き生きしてるね」

「うんうん!! あんなホシノ先輩、初めてですよね」

 

 わいわい騒ぎながらスコップを振るう二人を見て、シロコとノノミはそう言った。

 

「あのー、やっぱり、水着でやる意味とは……あうう」

「アヤネちゃんッ、大丈夫!?」

 

 身体の弱いアヤネを、すぐ側に居たセリカが抱き留める。

 

「あんたはそこの日陰で休んでなさいよ。

 私達は絶対、旧生徒会の遺産を見つけるから!!」

 

 セリカは輝く笑顔でそう言った。

 あっはい、とアヤネは頷くしかなかった。

 

 こうして、彼女達の現実は続いていく。

 それこそが、奇跡など存在しないという証明なのかもしれなかった。

 

 

 

 





:アビドス先生。
どうしようもないアビドス高校の現実を現す、かつて梔子ユメと言う生徒だった先生。
空回りを続ける生徒達と学校の現状は、彼女と言うキャラクターそのものである。
故にアビドス高校の擬人化とは、梔子ユメという存在が全てを象徴している。
結局彼女達だけでは何も変えられないと言う残酷な事実が、彼女の登場が奇跡でも何でもないことを物語っている。
それでも彼女達は、希望を抱いて前を向こうとしていた。シャーレの先生がアビドスを訪れるまで、あと少しの事である。


次は、ゲヘナの生徒からみたゲヘナ先生を書こうと思います。
作者も人間なので、高評価や感想を頂けると気持ちよくストレスフリーに続きを書けます。正直ここまで反応があるとは思わなかったのですが、良ければお願いいたします。

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