キヴォトス、先生大量発生中!? 作:ユメ先生
第三次学力試験まで、あと五日。
この日、合宿場ではアリウスの生徒だけでなく、大勢のトリニティの生徒もグラウンドに並んで、用意された椅子にお行儀よく座っている。
その総数は千人は軽く超えるだろう。
彼女らの対面するのは、ワイルドハントの先生が乗り回しているデコトラだった。
彼女は簡易的なステージに使っているが、今回の主役は彼女ではなかった。
「えー、これより、我々ワイルドハント芸術学院が誇る演芸科の公演を開始いたします」
トリニティの生徒達がざわめく。
ワイルドハントの演芸科と言えば、伝統と格式のある当学校の誇る栄誉ある学科であった。
その公演は毎回飛ぶようにチケットが売り切れになり、転売が横行しその価格は十倍以上に跳ね上がるという名門中の名門であった。
当初は体育館で講演を行う予定だったが、ワイルドハントの先生がタダでやる、と公言した結果、大勢のトリニティの生徒が駆けつけた。
それ以外にも、ワイルドハントの演芸科のファンたちが押し寄せ、敷地の外から客が塀を乗り越え立ち見している有様だった。
「なんとも、あの婆さんらしいな」
と、ゲヘナの先生がぼやいた。
当然ながら、先生達の席も確保され、合宿場に集った先生達はそこに座って観劇することになっていた。
「生活の必要最低限の事を覚えたのなら、次は学芸や芸術で感性を伸ばすべきだ、か。
彼女は過激なパフォーマンスに目が行きがちだが、その根底にあるのは長年培った基礎と常識によるものなのだろう」
トリニティの先生は感心したように頷いている。
「“それで、彼女は?”」
「ええと、さっき楽屋の方へ行っていましたよ」
自分の学校の生徒の公演に、肝心のワイルドハントの先生がどこにも居ない。
アビドスの先生が、隣に座るシャーレの先生にそう言った。
「それでは、お待たせしました。
これより、公演を開始します。演目は──『アリウスの姫』です」
これにはアリウスの生徒達も、先生達もギョッとした。
どういった演目が開催されるのか、誰も聞いていなかったからだ。
ただひとり、ニヤリと笑ったレッドウインターの先生を除いて。
「時は、第一回公会議の当時にまで遡ります。
この演目は歴史的事実や忠実な歴史考証を元にしていると、強く主張致します」
ナレーターを務めるワイルドハントの生徒が、舞台脇の壇上から台本を読み上げる。
ステージ上には、円卓に座る複数の制服の生徒達が演技を始める。
「我々は聖典を同じくする者達。だが、なぜこれほどまでお互いに相争っているのだろうか」
「知れたこと。聖典の解釈の異なる者は、敵に過ぎない」
「しかしそれでいったいどれだけの血を流した?
パテルの、フィリウスの。視界をキヴォトスに広げて見よ」
トリニティの祖となった分派の生徒会長達が、話し合いをしているシーンのようだった。
「自治区を拡大せんと、絶えず我らと争うゲヘナ学園。そして彼方には広大な自治区と乱立する政権を制した“鉄拳”を頂点とするアビドス高校が牙を研いでいる。
対して、我々はどうだ!? お互いを憎み、争い合い、血を流し続けている。
今こそ、我らはひとつとなり、手を取り合ってゲヘナやアビドスの脅威に立ち向かうべきなのだ!!」
それを見ていたアビドスの先生が、本当に昔は凄かったんだなぁ、と感想を漏らした。
円卓に沈黙が降りた。
誰もが外の脅威に深刻そうな表情をしていた。
「我々の教義が失われるよりかはマシか」
「やはり、そうするほかないのか」
現在の主要派閥以外の生徒会長たちも、そんな言葉を漏らした。
「我々は反対です」
だが、それに待ったを掛けた者が居た。
この演劇の主人公、アリウスの当時の生徒会長役の生徒だった。
「我々はこれまで憎み、争い合ってきた。ホストであるサンクトゥスの生徒会長の言葉の通りです。
ですが今更、そんな我々が手を取り合って、足並み揃え戦うなどどうやって出来ましょうか?」
その言葉に、議場の円卓は沈黙が落ちた。
「しかし、これ以上まとまりを欠いても各個撃破されるだけだ」
「まずは形だけでも、我々は結束を見せるべきだろう」
「では、我々分派同氏を束ねる学校の創設に対する是非について、──投票を」
賛成は多数。反対はひとつ。
視線が一人に集まった。
「我々は、貴女がたのつくる学校などに、参加など致しません」
アリウスの生徒会長役は席を立ち、ステージから退出した。
幕が下りる。
「これがトリニティ総合学園の興り。しかし、それは順風満帆とはいきませんでした」
ナレーターがそう語ると、幕が上がる。
ざわめきが起こった。
「それが、ティーパーティーのやり方か、ユスティナ聖徒会!!」
地面に倒れこむトリニティの生徒に、ガスマスクを付けたボディースーツの集団が銃を突き付けていた。
困惑する生徒と先生達。
「えー、これは正確な歴史考証に基づいた舞台衣装であります!! 演劇中はお静かに!!」
なんかヤケクソ気味にナレーターの生徒が台本に無い台詞を放った。
「トリニティの和を乱す反乱分子め、粛清を行う!!」
「あんたらみたいなイカレた連中に何がわかる!!」
「誰がイカレた格好だ!!」
「くじ引きで負けなければお前がこれ着てたんだぞ!!」
舞台の上では、ユスティナ役の生徒達の凄惨なリンチが始まった。被害役の生徒の壮絶な苦悶の演技は息を呑むほどだった。
「トリニティ創設当時は分派内でまとまりを欠き、数多くの悲劇が巻き起こりました」
ナレーターの言葉に、幕が下りて場面は変る。
どうやら聖堂のようだ。
「姫!! もはや校舎は危険です!!」
アリウス役の生徒が、主役を務める生徒会長役の生徒にそう言った。
「トリニティの連中は、我々にユスティナを差し向け弾圧を続けています!!
このままでは、校舎にまで手が及ぶかと!!」
「では、校舎を捨てましょう」
祈りの姿勢のアリウス生徒会長が立ち上がり、そう言った。
「しかし姫、ここは徹底抗戦すべきです!!」
「我らの金言を思い出しなさい」
「……Vanitas vanitatum et omnia vanitas」
「校舎に執着して、どうすると言うのです。
また逃げた別の地で、アリウスを再興すればいいのです」
彼女の決断は早かった。
残った生徒を引き連れ、逃げ出すアリウス役の生徒達。
しかしそこに、厳めしい表情の集団が立ちはだかる。
「あれは、武装看護団!! 看護学校なのに武闘派で知られる連中です!!」
「どうか、我らを憐れに思うなら、そこを通してください」
アリウスの生徒会長の嘆願に、武装し看護師の格好をした集団は眉一つ動かさない。
「貴女がたは看護対象ではありません。行きなさい」
「団長!! しかし我々にはティーパーティーからは……」
「看護ッ!!」
武装看護団の団長役の生徒は、突然部下をぶん殴った!!
「私が看護に集中している間に、行きなさい。我々の仕事は血を流すことではありません」
「はい、ありがとうございます」
団長役は今しがたぶん殴った部下役を手当てしながらそう言った。
アリウスの生徒達の逃避行は続く。
「ダメです、どの自治区への経路も封鎖されました……」
「連邦生徒会は?」
「紛争を我らの問題だと、長年放置してきた連中に頼れるとは思いません」
「……そうですね」
逃げ場を失った彼女達の前に、ついにユスティナの魔の手が及ぶ。
「見つけたぞ、アリウス」
「……なぜ、我々をここまで執拗に掃討するのですか?
我々はトリニティの規模からすれば末端にもならぬ弱小学校。満足に反撃も出来ないというのに!!」
「トリニティの和を乱す者は、粛清だからだ」
「結局のところ、一つの学校になったところでまとまりなどはしなかった。
暴力で思想を、言葉を、自分の都合で排除するしかできないのですね?」
「我々が好きでこんな役回りをしていると思うか!!」
アリウスの生徒会長役の言葉に、ユスティナの生徒は物凄い実感の籠った台詞を吐いた。
「誰かが泥を、悪役をやらねばならないのだ。
だが、我々はもう疲れた。あちらに、古来より存在するカタコンベがある。あの奥にならば、追手はこないだろう」
「……我々を逃がすと言うのですか?」
「あの何の恵みも無い土地に行くことを、逃がすと言うのならばな」
「行きましょう、皆さん」
アリウスの生徒会長役の生徒は、複雑な表情で歩み出した。
「この地が、この荒れ果てた何も無い場所が、我らの新しい自治区……」
「それの何の問題があるのです?
我々が協力し、ここに校舎を打ち立て、人の営みを再開させればよいのです」
絶望する同胞たちに、生徒会長役の生徒は励ます。
「神よ、どうか我らの未来に祝福を」
しかし、彼女の健気な祈りは果たされなかった。
「そして時は流れ、今から十年前に遡ります」
幕が下り、ナレーターの言葉通りに舞台装置が入れ替わる。
荒廃した建物のパネルを前に、アリウスの制服を着た生徒達が争っていた。
「ごはん、ごはんを寄越せッ!!」
「水だ、私達の水を返せッ!!」
「こっちにはロイヤルブラッド、生徒会長の末裔が居るんだ。私達こそアリウスの後継者!!」
銃底で殴り合う演技をするアリウス役の生徒達。
そんな時だった。
「静まれ、子供ども」
衣擦れの音が鳴る。
ステージに上がったのは、白いドレスを見に纏い、全身に赤いメイクを施したワイルドハントの先生だった。
「マダムだ……」
スバルが畏れと共にそう呟いた。
ベアトリーチェに面会できる生徒は数少ない。
その容貌も、衣装も。それは、彼女の容姿を知る誰かがその姿を漏らしたと言うことでもあった。
「我が名はベアトリーチェ!! マダムと呼びな!!
あんたたち子どもは、このマダムに傅く為に産まれて来たんだよ!!
今日からこの私が、あんたらを支配して、生徒会長をやってやるよ!!」
ベアトリーチェ役をしているワイルドハントの先生が、楽しそうに叫び声を上げる。
「は、ははー!!」
「大人だ、本物の大人だ!!」
「わ、私達はマダムに従います……」
先ほどまで争っていたアリウス役の生徒達は、ベアトリーチェ役にひれ伏した。
「……マダムじゃない」
遠い目になって、スバルは呟いた。
ワイルドハントの先生にベアトリーチェ役をするには少々我が強過ぎたようだった。
その後、ベアトリーチェ役のワイルドハントの先生がアリウスの生徒達を虐げる描写の後、演劇は幕を閉じた。
拍手と共に、トリニティの生徒達は涙した。
言葉では伝わりにくい迫害の様子や、アリウス自治区の現状を視覚的に訴える内容だった。
そう、これは明確に、プロパガンダだった。
実に古典的で、演劇という古臭い手段であったが。
効果は抜群だと、レッドウインターの先生は確信していた。
空を見上げれば劇をドローンが中継していた。キヴォトス中に拡散するのは目に見えていた。
明日は、ミカとナギサの討論会が行われる。
より良き政権の為の闘争の予感を、レッドウインターの先生は感じ取っていた。
§§§
そしてその日、また別の大人達の会合の日でもあった。
即ち、ゲマトリアの面々だった。
謎のホログラム技術で、円卓の中央では『アリウスの姫』が上映されていた。
「これは、狙い撃ちのようですね、マダム」
黒服は少し面白そうにしながらそう言った。
「……」
そして、当のベアトリーチェは怒りに肩を震わせていた。
「素晴らしいな。やはりワイルドハントの生徒は他の学校とは違う。
知識と教養に富み、芸術への研鑽に明け暮れていると聞く。あの老婆とも、いずれ問答をしてみたいものだ」
「同感です。時代考証も正確で、演者たちのユーモアにも溢れている。流石はキヴォトスでも名高い、演芸科の生徒達です」
マエストロやゴルコンダが劇の内容を賞賛しているものだから、彼女の怒りは更に加速する。
「あの無礼な連中のどこが素晴らしいのですか?」
「失礼、他意は無い。
しかし、これでは古聖堂に侵入しその神秘を
マエストロの関心はそれだった。
宗教にインスピレーションを抱き、それを芸術に昇華しようとしている彼にとって、ベアトリーチェの計画に加担するのはそれが理由だった。
「しかも、先日のブラックマーケット壊滅作戦に置いて、アリウスの生徒達を先生達が活用したそうですね。
これはマズい状況なのでは?」
「勿論、あの連中には帰還を命じました」
「ほう、既に」
「返事はこれです」
ベアトリーチェが黒服に書簡をスッと投げ渡す。
それを受け取った彼は、中の内容を読み上げた。
「どれどれ、『現在、合宿場で活動するアリウスの生徒達は、連邦捜査部シャーレの部員として活動中であり、その名簿は連邦生徒会に承認済みである。
なお、アリウス分校は正式に連邦生徒会に登録されている学校であり、現在その生徒会は機能していないことを確認しており、学籍の無い者が生徒会長を名乗り、当自治区を不法占拠している事態を重く見ている。近々法的な手続きを執行する準備が出来ており、その時は法廷への出廷を求められたし』、と」
なるほど、と黒服は頷いた。
要約すると、こっちの方が偉いけど? 文句あるなら言ってみろよ、と言う内容だった。
自分だったら白旗を挙げて弁護士を雇って示談を選ぶ、そんな有様だった。
「彼らは我々の敵になりました」
「マダム、貴女の敵の間違いでは?」
ベアトリーチェの言葉を、ゴルコンダが訂正した。
「そういうこった!!」
デカルコマニーの空気の読まない声が部屋にこだまする。
「マダム、時間を掛けた作品が台無しになったことは憐れみを感じるが、ここは手を引くべきだろう」
マエストロにしては善意からの助言だった。
「なりません。あそこは私の領地なのですよ!!」
「アリウスの立地や歴史が都合がいいのはわかりますが、あのような学校は他にいくらでもありますよ」
その領地が負債になる、とやんわりと怒れるベアトリーチェに黒服は告げた。
「ひとつ、よろしいだろうか」
そう言ったのは、もう一人のこの場に居る人間だった。
「なんでしょう、プロフェッサー」
黒服は老人、教授に目を向けた。
「アリウスが組織の負債になるのは明白だろう。
業務命令としてこちら側から手を引かせることはできないのかね?」
「我々はお互いにお互いの活動には不干渉と決めています。
マダムの行いは、マダムの責任にしかなり得ません。それが大人と言うモノです」
「なるほど、では我々はいかようにも言い逃れはできるな」
同胞の失態を、この老人は明らかに嘲っていた。
「何が可笑しいのです、新入りの分際で!!」
「おや、マダム。この組織に上下関係など無いのでは?」
教授の言葉選びは、ベアトリーチェを明確に逆撫でしていた。
ちなみにゲマトリアに上下関係が無いのは本当で、比較的新参者である黒服がニュートラルな立場から議題の進行を担っていることから明らかだった。
「私は貴殿を貶めたり揶揄したいわけではない、と前置きさせて貰う。
そもそも人間の感情という不安定な要素で、他人を支配しようと言うのは余りにも不合理だ。
しかも年頃の子供たちを利用して、だ。世間体というものは、案外馬鹿にならないのだよ。私は周囲からは奇人扱いされていたが、公式の場くらいは取り繕っていた。
せめて慈善家を気取って、上手く支配するべきであったのではないかね?」
これはお前の傲慢さが招いた失態だ、と教授は皮肉交じりに告げた。
「子供相手にですか? 愚かしいですね。
連中は我々大人の養分に過ぎません。優しい顔で道化を演じろと?」
「少なくとも、私の学校の生徒達は、私の活動に賛同しているよ。必要なら、ゲマトリアの活動に彼女達を動員しても構わない」
教授は、堂々とそう言い切った。
信頼と支配。それがベアトリーチェと自分の違いであると言う様に。
「プロフェッサー。そう言えば、貴方は先生という立場を利用し、ミレニアムで興味深い研究をしていましたね」
「ああ、あれは私の功績ではないよ。あの学校の生徒達が優秀で、柔軟な発想を持っていたからだ。
開発コード:
教授は楽しくてたまらないと言った表情でそう答えた。
「キティ? ケイティではなくて?」
黒服が首を傾げる。その英単語での発音は、キティではなくケイティであるべきだからだ。
「彼女がそのように名乗った。そしてミレニアムの生徒が、キティと名付けたのだ。それが開発コードになったのだ」
「なるほど。興味深い。名前を記号にしたのですか」
ゴルコンダが面白そうにそう言った。
「私は機械が自我を獲得した事例を目の当たりにし、それを解明するべく動いた。元々ミレニアムからそのオリジナル個体という特異事象の解明の為に呼ばれたのだがね。
私は君達同胞や我が校に残された資料、ミレニアムの生徒達が収集した資料などから、その特異事象の再現性について着目してみたのだ」
まるで学会の発表のように、教授は語りだした。
「そして、興味深い要素が発見された。
ミレニアムの生徒たちの創造性に任せたAIではなく、たったひとりの生徒のゲーム機を利用した演算回路に自我が芽生えたのだ。
そして“彼女”はオリジナル同様にゲームのプレイに対する執着心を得た」
「なるほど、ミメシスか」
マエストロはすぐに察した。
「そうとも、同志マエストロ!! ゲームは楽しい、悔しいけどもっと上手くなる、そう言った感情が蓄積された物品に宿る感情をAIが複製し、ミメシスとなった!!
奇しくも、そのゲーム機の持ち主は姉妹が居た!! オリジナルを姉として認識し、その感情すらも獲得した!!
多くの特異事象の事例が蔓延るキヴォトスにおいて、これほど神秘的で美しい事象が他にあろうか!?」
教授は恍惚の表情で、陶酔したかのようにそう語った。
「五年後、十年後には、これは特異事象などではなくなるだろう。人体に有害なカビを飼いならし、無害化したカビでブルーチーズを作ったように。
AIは人権を獲得し、第二の人類となるだろう。それによりキヴォトスの崇高はより高まるのだ!!」
「興味深いですね」
ゴルコンダは教授の主張にそう言った。
「特異事象とは、キヴォトスの神秘そのもの。
それを解明し、飼いならし、普遍に堕する。それを貴方は“崇高”というのですね」
異常現象を、科学に堕した。
かつて雷が神のモノであったように、それをただの電気というインフラにしたように。
神秘とは、理解できぬもの。
それを解明し利用し、崇高に至る。その矛盾。
教授はまさしく、ゲマトリアの一員だった。
「ヒトは知恵の実を食べて、旅人となった。そう言うことだとも。
思考と行動の矛盾こそが、人間性だと私は思うよ」
「いずれにせよ、この短時間でこれほどの成果、感嘆に値する」
「皆の協力があってのことだよ。これはゲマトリアの皆の成功だ。私は今回ただ間を取り持つプロデューサーでしかなかった。プロフェッサーだけにね!!」
「……私は評価しますよ?」
ゴルコンダが大人の対応をした。
「……ところで、マダムはアリウス相手にどの程度の時間を掛けているのだったかな?」
「ッ!! 私を愚弄しますか!!」
「いや失礼!! そのような意図はなかったのだよ!!」
それは嘘だろう、と他の三人は思った。
「ただ、私にとって子供を搾取するという発想が理解できなかったのだ。
私にとって子供とは育むものだ。キヴォトスの崇高を保障する神秘の源泉、愛すべきキヴォトスの一部なのだよ。
そうだ、諸君!! 皆も一度は弟子を取ってみるのはどうだろうか? 教え子は可愛いぞ。
それになにより、知識とは継承されて初めて意味を持つからね!!」
「老いぼれらしい発想ですね。知識とは我々のような一部の大人が独占してこそ意味を持ちます。
流布され、乱用された知識は粗製に過ぎません。あなたの成果とやらも、そのようになるでしょうね」
ベアトリーチェらしい皮肉気な物言いだったが、的外れな意見でもなかった。
「では試してみようではないか。私と、マダム。どちらの“崇高”がキヴォトスに遺るのかを」
「結果は見えています。下らない老人の戯言には付き合いませんよ」
そう言って、ベアトリーチェは全員にこう告げた。
「私の問題は私が対処いたします。多少先生達が減るでしょうが、どうせあんなに居るのです。多少減っても問題はないでしょう」
そして、彼女はその場を後にした。
「教授、あまりマダムを煽ってはいけませんよ」
「そうだろうか? あの女にはちゃんと口にするものが必要だろう」
ゴルコンダとマエストロは教授にそう言った。
「クックック。しかしこう言った視点の違いは歓迎されるべきです。議論が無ければただ硬直するだけですから」
だが、バチバチにやり合う二人を、黒服は肯定した。それが正しい求道者の在り方であり、ゲマトリアという組織であると。
「しかし、この様子ではどうにかマダムのフォローは必要でしょう」
「ああ、頭の痛い問題になりそうだ」
黒服の意見に、頭の二つあるマエストロがぼやいた。
「ふむ、彼女は気に入らないが、同僚には違いない。
私の方から先生達に手を回し、フォローしてみよう」
「ええ、あなたが適任だ、プロフェッサー」
「プロフェッサー、プロデューサー……ふふふ」
「……」
無反応。黒服は大人の対応をした。
そうして、その日の会合は解散となった。
「ああ、しっかりとフォローするとも。ふふふふふ……」
教授は誰もいなくなった議場で、不気味に微笑んだ。
オデュッセイアの生徒が多数登場してきたので、そろそろあの学校の先生がどういう人物か構築できそうです。
多分、某スネークみたいな声の渋い戦艦乗りのオッサンとかになりそう。
それでは次回!!
あなたはどの先生に勉強などを教わりたいですか?
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トリニティの先生
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ゲヘナの先生
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ミレニアムの先生
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アビドスの先生
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百鬼夜行の先生