「皆さんお疲れ様でした。」
ヘルメット団の前哨基地を破壊したあと、教室に戻った先生達にアヤネは告げる。
「先生方、本当にありがとうございました!」
「これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!ありがとう!」
『借金返済って?』
そう質問した先生に、セリカがしまったとでも言うように慌てる。
「…あ、わわっ!」
「そ、それは…」
「ま、待って!アヤネちゃん、それ以上は!」
「…!」
セリカとアヤネの2人が言い淀む。
「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし。」
「か、かといってわざわざ話すようなことでもないでしょ!」
「ホシノ先輩の言う通りだよ。セリカ、先生達は信用しても良いと思う。」
「そ、そうだけど、今まで自分たちで何とかしてきたじゃん!なのに今更部外者が首を突っ込んでくるなんて…私は認めない!」
セリカはそう言って教室を出ていった。
「セリカちゃん!」
「私、様子を見てきます。」
ノノミがセリカの様子を見にいき、教室には静寂が残された。
「先生…」
ヒョウガが心配そうな目で私を見る。
「えーと、簡単に説明すると、この学校、借金があるんだー。で、その金額が問題で、9億ぐらいあるんだよねー。」
「正確には、9億6235万です。」
『え!そんなに⁉︎』
「すごい金額ですね…」
借金の金額を聞かされた私たちは、そのあまりの多さに驚いてしまう。
「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいなくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも、実はすべてこの借金のせいです。」
『どうしてこうなってしまったの?』
私はアヤネに聞いた。
アヤネ曰く、数十年前、この学区の郊外にある砂漠で、砂嵐が起きたらしい。この地域では、砂嵐は頻繁に起こるものだったらしいが、その時の砂嵐は想像を絶する規模のものだったらしい。学区が砂に埋もれ、砂嵐がさってからも砂が溜まり続けてしまい、その災害に対処するためにアビドスは多額の資金を投入しなければならなかったという。だが、アビドスに巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからず、結局悪徳金融会社に頼るしかなくなってしまったのことだ。最初の方はすぐに返済できる算段だったらしいが、砂嵐は年を重ねるに連れ規模が大きくなり、学区の状況は手がつけられなくなるほどに悪化してしまったらしい。そして、アビドスの大半が砂漠と化し、借金はみるみる膨れ上がってしまったとのことだ。
「…」
対策委員会の面々が耳が痛いように顔を顰める。
「私たちの力だけでは、毎月の利息を返済するのが精一杯で…補給も底をついてしまっています。」
「きっと、セリカがあそこまで神経質になっていたのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。でも、先生達は向き合ってくれた」
「きっと、それが信用できなかったんだねー。」
アヤネ、シロコ、ホシノが言う。確かに、今更部外者が何を言っているのだと思うところがあったかもしれない。
だが、私は先生だ。生徒達が困っているのに見捨てることなんてできない。
『私も、対策委員会の一員として一緒に頑張るよ!』
「僕も一緒に頑張ります!」
先生とヒョウガが対策委員会に向かって言った。
「そ、それって…。はい!よろしくお願いします!」
対策委員会の目には希望が生まれていた。
次の日…
『だめだったか〜』
先生は教室でため息をつきながら言っていた。
「そりゃそうですよ。何でストーキングなんてしたんですか」
『ストーキングじゃないし〜、ただセリカの後をついていっただけだし〜』
「世間はそれをストーキングと呼ぶんですよ」
先生は肩を窄めていた。話を聞くと変態とまで言われてしまったらしい。そりゃそうだろう。ストーカーをする輩なんてものはそうゆうものだ。
『セリカがどこに行ったか知らない?』
「もしかしたらあそこにいるかもよー」
ホシノ先輩が言う。
『どこどこ?』
「丁度お昼だしみんなで行こっかー」
「やった〜⭐︎」
「ん、楽しみ」
そうして、先生達はセリカのバイト先である柴関ラーメンへと向かった。
「いらっしゃいませ〜、何人様です、か」
「み、みんなどうしてここを…?」
「うへ〜、やっぱりここだったか〜」
『やっほー』
「こんにちわ」
「先生まで…やっぱりストーカー⁉︎」
「うへ、違うよ、私が連れてきたんだよー」
「ホシノ先輩〜、うぅ〜」
「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、お喋りはそのくらいにして、注文受けてくれな。」
大将の言葉で会話は終わる
「あぁ、ううぅ…それでは、広い席にご案内します…こちらへどうぞ…」
テーブル席に案内され、先生とヒョウガ以外の対策委員会が先に席に座った。
「わたしの隣空いていますよ〜⭐︎」
「ん、わたしの方も空いてる」
シロコの隣にするか、ノノミの隣にするかをノノミに聞かれる
「じゃあ僕はアヤネさんの隣がいいです。」
「えっ⁈わたしですか⁈」
不意にヒョウガがとんでもない爆弾を落としてきた。このわんころは何を言っているんだ?周りの対策委員会もびっくりしている。
「いいですか?」
多分本人は何も思っていないようだけど、言われた側のアヤネや、対策委員会達は顔を赤くしている。
「は、はいぃ…///」
アヤネは顔を赤くしながら恥ずかしそうにしている。ヒョウガがノノミ側の席のアヤネの隣に座ったので、私はシロコの隣に座ることになった。
「さぁ、たくさん食べよ〜」
「きっと先生の奢りだよ〜」
『え?』
少し経ち、ラーメンが運ばれてくると対策委員会が食べ始めた。そして、先生の悲痛な呟きは誰も気に留めなかったらしい。
「いや〜、美味しかったね〜」
「ん、先生ご馳走様」
「ご馳走様でした先生」
「食べ終わったんなら早く帰ってよ!」
「あはは…セリカちゃんまた明日…」
「ほんと嫌い!みんな死んじゃえー!!」
セリカがそう言い、対策委員会は帰路についた。
「何なの、本当」
セリカはバイトが終わり、帰っている途中につぶやく。
本当、みんなしてあの人たちのことばっか話して…
すると、突然目の前にカランと乾いた音が鳴り、煙が広がった。
「何⁉なんだか意識が…」
セリカの意識が刈り取られる。
「…こいつでいいんだよな?」
「はい、こいつを指定のポイントまで運びましょう。」
その晩セリカはヘルメット団に誘拐された。
補足
柴関でヒョウガがアヤネの隣に座ったのは同じ1年生で気が楽だったからです。
誤字脱字報告等よろしくお願いします。