【TS】神様のミスで死にましたが、補償内容が羞恥プレイなんですけど 作:もろきゅー
翌日。
布団の上でごろごろする生活が、まだ続いていた。
異世界に転移して、魔物と戦って、命を削って、ギルドで寝込んで──その末に辿り着いたのが「合法ゴロゴロ」なの、なんか間違ってない?
身体は相変わらず重くてしんどい。
外は街が落ち着いてきたらしいのに、俺だけずっと二階の個室で、世界から取り残されてる。
暇、というか、暇を埋める体力も気力もない。
だから結局、俺は同じことを始める。
(ステータスオープン)
半透明の板が視界に浮かぶ。
こういうの、最初はワクワクしたのにな。今はもう「体調管理表」みたいになってる。
【HP:50】
【MP:0】
【状態異常:魔力炉破損】
【状態異常:生命力変換による最大HP半減】
【侵食度】1
うん、何も変わらない酷い表示。
見慣れてきた自分が怖い。
次にスクロールして、スキル関係を確認する。
【スキルポイント:残り 16】
「……あれ?」
思わず声が出た。
いや、少ない。少ない気がする。
以前、寄生スライム付きの魔物を倒したとき、確か一体で七ポイントとか入ってたはずだ。
森門で倒した数を考えたら、もっとあってもいいはずだが……。
(……倒しきれてなかった? それとも、何か減る要因がある?)
よくわからない。
考えてもわからない事は後回しだ。
ため息をついて、別の欄を見る。
【回復魔法 Lv5/5(MAXボーナス:回復力UP)】
(回復力UP……今はMP0だから使えないが……)
あの一回で、身体の中の「大事なもの」を根こそぎ持っていかれた感覚。
思い出すだけで胃の奥が冷える。
でも、ボーナス自体は悪くない。悪くないどころか、俺の生存率は確実に上がる。
スキル一覧は相変わらず膨大で、スクロールしてもしても終わらない。
見てるだけで目が疲れるし、頭も痛くなる。
こんなの、元気なときでも面倒なのに、今の俺に扱える量じゃない。
(有効そうなやつ、メモしといた方が良いんだろうか……)
結局、ステータスを閉じて、枕を抱きしめる。
寝返りを打つだけでも「よいしょ」って声が出そうな身体の重さ。
──そのとき。
控えめなノックが聞こえた。
「入るよー」
返事をする前に、扉が開く。
顔を覗かせたのは、銀髪のロングヘアに、フリルとリボンを山ほど付けた──あのエルフだ。
「おはよう、アウラ。今日も死にそう?」
開口一番それ。
声が軽い。テンションが軽い。言葉も軽い。
内容だけが重い。
「……おはよう。人の体調聞くなら、もっとこう、あるだろ」
「あるある。『お加減いかが?』とかね。でもボク、丁寧語似合わないんだよね~。顔が可愛すぎるから」
自分で言うな。
いや、否定できないのが腹立つ。
マルルゥは可愛い。可愛いが、性格がひどい。
マルルゥの後ろから、もう一人入ってきた。
ヴァンだ。両手に大きな鞄を抱えている。昨日より少し疲れた顔。
「材料、集まった。……思ったより大変だった」
「だよねぇ。ボクが指定したの、けっこうマニアックなやつ混ざってるし」
マルルゥがけろっと言う。
ヴァンが苦い顔になる。
「……お前が面倒な材料を指定するからだろ」
「でも必要なんだもん。魔力炉、壊れてるんだよ? 普通の薬草で治るわけないじゃん」
普通の薬草で治らない。
そう言われると、あらためて現実感が重くのしかかってくる。
(普通の怪我ではないしなぁ……)
昨日まで「壊れてますね」って思ってたくせに、今、胸の奥がきゅっと縮んだ。
治療って言葉の重さが、逆に怖い。
ヴァンが鞄を床に置きかけて、マルルゥに視線を送る。
「どこに置けばいい」
「あっちの机。端に寄せてあるやつ。重いのは下ね」
ここ、応接室だから机がある。ベッドを突っ込んでるせいで狭いけど。
ヴァンが机の方へ行き、鞄を置く。ずし、と鈍い音。
マルルゥが俺を見て、にこにこする。
「ねぇねぇ、体調変わんないよね?」
「……変わらない。というか、変わる要素がない」
「そっかそっか。じゃ、すぐやろっか。材料揃ったから急いで持ってきたよ。ほら、ヴァンってばね~、ボクには冷たいのに君には優しいんだよ。君が心配で心配でたまらないみたい」
「余計なこと言うな」
ヴァンが即座に遮る。
こういうやりとりを見ると、確かに昔からの知り合いなんだろうな、とわかる。
……そして、昔いろいろあったらしいという気配も、ついでにわかる。
マルルゥは机の上に材料を並べ始めると、着ているドレスとは真逆の地味なエプロンを付ける。
見たことのない草。乾いた木の皮。鉱石みたいな塊。粉。瓶。小さな秤。
手つきがやたら慣れている。軽いノリのくせに、こういうときだけ職人みたいだ。
マルルゥは鼻歌混じりに草をちぎり、木の皮を削り、鉱石を砕く。ゴリゴリ、ザリザリ。
混ぜ合わせ、液体を注ぎ、また混ぜる。
さらにマルルゥの首から下げているペンダントの石を削って、その破片を液体に入れる。
……これ、見てるだけで不安になるんだけど。
(大丈夫かこれ……? 俺、実験台じゃないよな……?)
マルルゥが俺の視線に気づいて、にやっと笑った。
「なに? 怖い?」
「怖いっていうか……色が凄いんだけど」
「安心して。毒々しい色はだいたい効くから」
「安心できるか!」
ヴァンが「……あー、俺は別の事やってくる」と立ち上がる。
正直、ヴァンがここにいてもできることはない。
でも、いなくなると、俺とマルルゥの二人きりになる。
(いや、それはそれで怖いな!?)
「また後で戻る。何かあったら──」
「はいはい、心配しなくていいよ。ボク、優しいからね」
「お前の『優しい』は信用できないんだよ……」
ヴァンが扉を出ていく。
扉が閉まった瞬間、部屋の空気が変わった。
静かになったわけじゃない。マルルゥの存在感が、より濃くなっただけだ。
俺が警戒していると、今度は別のノックが聞こえた。
「アウラ、起きてる──」
扉が開き、ティナとカイトが顔を出した。
ティナは部屋の中を見て、まず机の上の材料と、マルルゥの姿を見つけ──眉をひそめる。
「……誰?」
警戒の目だ。鋭い。さすがティナ。
カイトはカイトで、マルルゥを見た瞬間、固まった。
(あ、これ、顔面にやられてるな)
マルルゥが即座に可愛い笑顔を作る。
さっきまでのニヤニヤが消えて、清楚な微笑みに切り替わるのが早すぎる。
「やぁやぁ~。ボク、マルルゥ。エルフの魔法使い。ヴァンクロウの知り合いで、アウラの身体を見に来たんだよ」
ティナが俺を見る。
俺は頷くしかない。
「……ヴァンが連れてきてくれた。俺の体調を見てもらってる」
カイトが一歩前に出る。
目がきらきらしてる。いや、危険だぞカイト。可愛いかもしれんけど、そいつ男だぞ。
「お、おはようございます! カイトです! アウラさんの知り合いで──その、よろしくお願いします!」
「うんうん、礼儀正しい子は好きだよ。可愛いねぇ~」
マルルゥがさらっと距離を詰め、カイトの頬を指でちょん、とつつく。
カイトが赤くなる。分かりやすすぎる。
(やめろマルルゥ。遊ぶな)
ティナの手が伸びた。
カイトの耳を掴んで、後ろに引っ張る。
「痛っ! ティナ!?」
「デレデレしてんじゃないわよ」
「してないよ! 挨拶しただけだって!」
マルルゥが楽しそうに見ている。
完全に「玩具」だと思ってる顔だ。
「ふふ、こういうの好き。いいねぇ、青春」
「青春じゃない。事故よ」
ティナが切り捨てる。
俺は内心で拍手した。ティナ、強い。対マルルゥ戦の適性がある。
ティナは俺の方を見て、口調を少し柔らかくする。
「昼までギルドの片付け依頼があるから、また後で来るわ。……変なのに絡まれたら叫びなさい」
「叫ぶのか」
「叫ぶのよ」
ティナは真顔だ。
カイトは耳を引っ張られながらも、マルルゥに向かって一生懸命頭を下げる。
「アウラさんのこと、お願いします!」
「うんうん、任せて~」
……マルルゥの返事が、妙に軽いのが怖い。
ティナとカイトが出ていく。扉が閉まる。
部屋には、俺とマルルゥだけ。
(やべぇ。完全に二人きりだ)
マルルゥが机の方に戻りながら、ぼそっと言う。
「ねぇねぇ、あれくらいの子、勘違いさせるの楽しいよねぇ」
「性格悪すぎるだろ」
「褒め言葉?」
「褒めてない」
マルルゥは肩をすくめ、調合を続ける。
しばらくすると、机の上には二つの液体ができていた。
ひとつは、毒々しい紫に近い色の液体A。
もうひとつは、どろどろした緑色の液体B。
(うわぁ……)
見た目が完全に「毒物」だ。
飲んだらゲームオーバーになりそうな色してる。
マルルゥがものすごくいい笑顔をした。
「さーて、完成。準備してもらおうかな~」
「……何の準備」
「まず上半身脱いで裸になってもらうよ~」
「え?」
素で声が出た。
「な、なんで?」
「薬を塗るの。背中側。ほら早く早く」
「いや、早くじゃなくて──」
マルルゥが真面目な顔になった。
さっきまでの悪ノリじゃない。真面目な目。
「魔力炉、身体の深いところにあるでしょ。外から魔力を通すには、薬で“道”を作る必要がある。服が邪魔」
理屈はわかる。
わかるけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
(いや、今さら恥ずかしいとか言ってる場合じゃないんだけどさ……!)
俺は渋々、上着を脱いだ。
マルルゥが「うんうん、いい子」と言う。腹立つ。
そして「うつ伏せになってね~」と指示され、俺はベッドの上でうつ伏せになる。
次の瞬間。
背中に、ひんやりして、べとつく液体が塗られた。
「ひゃっ……!」
自分でもびっくりするくらい可愛い声が出た。
恥ずかしい。
マルルゥが何も気にせず、ペタペタ塗り広げていく。
「冷たいでしょう? でもすぐ熱くなるよ」
「熱くなるって何が──」
「効いてくるってこと。じっとしててねぇ」
背中に塗られる感覚が、ひたすら落ち着かない。
触れられるのが嫌というより、触れ方が雑に見えて雑じゃないのが嫌だ。
マルルゥは楽しそうに塗っているように見えて、ちゃんと均等に塗っている。
しばらくして、マルルゥがぽつっと言う。
「ねぇ、質問していい?」
「……嫌だって言ってもするんだろ」
「する」
即答かよ。
「君さ。どうやって、そんな高度な魔法覚えたの?」
「……」
胸の奥が一瞬、ひやっとした。
スキルポイント。女神。あのシステム。
それを話すわけにはいかない。話したら、俺の“異物感”が一気に増す。
マルルゥの声は軽い。
でも内容は鋭い。
「命を削るような大魔法なんて、普通の人間が使える魔法の範疇、超えてるよ」
背中に塗られた薬が、じわじわ熱を持ち始める。
それと同時に、俺の頭も熱くなる。焦りだ。
「ボクらエルフみたいな長寿種じゃないのに、魔法の頂きみたいな魔法を“ただの人間”が使えるとは思えないんだよねぇ」
ただの人間。
その言い方に、少しだけ引っかかる。
マルルゥは俺をただの人間だと思ってる。
ただ、そのおかしさの正体を、俺は説明できない。
説明したら、もっと面倒なことになる。
「……使えるものは使える。俺も、なんでかはわからない」
マルルゥは「ふ~ん」と鼻を鳴らした。
含みのある返事だ。
信じてないというより、面白がってる感じがする。
「ま、いいや。今は治す方が優先だし」
「……助かる」
背中の熱が強くなってくる。
じわじわ、じゃない。じりじり、だ。
体の内側まで温まるような、変な熱。
「……なんか熱いんだけど」
「うん、効いてる効いてる。頃合いだねぇ」
マルルゥが俺の身体を起こさせる。
上半身裸のまま、ベッドに座る形になる。
俺は腕で胸元を隠したくなるが、診てもらうのにそれもどうなんだと悩む。
結局、落ち着かないまま座っていると、マルルゥが毒々しい液体Aを持ってきた。
「これ、飲んで」
「……これを?」
「これを」
もう一度言うな。現実が確定する。
俺は液体を見つめる。紫。どう見てもヤバい。
しかも、さっきマルルゥが首から下げているペンダントの石を削って、入れていたのを見ている。
「さっき石入れてたよな?」
「入ってるよ」
「飲むのか……?」
「飲むの。ボクが身につけて魔力を同化させてる特別な石だからね。体内に入れたあと、ボクの魔力で中をいじるために必要」
いじるって言い方が怖い。
でも治療だ。治療なんだ。たぶん。
(……ここで飲まなかったら、治らないんだよな)
俺は覚悟を決めて、一気に口をつけた。
「──っっ!!」
酸っぱい。青臭い。苦い。えぐい。
草を煮詰めた汁に鉱石の粉を混ぜて腐らせたみたいな味。
喉が拒否する。胃が拒否する。全身が拒否する。
「おえっ……!」
涙が出た。
マルルゥが嬉しそうに笑う。
「いいリアクション。最高」
「お前ほんと……性格悪いな……!」
「褒め言葉だね」
ちがう。
マルルゥは俺の腹に手を当て、聞いたことのない言葉で呪文を唱える。
途端に、腹の奥がじんわり熱くなる。
さっきの背中の熱とは別の熱。内側から広がる感じ。
(うわ……これ、魔力……?)
何かが流れ込んでくる感覚。
体の中を、誰かが指でなぞっているような──いや、もっと生々しい。
内臓を“触られてる”みたいな感覚だ。
「っ、気持ち悪……」
「大丈夫大丈夫。気持ち悪いのは正常」
「正常って何だよ!」
熱が増す。顔が熱い。耳まで熱い。
恥ずかしいとかじゃない。これは単純に、体内の温度が上がってる。
マルルゥがふっと手を止めた。
「うーん。もっと直接、魔力送りたいなぁ」
「……直接?」
「うん。今のだと、足りない」
嫌な予感がする。
俺の中の警報が、さっきより大きく鳴る。
「……どうやるんだ」
「キスで体内に魔力を送りたいんだけど、いいかな?」
「やだ」
即答だった。
即答できた自分を褒めたい。
マルルゥが「え~」と不満そうに頬を膨らませる。
その顔が可愛いのが余計に腹立つ。
「でもそうじゃないと、多くの魔力送れないんだけどなー」
「別の方法は」
「あるよ。時間かける方法。すっごく時間かかるけど」
「時間かかるのは──」
俺は言いかけて、止まった。
時間がかかる=治るのが遅い。
治るのが遅い=動けない時間が長い。
動けない時間が長い=いろいろ面倒が増える。
そして何より、骸骨仮面の男がまだどこかにいる。
(……悠長にしてる場合じゃない)
「もう一つは、お尻の中にボクの手をつっこn」
「キスがいいなぁ!」
男とキスするのは嫌だが……マルルゥの見た目だけなら、美少女だ。
大丈夫。見た目は美少女。問題ない。俺は耐えられる……!
マルルゥがニヤニヤする。
「もっとちゃんとお願いしないと。ボク、やってあげないよ」
「お願い?」
「そうそう。ほら、言って。『お願いします』って」
「……調子に乗りやがって」
こいつ本当に良い性格してやがるな。ヴァンが苦手なのも納得だ。
腹の底で悪態をつきながら、俺は目を逸らして言った。
「……お願いします」
「ふひ……いいよぉ。やってあげるよ」
満足そうに頷くな。
マルルゥが近づく。顔が近い。
銀髪がさらりと落ちる。香りがする。薬草じゃない。甘い匂い。
心臓が変な跳ね方をした。
(待て待て待て、俺、何してんだ……!?)
頭では治療だとわかってる。
でも身体は別の反応をする。恥ずかしい。熱い。逃げたい。
逃げたら治らない。
マルルゥの唇が──触れた。
その瞬間。
今までとは比べものにならない量の“何か”が流れ込んできた。
魔力。たぶん魔力。
熱い。眩しい。息が止まりそうになる。
(うわっ、なにこれ……!)
口から口へ、って表現が頭をよぎるだけで恥ずかしくて死にそうだ。
でも、それ以上に驚きが勝つ。
俺が持ってた魔力とは質が違う。濃い。重い。深い。
長く生きたエルフの魔力ってこういう感じなのか? って思う前に──
ドアがガチャリと開いた。
「ノノがお見舞いに来てくれたわよー……」
「アウラちゃん! 目が覚めてよかったよー……!」
ティナとノノが入ってきた。
そして。
上半身裸の俺が、マルルゥとキスしている場面を、ばっちり見た。
時間が止まった。
ティナが固まる。
ノノが固まる。
俺も固まる。
マルルゥだけが、目を細めて──。
「やぁやぁ。いいタイミング」
ペロリと唇を妖艶に舐めるマルルゥ。
(最悪だああああああああ!!)
声にならない叫びが、喉の奥で爆発した。
ティナの目が、ゆっくり俺に向く。
その目が言っている。
──説明しなさい。今すぐ。
俺は反射で口を開こうとして、上手く声が出なかった。
熱い。恥ずかしい。体の内側が変な感じ。
そして何より──。
(違う! 違うんだ! これは治療で──!)
言い訳が、言い訳に聞こえる未来しか見えない。
ノノが、ぽつりと呟いた。
「……アウラちゃん、元気になったんだね……?」
違う! そういう意味じゃない!!
俺は頭を抱えたくなったが、上半身裸でやると余計に惨めだ。
マルルゥが楽しそうに言った。
「安心して。治療だよ? それにアウラにキスして欲しいって、お願いされたんだ」
「……ッ!! 言ってない! いや、言ったけど、そう言う意味じゃなくて!」
ティナのこめかみに、青筋が浮かんだ。
「治療……ねぇ?」
声が低い。
俺は全力で頷いた。
「ち、治療! 治療! 魔力を送る必要があって! で、こいつが──!」
「こいつ」
マルルゥが笑う。
ティナが目を細める。
「……説明は後でいいわ。まず、アウラ。服着なさい」
「はい……」
俺はしゅんとなりながら、上着を探した。
日常って、こういう形で戻ってくるんだな。
(……最悪の形で)
背中の熱と、腹の熱と、恥ずかしさで、顔が真っ赤なのが自分でもわかる。
マルルゥは「ふふふ」と笑っている。
(こいつ、絶対わざとやっただろ……)
俺は心の中で、静かに誓った。
(治ったら、こいつに一回くらい、仕返ししてやる……)
……いや、無理だな。
絶対に逆に遊ばれる。
俺は深くため息をついた。