私は今、私を喰べたい人でなしにストーキングされてます。 作:這い寄る影
ああエライ目に合ったあったと比名子は夏の日差しが強く刺す中でそう思う。
午前中の遅刻に木山先生の補習授業。放課後は復習だ。
そしていまだに夏は続きミンミンとセミが鳴いている。
日本列島、歴代の最高気温更新だったっけと比名子は現実逃避するように思うた。
「黄泉帰りの季節だ」
比名子にとって夏は良い季節ではないお盆が近いし。
死者が帰ってくる季節でもある。
そう言う事には厄介事も多い、霊地も活性化する。
ついでに心霊スポットに群がる馬鹿も増える。
元々はタダの廃墟であっても噂と言う陰気が霊を呼び寄せ本物の心霊スポットになることもあるし。
中には本物も混じっているのだ。
そう言うのに巻き込まれた輩の除霊するのも如月流の仕事の一つだ。
如月流は特に見えない物を相手どるのに秀でている。そこいらの地縛霊なんて見敵必殺の勢いだ。
だからこの時期には夜狩省からの依頼も増える。どれも胸糞悪くて嫌な季節だ。
まぁそこに自分は関係ない、両親と兄が死んだ事故の傷跡のせいで水着とか着れないけれどキャンプとか夏休みには行きたい。
秦皇山森林公園 キャンプ場に行くのもいいかもと思いながら。
その前に・・・
「夏祭りどうしよう」
比名子が退魔針という事で巫女舞の大役を受けてしまう羽目になった。
だがよくない物を払ったりするため先代にそう言うのは叩き込まれている。
故に普通は問題ないのだが、人前でいざ披露するとなると恥ずかしい物があった。
それに。
「夏休みもお仕事で潰れるんだろうなぁ」
現状、退魔針は四人、東日本は大摩流 西日本は妖流、海外を活動拠点にしている来須流、そして依頼があれば日本優先だが何処にだって行く如月流の四人だ。
最も比名子は如月流の正式襲名前なのであるが。
事実上の四人目として夜狩省には追認されている。
そこで問題となってくるのが妖流の依頼料金だ。大摩流の二倍と言う金額。
とても一一般人が出せるような金額ではない。
その点、如月流の料金は一般市場としては普通の部類の料金だ。
規模によっては夜狩省からも料金を取れるし。
第一金には困っていない。先日のモリゾーの一件で浄財がかなり入ったし。
と言ってもササハリを刺したまま汐莉に逃げられたときは焦った。
アレ本当に高いのである、一本で具体的には渋沢が千枚が飛んでいくくらいには高い
流石に遺産に大ダメージが入るし、財布も爆裂する。
そう言った訳で溜息ばっかり付きながら学校を出ようとすると。
「比名子ちょっといいかしら?」
「どうかしたの汐莉さん?」
「少し話して置きたくて」
「うんいいよ」
「あら私が誘い出してあなたを食べようとは思わないのですか?」
「最近物騒だから仕込みはあるよ、あと鬼さんの式が付ているしね」
「なるほど・・・」
汐莉は納得する、比名子の両腕袖には一見して分からないが針が仕込まれている、ワンアクションで出会った時みたいに頭頂部に針刺されて終わりだ。
いやモリゾーの時を見るにもっとえげつない手段があるだろう。
そして何よりも鬼さんの式が汐莉に張り付いている。
少しでも手を出す素振りを見せれば情報共有している美胡か鬼さんが飛んでくるだろう。
という訳で何時もの中庭に移動しベンチに座る。
腹でも減ったのか汐莉は購買部でBIG肉まんを購入していた。
「それで話って?」
「不老不死についてどう思います」
「私は要らないかなぁ・・・そう言うの沢山見てきたし」
海外を回った時だった吸血鬼、人間から吸血鬼になった存在を見たことがある。
アレは醜悪だった。ベースが人間な為、純正とは違い魂が腐り自滅衝動に駆られている生き血を啜る何かだ。
あの時は美胡ちゃんにも多大な迷惑かけたなぁと思う。
あの時の後遺症に彼女は苦しんでいるから。
それに他の邪法とかでも不老不死になった奴は見てきているし。
ああ言うのになったらお終いだとも思っている。
「第一に長く生きるというのは失い続けるってことなんだ」
そして不老不死、不老長寿の類は孤独になる。
自分は生きていても他者に絶対置かれていくから。
「だからその時は自分で首括るよ」
もし自分がそうなったのなら、自分は自分で決着をつけるという。
汐莉は思う、死生観が違うのだ、比名子はただ人間として生きそして死ぬという当たり前の覚悟をしているだけ。
その為なら世界だって次いでで救うというだけの話。
人間的すぎて汐莉には眩しかった。
「そうですか・・・ここから本「比名子―!!」
ではここからが本題を切り出す刹那に美胡が大声上げて比名子に飛びつく。
「ねぇ!! 今度の夏祭りあたしと回ろ!!」
そう言って抱き着いたまま目をキラキラさせながら言う。
「ちょっと待って下さい私も比名子を祭りに誘おうと思っていたところなんですよ」
「人食いデブ半魚人に比名子の事任せられるわけないでしょうが」
「・・・貧血貧弱妖怪狐には言われたくありませんね。護衛としての腕なら私の方が上ですよ」
「あん?」
「なにか?」
汐莉と美胡は互いにメンチを切る。
某ゲームだったらビームとか出ていたんだろうなぁと比名子は思った。
「あのね二人とも」
「なんでしょう?」
「なに? 比名子?」
「夏祭りの神社からの依頼でお仕事入っているから私、夏祭り回れないよ?」
比名子の言葉に二人はフリーズした。
「なんでぇ!!比名子はあたしよりも仕事の方が大事なの!?」
「いや鬼さんの推薦もあったし町の穢れを落とすことも必要だし」
因みに神社に推薦したのは鬼さんである。
いまどこの神社も力のある後継者不足なのだ。
「町の穢れですか?」
「うん、本来、道路を作ったりとかはあまりよくなんだ、地脈の陰気が抜けなくなっちゃうから、だから舞を踊って、陰気を抜く必要があるんだ、後神様とかにも奉納する意味で行われるね、ねぶた祭りとかも本来はそうなんだよ」
「へぇ~」
汐莉は純粋に関心している。
本来地脈の陰気などは土からツボから放出する、風水で言う淀む土地と言う訳だが。
現代にコンクリートやらアスファルトが増えた結果より淀むような結果となってしまった。
故に祭り事を行い陰気を祓うという作業が必須なのである。
「要するにアンタみたいのが近づきやすくなってるってことよ」
「美胡ちゃん、一々汐莉さんに喧嘩売るのやめよ」
「だって~」
美胡としては気が気ではない。
当たり前だ、人魔の垣根を越えて美胡にとって比名子は大親友なのだから心配にもなるという物。
その時だ比名子のスマフォが鳴る。
掛け主を見ると出たくない相手だった。
「はい比名子です」
『比名子ちゃん、久しぶり~元気にしてた?』
「何の用ですか、妖さん・・・」
電話の主は妖京梧、退魔針の四人の内の一人だ。
だが手先は不器用で吹き矢で針を刺す特殊な胃の構造をしている人物でもある。
扶養家族が多く金にがめつい。
『いや仕事を手伝って欲しい訳よ、ちょいとばかし厄介でね』
「そういうの鬼さんか夜狩省を通してくださいって言ってるじゃないですか」
彼が関わる仕事は厄介事であることが多い叔父と自分と美胡がどれほど苦労させられたかと。
『黄泉帰りの儀式を行っている町がある』
「・・・今のご時世にですか?」
『おおマジで、って比名子ちゃんは経験済みじゃなかったか?』
「かえるのうたや某県の某町の件は今でもよく覚えています」
アレもあまり良い事件じゃなかった。
まさか別件帰りに立ち寄った町で生贄にされかかったのだからそりゃそうもなる。
後々は美胡が真面目に儀式しようとしていた馬鹿共張り倒して先代と大摩と大摩の助手である十月で空いていた綻びを閉じた事件だった。
かえるが通る綻びを完全封鎖し今ではただのイベントになっているが。
あとは某県の某町の件の件だ。あの一件は手遅れになる寸前だった。
被害者三人は寺の住職が助けたが、儀式を行った張本人は既に取りつかれており先代と比名子が施術を行い。
その蘇った者を吐き出させたことがある。
その蘇った者も稀血の比名子にターゲットを絞ったが如月流は見えぬ物と陰気の抜き方に関しては他の三人より秀でている。
故に蘇った者は比名子に取りつく間もなく先代の手によって滅殺された。
と言う訳で今時そんな儀式や今時閉じた町村とかも珍しい。
明治以前ならまぁそう言う村もあったとか。
現代でそう言った儀式を行えば夜狩省に察知される。
通信網の発展が彼らの監視範囲を広げたがゆえにだ。
「まさか私を囮にしようとしてません?」
『そんなことすりゃ俺が鬼さんとかモリゾーの奴に縊り殺されるよ、純粋にお前の腕を見込んでの事だ。報酬は夜狩省からたんまりである俺が8でオマエが2だ』
「最低でもアナタが7で私が3、旅費は三人分用意してください」
『まぁその程度ならって、旅費が三人分? 比名子ちゃんと美胡ちゃんと後誰だ?』
「人魚の汐莉さんです、保護観察中なのではい。あと学校を休んで出席日数確保のため夜狩省に裏工作の連絡お願いします」
『そう言う事なら分かった。夜狩省にも俺から一報を入れておくよ』
そう言って電話が切られLINEに件の町村がある地図が送られてきた。
O県某市某町だった。
Googleで調べると隠れ秘湯が有名な所らしかった。
「と言う訳で夏祭り回れない代わりに荒事があるけれど温泉観光行こうよ二人とも」
「「・・・」」
「どうしたの? 二人とも??」
「比名子って見かけによらず人扱い荒いですね」
「だって汐莉さんの場合放置してたら勝手についてきてたでしょ?」
「まぁそうですが」
汐莉は下手に放置すると呪つかって金銭偽装して関連各所を混乱させつつストーキングしかねないのでもうこうなったら巻き込んでやるという比名子の心意気である。
まぁ毒喰うなら皿までという奴だ。
「もうあたしはセットあつかいかぁ~」
美胡はそう言ってがっくりと肩を落とす。
「美胡ちゃん、みんなで幸せになろうよぉ~」
「パトレイバーの後藤隊長みたいな胡散臭い顔で言われてもねぇ・・・」
比名子にそう言われるが虚無顔とパトレイバーの後藤隊長の胡散臭さ満点を合わせた様な作った笑顔で言われても全然嬉しくない美胡であった。
という訳で美胡は美胡で用意するものがあると自宅に帰り。
まだ二日目なのでアパートの用意も出来ていない汐莉は比名子と共に比名子の自宅へと戻った。
「そう言えば昨日のどんちゃん騒ぎでお風呂はいれていなかった」
モリゾー事件の事とその後の打ち上げでお風呂はいれていなかった事を思い出す。
お風呂は自動式なので既に湯の循環は止まりタンクにお湯がしっかりと溜まっていた。
湯舟のお湯はすっかり冷めきっていた。水道代がもったいないと考えながら栓を引っこ抜き。
完全に湯舟からお湯が抜け出すまで10分程度。
明日の準備でもするかぁと思い立ち自室に、汐莉がマ〇カーの通信対戦でボコられていたのを尻目しつつ行き。
キャリーケースに衣類を詰める。仕事用の針は昨日のショルダーバックに詰め込んだままなので大丈夫だろう。
そうして準備を進めショルダーバックとキャリーケースを抱えて一階に降りて。
玄関先に置いて置く。
「~!!初心者に寄って集って!!」
一方の汐莉はボコボコにされて怒髪天に来ているのか。妖怪としての本性を現している。
一部が鱗に覆われ右手の爪が刃の如く伸び、右目の瞳が金色になっている。
そんな手じゃ、余計に操作しにくいよと内心ボソっと比名子は呟いて。
「汐莉さん、なんか食べれない物とかある?」
「嫌いな物はないですよ? 強いて言うなら量が多いほうが良いですね、っっだからトゲゾーこうらはやめろとあれほど!!」
嫌いな物はない強いて言うなら量が多い方が良いと汐莉は言いつつまたトゲゾーこうらの餌食になった事により激昂していた。
このまま本性表すんじゃないかなぁと比名子は思いつつ。
大量に作れて簡単、味も良いチキンライスを作ることにした。
パパっとチキンライスを作り、チャーハンの様に盛り付ける。
汐莉に合わせて作ったので、フライパンを振るっていた右手首が地味に痛い。
後で針を打っておこうかと思いながら、チキンライス(超大盛)を汐莉の前に置き。
自分の前には普通の量のチキンライスを置く。
汐莉もゲーム止めて、スプーンを取ってチキンライスを食べる。
一通り食べ終えたところで。汐莉はふと疑問に思ったことを口にする。
「そう言えば仕事の詳細確認していなかったようですが、大丈夫なので?」
「この時期の依頼は似たり寄ったりだから、あと寂れた儀式が誰も知らずに祭りに変貌して町おこしに使われているなんて結構あるんだよ、だからスマフォで得た情報からどういうのか予想はつくよ」
「それでどういった怪異なので?」
「黄泉帰りの儀式」
そう言って比名子は対象の町村で毎年行われる祭りの儀式の詳細が映ったスマフォを見せる。
「黄泉返りでか・・・そういった話はキリシタンでしか聞いたことないですねぇ」
「根の国へ行くには楽だけど、帰るのは例えばモリゾーさんの様な神で無いと無理、伊邪那美さまが許さないから」
根の国へと行くのは実に楽である、今すぐ首括れば良い。
だが帰るのは理論はあっても不可能に近かった。
生死の循環は絶対だ。神が許す筈もない、例外としては迷える魂を運ぶ神たちが現世と黄泉を行き来できる。
そうモリゾーの様な。
「それに大概、邪法だから・・・黄泉帰りに成功してもそれは魔性の者が生前の本人を真似ているか魂を捕まえてラーニングしてるだけ、どのみち死者への侮辱だよ」
そういって静かに憤る比名子。
彼女は一度死にかけ、何とか生き延び先代から生きることの難しさを教え込まれた。
その尊さも。故にこういったことは許せないのである。
「それに詳細調べてみると、モリゾーさんよりヤバい案件みたいだし」
「アレよりヤバいって」
暴走モリゾーも十二分にヤバかった。本気を出した汐莉と妖怪に戻った美胡の二人掛かりで押さえつけるのがやっと。
退魔針である比名子が居なければ逆にやられていたかもしれない。
それよりヤバいってなんなんだと汐莉も思わざるを得なかった。
「妖さんレベルが動いているとなるとモリゾーさんの一件なんて可愛い方だよ、もしかしたら異界の門が開くかも、まぁ現場に行ってみないと分からないけれど」
だがなんにせよ現場に行ってみない事には分からないと。
そう言う訳で明日は早い、風呂入って寝る。
そして次の日、鬼さんの所が空港まで車を出してくれるという。
意外と空港まで近いので20分ほどかけて空港に向かう。
一番早いO県行きの空路に事前に夜狩省が予約を入れてくれたのですぐさま飛行機に乗ることができた。
最も普通なら持ち物検査や手荷物検査で引っ掛かる大量の針の事も夜狩省の事前通達によって無視された。
「空の旅ですか」
汐莉は初めて乗る飛行機に興味津々だった。
彼女レベルの人魚となれば国内の海を泳げば各都道府県に移動可能だろうし。
そして飛行機が発進する。
あっという間に雲の上の住人だ。
比名子と美胡は海外回っていたという事もあって汐莉に窓際にしてあげた。
「雲海と言うのも海に負けないくらい美しいですね」
「私は良い思い出がないなぁ」
「何でです?」
「こういう体質だから”見えちゃう”んだ」
そう空も宇宙に近いがゆえに良くないものも多い。たまに良い物といえばお空を飛ぶ天龍様くらいな物か。
「まぁ暗い話は其処までにしておいて朝飯食べようよ」
「だねーお腹減った」
丁度ベルトランプも消えたのでシートベルトを外して背伸びしつつ美胡は空港で買った弁当を取り出す。
比名子も汐莉も一緒の様なものだ。
「ですが雲海は美しくとも、何もないのは暇ですねぇ」
「ゲーム持ち込めばいいじゃん」
「・・・それもそうですね、所で美胡、なぜ比名子はゲームしないのですか? あれだけ置いているいるならやっていてもおかしくないと思いますが・・・」
「比名子の針の腕はアンタも見たいでしょ?」
「ええ」
「比名子、物事に集中したり根中すると力むタイプだからコントローラーの方が耐えられないのよねぇ」
「確かに腕が分身する速度で入力されたら・・・」
「そう言う事」
そう比名子は熱中したり集中すると無意識に如月流の動きをしてしまう。
腕が分身する速度でコントローラー入力をすればコントローラーが壊れる。
もうかれこれPS5だけで40機ものコントローラーぶち壊してた。
「まぁ兎に角、暇なら機内ラジオでも聞いていると良いよ、あたしは寝るわ、比名子も寝てるし」
そう言ってあくびをして美胡も眠りに入る。
汐莉はする事も無いので機内ラジオでも聞くことにした。
そうして、O県O空港に到着。
三人で飛行機を降りてロビーへ。
其処には金髪のハツラツそうな中年男性が待っていた。
「こうして直に顔合わせするのは去年の夜刀浦での一件以来か、相変わらずそうで何よりだよ比名子ちゃん」
「妖さんも久しぶりです」
「ところでそっちの見慣れないのは例の人魚さん?」
「はい、近江汐莉さんです」
「へぇ・・・人食い人魚に会うのは初めてだな」
妖は一瞬で汐莉を人食い人魚だと見抜いた。
汐莉は笑顔を張り付けたままで。
「よくわかりましたね」
「皆、人魚に幻想持ちすぎなんだよ、伝承では殆どが不吉の予兆で人食いだ。あと比名子ちゃんが大分抜いたが陰気の残滓がある」
汐莉の問いにそう返す妖、そう古今東西人魚は不吉の予兆とされてきたし難破記録も裏ではある。
第一日本での人魚伝説は妖怪伝説が主流なのだ人食いと簡単に当てつけられるし。
それに比名子が殆どを抜いたとはいえ残滓程度には陰気を感じられる。
そこから導き出される推論だった。
「まぁ人食いだろうが、俺は俺の仕事を手伝ってくれるなら文句は言わねぇよ」
そして人食いと見抜いてもなお仕事を手伝ってくれるのなら文句は言わないという。
「付いてきな、俺の車で現地まで向かうぞ」
そう言った妖の後に三人は続く。
そして車を走らせ一時間程。
比名子が口を開ける。
「状況はどうなんですか。黄泉帰りと聞きましたが・・・」
「事の発端は二週間前、庄屋の娘さんの葬儀だ。因みに原因は事故死、いたって普通のな。だが納棺直前になって死体が失踪、その次の日、生前のように帰って来たらしい、家族は奇跡として受け入れていたが葬儀の為に訪れていた寺の住職が不気味がって隣町の神職に通報、一応念のためにお払いしたが・・・暴れ出し、全員総出で縛り上げた。で神職が自分の手には負えないとして俺に連絡、奥さん以外の家族も不気味がって報酬払うからってことで俺も出て止め針を打ったんだが・・・」
「打ったんだが?」
「急所が見当たらない、山伏達の力を借りても分からん、また”センティネルの丘”か”ウェイトリイの生家”かとも思ったんだが。其処も外れ、事件は暗礁に乗り上げた」
実に不気味な話しだった。
美胡はため息を吐き汐莉は本当にあるのかそんな事とけげんな表情をしている。
黄泉返りとは妖怪業界でもありえぬことであるがゆえにだ。
「村の歴史とか、調べました?」
「歴史資料館とかは無くてね、明治以降の資料は市役所で呼んだが気になる記述がない、明治以前の記録が無い事から・・・それ以前は何かあったのかもな」
妖は煙草を吹かしつつ比名子の疑問に答える。
「禁足地とかは?」
「ないな」
禁足地とかも無い。という事は山神という線も薄い。
と残るは。
「祭りの件については?」
「至って普通の祭りだよ。去年の祭りの映像がSNSにアップされていた」
「・・・まさか」
「ん? 何か感づいたかい?」
「社殿を明治以前か維新の混乱期に移した可能性は?」
「あっその手は考えていなかったなぁ。だが山伏達の神通力が通じなかった問題はどう考える?」
「単純です、門が小さい可能性があります小さすぎて逆に捉えられない、そして儀式は隠れ信者たちの手によってひっそりと当日のみに行われる、必要な儀式機材は廃神社の方に置いて置いて祭りの日に人々の目がそっちに向いているさなかにひっそりと」
祭りは民衆から本命を目を逸らさせるためのダミーかあるいは本命儀式の補助。
そう言う事を意ともしていない一般人にそう言う事させて無意識のうちに巻き込んでいるケースもあった故にだ。
儀式場の隠しは簡単だ。明治以前の記憶が無い事から維新の混乱期の時に移したと見せかけたのだろう。
廃した神社なんて誰も見向きもしないがゆえに、儀式に必要な祭具もそのまま残させればパーフェクトだ。
「兎に角、患者を診ることが優先ですね私なら釣れるかもしれないですし」
「比名子、無茶はダメですよ」
「汐莉、比名子は完全仕事モードに入っているから聞かないよ」
無茶はダメと言う汐莉に美胡は疲れたように言う。
完全仕事モードの比名子は無茶をするのが当たり前だったからだ。
兎にも角にも患者を見て見ない事には分からないとして。
一向は某町村の一応宿にする予定の旅館へと向かう。
某町村は山間の深い所にあり正しく限界集落と言った感じではあるのだが。
今のスローライフブームで若者の流入も増えているのだとか。
そして町村の中でも一番古く大きい温泉旅館へと到着する。
チェックインを済ませ仕事道具以外の私物を自室に置き。
一向は庄屋へと向かった。
そこは古めかしくも大きい日本屋敷と言った感じで。
一般人は気づかないが酷く生臭い臭いがしていた。具体的には腐った魚介系の臭いを濃くしたようなものである。
「まだ現世には出てこれないみたいね」
美胡はウンザリしながら言う。
敵はまだ出てきていない臭いも酷いが死体の腐乱臭とか先日の暴走モリゾーに比べればマシだった。
「ああ、妖様、帰ってきましたか・・・それでそちらの方々は」
庄屋の店主が出迎える、そしてなぜに女子高生を三人も連れてきたのかと言う目をしている。
「俺の同業者、専門は今回の様な事件でな、腕は保証するよ」
「は、はぁ・・・」
「じゃ案内してくれ」
そう言う訳で。奥の座敷へと案内される。
其処には。
「あああぁぁあああああああああ・・・」
「妖さん止め針打ったんですよね?」
「ああ」
「動いているじゃないですか」
縛り上げられ止め針を打たれても、美女というべき女性はぬらりぬらりとナメクジの様に動いている。
「比名子ちゃんの稀血にでも当てられたか?」
「逆に都合が良いです、美胡ちゃん双眼鏡」
「はいよ」
美胡から双眼鏡を受け取り。何かを診る比名子。
そのまま廊下に出てナニカが伸びる方角を確認し一旦外へ。
神社の隣の山に繋がっているのを確認しスマフォで写真を撮りフォト加工である地点に〇をつける。
そして、一端、庄屋の主とその妻対面する。
「それで娘は・・・」
「娘さんはもう死んでいます。アレは娘さんの魂を使い生前の娘さんを真似した魔性の者の先触れです」
「そんな!!」
庄屋の妻がヒステリックに絶叫する。
「死者が帰ってくるという甘い考えこそ奴らの付け入る手段の一つ」
そう言って説明しつつ背後の美胡にアイコンタクト。
美胡は小声であたしに合わせて汐莉に言う。
「ですので。死体に戻すしかありません。このままではこの町村が物理的に消えるでしょう」
「そんなことは「今よ汐莉!!」「わかりました」」
泡食ったように叫びつつ比名子を掴もうとした庄屋の主人の妻を美胡と汐莉が取り押さえる。
何と言う力か人間体の二人も相当な筋力だがそれを上回っている。
だがその一瞬で十分だった。
庄屋の妻の喉と額に針が刺さる、比名子ではなく妖の吹き出した針だ。
一ミリの狂いもなくそれが突き刺さる。
がしかしそれでも暴れ散らす庄屋の妻。
「これは完全に」
「ああ魅入られている」
「よく妖さんの時は食って掛かってこなかったですね」
「あの時は居なかったからな」
要するにタイミングの問題だった。すれ違いになったのだ。
だからきづけなかった、気づいていれば今と同じように止針を打っている。
しかし庄屋の妻は精神が肉体を凌駕している状態故か、精神が魔の物に汚染されている故か止針も効かなかった。
それは対人間用の止針だから当たり前で。
次に吹き出した針は退魔用の針だ。
それは右胸に一本、喉に一本、そして右腕に一本吹き刺した。
その瞬間、泡を吹き出し白目を向いて庄屋の妻が倒れる。
それを確認した比名子は脈を取り一息つく。
「つっ妻は?」
「大丈夫でしょう、彼女は魔に魅入られ操られていただけです娘さんを失った悲しみで、と言っても憑かれていた影響で記憶はここ一か月程度飛びますが・・・」
「それは良かった・・・」
「礼は妖さんに行ってください、あと汐莉さん、美胡ちゃんもう放して大丈夫だよ」
「はぁ少し疲れました」
「肩凝るわー」
そう言ってぐったりとなった庄屋の妻は私室へと運ばれ。
「では覚悟はいいですね?」
「はい、もうここまでくると哀れだ」
庄屋も覚悟を決めたらしい。
娘を生かしているのは魔性の者。
祓う必要がある。
再び奥の座敷へ。
「如月流次期総帥の腕見せてもらおうか」
妖はどうやって急所の無い相手を仕留めるのか興味深そうに見ていた。
「すいません畳一枚駄目にします」
比名子は庄屋にそう最初に断りを入れて置き。
長針を突き刺し、のツボの部分を刺激し痙攣させ。娘の遺体から追い出す。
凄まじい悲鳴が響き渡り。
ドシャリと娘さんが動か無くなる、そして遺体も腐って溶けた様な魚の様に肉体が溶けて骨だけが残った。
「管を直接叩くとぁ相変わらず見えないものにはすげぇな如月流」
「いえ、少ししくじりました。管はまだ生きている、危機を感じ取って自ら引っ込めたみたいです、叔父さんなら今ので断ち切っていました」
「だが大本を断たないといけないのは一緒だろ」
「ですね、庄屋さん、今日が祭りでしたよね?」
「ああ、そうだが・・・」
「神社の事についても詳しく、後は文献なんかも読ませてもらうと助かります」
庄屋とは一種の権力者である、文献や言い伝えなんかもあるかもしれないと比名子は思う。
「あのそれがなんかの役に立つので?」
「事件はまだ終わっていません」
そうまだ事件は終わっていなかった。
「あーもう場所は特定したのにさぁ」
「相手の正体を知らずに戦うとか馬鹿のする事です。それに古さは匂いで分かるでしょう?」
「あったりまえだ」
その後、比名子は夜狩省に事情説明し警察への手回し、妖は庄屋の主人から事情聴取中だった。
一方の汐莉と美胡は庄屋の蔵の中の文献を改めていた。
こういう時、妖怪の鼻の良さは使い勝手がいい。
それらしい古い文献を匂いで見破ることができる。
普通の人にはどれもこれも同じに見えて。流し読みでも三日は潰す量だが。
妖怪の二人なら匂いで年代測定可能だった。
「飢饉・・・違う、一揆ちがう…蘇り? うげ紙魚に食われてて読めない、汐莉そっちは?」
「ビンゴ見たいです美胡」
汐莉がほくそ笑みつつ言う。
古い書記を見つけた、丁度神社が移動する前の話だった。
この地での信仰は山神が主だったとされ神社は江戸後期までなかったとされている。
だが江戸からある物が流れ込んできた。それは鏡と神を鏡から呼ぶための読経本と儀式の仕方についてである。
鏡は蓮の鏡と言い儀式内容は省かれていたが死者を蘇らせる神が出てくるという物だった。
無論当初は誰も信じてなどいなかったが天変地異が置き村に多くの死者が出たらしい。
働き手も多く失い村は存亡の危機に瀕した。
山神も当てにならないとして人々は蓮の鏡を使って儀式を執り行うことした。
そしたら複数人戻って来たとの記載があった。
だが神は恐ろしきもの形容しがたい鮫の様な触手の様な神だったとされる。
故にやたらむったら神にはお願いをすることはなかった。
毎年行方不明者も出るようになり不気味な密教徒まで住み込んで来る始末。
そして明治維新の混乱期に密教徒の連中が儀式を行ったらしくその晩、山鳴りが鳴ったとか。
それで村人たち総出で密教徒を皆殺しにし儀式と読経を記した書を焼き払い、鏡は破壊不可能だった為社殿の奥深くに封印し、社を移動し廃殿とすることによって人々の記憶を歪めることによりその存在は居るのだと思わせて神の怒りを沈めつつ儀式を歪め切って祭りに仕立て上げることによって神の存在意味をすり替えたのだという
「神様の名前は?」
「祭りの名を関すると同じですね」
「モドリ様かぁ」
神の名はモドリ様と言った。
屋敷の居間に戻りそのことを二人は比名子と妖に説明する。
「蓮・・・レンかな」
「ああレンから転じて蓮ねぇ、となるとレンと通じる鏡か」
二人は納得した様子で。
美胡は顔をゆがめ、汐莉はレンと聞いて首を傾げた。
「まぁはっきりって俺らでさえ所在がつかめない未知の場所、あるいは空間、あるいは別惑星、あるいは外宇宙にある高原の事だ」
「繋がっては不味い場所何ですか?」
「行ったら二度と帰ってこれねぇよ」
そう説明され汐莉も顔を引き攣らせる。
「その中の化け物の一体がモドリ様なんだろうさ」
「少なくとも上の上ですかね、例の双子ではないにしろ・・・」
比名子が分かり易く言う上の上という事は今現在の鬼さんよりも強いという事だった。
レン高原の怪物で死者を借りも蘇生できるのだから当たり前だろう。
「兎に角、今夜起点に向かうよ」
比名子の言う通り祭りは今夜だ。
何かしらの儀式をするにはうってつけだろう。
そして夜になるのを待ち目的の山へと向かうのだった。
先ずもう参道と呼べるものはかすかな残滓のみであり獣道のみだった。
だがしかし妖狐の美胡は。
「誰か歩いた後がある」
草だらけの道を見て言う
「痕跡の時間は?」
「此処一か月中は何度も出入りしているみたい、皆私についてきて」
そのままゆっくり時間をかけて山を登る、慣れていない獣道だし連中にバレたら元もこうも無いからだ。
そして廃殿手前の藪の中に到着っする。
廃殿は朽ち果てかけ元の姿を保っているくらいなのが不思議なくらいだ。
だが扉の前に大きな鏡が安置され、広場の中央ではキャンプファイヤーの様に炎が焚かれ。
それを中心とするかのように15人くらいの屈強で仮面をつけた男女が杖を持って裸で踊り狂っている。
更にその周囲には狐やら野犬やらどっから調達したのか熊のぶちまけられていた。
男と女たちはイヤァーイヤァーイヤァーと叫び連呼しながら。
冒涜的な呪文と踊りを繰り広げていた。
汐莉は精神がどうにかなりそうだった。
嫌目の前の儀式を見たからではない、鏡の中で蠢く者を見てしまったからである。
冒涜的な何かが這いずり出てこようとしてたのだ。
その時である。
比名子が汐莉のこめかみに針を刺した。
するとすぅーっと不快感が消えた。
「大丈夫? 汐莉さん?」
「え、ええ・・・」
「兎に角儀式が成り立ちつつある、止めるぞ」
妖も腹を決めたらしい。
儀式が成り立ちつつある。
止めなければこの町が吹っ飛ぶだろう、最悪O県が消し飛ぶ。
「じゃぁいいね」
ギチギチと音を立てて美胡は右腕を獣腕に変化させ右目の白目は黒く瞳は赤黒く染めて半妖形態で戦闘モードだ。
汐莉もハッとし両腕を鱗に右目を金色いろに染め上げ臨戦態勢である。
比名子は指の間に針を持つようにして構え。妖はいつでも吹き矢を使えるようにしつつフラッシュバンを投げたのだった。
数の多い敵に真っ向から突っ込んでいく馬鹿は居ない。
其処からは一方的な蹂躙戦だった。
妖怪の力で物理的に殴り飛ばされて生きている者はいないし。幾ら精神が魔の物に浸食されているとはいえ人間なのだから絡繰りさえ分かってしまえば動きを止めることは比名子と妖には容易い事だ。
「これで全部か・・・」
「そうみたいです」
密教の連中は3人ほど捕えた。
後は汐莉と美胡に殺害された。
遺体処理を夜狩省に頼まきゃと比名子は他人事のように思いつつ。
気絶した三人は夜狩省に回収され古き良き尋問を受けるだろうと。
さてとという訳で、空間を閉じるかと思った時である鏡が光った。
「iaaaaaaaaaaaa」
「儀式は完成してない筈だぞ!? おい!」
これには妖もビックリした明らかに儀式は完成していない筈だったのにモドリ様が出てこようとする。
「まにあって!!」
比名子が空間のツボを見切って長針を投擲するが弾かれる。
あの双子の様にツボを移動する力でもあるのかとそう言った驚愕を他所に、モドリ様が具現化した。
「「うっっ」」
妖怪二人が呻き声をあげるほどの陰気。
空に浮かぶは伝承の通り鮫だった、ただし鰓からは無数の触手が生え腹には無数の苦悶の表情を浮かべ叫ぶ人面相が浮かんでいたが。
ただし尾の部分がまだ鏡と繋がっている何とかなると思った物の。
直接、比名子を狙いだした。
比名子は華麗にステップを踏み、カウンターで長針をモドリ様本体へと叩き込んでいく。
それと同時にモドリ様は苦悶の表情を浮かべた。当たり前だ体内にため込んだ妖力と魂が抜けていくのだから。
しかしモドリ様にとっては比名子一人食べれば済む事だったのであるが。
だがここに居るのは百戦錬磨の退魔針だ。
食べるのは容易ではない。
「いい加減にしろ!!」
「不愉快です消えてください」
普段の不仲っぷりは何処柄やら。隙が出来たと見るや否や二人で連係プレーする汐莉と美胡。
二人はモドリ様の両目を抉ったのだ。
そこで致命的に怯み地上へと落下したモドリ様は比名子に触れられていた。
それ即ち。
「見つけた」
ツボを探られたという事に他ならないササハリがぶっ刺され腹が爆裂、ため込んでいた魂たちが解放される。
それで怒り狂ったモドリ様だが。
トス・・・
そんな音と共に比名子のこめかみに針が刺さりモドリ様は絶叫を上げた。
鏡が繋ぐ空間通路のツボが其処にあったからである。
妖が戦闘に参加していなかったのもこのためだ。
彼は空間通路のツボをずっと探っていたのだから、今空間のツボは比名子の左米神にあった。
体内に貯めた魂を比名子の手によって解放され弱体化した身では空間が閉じる歪に抗いきれず。
モドリ様は元の世界に戻って行った。
「これ外しても?」
「いいやまだ綻んでいる、あと10分は待ってくれや」
妖にそう言われては外せないので10分前後そのままだった。
「それで比名子、これ如何します?」
「あたしと汐莉でぶん殴っても傷一つ着かないんだけど」
レンの鏡は凄まじく頑丈だった妖怪二人が殴っても壊れやしない。
「ああそれなら大丈夫だよ。封印用の護符持って来たし、夜狩省に回収管理行きになるかな」
そう言いつつペタペタと札を張っていく。
物理的に破壊不可能なら封印するしかないのだから。
その時である夜狩省の回収ヘリが来た。
事前に連絡済みである。
流石に街中で着陸する訳にも行かないので現場処理は夜狩省に任せ一行は来た道を戻る羽目になった。
「あー仕事後の温泉は身に染みるわー」
「わかるー」
宿に戻って来た一行は温泉に入る事にした。
皆祭りに出ており貸し切り状態と言う訳ではない。
他の観光客は縮こまって出て来ないのだ。
モドリ様を引きずり戻したと同時にモドリ様が張っていた管も千切れ飛び隠れ信者が発狂ひっそり蘇っていた死体は昼間の庄屋の娘の様に骨だけ残して溶けてきてパニック状態になった。
そこまでの事態を鎮圧するのは警察の仕事なので比名子たちは関係がない。
という訳で露天風呂貸し切り状態、三人で露天風呂に入っていた。
「なんかお肌にいいとか・・・今一分かりませんね、ぬめッとしてますし」
「正体表したら粘液塗れのお前が言うな、半魚人」
「そこまで粘液塗れではありませんよ、アナタの方こそ獣臭が抜けるといいですね」
「お風呂で喧嘩はやめようよ二人とも~」
「「すいません」」
手をゴキゴキ鳴らして言う比名子に二人は率直に喧嘩をやめた。
「それで比名子は昔からあんなのを相手に?」
「今回はマシな方かなぁ、ねぇ美胡ちゃん」
「うん今回はまだ殺し切れる目もあったからマシ、普通なら殺し切れなくて封印処置か今回みたいに空間のツボを刺激して送り返すとかしないと無理な常時無敵状態な奴とかいたしね」
「ヨグ=ソトース案件とか吸血鬼の貴族相手だともうどうしろととかいうレベルだしね」
そうシミジミと語る二人に汐莉は世界は広いなぁと思うしかなかった。
自分の知らぬ深淵が広がっているのだと
「それで比名子はそんな傷を?」
「いいやこれは家族が死んだときの事故で付いた傷」
「なぜ残しているのですか? 整形外科で直せるのでは?」
「一種の戒めだよ。家族は死んだ帰ってこないっていう戒め、じゃないとこの業界誘惑が多すぎるから」
そう一種の戒めだ。
家族は死んだもう帰ってこない。死者蘇生なんてありえない。
そう自分を戒めて行いと庄屋の妻の様になりかねないほど誘惑は多いから。
「ごめん不快だった?」
「いいえ、全然、それも魅力の一つです」
「それは食べたい意味で?」
「もちろん♪」
傷も比名子を比名子足らしめている魅力だと汐莉は言って。
それが食べたい意味でと比名子が問い返し汐莉は肯定する。
だが心の何処が靄が掛かっていたようになっていることに若干不思議な気分に汐莉はなった。
そして気づいたのである、比名子の肩の傷に何かが食いちぎったような跡があることに。
「汐莉さんはぶれないなぁー」
困ったかのように比名子はほほ笑むのだった。
風呂から上がって部屋へと戻り山の幸が晩飯として出されソレを堪能し。
次日はゆっくり時間を掛けながら、一応何かない様に町村を観光の体で練り歩き。
故郷へと戻るのだった。
美胡「比名子! 私と一緒にお祭り回ろ!!」
汐莉「比名子、そんな貧弱狐より私と回りましょう」
美胡「誰が貧弱狐ですって?! この食い気デブ半魚人!!」
汐莉「アナタの事ですよ常時貧血貧弱妖怪狐」
美胡&汐莉「「グギギギギギギギ!!」」
比名子「ごめん二人とも、私神事を行うし祭りの取で巫女舞するから一緒に回れないよ」
美胡&汐莉「「ガーン」」
そして蘇りの儀会ですね今回は。
リゾートバイトの女将さんの除霊を叔父さんとやったのでそんな都合の良い物はなく。
悪い物が成り代わっているだけと比名子ちゃんは解釈しています。
原因は妖兄ちゃんにあるわけですが。
妖流への報酬金は大摩流の二倍ですんで、払えない人は寺や神社挟んで夜狩省経由で襲名前でモグリで責任取れないからと格安で見てくれる比名子ちゃん要るから比名子ちゃんにガンガン仕事流れ込んで来てます。
なお幾ら格安と言っても規模次第では夜狩省が依頼者の肩代わり&追加報酬出して払ってくれるので。
比名子ちゃん結構お金持ちです。
ただ本人的には一人暮らし且つ質素に暮らしているので他の退魔針に比べれば質素な報酬ですけど溜まっていますし。
家族の遺産や叔父さんが溜めておいてくれた遺産もあるでお金持ちです。
ただササハリは一本の製造につき製造費が渋沢千枚が飛ぶので貯金が傷られ比名子ちゃんの財布は爆発四散します
妖京梧
退魔針原作の登場人物で気のいいあんちゃん風の人物。
だが扶養家族が多く、妖流への依頼料は大摩流の二倍である。
しかし腕は凄まじく手先が不器用とは言うが、それは他の三人に比べればであり。
人の目に針を刺しても傷一つつけぬほどである、得意の吹き矢法を使えばさらに精度が上がるとの事。
なお人情は理解するが合理主義者でもあると同時に厄介事持ってくる(しかもスルー出来ない奴)為比名子から苦手にされている。
比名子の料理の腕。
叔父がダークマターインゴット(因みに下の下くらいなら消滅するくらいには不味い)量産機だったため。
早々に美胡から学んで。
今では二流くらいの腕はあるとの事。
と言うか叔父の料理で叔父と美胡と一緒に三人共、病院に担ぎ込まれ胃洗浄を受けたのが比名子にとってトラウマになっている。
比名子の家にある工具は全て叔父の調理器具である。
モドリ様。
鮫とも触手ともつかない姿をした神。本来は異界に存在し、レンの鏡を通してこの世界に現れる。 屍者を蘇らせる力を持ち、死体を自我のないゾンビに変えることや、死体と生者を混ぜ合わせることでどちらでもない存在として蘇らせることが可能。この神自体も屍者の側に属しており、屍者を喰らう神であるモルディギアンを天敵とする。 贄を素材に賢者の石を生み出し、そのエネルギーを喰らうと共に捕食器官として利用する。 贄となった者の魂はモドリ様の体内に永劫に囚われるようで、喰らった者の姿を浮かび上がらせることも可能。
今回の元凶で比名子たちが訪れた村町で信仰されていた個体。
比名子と妖に通路を封じられ干渉できなくなり生み出した個体は溶けてなくなり。信者も夜狩省からの手回しで逮捕され。
レンの鏡も比名子の手によって封印されたため少なくともO県には干渉できなくなった。
誰か・・・誰か百合百合な続き書いてクレメレンス、自分にはこれが限界です。
まじで誰か頼むよぉ!!
あと次回こそFGOたっちゃんに集中したいので長らく更新は在りません!!