銃撃やグレネードを無視して突っ込んでいってはスクリューパイルドライバーやシベリアンエクスプレス、ジャイアントスイングで吹っ飛ばしていく。
投げれば2,3人巻き込むからやりやすいんだよね。
なんかよくわからない機動兵器?フード被った聖人像みたいなのをぶっとばしてコハルちゃんの回復で一息つく。
「ミカ先輩、大丈夫ですか!?」
「まだまだ大丈夫。コハルちゃんも無理しないでほしいじゃんね」
「いけます!いっぱい特訓したんだから!」
私だけ先行しすぎてもよくないし。
それにしても……ちょくちょく殺意の波動使いがいるね。
手間取るけどそこまで困るわけじゃないくらいの強さなのが悲しいよ。
「それにしても……思ったより栄養状態がいいみたいですね♡」
シューティングピーチというかヒップアタックでアリウス生を倒しまくってたハナコが倒れてるアリウス生の装備を調べながら言った。
何かに気づいたみたいだね。ハナコは頭いいから助かるよ。
「カイザー製のプロテインバー……相手にも、スポンサーがいるようです」
「まとめてかかってきてくれた方が後腐れなくってちょうどいいじゃんね」
「大事にしたいのはこちらばかりではないかもしれませんよ♡」
「長期戦だと収拾がつかなくなるかもってこと?じゃあ、とりあえずマダムってのをぶちのめせば後ろ盾までは出てこないじゃんね」
よし、回復してきたね。ならもうちょっと進軍スピード早くしたほうがいいかな。
そんなことを考えていたら、アリウスの天井に空を投影しているホログラムが歪んで……
バカみたいに大きな赤い女のヴィジョンが出てくる。
「ようこそ、トリニティの皆様。私こそがこのアリウス生徒会長ベアトリーチェ。歓迎いたしましょう。もっとも、招かれざる客にお出しできるのは拳と弾丸だけですが……その前に少し歓談はいかがですか?」
こっちをあからさまに見てるじゃんね。
「いいよ☆そっちの話も聞かないとフェアじゃないじゃんね☆」
私は立ち上がってベアトリーチェと目を合わせる。これ気のせいじゃなく見えてるね?
「結構。聖園ミカ、あなたはまさに私のアイデアの源、ミューズのようですよ。あなたはいつも私にすばらしい気付きをくれる!」
両手を広げて笑う赤膚爆乳ドレス。顔はそういう種族なのかマスクなのかわからないけど、私のマスクを百倍悪趣味にしたような羽と目を模した形。
「一応聞いておくけど、何に気づいたの」
「いいでしょう!教えてさしあげます。私はかつて崇高たる力ですべてを救うことこそ大人の義務だと考えていました。このアリウスの軍事学校化もそのための布石……ですが」
ここでぐっとこぶしを握る。
「ですがそれは私の本当の望みではなかった。私の本当の望みは……すべてをねじ伏せ、支配する!それこそが私のやりたい救済なのだと!結果的には同じことですから。あなたがそれに気づかせてくれたのですよ!」
なるほど波動ならぬ覇道ってことだね。まあ……それもいいんじゃないかな。
なら、受けて立つしかないよね。
「循環参照じゃんね。それがろくでもないものだってのはわかるよ。この街の様子を見ればね」
あからさまにスラムじゃんね……でもスト2の筐体が置かれてるのは好感もてるかな。
食料事情もそこまで悪そうじゃないし。あれ?なんか変わったのかな方針。
変わったんだろうね……私の行動で。
でもまあ、それで私たちに挑むって言うなら相手に不足はないよね。
「その通り。このサイコパワーは恨み、憎しみ、悲しみ、苦しみ、全ての負の感情から出るもの……私の力でキヴォトスを焼き尽くし、それをもってさらに力を得て私は崇高に至るのです!」
やっぱ止めなきゃダメなやつだこれ!それはもうシャドルーじゃんね。
ベアトリーチェは紫のオーラを腕に込めて握りつぶす。
あれ殺意の波動だけど。
「それサイコパワーじゃなくて殺意の波動じゃんね。そもそもどうやって身に着けたのそれ」
教えてくれるかわかんないけど聞いてみるのはタダじゃんね。
「その通り、これは殺意の波動……サイコパワーとは似て非なるもの。しかし似ていることに変わりはありません。ならば似た運用もできるのでは?そして、名づけという呪術でサイコパワーと言い張ればおのずとその性質も近づいてくるのですよ」
「なるほどね……疑似的に再現したんだね。でもそれをサイコパワーとして使うならば、私はあなたを止めるよ。キヴォトスの拳を怒りと憎しみに満ち溢れたものにはさせない!」
「フフフ……この殺意の波動の元があなただとしても?」
今度はベガ立ちで腕組みして笑うベアトリーチェ。そっか……そんな気はしてた。
「この殺意の波動は私自身をあなたの影として『見立て』ることであなたの代わりに『殺意』という厄を引き受けることで得たもの!聞いたことはありませんか?本人に似せた人形に厄災を押し付けるまじないを。私はゲマトリアの『儀式』担当。要するに呪術のプロなのですよフフフ……ハーッハッハ!」
ベガみたいな笑い方するじゃんね……
「あなたにならばわかるはずです。戦いを通して無理やりアリウスを地上に引きずり出し、自分の思う豊かさを押し付けようとしているあなたならば!ミカ、私こそあなたの影なのです!」
……その通りだと思うよ。ベアトリーチェは私の影だ。
私の悪い面が前面に出れば私もきっとああなる。
きっと否定すべきだとは思う。ここで肯定したら呪術的によくないのはわかる。
でも!自分に嘘はつきたくないから!
「否定はできないね。ならこの話のいきつく先もわかることじゃんね」
してやったり、って顔で笑ってる。でも、すぐにその顔に拳を叩き込んでやるじゃんね。
「ええ、双方が力でねじ伏せ、勝つことが正しいとするならば……これより先は戦いで決めましょう。わたしはこのバシリカで待っています。もっとも、あなたがアリウスを倒し、怨嗟を積み重ねただけ私は強くなりますがね……フフフ……!」
なんか、ベアトリーチェが指さす先にアリウスのガイコツの校章をつけた教会が見える。
校章の骸骨が金ぴかでもうほぼシャドルーなんだよね。
ここに来るまでに倒したアリウス生も幹部級は金ぴかバッジつけてたし。
「上等じゃんね……!」
「ならば、この子たちくらいはやってみせなさい。目の前の一人も救えずして私という殺意を下せるなどとは思わない事です」
上から殺気!この感じは……
「先ほどぶりだな、聖園ミカ。決着をつけよう。今度はタイムアップはないぞ」
「サオリちゃん……いいよ、ケリをつけよう。みんな下がってて。これは私の戦い」
「ミカさん……ご武運を」
ハナコが、コハルちゃんが、ヒフミちゃんが。その後ろからパテルのみんなが見ている。
私はうなずいて構えを取った。絶対に負けられない闘いなんて久々じゃんね……
「いくよ、サオリちゃん」
「来いっ!聖園ミカ!」
聖園ミカVS錠前サオリ
ラウンド2
ファイッ!