まずはワンツー!
一撃目、そらされて流された!
二撃目、裏拳にとっさに変更した拳を首で避けられる!
「きひゃあっ!」
相手のターンだね。
まずはジャブを腕でガード!いいね!良い威力だよ!
ガードした腕を下からつかまれた!?
投げ飛ばされそうなところを舞スタイルの投げで逆に足で首をつかんで投げ飛ばす!
重っ!重心移動だねこれは。まるで岩だよ。
即座に足をほどいて着地!
「やるね、やっぱりCQCなんだ」
「ぬぅはは……喧嘩殺法で勝てるほど正実は甘くない!」
CQCって打撃系は基本流すかつかむか投げるから相性悪いんだよね。
かといって投げや関節技で対抗するのも地味だし……
じゃあ、やっぱ舞スタイルかな。
左手を後ろに引き絞り、右手をだらんと垂らして盾のように構える。
「スタイルが変わった……?無駄だぁ!」
ツルギちゃんが掴みにもひっかきにも即座にスイッチできる形で手を伸ばしてくる。
すごいね!まるで蛇拳だよ!ぬるっとしてて動きが読みにくい。
でもこれはCQCの対応にあるかな?不知火流の必殺技といえばこれだよ!
「必殺忍蜂!」
側転で上からの蹴り落とし!とっさに払われる!
でもわずかに重心がぶれた!ここだ!
着地と同時に突進しながらの肘打ち!
まだまだ!忍蜂の恐ろしさはここからのコンボだよ!
「飛翔龍炎陣!」
サマーソルトキックを思い出させる宙返り膝蹴り!
さすがにみぞおちに膝をぶちこめばちょっとは浮くね!
飛び上がったまま羽で姿勢転換して頭からツルギちゃんの頭めがけてダイブするよ!
「ムササビの舞!」
私のおでこが鼻に当たったみたいだけど大丈夫かな?さらに姿勢を低くして着地!
「龍炎舞!」
からの回転足払い!さすがに正実の演習場の壁まで吹っ飛んでいったね!
けど、すぐには距離をつめない。あえてね。
「いひひひひひひひ……あぁぉ!!くすぐってぇじゃねぇか!」
凹んだ壁から体を引き抜いてツルギちゃんが咆哮する。
鼻血が出てて、牙をむき出しにした笑顔、喜悦に見開いた目。
なんてきれいなんだろう。まるで猛獣みたい。
「かか、かかかかか、しゃあ!!」
今までとはスタイルがちょっと変わったね。
機関車みたいに腕を振り上げてこっちにまっすぐ向かってくる。
「死ねえ!」
「そうじゃなくちゃね!」
フック……じゃない!これひっかきだ!虎みたいに私の腕をがりがり削る連撃!
わお、腕から鮮血が出たね!興奮するよ!ファイトはこうじゃなきゃ!
そこから力に全力を割いたアッパー、鉄槌、キック!この痛み!肉のぶつかりあい!
その全部をガードする!でもどんどん押されていくね。
いいよ!面白くなってきたじゃんね!
ていうかこのコンボ終わりが見えない!無呼吸連打ってやつだ!
冷静に……つなぎ目でドライブインパクトか最速の弱キック三連を叩き込めば……!
「足りねぇ……まだ足りねぇなぁ!」
アッパーで胸倉をひっかけて投げられた!でもこれで終わるはずがない。
私ならそうする。
馬乗りになってのみぞおち、あばらに対しての乱打!
庵の八雛女だね!?やると思ったよ!
そうくると思ってたから……こっちの足を準備できてたよ!
尻を後ろから膝蹴りして前に来たツルギちゃんの頭に頭突き!
からの!緩んだスキに私が上を取って変則ペイルライダー!
「足りないよね☆」
頭と地面を!拳で往復させる!馬乗りになってツルギちゃんの頭でバスケするよ!!
「これで、どうかなっ!?」
全力を込めた顔面パンチを叩き込んで起き上がる。
きっとまだツルギちゃんは立ち上がるから。
私もまだ3割くらいは体力あるし。
ここからだよ……ここからだよ!私たちいま最高に輝きはじめてるよ!
「はーっ……はーっ……ぎぃひ……ぎひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「ほらね☆ツルギちゃんが輝くのはここからだよ☆」
激情から冷静へ。静かにツルギちゃんの闘志が研ぎ澄まされる。
顔も笑顔から真顔だ。
そうだよね!そうこなくっちゃ!
「スゥーッ……ハァーッ……あー、なんだ……こういう時は……あれだ……」
構えはない。自然体。でもツルギちゃんはそれが一番怖い。
「本気にさせたな」
「……あはっ☆」
私もきっと瞳孔が開いた人に見せられない顔だろうね。
アビドスを1週間さまよった虎が人を見つけたみたいな笑顔してると思う。
そういえば、周囲に正実の子たちのギャラリーがいる。
三桁はいるよね。良い空気だね。
これだけの人の目をくぎ付けにするファイトが出来るのは久々だからうれしいな……
叫び声は誰の物だろう。私かな、ツルギちゃんかな。
「ダメーッ!それ以上やったら、二人とも本当に!死んじゃう!」
ピンク?なに?正実の子!?ダメ!巻き込んじゃう!
えっ!?爆発!?なんで?そういうオチ!?何!?
「その、ダメです!もうこれ以上は絶対ダメーッ!」
なんか体が楽だよ。なんだろう、なんかの救急キットだったのかな?
グリーンハーブとか救急スプレー的な回復ボム?そういうのあるんだね……
「……ここまでにしましょう。興がそがれた」
「やめて、ください。ミカさま……もう、周りもめちゃくちゃで、やめてください!」
ツルギちゃんが後ろを向く。一年っぽい子は手を広げて震えながら私をにらんでいた。
あー……これは殴ったら負けだね。
「だね☆ごめんねやりすぎちゃった」
よく見たら壁はへこんでヒビ入ってるし、馬乗り合戦の時のやつでアスファルト割れちゃった☆
「修理代は私のお小遣いからだしておくね。あっ、そうだ。そういうわけでガチな格闘系部活やろうと思うんだけど、誰か入ら……ないよね!ごめんね!」
うーわ、やっちゃったなあ……どうしよう。みんなドン引きだよ。
聖園ミカVS剣先ツルギ 引き分け!