四撃目「西からの風」
とりあえず正実には話は通ったけど、応募する子いないよね……
どうしようかなあ、最悪は逆にアズサちゃんが正実に行ってもらうことになるのかなあ。
さすがに正実の寮に暗殺者とか来ないでしょ。来たらバカだよ。
とぼとぼ時速20kmくらいでマラソンして帰ってたら、後ろにやたら色っぽい不快な吐息が!
「はあっ、はあっ……あん♡あん♡」
「ハナコちゃんそういうの本当によくないよ?」
この無意味にセクシーなシルエットは浦和ハナコ!
なんか……お互いに露出とストリートファイトの仲間だという誤解があってさ。
私が素でブラックマーケットのストリートファイトに連れて行ったらなんかハマっちゃって。
ハナコちゃんが、痴女みたいな恰好で、ストリートファイトするのにね?
私が露出にハマってはいないよ?
それで、お互いアレな性格してるな~とは思ってるんだけど。
まあギブ&テイクくらいの関係になったんだよね。
「えっ?何がですか?私はいたって健全にマラソンをしてるだけですが……」
「それ話が長くなるやつ?本題に進んでもらっていいかな?」
「せっかちですね、実はお耳に『入れたい』ことが……」
走りながらASMRするのやめてもらっていいかな!?
「ナギサさんのお友達のヒフミさんっていますよね?何か今動いてるみたいで……探ったらわりと困ったことが」
「何かあったの?」
「では、単刀直入に。アビドスの小鳥遊ホシノさんが攫われたみたいですよ。たぶん、カイザーの借金がらみで脅されたんじゃないでしょうか?」
「そっか。そのヒフミちゃんと連絡とれる?」
「はい♡あとでモモトークにアカウント張っておきますね」
ヒフミちゃんも時々ペロログッズ関連でブラマにいるからね……
ナギちゃんは知らないみたいだけど。
たぶんハナコとはそこで知り合ったのかな?
「ありがと。ちょっと急ぎの用事ができたね。対価はなにがいいかな?」
「そうですね……いろんなところからの勧誘が面倒ですし、今度ミカさんが作る部活というのを見に行ってもいいですか?」
なるほど、意外なところに部員がいたね。
いや~でも浦和ハナコがさあ……私の部活に……?でも人いないし……
「いいよ☆部室が出来たら場所送るね☆」
「いいですよね、部室で薄着でくんずほぐれつ」
「笑うしかない話題の振り方やめてくれる?」
寮まで後ろから延々猥談ASMRされたよ。そういうところだよ!?
はあ……切り替えていこ。
いつものファイター姿に今日はタンスの奥にしまっておいたアビドス土産……
白いプロレスマスクをスカジャンのポケットに入れておくよ。
さて、電話しなきゃね。
「もしもし便利屋68?」
「あら、久しぶりね!ミカ。フフフ……今日も仕事の依頼かしら?」
アルちゃんともブラックマーケットで知り合ったんだよね。
たぶん金策で普通に挑みに来てくれたよ。
いい蹴りしてたね!足長いもんね!まあ普通に胸にお札ねじこんだけど。
そしたら取り巻きの子……ハルカちゃんがすごい勢いで乱入してきたんだよね。
アレもいいファイトだったね……スイッチ入ってからが本当に強いんだ!
なぜか記憶に残ってる殺し屋1を連想したね☆
実際マスターズ空手を教えたらそんな感じになったし……
「うん、急ぎでアビドス行きたいからヘリをチャーターできるかな?」
「いいわよ。もちろん、匿名、秘密は厳守……でしょ?」
「話がわかるね。じゃあいつものヘリポートに急ぎでね。お金はすぐ振り込むからね」
ゲヘナの銀行は預金封鎖されてるらしいけど……
トリニティの銀行は私が間に入れば口座つくれるからね。
なんなら電子マネーでもいいし、最悪ブラックマーケットの銀行でもいいしね。
何か問題あるかな?ないよね☆
「うふふ、便利屋に任せてちょうだい!すぐに手配するわ!」
「じゃあ、頼んだよ!」
ふう……ヘリポートにいる間に情報収集……
ついでにアルちゃんに送金、と。
ヒフミちゃんやナギちゃんとモモトークしたら全貌がわかってきた。
ええ……?因縁つけられて利息上げられて借金半額で身売りしちゃったの……?
ホシノちゃん……!身の振り方が……下手すぎっ……!
アウツアウツ!全額じゃなくって半額で身売りしちゃうのはアウツ……!
向こうの裁量で借金増やせるんだよ?!
半額残ってたらすぐに元の金額にされちゃうじゃんね。
あとホシノちゃんがいなくなればあとはもう暴力で実効支配できるからさ……
あっ、でもその金利はたぶん違法だね。
連邦生徒会に……通報してもダメだね。連邦はカイザー擁護派だからね。
じゃあまあ……やっぱり介入しなきゃダメだね。一人のファイターとして☆
ヘリポートに風が吹いた。便利屋の手配したヘリが来たんだ。
この風をアビドスに運んであげなきゃね!
……それにしても噂の「先生」ってアビドスにいるんだ。どんな人かな?