私は、君のことが好きになった。
ただ、結ばれる気配もないのに。
好きなのに。 大好きなのに。
君は、私のことを見ていない。
でも、目が離せない。
廊下ですれ違うたびに、胸が痛くなる。
名前を呼ばれるたびに、心が跳ねる。
それで、結ばれないのなら、壊しちゃえばいいんだ(ルビ 輪廻させればいいんだ)って思った。
*
最近、久美の行動が変だ。
観察するような、慈愛に満ちた目のような。
まるで、自分しか知らないことを知っているかのような。
それはそうと、通学時に視線を感じるような……。
まぁ、そんなことは今関係ないか。
結衣と視線を会わす。
結衣は、前の席の、クラスで一番かわいい子だ。
それと同時に、背筋に刺さるような、冷たい視線が当てられた。
その先を見る。
久美だ。
嫉妬と決意が混ざったような眼だった。
その瞬間、時が止まった気がした。
「では、ここを出席番号1……0番、奏」
「あ……はい!」
再び時が動き出した。
だが、その目は何かを決めた光を帯びている。
僕の心臓が、普段より速く鼓動するのを感じた。
――2日後。
私は、放課後の空き教室に、奏を呼び出した。
「ねえ、久美、なんでこんなとこに呼び出し」
奏の言葉を遮るように、久美は言う。
「奏は、私のこと……好き?」
しどろもどろに成りながら、そんなことない、と言う。
「やっぱり、今回は結ばれないんだね……」
そう言うと、久美はどこからともなく取り出した、鈍器のようなものを奏に突き立てた。
教室に、ドンッっと鈍い音が響いた。
「ぐはっ……久美、なんでこんなことを……」
「言ったじゃん、結ばれなかったら……で、指切りしたじゃん」
久美は続ける。
「これは、その約束を破ったからだよ?」
おかしいと、言おうとした瞬間に、すでに、意識は絶え絶えになっていた。
意識が完全に途切れる前、何かが見えた。
それは、久美が持っていた鈍器で、久美自身のことを殴って、殺そうしていた。
「どう……して?」
彼女は、何かをつぶやいていた。
「これで……これで、メタモルフォーゼできる……」
そんなことを考える間もなく。
意識は途切れてしまった。
1
俺は、教室で起きた。
……いつの間に寝ていたんだ。
何故か直前の記憶がない。
あっ、ノートとらないと……。
そう思った瞬間、チャイムが鳴ってしまった。
机の中をのぞき、さっきの授業の教科書とノートをしまい、次の時間の準備をして、俺はとある子の席に行く。
彼女の名前は、輪堂結衣と言う。
幼馴染みで、仲のよい子だ。
そんな、結衣と他愛のない話を広げていると。
何やら視線を感じた。
首筋が凍るような、冷たい視線だ。
もう一人の幼馴染み、神ヶ原久美だ。
幼馴染みとは言いつつ、あまり話したことはない。
ただ、その視線は。そう簡単に振りほどけるものではなかった。
その視線に負けて、結衣と話すのを止めた。
だが、さっきの顔つきとは違う、嫉妬でも、怒りでもない恍惚としたような顔をしていた。
しかも、その目には光がなかった。
正直言って、怖い。
それでも、久美はその顔から、表情は変わらなかった。
*
また結ばれなかった。
何で君は結衣を選ぶの?
私が間違っているの?
どうして?
そんなの、憂いじゃないか。
まあいい。
私が想像するように結ばれるまで、何回も、何万回も、やりなおさせればいいのだから。
――1週間後。
久美は、奏を放課後の空き教室に呼び出した。
「ねえ、どうしたの?」と奏は聞いた。
だが、久美は、その質問には答えなかった。
「今回も結ばれないね……」
「え?」
どういうことなのかと奏は聞く。
やはり、その問いには答えなかった。
「でも、もう1回やり直せるね」
その瞬間、彼女の制服は、まばゆい光に包まれ、眩しい色の、魔法少女のような服装に変わっていた。
「今すぐ輪廻!!」
奏に向けられたステッキは、抵抗する間もなく、奏の腹部に刺さる。
「ぐっ……」
「今回も結ばれなかったね」
細い声は、誰も居ない教室に響いた。
これは書きかけです。書けたら随時追加致します。