ここだけレグルスがねこと一緒にいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線です。よろしくおねがいします。   作:ねえ、おなまえは?

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楽しく暮らしましょう。


10話 3人で

 

国を落とすと宣言した通り、れぐるすはあっという間に中枢部をずたずたにして、国として機能する事が出来なくなる位に無効化しました。

 

れぐるすは、けてるくらすの力を持っているのだと思いました。すごい力です。

もしこの世界に財団があったとしても、彼を収容しておくなんて無理だと思います。

 

今は瓦礫の残骸と化した建物たちや、熱く燃え盛りながら儚い火の粉を飛ばして、炎の光を受けておれんじ色に染まる煙、ぐちゃぐちゃになって折り重なる様に倒れている沢山の死体を横目に、道に流れ出る血をぼんやり見ながら3人で手を繋いで歩きます。

 

れぐるすたちは、空を飛べるのだから、そうすればいいのに、と思いましたが、色々話をするには歩きながらがちょうど良いだろう、と言われて、そうしました。それに、彼女が、れぐるすとこうやって手を繋いでいれば、何かがあっても絶対大丈夫なのだと言って、ねこを安心させてくれました。

 

 

歩きながら、まずはねこの話をしました。

お屋敷に売られて、淡々とお仕事をこなして、他の使用人の人はねこが気に食わなかったのでしょうから、いじめられたけれどそんな事なんて全然気にしないで過ごしていて、そうして、今日ご主人さ…くずに襲われそうになったので腹と顎に蹴りをくらわせて逃げて、もう駄目だと思った時に2人がねこを見つけてくれたと。

使用人としては一流のねこになりました、と伝えます。

 

2人はあの下衆が、とか、くずがとか言っていましたが、とにかくねこに手を出されずにすんで、よかったと繰り返し言ってくれました。

反撃したことも褒めてくれました。

 

それから、2人の話を聴きました。

なんと、れぐるすと彼女は、結婚したのだそうです。

仲良しの2人ですから、ぴったりですね。とてもめでたいです、ねこも嬉しくなりました。ので、お祝いの言葉をかけました。

 

れぐるすたちが言うには、あの村に居たくそみたいな考えしか持っていない、自分本位の馬鹿どもは、ねこの事を罵って、ねこを庇った2人に酷い言葉を投げかけ続けてきた村の人たちは、ねこに関わったが故におかしくなってしまったのだと、かわいそうだと、哀れだと、見下してきた家族も含めて全員殺したそうです。

 

彼女も、あの人たちは、家族たちも含めて、居なくなってしまった後もねこちゃんの事をずっとずっと酷く言って、れぐるすとの結婚もねこに誑かされた者同士の忌まわしい事だと反対されて、話を少しも聞いてくれなくて、ねこが居たから2人は正気では無くなってしまったのだと決めつけてきたのだと、ぷんぷん怒っていました。

 

 

ねこは、ねこのせいで2人が辛い思いをしてしまう事になった、と申し訳なくなりました。

化け物と言われていたねこと、関わって、庇うなんて事をしていた2人がどんな風に見られるのかなんて、少し考えれば分かる話です。

 

 

ねこのせいです、ごめんなさい、と立ち止まってぽつりと言うと、一歩先に立っていた2人は、笑って、手をぐっとひいて、ねこを近くに寄せて、ねこちゃんが気にすることじゃないわ、自分たちだけ酷い事をやってきて赦されるなんて甘い考えを持っているあんな人たちがいけないのよ、と明るく話しました。

 

 

自分たちの家族も、村の人たちも殺してしまった事も、気にしていない、すっきりした顔の2人を見て、2人が良いのなら、良いのかぁと思いました。

 

 

それから、貧しい村の事なんてちっとも考えないで、自分たちの利益の事しか眼中に無い領土の奴らに報いを受けさせてきたのだとも話してくれました。

 

そういえば、確かにねこに会った時に、村を、町を、国を落とすと言っていたから、それかぁ、と思いました。

搾取され続けるのは、平等ではありませんから、良い事では無いでしょう。

 

と、言うより、ねこは2人がどうやってそんな事をやってのけたのか、の方が気になりました。

実際、れぐるすたちが空に浮いていたり、手を薙いだだけで人も、建物も、城壁も、すっぱり切れてしまっているのを観測しているので、これまでも同じ様にやってきたのだと予測はつきます。のが、どうやって、どんな原理でそんな事が出来るのかが分かりません。

 

それを質問すると、れぐるすは誇らしげに僕は魔女教大罪司教"強欲"担当になったのだ、これは強欲の権能の力で、その力によって、完璧で完全で完成された僕になったのだと教えてくれました。

 

 

ねこの頭には疑問が沢山湧いてきます。

 

権能、いず、何?

 

魔法とは違うのでしょうね。

桁違いの能力ですから。

あぁ、報告書にまとめてもらって、読みたいなぁと思いました。

 

 

崩壊した国を抜けて、道を進んで、途中にあった広いお家を借りる事になりました。

誰も居ない、というか、逃げ出したが正解だと思います。

物がそっくり残っていましたから。

 

とりあえず、ねこの服はずたずたでしたので、元の服に戻す事にしました。

白いはーふぱんつの、さろぺっとのあれです。

あれはねこの概念の一部の様な物なので、実は復元可能です。

元々着ていた物は屋敷で捨てられてしまいましたから。

 

部屋で1人にさせてもらって、制服を脱いで、元の服装を思い起こします。

 

そうすれば、ほら、元通りのねこになりました。楽ちんです、動きやすい。

 

 

ねこが紅茶を淹れて、2人に渡します。

3人でゆったりと座って、お茶を飲みながら話の続きをしました。

 

 

強欲の権能は2つの特性があるそうです。

 

1つ目は、獅子の心臓。自身の心臓を止める代わりに絶対不変の状態になるというものでした。時間が停止している、と言ってもいいでしょう。

その間はどんなに攻撃されても無敵ですし、自分が触れている物にも影響が与えられるので、攻撃に、防御に、とても優れていると思います。

 

ただ、心臓を止めていられるのは5秒まで、という制限があるそうです、そうですよね、心臓を止めるのですから、負担がかかります。

 

そのでめりっとである時間の制約を帳消しにするのが2つ目の、小さな王という能力です。

自分が大切に思っている対象に自分の心臓を擬似心臓として相手に託すことで、常時獅子の心臓を使えると言う訳です。

 

 

ほら、やっぱりけてるくらすだなぁ、と思いました。

 

今は、幼馴染の彼女に心臓を託しているのだそうです、素敵なことですね、1番大切なものを相手に渡す、これが愛なのでしょう。

 

ねこは、色々なSCPがごちゃ混ぜになっています。

ので、小さな王の効果が打ち消されてしまう様でした。

 

 

そのことを伝える為には、ねこの事を、ねこたちの事を話さなくてはなりません。

 

ねこも、ねこの事を伝えなくてはいけない時が来たなぁと思いました。

れぐるすにだけ手の内を話してもらうのは、不平等ですから。

 

 

昔に、色々な不思議な事を2人に見せましたよね、あれはねこの仲間の力を借りて、ねこの体を通じて行っている事なのです、と。

本当は、もっと凄いのですが、借り物なので全部の事が出来る訳ではありません。

でも、やろうと思えば大抵の事は出来ます。

ねこが知っている事なら。

 

ねこはその異常性を偶然村の人に見られてしまって化け物と恐れられていました。そして、閉じ込められていたのです。

 

そんなの化け物だなんて思わないよ、素晴らしい力じゃないか、それを自分だけの為に使わずに、僕たちにも、使ってくれていたんだね、昔、その力を僕らの為に使うって言ってくれたのが嬉しかったよと返されて、すとん、と心の重荷が落ちる音がしました。

 

 

 

 

さて、ねこはどうしましょう。

ねこは、2人の役に立ちたいですが、夫婦の間にねこは不要です。うーん、家事手伝い等で、手を貸す……?でも、邪魔にはなりたく無いです。

どうしたものでしょう。

 

あ、あの屋敷で過ごした経験からねこは完璧な使用人に仕立て上げられましたから、他の町や国に行って、屋敷勤めをさせていただいて、2人が幸せに、健やかに暮らせる様にお給金を送るのも役に立つと言う意味では、ありですね。

 

そんな事を考えて、それとなくれぐるすたちに言いました。

 

2人がねこの肩を片方ずつ、がしりと掴んで、何でそうなる?と困惑した表情で突っ込みを入れてきました。

 

いえ、何でこうなる?聴きたいのはこちら側です。

 

ねこ、困惑です。

 

「ねこちゃん、あのね、ねこちゃんは私たちの家族なのよ、だからどこかへ行くなんて言わないで」

かわいい笑顔ですが、肩に置かれた手がぎり、とねこを押さえつけています。

 

「何を言うかと思えば、さぁ。ねこ、君はそんな事を考えていたの?はぁ、全然分かっていないみたいだね、君にも分かる様にこの僕が優しく説明してあげるよ。僕が、僕と彼女が満たされている空間には、君も居ないといけないんだ、そもそも、昔、何年も一緒に3人で居ただろう?その時から家族の一員なんだと思っていたのは僕たちだけなのかなぁ?君は何にも考えずにぼんやりしていると思っていたけれど、ここまで鈍感だとは思わなかったよ。僕たちだけがさぁ、何?勝手に勘違いしていたみたいに今の今まで思われていたって事?僕たちの心が無茶苦茶に荒らしまわされる様な気持ちになる事への配慮をして欲しいものだよ、まったく。あのさぁ、何の為にわざわざ迎えに来たのかよく考えてみなよ、そんなの、君を助け出して、家族にする為に決まっているだろう。君は謙虚というか、自分を出さない所があるから、どうせ邪魔になるから、とか、君が居なくても2人が幸せならそれで良いとか、言い出すと思っていたら、案の定そうだったね。どうせ今もそう思っているんだろう、じゃあさ、考えてみなよ、何にも思っていない無関心な者の為にわざわざこんな遠い場所まで迎えに来ないだろう?僕たちは君の事を好ましく思っていて、家族として一緒に住みたいと思うその気持ちを蔑ろにするって言うのかい?僕たちが考えて、行動に移したその全てを否定するって、それって僕たちの幸せを願う君の考えとはまったく逆の相反するものだよねぇ?ここまでいっても、その顔を見るに分かっていない様だ、ねこ、君はもっとしっかりした方がいい。………分かった、仕方がない。いくら無欲で慎み深い僕でも、これは君の為だからこれだけは、はっきり言わせてもらうけれど、僕たちには、僕たちだけには、言う権利がある事なのだから、君はしっかり聴く様に。

いいかい、昔も、今回も、君の命を助けてあげたよねぇ?

もちろん君の事なんだから、僕たちは喜んで助けるけれど、その時言っていたよね?

"ねこは恩を忘れません"って。

じゃあ、君はその恩を今果たす義務があるし、それを僕たちも望んでいる。だからそうする事が僕たちの幸せでもあるし、君の幸せでもあるんだ、だから3人で暮らすこと事が最善だって言う事、分かったかなぁ?」

 

れぐるすも笑顔ですが、ぎりぎりと肩を掴んで離しません。

 

このままだとねこが椅子を貫いて、地面にぶっ刺さってしまいます。

ねこは、半身猫のじょーしーになるつもりはありません。

 

あてててて、めり込みます、困ります、めり込んでしまいます。

 

慌ててはい、分かりました、そうしますとねこが答えると、それで良い、と満足した顔で2人がうんうん、と頷いて離してくれました。

よかった、よかったです、ほっと息を吐き出しました。

 

では、家族兼使用人という事でよろしくお願いします、と言って、暫く一進一退、紆余曲折が続いて、それで譲歩してもらいました。

(ねこが使用人の立場を譲らなかったのですが、れぐるすたちは家族の一員であればもう気にしない事にしたみたいです)

 

 

 




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本小説、およびイラストはCC BY-SA 3.0ライセンスの内容に従い公開させていただいております。

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