ここだけレグルスがねこと一緒にいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線です。よろしくおねがいします。   作:ねえ、おなまえは?

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幸せが1番です。
幸せを築くのは時間がかかります。でも崩れるのはあっという間なんですね。


11話 素敵な生活、彼女の願い

 

3人での生活が始まりました。

 

朝はねこが1番に起きて、2人の為に朝食を作ります。

れぐるすは、食事なんかを必要としない体になったのですが、ねこの食事を楽しみたいという理由でその辺りは権能を調節しているみたいです。ちょっと、嬉しいですね。

 

 

2人の間で抱き枕にされているのをうごうごと抜け出してえぷろんをつけて料理を始めます。

 

それで、2人を起こして、おはようのはぐをします。

いつの間にかさらっとはぐされる事が定着したので、されるがままになっているねこです。

 

ねこは彼女の髪をといてあげて、今度は彼女がねこの髪の毛をといてくれます。

 

ねこは屋敷にいた頃はぽにーてーるにして働いていましたが、彼女はねこを三つ編みや、はーふあっぷ等の色々な髪型にして楽しんでいるようでした。

あなたが嬉しいなら、ねこも嬉しいです。

 

 

ご飯を食べて、それから、買い出しに行きます。

買い出しは3人で行きます。ここら辺の村やら町は陥落しているので、遠くの町に買い出しに行くのですが、歩いて行くとなると時間が掛かりすぎます。

ので、れぐるすが手を繋いでくれて、空を踏み締めて駆け抜けて行きます。

 

初めて空を飛んだ時の感動は忘れられない記憶です。

ねこは高い所が好きなのですね、面白かったです。

 

3人で行けば買って帰る事が出来る物も増えて、一石二鳥でした。

 

 

お茶をして、他愛のない会話をして、またご飯を食べて……穏やかな日常を送っていました。

 

時々、遠出して、景色のいい町に行ったり、美味しい物を食べに行ったり、3人で楽しく暮らしました。

昔の様に、けーきをたべたり、雨が降ったらぴあのの綺麗な音を楽しんだり、お花で幸せで幻想的な夢をみたりして、あの頃に戻ったみたいでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が咳き込み始めたのは、いつからでしょうか。

 

最初は、日に何度か出るだけだった咳に、最近は肌寒い日が続いていたから、風邪をひいてしまったのかな、と思って"SCP-348"思い出の味のすーぷを出して、それを飲んでもらって咳が治まる、そんな感じだったと思います。

  

彼女の具合は緩やかに、けれど確実にだんだんと悪くなって行きました。

 

彼女を連れて彼女の病気を治してもらおうと町へ行ったれぐるすが、原因が分からないとか、治らないだろうとか言ってきたくそ医者だったから、殺してきたと言っていました。

 

原因が分からないうえに治らないだなんて、困りました。

ねこは彼女に苦しんで欲しくありません。居なくなって欲しくありません。

 

"SCP-2295"ぱっちわーくのはーとがあるくまの力を借りて、布を用意して、彼女の呼吸器系を取り替える事もしました。

 

暫くは良くなりましたが、やっぱり彼女の咳は、酷くなる一方でした。

 

"SCP-500"万能薬を飲んでもらっても、一時的に楽になる位で、駄目でした。

 

 

この頃から、咳が続くせいで彼女は食事や睡眠もままならなくなってきてしまっていました。

れぐるすも酷く心配して、彼女の側にいて手を握ってあげたり、背中をさすってあげたりしていました。

 

 

 

ねこの、ねこの力が完全な物じゃなかったから、不完全だから、本当の力が使えたら、彼女は治るのに、ねこが半端な出来損ないだから、彼女は辛い思いをしていると思うと、彼女の辛さをねこが代わってあげたいとずっと思う日々が続きました。

 

 

 

 

 

ある日、遂に、こほ、こほ、と咳をしていた彼女の口から泡の様な血が溢れて、口を押さえていた手に、服にぽたぽたと着きました。

側にいたねことれぐるすは酷く動揺しました。

 

 

 

どうしよう、どうしよう、彼女が死んでしまう、彼女が居なくなってしまう。

 

 

でも、彼女はねこたちとは違って落ち着いていました。

とても冷静でした。

 

たぶん、自分の体の事ですから、よく分かっていたのでしょう。

 

口と手を洗い流して、新しい服に着替えた彼女は、柔らかく笑いながら、久しぶりにあれが食べたいな、甘くて、滑らかでふわふわのやつ、と言いました。

 

けーきの事ですね。

けーきを出します。

べりーの赤が、ねこには彼女の口から溢れた赤と重なって、味がしませんでした。

 

でも、彼女はとても満足そうに食べていました。

 

それから、素敵な夢を見たいわ、と言うので、ねもふぃらに似た花を出してあげて、眠らせてあげました。

とてもいい夢をみたわ、3人で、あの花畑で遊んだ夢だったの、と笑っていました。

 

 

そして、満足そうな顔をして、れぐるすとねこを見て言いました。

 

「私は、私の病気は治らないでしょう。私自身がよく分かっています。このままだと、もっと辛くなって、死んでいくのでしょう。でも、そんな事よりもずっとずっと辛いのは、2人を残して死んでいってしまうという事。その事実が心残りなの。今は、まだ、ほら!ね?こんな風に笑ったり、2人と一緒におんなじ美味しい物を食べて、おいしいねぇって言えたり、するけれど、もう少し、したら、それも、出来なくなっちゃうの、分かるの」

 

途中から、ポロポロと涙を流しながらゆっくり喋る彼女の手を2人で握ります。

 

「だからね、だから、この幸せな瞬間を切り取って、それで、おしまいにしたいの。わがままよね、分かっているの、でも、お願い、ねこちゃんなら、きっと私のお願い叶えられるでしょう?辛い事だと思うけれど、私は3人で過ごした時間の全てが宝石の様に大切な宝物なの、だからお願い、幸せなままで終わらせて、ね?」

 

ねこの目を見つめて彼女は言います。

 

ねこも彼女の目を見つめ返します。

 

 

れぐるすを見ました、れぐるすは、ねこを見て、彼女がそう望むのなら、それを叶えてあげることが僕たちにできる最善の方法なんだろう、と呟きました。

 

 

 

 

 

 

 

ねこは、ねこは。

 

 

「そうね、できれば私が2人と過ごしましたよ、って何か形として残して欲しいなぁ。それで、私は、そうだなぁ、綺麗な花にでもなって逝きたいな、ねこちゃん、どう?出来そうかしら」

 

そんな目で見つめないでください、ねこの視界はゆらゆらと涙で揺れました。

うまく見つめ返せません。

 

絞り出す様な声で、出来ます、ねこたちの力を使えば、望みは叶います。

そう伝えると、ほっとしたような安心した顔をして微笑んで頭を撫でてくれました。

 

ねこたちの力で、あなたは、綺麗な宝石と、白爪草に変わります。

白くて、とても可愛らしい花です。

花言葉は、私を想って、と、幸運と、約束ですよ。

 

 

 

何だ、わたしたちにぴったりね、くすりと笑いながら彼女が言います。

 

「じゃあ、早いほうがいいわね。明日の朝、お願いしようかな、晴れるといいなぁ」

そんな、おでかけをするみたいな、いつもと変わらない様な風に笑って言う彼女にねこは寄り添う事しか出来ませんでした。

 

 

 

ねこはその夜、一睡も出来ませんでした。

 

 

 

2人の腕の中から抜け出して、いつも通り朝食を作って、2人を起こして、髪の毛をといてもらって、彼女は身支度を整えて、うん、よし!と言ってねこたちの手を引いて外へ出ました。

 

 

森の少し開けた、綺麗な花の群生地で、彼女はくるりと振り向いて、私、とっても幸せでした、あなたたちのことが本当に大好きで、大切で、ずっとずっと想っているからね、満たされたいい人生だったわ!と笑顔で言いました。

 

じゃあ、ねこちゃん、お願いね、と言われて、左手をそっと差し出して来ました。

 

ねこは"SCP-737-JP"慈悲の宝石工房の力を借ります。

痛くないと思うけれど、驚かせてしまうと思います、と言ってからねこは、彼女の左の手を手に取って、薬指を選んで、付け根に優しく力を入れます。

 

ぱきん、と小さく音がして、指が折れました。

 

折れた指が、指先の方へ向かって深い青色の宝石に変わっていきます。

 

彼女は、わぁ、どうなっているのこれ、と、欠損して同じ青で光を受けてきらり、きらりと輝く自分の指の付け根と、指だった宝石を見比べて子どもの様に目をきらきらとさせていました。

 

痛くなかったですか?と聴くと、明るい表情で全然!不思議ねぇと答えが返ってきて、安心しました。

 

これは本来、通常の宝石と同じ様に研磨して、加工を施して指輪などのあくせさりーになって、あくせさりーを所持している人の声や想いが宝石になった人に届く美しくて鬱々しい、お話しなのです。

のが、異常性が変質していますから、これは彼女の一部だったただの宝石になっています。

 

彼女がねこたちの言葉を聴く事は出来ません。

代わりに、両手でぎゅうっと宝石を包み込み、再び開くと、手のひらの上にはいやりんぐと、いやーかふが1つずつ乗っていました。

こうして、加工の過程を省く事が出来る様になっているのです。

 

彼女は、あぁ、私が居たって、2人にずっと覚えていてもらえるのね、と静かに呟きました。

 

 

れぐるすが、いやりんぐを右耳に着けます。

 

ねこも、れぐるすと同じ様にいやーかふを右耳に着けました。

 

 

 

きらり、きらきら、とお日様の日差しを受けて青が美しく煌めきます。

それは彼女と、れぐるすと、ねこの涙と、同じ色をしていました。

 

 

 

ね、本当の本当に最期のお願い、彼が独りぼっちにならない様に側に居てあげて、出来るなら助けてあげてね。

 

まかせてください、ねこは、居ます。

あなたの側にも居ます。

れぐるすの側にも居ます。

だから安心してくださいね。

 

 

じゃあ、またね、また逢おうね!私待っているから、だからまた、ね!と今まで見た中で1番の笑顔を見せる彼女を、れぐるすとねこで左右から優しく抱きしめました。

彼女の温かな体温を感じたその瞬間、彼女の体は沢山の真っ白な白爪草に変わって、地面にとさり、とさりと落ちていきました。

 

そうやって"笑って"彼女は逝きました。

 

 

 

 

 

2人で花畑の中にお墓を作りました。

沢山の白爪草を埋葬して、周りに咲いていた花で花冠を作ってお墓に掛けてあげました。

 

ねこは、自分の不甲斐なさに打ちひしがれました。

ねこがもっと色々な事を出来たなら、と思い続けました。

 

そして、残った大切な家族、れぐるすの為にもっともっと色々な事を知りたい、見たい、集めたい、それでれぐるすの役に立ちたいと強く、とても強く思いました。

 

 

 




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