ここだけレグルスがねこと一緒にいて幼馴染ちゃんも幸せな結末を迎える世界線です。よろしくおねがいします。   作:ねえ、おなまえは?

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さて、残すところ、この次のお話で最後です。
最後まで、どうぞよろしくお願いします。


20話 ねこですよ、安心してください。ねこは居ます。

 

花びらが風に舞う彼女の墓標の前で、瞬きをした次の瞬間、ねこは空中に居ました。

 

すぐに空気を一時停止させて素早く周囲の状況観察し、把握します。

 

 

ねこは見ました。

身を守るように丸くなったれぐるすに攻撃しようとしている人を、見ました。

 

やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

レグルスの背中へ一撃をくらわせようとしたその時。

突然、空に場違いに柔らかな、優しい鐘が鳴る音が大きく響いた。

 

一瞬意識がそちらへ引っ張られる。

 

続けざまに、痛みに呻く様な、死を恐れる様な悲痛なレグルスの叫び声が轟く。

 

 

 

「ねこ!!!僕に、手を貸せ!!!!」

 

 

 

 

 

そして。

 

囁く様な、鳴く様な、小さな声がした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「竜車飛び出し注意」

 

 

 

 

ゴウッと風を切って猛烈な速度で無人の竜車がラインハルトに向かってすぐそこまで迫っていた。

 

っ竜車!?ここは空中だ、どうなっている?

そう思いながら、咄嗟にぎゃっ、と惨めな声をあげるレグルスを足場にして、後ろに跳び、竜車を既の所で避ける。それは空を駆け抜けながら消えて行った。

 

 

ラインハルトは、状況を把握出来ないでいる。

 

 

理解出来ないままに、消えて行った竜車をほんの数秒見つめて、ハッとしてすぐ構え直し、攻めか防御か次に取るべき行動を考えながらレグルスへ意識を戻す。

 

 

 

 

縮こまったレグルスを抱えて、無表情で真っ白な女の子がこちらを見据えている。

 

彼女は、いつ現れたのだろうか?

 

 

 

「居ますねこは。どこに居ても、居なくても、ねこは居ます」 

 

「ねこは居ます。れぐるすの側に居ます」

 

静かに彼女が言う。

無表情だが、大切な者を傷付けられたという感情をひしひしと体から滲ませている。

 

 

彼女は彼の仲間だろうか?状況からすればそうだろう。再び動き出そうとして、

 

 

 

「止まれ」

 

 

 

レグルスを見つめて、こちらを一瞥もしないまま、彼女が声を発する。

 

 

彼女の頭の近くに浮いていた黄色の菱形の、簡易的な竜車が黒で描かれた、おそらく金属製の板が、ギュルンと回転して、今度は赤の逆三角に形を変えた。

 

"止まれ"と白い文字が書いてある。

 

それが、彼女たちの背後に大量に現れる。夥しい量だ。

 

 

 

体が構えをとった姿勢のままビタッと止まる。

ぐ、ぐっ、と力を入れるが、体が動かす事が出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねこはれぐるすを抱え直します。

下から包み込んで、いわゆる、お姫様抱っこをしました。

 

 

あぁ、こんな風にされてしまって。

 

さぞ痛かった事でしょう。

辛かった事でしょう。

怖かった事でしょう。

 

死んでしまうと思ったでしょう。

 

 

 

 

ねこ、ねこ…ありがとう、助かった、くそ、生きている、僕は、生きている、助かったんだと繰り返すれぐるすを安心させる様に、れぐるす、もう大丈夫ですよ、ねこがあなたの側に居ますから、大丈夫ですよ、と声をかける。

 

 

 

 

彼女の側の赤い金属板の下に新しく3本の矢印が描かれている白い模様が現れて、ギュルリと捩れ、下に"SCP-948"と数字が書かれた金属板が追加された。

 

依然、体は動かせないでいる。

 

 

 

平坦な、声が響く。

 

 

 

"SCP-948"仕事中毒、です。

 

対象の疾患や身体に生じた障害について関連する医療処置を講義する事で異常な治癒能力を発揮するその力を借ります。

ねこの場合は、自分が経験した疾患や外傷のみ、対象への治療法の知識を得られます。

ただし、治療方法の知識を得る代償として、完治は出来ません。

 

のが、ねこは、打撲も、骨折も、村で経験していたので、分かります、知識が流れ込んできます。

だから、れぐるすは、治せます。

完治出来なくても、ねこが何とかしてみせます。

 

「彼の症例は、強い打撲による皮下出血と骨折が主ですね。それではPOLICE法で皮下出血の悪化を防ぎ、腫脹と疼痛を緩和させて、組織の修復を促す事が重要ですので、その様にする事が望ましいですね。骨折は破損してしまった骨を正しい位置に整復し、適切に固定して安静にする事で癒合する様にするとよいでしょう。痛みが酷い場合には、鎮痛作用のある、おぴおいどを投与する事も検討されます。疼痛緩和で頻回に使用されるNSAIDsは骨折の治癒の遅延に影響を与える可能性が示唆されていて、充分なえびでんすが必要になりますので、やはりおぴおいどが適当でしょう」

 

すらすらと口から流れ出る言葉に比例する様にれぐるすの傷が、あざが、あっという間に治って行きます。

 

完璧には治りきらないけれども、それでも痛みが少しはましになったのでしょう、れぐるすはかなり落ち着いた様でした。

 

 

 

どういう事だ、矢継ぎ早に事象が変わっていく。

この異常な状況を引き起こしている元凶が目の前に居る彼女だという事だけは分かる。

 

 

ねこはじっと見つめます。噂では聴いた事があります。

剣聖、らいんはるとさんですか。

 

らいんはるとさんもねこを見つめています。

 

非常に厄介極まりない対象です。

けてるくらす、だけれど、せーふくらすでもある、彼にかかれば、息をするのと同じ様な感覚で星を消し飛ばす事だって出来るでしょう。

 

強大な力を持っているれぐるすと同じ様で、でも彼は"みんなの為のいい人"なのでしょう。

 

れぐるすは"自分自身とねこと愛する妻たちの為のいい人"ですから。

 

 

 

さて、どうしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

じっとラインハルトは彼女を見つめた。

吸い込まれそうになる位、大きな、まるで夜空を閉じ込めたかの様な暗い瞳はこちらを観察する様に見つめ返している。

 

 

 

 

「ねこです、よろしくお願いします」

 

 

「れぐるすは、ねこの大切な家族です」

 

 

 

表情を変えないまま、鈴を転がすような、それでいて落ち着いた声が響く。

 

ラインハルトは驚いた、この状況で彼女が名乗りを上げるとは思わなかったからだ。

 

「僕は、ルグニカ王国近衛騎士団所属、『剣聖』の家系――ラインハルト・ヴァン・アストレアという」

 

足蹴にする訳にもいかない、こちらも名乗りを上げてそれに応える。

 

 

 

「ねこは、ねこたちの力を借りれば、きっとあなたと少しは戦えるでしょう。のが、ねこはあなたと争う気はありません。ねこは、れぐるすが無事なら、それでいいのです。れぐるすを守る事が出来るのならそれで十分なのです。ねこは平和主義ですから、争わなくて済むなら、それが1番です、ねこからはもう手出しはしません。先程はれぐるすの命の危機でした。ので、不意打ちをしてしまいました。どうぞお赦しください」

 

 

驚いた、彼女の口から出たのは、謝罪と降伏の宣言だったのだ。

 

 

君は……と喋る途中、ふと気づくと急に体が動く様になっていた。

 

手をぐっぐっと、閉じたり開いたりして、彼女を見つめる。

 

  

 

 

 

ねこたちの力は完全ではありませんからこれだけ沢山の"止まれ"であっても、あまり長い時間は停止できないのです。

 

相手がらいんはるとさんなら、尚の事。

 

それこそ、一時停止ですね。

 

 

 

 

 

地面へ向かって落ち続けているが、両者は落ち着き払っている。

 

 

ちらりと下を見てから、ねこは続けます。

 

 

「剣聖、らいんはるとさん。ねこは、とりあえず、話をさせていただきたいです。下に居るのはお仲間ですか?もしそうでしたら、みなさま一緒に話をした方がよいでしょう。いかがですか?」

 

尻尾をゆるりと動かし、大きな瞳でじっとこちらを伺う彼女は、嘘をついている様には見えなかった。

 

彼女の腕の中に居る彼も、先程急激に状態がよくなったとはいえ、傷がまだ痛むのだろう、彼女にもたれかかったまま目を閉じて動かない。

痛みと安堵で、気絶しているのかもしれない。

 

何かあってもスバルたちは僕が守るから大丈夫だろう。

 

 

 

「分かった、君の要求を飲もう」

 

そう返すと、ホッとした様な顔をして、ありがとうございます、と彼女は言った。

 

 

 

僕と彼女はどんどん地面に向けて降下を続けて、スバルたちの顔がはっきり見える様になった位の距離で、彼女が彼をしっかり抱えたまま、重力を無視した様なゆったりとした速度で地面に降り立つのを見た。

 

先程といい、見た事の無い力を使うな、と思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバルとエミリアは何が起きているのか状況を把握出来ずにいた。

 

空へとレグルスが打ち上げられた後、ラインハルトがとどめの一撃を喰らわせようとしていたはずだ。

 

 

状況は混乱を極めている。

 

 

ラインハルトたちは遥か彼方に居る為、何が何だか分からないが、突然優しい鐘の音が聞こえたと思ったら、ありえないが、おそらく竜車、が出てきて、それから第三者が増えたのだ。

 

 

しかも、どうやらレグルスの味方らしい。

 

レグルスを守る為か、抱えている様に見える。

 

 

 

 

高度が下がるにつれ、姿がはっきりしてきて、2人はますます困惑する。

 

レグルスを大事そうに抱えた彼女は、純白の女の子だった。猫耳と尻尾付きの。

 

地面に近づくと、急に速度がゆっくりになり、とん、とつま先から優雅に着地した。

 

 

 

猫耳の女の子にお姫様抱っこされているレグルスを見て、俺は何を見ているんだこれは……?とスバルは宇宙を背景にしょって、ぽかんとした。

 

 

 

猫耳の彼女が口を開く。

 

「こんばんは、初めまして。ねこです、よろしくお願いします」

 

レグルスを抱えたまま、優雅に膝を折り、お辞儀をする。

 

「ねこは、れぐるすの妹です。れぐるすがとても大切です」

「ねこは、れぐるすがぼこぼこにされている所を初めて見ました。それは、権能の仕組みが解かれたという事ですよね」

 

 

聳え立つ氷柱をじっと見て、お屋敷の方角のあれを見れば、お嫁さんたちがどうなったか想像できますと、少し悲しそうな声色で言って、こちらをじっと見つめる。

 

 

「ねこは、権能は持ち合わせていませんが、暴れようと思えば出来ます。ねこの集めた沢山の魔法等と、ねこたちの力を借りれば、国1つ潰す位、簡単に出来ます。のが、ねこはそうしません。れぐるすが大切ですから、あなたたちと争いたくありません。ねこは、平和主義者ですから、れぐるすを守る為には力を使いますが、無駄な争いは起こしたく無いです」

 

淡々と喋る彼女が、レグルスをとても大切な者を見る目でじっと見つめる。

 

「だから、投降します。どうか、れぐるすを殺さないでください。ねこは、れぐるすまで居なくなって欲しくないのです。れぐるすに何かしなければ、こちらからあなたたちに攻撃する事は無いと誓います」

  

 

 

こんな子が、国1つ潰せる……?と思わず呟いた言葉を聴いたのだろう。

 

ねこは魔法を使えません。

のが、確保収容しています。

あぁ、失礼しました、少しお見せした方が分かりやすいですよね。

と言って、そして、

 

「ひゅーま」

 

落ち着いた声でゆったりと詠唱すると、凡そ見渡す限りの視界をぐるりと囲む様に氷の鋭い塊が何重にも、空を埋め尽くす様に連なって隙間なくこちらを狙っている。

 

 

 

これが、これが"ただの"ヒューマ?

 

 

冗談は止めてくれ。

 

ある・ひゅーまもあります、これより、そっちの方が良いですか?とのんびり言うが、恐ろしくて考えたくもない。

 

 

ねこはこの様に収容した物を取り出せます。

 

魔獣でも、人でも、大量の水でも、燃え盛る炎でも、大規模な土砂崩れでも、崩れ落ちる瓦礫でも、とてつもない竜巻でも、全てを凍えつくす氷でも、どんな魔法でも。

 

見て、分かって、触る事が可能ならば、確保出来て、そして取り出せます。

ねこの好きに扱えます。

 

何て事はない、当たり前の様に言ってくれる。

それって、ノータイムでとんでもない甚大な被害を出せるって事じゃねぇか。

桁違いだ。

 

 

底の無い暗く深い海の様なその瞳にじっと見つめられ、冷や汗が頬をつたう。

…でも、と彼女が続ける。

でも、れぐるすが大切なので、そんな事はしないと誓います、と。

 

 

 

スバルはどうすればいいのか分からなかった。

いくらかわいい子の頼みとはいえ、レグルスをそのままにしてしまえば、同じ事が繰り返されるだろう。

それに、この子の底が知れない。

 

 

 

 

とりあえず、みなさまが考えている間に、れぐるすを治させてください、と言ったかと思えば、瞬きの間に彼女が居た位置に猫耳と尻尾の生えたレグルスが立っていた。

 

……は?

 

 

彼女の姿は見えない。

 

レグルスが口を開く。

それは紛れもなくレグルスの声だったが、口調が、消えた彼女のものだった。

 

「体が痛い。あつい。やっぱり打撲と骨折ですね、れぐるす。ほとんど治ってはいますが、しょっくと疲労で意識が戻っていないですね。とりあえず"私"がなんとかします」

 

ギュルンと標識の様なものが現れて、顔をちょっと歪めて、それからぴくり、と耳が動いたかと思えば、すっと、また瞬きの間に彼女が現れて、レグルスは"ただの"レグルスに戻っていて、抱っこされていた。

 

何が何だか分からない。

 

 

彼女はレグルスの腕をとんとん、と叩いてれぐるす、れぐるす、起きてください、と言っている。

 

ん、ううん……と唸った後、レグルスが目を開く。

 

 

 

 

 

 

「「「「え、何この状況」」」」

 

 

 

 

 

れぐるすと他の皆さんの声が重なります。

 

れぐるすは、間男に売女、それに剣聖!?と叫んでから、するりとねこの腕の中から地面に降りて、横に立ちます。

 

そして、ねこを見て言います。

 

 

「あのさぁ!ねこ、これ、この意味不明な状況、お前が何かやっただろう!まぁ、あの時助けてくれた事には本当に感謝しているよ、僕はいつだって感謝を忘れない誠実で、完璧で完全な存在だからね。君が来てくれなかったら、と思うと……いや、この話は止そう。とにかく君が来てくれて僕の命が救われた事は確かだ。僕の命を守ってくれた事、彼女の最期の願いを守ってくれた事、感謝するよ。体もすっかり元通りだ、ありがとう。でもさぁ、これってどういう状況な訳?みんなで仲良くお喋りでもしていたって言うのかなぁ?さっきまで殺し合いをしていた奴らと、というか大切な家族である僕の事を殺そうとしていた奴らを目の前にして何でそんな事が出来るのか僕には全く理解が出来ないよ。ねこ、君はちょっと変わっている所と、ぼんやりしている所があるけれど、これは流石に度を超えているんじゃないかなぁ?いくら寛大な僕でも流石に怒るよ、あのねぇ、よく考えてみなよ、君があの後するべきだった行動は、僕を連れて戦略的撤退をするか、僕を起こして一緒にあいつらを殺すかだろう?それがどう転んだらこんな状況になるのさ!」 

 

 

れぐるす、怒らないで聴いてください、ねこはれぐるすが大切ですから、平和に解決する為に投降したんですよと言うと、ますますれぐるすは怒って、だんっと地団駄を踏み、3人を睨みつけて言い放ちます。

 

「お前らがねこに何を言われたか知らないけれど、僕は投降なんてしない。僕はお前らに負けていないんだ、ほんの少し遊んでやっていただけだ。僕の広い心に感謝するべきだ、お前らにはその義務がある!次は1人1人確実に仕留めてやるとも。しかも、僕には心強い家族がいる。ねこは、権能こそ無いけれど、殆ど万能に近い力を持っているからね、本気で暴れようと思えばお前らは手も足も出ないよ。ねこ、君だってあの生活が崩れるなんて嫌だろう?あいつらは僕の大切な妻たちを皆殺しにしたんだ、酷い、酷すぎる、よくもそんな非人道的な行為が出来たものだよ、同じ人間なのか疑いたくなるよね。また厳選して花嫁たちを集めなおさなくちゃならないなんて、本当に手間ばかり掛けさせて嫌になる。だから一緒にあいつらを殺そう」  

 

 

黒髪の男の子が喰らい付きます。

 

「おいおい、まだ懲りてないみたいだな、あれだけエミリアたんやラインハルトに無惨にやられておいて、それで、よくまぁ負けていないって言えるよ。いやいや、流石だよお前。それに、比べちゃ悪いけどよ、お前がやっていた事の方が非人道的過ぎるだろ。それに、その子はお前を守る為にこっちには手出ししないって誓ってくれたんだ。俺はその子を信じる!それなのにお前と来たら、目が覚めて体が元通りになっていたのと、その子が居るってだけで威勢よく噛み付いてきて、恥ずかしく無いのか?」  

 

 

ばちばちに敵対し合っています。困りました。

 

 

ねこは、誰も死んで欲しくありません。

 

さぁ、力を貸してください。 

 

よろしくお願いします。

 

 

"SCP-222-JP"仲介猫。

 

 

睨み合っている2人の間に出て横切りながら、のんびりと「にゃあ」と良く通る声で、短く一声鳴きます。

 

すると、睨み合っていた2人がねこを見て、すとんと、憑き物が落ちた様な顔になり、落ち着きを取り戻しました。

 

仲介猫は、言い合っている者の間を鳴きながら通る事で、普通では納得し得ない状況でも"妥協"して、妥協案を実行する猫です。

 

それが、妥協の為ならお互いを殺すという案だったとしても、何の躊躇いもなく喜んで実行されますが、ねこのそれは、ただ、言い争いを落ち着かせる程度の能力しかありません。でも、今は、それで良いのです。

 

 

ねぐるす、とねこは服の裾を引っ張ります。

れぐるすはまだ少し、ぐぬぬ、と怒っていましたが、ねこの顔を見て、静かになりました。

 

ねこは言います。

 

「ねこはもう誰も死んで欲しく無いです、誰からも置いて行かれたくありません。

れぐるすは、ねこの1番大事な家族です。ねこの宝物です。だから、ねぐるすは、ねこの居ない所に行かないで。ねこは、ねこは居るのに。ねこは居ます。ここに。居ますから。居ますから、居るから、だから、だから、置いて行かないで」

 

ぽろ、ぽろと涙が出て、れぐるすが、視界がゆらゆらと揺れます。

はぁ、とひとつ大きなため息が聞こえて、ねこの目元に溜まっていた涙をれぐるすが拭ってくれました。

 

 

れぐるすはねこの頭をくしゃりと乱暴に撫でて、それから彼らに向かい合って話の続きをしました。

 

「本当なら、君たちの首を落としたって良いと思っていたんだけれど、しょうがない、本当にしょうがなく、僕の大切なねこが泣くものだから、辞めておいてあげるよ。投降、なんて言葉は使いたくないから、満たされたこのぼくとねこは君たちに歩み寄ってあげるとしよう。大いに感謝すると良い」

 

「相変わらず上から目線かよ。でも、なんだか分かんねーけどよ、お前がそれで良いなら、ありがたくそうさせてもらうよ」

 

良かった、平和です。これが1番です。

 

でなければねこは暴れ散らかしている所でしたから。

 

 

で、結局どうすりゃ良いんだ?と黒髪の男の子が言います。

 

捕まえておくにしても難しく、もしかしたら脱走の為に甚大な被害が出かねませんものね。

 

では、こういうのはどうでしょうか、あなたたちにねこたちが同行させていただく、という案です。

 

ねこは殆どの事が出来ます。体を治す事も、壊す事も、出来ると思う事なら、大体。

理不尽な事もあるので、注意が必要ですが、約束します、この力はみなさまを守る為に使いましょう。

 

れぐるすは、ねこがきちんと見ておきます。

 

ねこが居れば大丈夫です。もし悪いことをしようとしたら、ねこが赦しませんから、安心して欲しいです。家族だからこそ、今度は愛ある鞭で叩きましょう。

 

 

どうでしょう、よろしくお願い出来ますか……?

 

ねこは、ぺこりとお辞儀して問います。

 

 

 

 

 

あちら側の話し合いは暫く続きました。

 

 

 

 

その後、あの……と小さな声が聴こえました。

見上げると、銀髪の清楚な女の子が手をちょこんと挙げてねこを見つめています。

 

 

ねこも見つめ返します。

 

あれ、よく見たら彼女、今朝見た女の子ですね。

 

「あの、あなたが、お嫁さんたちが言っていた、えっと"ねこちゃん"で合っているの、かしら…?」

 

 

はい、そうです。

ねこは、お嫁さんたちからねこちゃんと呼ばれていました。

 

れぐるすがそんなの聞いてないぞ、なんだそれ、親しすぎないか!?

ずるい、人のねこをそんな呼び方するなんて!と騒いでいますが、するーします。

 

「あのね、お嫁さんたち、あなたの事、すごーく大切に思って愛していたわ。あなたが、優しくしてくれたって、助けてくれたって、救ってくれたって言っていたの。だから、私もその子の事を信頼してみようと思うの!私は、一緒に行く事に賛成するわ」

 

彼女からの進言もあって、ねこたちは、晴れて彼らと一緒に過ごす事になりました。

 

 

「ご英断、ありがとうございます。ねこは、ねこたちは、勿論れぐるすも、感謝しています。お役に立てる様に務めますね」

 

 

ねこがれぐるすの頭を手でうぬぬとやって下げさせて、そう言うと、おう、よろしくな!と元気の良い返事を返してもらえました。

 

良かった、本当に良かったです。

 

れぐるすも無事だし、ねこは一緒に居る事が出来て嬉しいです。

 

そんなねこの顔を見て、彼らはびっくりした表情になります。

え、と、ねこ何か変な事をしでかしていますか?

 

「わぁ、やっぱり!笑顔もかわいいのね!」

 

笑顔……?ねこ、笑顔でしたか?

 

れぐるすがねこの顔を見て、あぁ、お前、3人で暮らしていた時以来だよそんな顔、と笑っていました。

 

みんな"笑って"いました。

 

あ、お嫁さんたち多分仮死状態ですよね?と聴くと、よく分かったな、と返されます。

 

無闇矢鱈に無実の人を殺す様には見えませんでしたからね。

 

さぁ、教会へ向かいましょう。

 

 




宇宙猫、ならぬ、宇宙スバル。

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本小説、およびイラストはCC BY-SA 3.0ライセンスの内容に従い公開させていただいております。

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by kusano_me
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ねこですよろしくお願いしません、の方で救急車を呼びます、とある事から身体を乗っ取れるのではという興味深いお話がありましたので、猫耳れぐるすの登場となりました。
SCPも、数字も、もちろん止まれ、等も、先駆者様の解読のおかげでイ文字何かがが適応出来るので大変ありがたいです。
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