TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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130話 こっちのみんなはいろいろとダメダメ

「こはねさんは、中学に入ったときにはすでに病魔が相当に……ですので、実際には10歳頃から発育が阻害されていたと推測されています。本来成長に消費されるはずのエネルギーが病気の治癒と……病気そのものの成長に、と」

 

「わ、わたしは小学生のときから小さくって、中学生になっても3年間1ミリも成長しないどころか2ミリ縮んだりしましたけど……こはねちゃんは、5年生まではクラスの女子の真ん中くらいで……だから、こはねちゃんが元気になった今、同い年で同じくらいの身長なのが嬉しくって」

 

「なんで成長期に縮んだんですかひより先生」

「わ、本当にわたしの呼び方も……えへへ」

 

こっちのひより先生は、いろいろとダメかもしれない。

 

というか背が縮んだって……まぁたぶん小学生のときはがんばってかかと浮かせたり首伸ばしたりして、少しでも測定結果を改竄しようとした結果なんだろうけども。

 

子供ってのは、特に背丈を気にしてるとそういうことしがちだからね。

……中学くらいまでは僕もそういう記憶あるくらいだし。

 

「だから、その……」

 

「まだ生理、来てないんですよね。こっちの僕も。僕の元になった僕……?の体なので、なんとなく分かります。いえ、TSっていう超常現象に見舞われた身としてはまだだったおかげでなんとか適応できたんですけど」

 

「……な、慣れてるんですね」

「これでも女の子になってから数ヶ月ですし、あっちでは」

 

念のためにってことで如月先生の病院へ――こっちの世界では彼女は個人病院じゃなくってでっかい大学病院勤めだった――お邪魔し、なぜか血眼になってるお医者さんや看護師さんたちがものすごい勢いで調べてくれた。

 

着替えたりしてるときに見た体は、あっちでの僕――TSして変態した元男の肉体と変わらずに、高く見積もっても小学校高学年……かすかに胸があるだけでまだまだ子供な女の子だったから。

 

「こはねさん関係ですので検査も最優先で回してもらっています。明日の朝にはちゃんとした結果が出るはずですけど……暫定の結果としては、健康体そのものです。ええ、つい半月前の定期検診のそれと体重のわずかな上下くらいしかないほどで」

 

「良かったぁ……」

 

うん、それは本当に良かった。

 

僕がなぜか「こっち」に来たことで「本来のこはね」――僕、綾瀬直羽の配信名の「こはね」じゃなくって「こっちの世界で生まれた綾咲こはね」がどうにかなっていなくって。

 

いや、本当に……うん、「奇跡の黄泉返り」「現代の神話」「女神に愛されし幼女」とか壮大な呼び名があるらしいこっちの僕が大変なことになってなくって。

 

あっちではただのTSヒモニート――いや、あれから無事ムーチューブさんが分け前を寄こしてくれるようになったから、ヒモでもニートでもなくなってはいるんだけども……ほら、僕の自尊心はまだまだだから――な僕のせいで、こんなに愛されてる世界の僕がなんとかなってたら……ねぇ?

 

「だから、あっちの世界でも小学生と見間違えられるし声でも間違えて、絵柄でもやっぱりそう思われるひより先生は変わらずに愛らしい見た目なんですね」

 

「愛らしい……えへへへへ……」

 

「こはねさん? 今、直接的に子供だと言われたようですが?」

 

「い、いいんです……むしろ大人の男の人なこはねちゃん――さんから、子供扱いされながらはじめてっていうのも……」

「なるほど……こはねさんは実質的にこはねさんですから、そういう初めても……私の場合は同世代の男子から、喪われた青春のような感じに……」

 

……気まずい。

 

なにがって?

 

……こんなにストレートすぎる気持ちを、全員から向けられてることが。

もちろん「僕」に向けてじゃないのは分かってるんだけど、それでもね。

 

「……反応から推測しますに、あちらの私たちはこはねさんを全員で重婚して囲って愛でようとはしていないのでしょうか? こちらのこはねさんでしたら、こういう話をしますと非常にげんなりした顔を見せてくれるのですが」

 

「それが分かってるならもうちょっと距離置いてくれないかなぁ優花……」

 

「ああ……! その残念そうな目は普段通りのこはねさんでも、年齢的な上下関係が逆転しているフェロモンで……!」

「分かる。やっぱりこっちのこはねちゃんより10歳分長く、しかも男として生きてきたから目つきとか違う。魂から雄成分が放たれてる。興奮する」

 

こっちの優花は完全にダメな子になってるし、そんな優花と完全に同調しているみなみさんもやっぱりダメな子だ。

 

………………………………。

 

……ああ、女の子同士って、こと恋愛関係においてはかなりあけすけに友達同士で共有するんだよね……それこそ学校内とか会社内恋愛したら、そこに存在する女性や彼女たちにモテる男どもに、愛し合ってるときのことまでが筒抜けだって。

 

仲の良い女子同士には、秘密なんて存在はしないんだって。

 

あっちのみんなは、あれでも相当に僕を男として見てくれていて、だから――こっちとおんなじようにいろんな共有をしていても、せめて僕には届かないようにしてくれてたんだなって。

 

やっぱり女の子って……こわい。

 




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