TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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132話 雄は雌に食べられるもの

温泉。

 

町中にたまにある、銭湯じゃなくって薄くても温泉になっているらしい施設。

 

そんなところへ――なぜか、本当になぜか了承しちゃって、気がついたら女性のみんなと僕ですっぱだかの付き合いをしちゃった、あの大事件。

 

成人男性が幼女もとい少女の肉体に入った状態で、少女から女性までとすっぱだかでおっぴろげしちゃった大罪。

 

あのときの記憶が結構あいまいなのはたぶん、男の僕の自我がみんなの裸を見た罪悪感で女体の記録とともにパージしたんだろうって信じてる、あの温泉。

 

……みんなの裸は、本当にじろじろとは見ていない。

 

それにもう記憶はだいぶぼんやりしてるし、なによりも女体な裸体を見て興奮すべきものが生えていないから大丈夫なはずなんだ。

 

そんな温泉に、また?

 

いや違うか、こっちのみんなにとっては僕は新参者だ。

けども、それだってちゃんと、僕が男だった――心は男のままって伝えてるよね?

 

「はっ、裸の付き合いは大切だって、みんな言ってますこはねちゃん……さん!」

 

あ、呼び方があっちのひより先生と同じになった。

けども今はそんなことで感動している場合じゃない。

 

「待ちましょう先生、それはまずいです」

「大丈夫ですっ。こっちの私たち、小さいころから一緒にお風呂に入ってましたし、入院中も急なおトイレのときに何回も……きゃっ♥」

 

ひより先生がおかしい。

 

心なしか――いや、かなり、あっちの先生よりもアグレッシブだ。

 

あと病院でのトイレって……ま、まあ、同性ならセーフ……?

うん、介護だからね……普通は看護師さんに任せると思うけども、こっちの僕が頼んだんなら仕方がない。

 

「とにかくダメですよ先生。倫理的にダメです」

 

そうだ。

 

だって僕は、

 

「今来てるこはねちゃんは、男の子だからかな?」

「そうです。しいていえば成人男性ですね。こっちのはるなさんとも同世代の」

 

はるなさんの声に、冷静に対処する。

少なくとも1人が味方なら、なんとか――

 

「でもざんねーん。――見られるのを恥ずかしがるはずの私たちの方が、見せたいのよ?」

 

「えっ」

 

――ぶるんっ。

 

わざわざにじり寄ってきて、僕の目の前ででっかいメロンをぶるんぶるんと震わせる、でっかいはるなさん。

 

……物理演算が……この世界の演算が、限りなくスライムになっている……!

ていうかこの動き、ブラジャー外して――あっ、離れたところに投げ捨ててある……!

 

これは味方なんかじゃない……敵だ!

 

こっちでもやっぱり味方は誰1人居なくって、ことごとくが敵だったんだ。

僕は油断したんだ。

 

「――なるほど。おっぱいへの視線が……うふふふふ……こはねちゃんへはあまり効果が無かった攻撃が、充分通ってる……! つい最近まで男の子として生きてきたおかげで、色仕掛けが簡単に通るわ……!」

 

「はるな姉、ぐっじょぶ。女の武器を行使している。もっと揺らして興奮させる。そして私たちがおこぼれにあずかる。うぃんうぃん。大丈夫、1回気持ちよくなればあとはなんだってだいたい同じ。ぶい」

 

なにがぐっじょぶなんだろう。

なにがうぃんうぃんなんだろう。

なにがぶいなんだろう。

 

ダメだ、ここは四面楚歌だ――いや、もっとひどい状況だ。

 

「こはねさん」

「如月先生!」

 

如月先生が……シャツをはだけている。

 

「はぁ、はぁ……」

「先生??」

 

大人のブラジャーだ……じゃない!

 

「ふふふ……介護班の力で、結ばれたあとのいろいろは問題ありません……!」

「先生???」

 

妙齢の女性が理性を投げ捨てている。

ていうかこっちにも居るんだ、介護班……。

 

「こっちの僕、肉体は女ですよ? いや、あっちでも僕はそうですけど、なんていうか……あとこっちの僕は結構な年下ですし」

 

「インモラルって……興奮するのはご存じで? そう――最も汚いはずの吐瀉物や汚物とか」

 

あ、ダメだ……賢い先生だからこそ堕落するのも一直線だ。

 

そうだよね……だってげろげろ好きなんだもんね……。

なんならもっとひどいことになってそうだもんね……。

 

「こはねさん」

 

「ゆうか――――もう脱いでる!?」

 

上も下も下着姿な優花が、完全に肉食獣の目とポーズでにじり寄ってきている。

 

「うふふふふ……こはねさんの性格上、一度でも、たとえ別世界のこはねさんとでも結ばれたなら断れないはず……」

 

「しまった、妹が狡猾になってた」

「妹プレイ……それもそれで……!」

 

ああ。

姉として生まれた分なにかがおかしいんだね、優花。

 

「お、温泉……温泉に行くんだよね!?」

 

「よく考えたら、ここで1発決めてから温泉で第二ラウンドをと」

「さすがはお姉様……介護班の首領!」

 

なんで?

 

「最初はやっぱりこはねちゃんのベッドで……あっちに戻っても毎晩思い出してもらう……」

「!!! みなみちゃん……天才ね……!」

 

「わ、わたし……がんばります……!」

 

ぬぎ、ぬぎ。

 

はぁ、はぁ。

 

にじり、にじり。

 

「……なぜでしょう……同じこはねさんでも、今のこはねさんの方が無性に興奮します……!」

「これが、魂的には成人男性なこはねさんの目つき……!」

 

「『百合の花を咲かせてくる。ぶい。百合豚どもめ、崇め奉れ』……と」

 

「『みんなのハルナ姉は一生男と縁がなくなることが確定したからもっと推していいよ♥ 永遠の百合Vだよ♥』……と」

 

ぽちぽち。

 

有名だし大人気なアイドルであるVTuberなはずの2人が先行入力している。

 

アイドルは夢を守らなきゃいけないのにね。

僕の抱いていた夢も、もうおしまいだね。

 

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