TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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133話 【祝・レッサーパンダこはねちゃん、戻る】

「えっと、女の子同士って……あれ、ど、どうするんでしょう……? あ、いえ、男の子とのやり方も、詳しくは……」

 

「大丈夫ですよ、ひよりさん。私たちが手取り足取り……」

「お、義姉さまの言うことなら……」

 

「………………………………」

 

肉食獣の群れに囲まれた草食動物な僕は、頭が真っ白になる。

 

これが……絶体絶命。

もう逃げられない状況。

 

僕が、こんなところで……しかも、知ってるのとは別の優花たちに。

 

「………………………………」

 

5人が円陣を組みながら――気づけばもう、それぞれの顔と胸元が20センチくらいにまで近寄ってきている。

 

――――むわっ。

 

これは……ときどき優花自身や優花のぱんつから漂ってきていた匂い。

 

雌の匂い。

 

それが、心だけは雄のままなはずの僕を捕食せんと舌なめずりしながら――――

 

「ち、近寄らないで! ふ、ふしゃーっ!」

 

僕は怖くなった。

 

がくがくしていた脚をがんばって伸ばし、立ち上がり――TSしてからすっかりクセになっているポーズを取った。

 

食べられるって、理解しても。

それでも被捕食者は、最後まで抵抗するんだ。

 

だって――それで捕食者の気まぐれが起きて生き延びたのが、僕たちの祖先なんだから。

 

「ふしゃー! ふしゃー!」

 

僕は、低い背丈を精いっぱいに伸ばして抵抗。

 

……それすらも余計に喜んだらしい雌たちは、恍惚とした顔を向けてくる。

 

濃い匂いが立ちこめてくる。

それでも僕は、戦うんだ。

 

「……捕食されるって理解して、それでもなお無駄な威嚇をしてるこはねさん……じゅるり」

 

「女に迫られて怖がる年下の男の子……初心で純情、だから直接触れ合ってその先のことをするのは怖い……はぁ、素敵です……この歳まで男っ気なくて良かった気がします……!」

 

「それはまるで、レッサーパンダ……やば、こはねちゃんのかわいいとこ、こっちとおんなじなんだ……興奮する」

「大丈夫よぉこはねちゃん……初めては誰だって緊張するの。一緒に緊張して一緒に気持ちよくなりましょう? 女の子として……ね♥」

 

「わ、わたしも――――――きゅう」

 

とさり。

 

ひより大菩薩先生がピュアの限界を超えて戦線を離脱したけども、残りの4頭の雌ライオンたちは完全に下着だけになって、それすら取ろうと――

 

 

 

 

【男の子の夢なはずなのになぁ、ハーレム。女の子の体になってってのも良いって、暇つぶしに見てたTS界隈の作品では王道で……いや、こういうのが苦手な男の子も多いんだっけ】

 

【精神的にも肉体的にも、本能関係は女の子の方が強いからなぁ】

 

【とにかく――――TSっ子なこはねちゃんこそが最推しだから】

 

【お説教を満喫したらしい、あっちのこはねちゃんと交換したげるね】

 

 

 

 

「みんな? 正座」

 

「はい……」

「はい……」

 

「そんな下着姿で、僕のことをひん剥いて……僕のベッドの上で『あっちの僕』を下着姿にして何しようとしてたの。中身は男として生きてきたせいで、ちょろくて押しに弱い『あっちの僕』を襲って肉体関係を築いて、その既成事実を僕に押しつけて……って魂胆でしょ。分かるんだよ?」

 

「はい……」

「はい……」

 

「きゅう」

 

「正座。え? わざわざ廊下でって? だから何? 性別年齢に関係なく、同意を得ずに集団の圧力で手を出すとか、人として最低なみんなが文句を言うの? 外から手頃な石、持ってきて膝の上に置いたげよっか? おっぱいのサイズ順の重さで。良かったねみなみちゃん、ひより先生と僕の次にちっちゃくって」

 

「うぐっ」

「こ、これは罵倒……興奮する」

「こはねさんが本気で怒ったのは……なるほど、他人のためならこうして……」

「こはねさんにお説教……姉妹逆転。これはこれで……!」

 

「ひよりちゃんは許したげるけど……みんなはそのまま3時間コースね。え? そんなに座ってたら漏らす? 知らないけど?」

 

 

 

 

「あーん!」

 

ひしっ。

 

僕は、怖くないみんなに戻ったと理解したとたんに、泣きながら抱きついた。

 

僕が元25歳成人男性だと理解してくれていて――だからこそ、あっちとは違って最後の一線からはまだまだ遠い彼女たちへ。

 

「あーん……」

 

ひしっ。

 

恥も外聞もなく、僕は泣きつく。

 

……これは優花の胸元だ。

 

でも、あの匂いはしてこない。

安心してもっと涙が出てくる。

 

「すん……ぐす……」

 

【速報・こはねちゃん、元に戻る】

【朗報・こはねちゃん、元に戻る】

【悲報・こはねちゃん、元に戻る】

 

「うぇっ……あぁぁぁぁん……」

 

【草】

【草】

【かわいい鳴き声が!】

【鳴き声がかわいいね】

【よかった……全世界公開お説教が1時間を超えることはなかったんだ……】

【感動した】

 

【なおハルナお姉ちゃんの尊厳】

 

【結構けちょんけちょんだったからね】

【あれだけ20代女子を的確にえぐるワード、よく思いつくわってレベルでぼっこぼこだったし】

 

【やっぱこはねちゃん、ガチで女の子でしょ】

【自意識が途中から男って目覚めたタイプのトランスジェンダーって、どっちの意識も持ってる分つよいわ】

【それな】

 

【やべぇ、ここまで来るとTS連呼野郎の言い分を信じたくなるわ】

【でしょ?】

【やべぇ、静かになってると思ったら普通に居たわ……こわっ】

【え?】

【草】

 

【もはや年齢も性別も経歴もなんもかも、自己申告とやらかしと援護で余計にわけわからんくなったこはねちゃん  でもかわいいからいいよね】

 

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