TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~ 作:あずももも
「小学校のころ、仲良かった友達が『昨日○○ちゃんのお家でお誕生会したんだー』って聞いて『え、なにそれ聞いてない』ってあああああああああああ」
「みなみさん、落ち着きましょうみなみさん」
急に叫びだしたからびくっとなったけども、その気持ちはよく分かるからぽんぽんと背中をいたわってあげる。
僕たちは、ふとしたきっかけで具合が悪くなるんだ。
【 】
【 】
【 】
【子供って残酷ね】
【ただの連絡ミスとか素で忘れてたとか】
【それが心に来るんだぞ 来たわ】
【ぶわっ】
【男なら「しゃーねーわ」で済むことが多いしマジで忘れてただけとかあるけど、女の子はなぁ……】
【あー】
【あー】
【……うん! この話はやめておこうか!】
【もう遅いよ……(げろげろ】
【かわいそうに……】
【男は何歳になってもバカだから良いんだ 女子は子供のときから過酷な世界に生きているんだ】
【今はただ、えずいてるミナミちゃんをいたわってあげよう……】
「今日は僕が来てますから! ね!」
「……ハルナちゃんとこに先に行った……相談もなしに……コラボ、ハルナちゃんと『ずるっこなしで、2人でこはねちゃんを呼んで3人でやろうね』って言ったのに……」
「それははるなさんが悪いですね」
「ずるい……」
「それはずるくてしかたないですね」
「マラソン大会で『一緒にゴールしようね』って言う子って、たいてい自分が先にゴールするの……私を見捨てて……」
「そのへんにしときましょうミナミさん」
【草】
【こはねちゃんがママになってる】
【レッサーパンダママァ……】
【草】
【ハルナちゃんがギルティだったか】
【いや、この前のはあれだろ 酒飲みたいからこはねちゃん誘って堂々と飲もうとしただけだろ、配信で】
【それだ】
【草】
【うん、絶対それだ 約束とか完璧忘れてたからああなったんだわ】
友達、だからこその「ずるい」っていう感覚。
友達や親しい人が居なければ発生しない感情。
どれだけ人気な人でも、名前も姿も声もなにも知らなければ「ふーん」で終わるもの。
どれだけお金持ちな人でも、関係がなければ「いいなぁ」で終わるもの。
どれだけモテてる男でも、どれだけかわいい女の子――いやいや違う違う落ち着こう僕は男だ、今が一時的な女の子なだけなんだ――とにかく「うらやましいなぁ」とは思ったとしても、それまで。
いや、だいたいは特になにも考えずにスルーするだけだ。
そうじゃなくなるのが、それなりに知っていたり親しい関係から。
……気恥ずかしいけど嬉しいことに、みなみさんもはるなさんも僕を推してくれている人たちで、以前からの友達同士だ。
企業と個人っていう差はあってもVTuber仲間で、オフでも毎日のように通話とチャットする仲らしいし、「ずるい」っていう感情は起きるよね。
「……はね様を独占するとか――――――――死に値するくらい、ずるいし」
むっ。
【!?】
【!?】
【ミナミちゃん落ち着け】
【こわいよー】
【こはねちゃんには隠すんじゃなかったのかその激重感情】
【草】
【え? こはねちゃんから来たけど、なにこの子こはねちゃんヤン勢なの?】
【しーっ】
【こはねちゃんに知られたらまずい】
【んなことこはねちゃんのコメント欄に書くんじゃねぇ!!】
【草】
【それはそう】
むずむず……むずむず。
「くちっ」
「あ、ごめんなさい……掃除、してなくて」
「いえ、大丈夫です」
急に鼻がむずむずしてきてたから我慢してたけど、思わず漏れちゃった。
なんか急に空気が変わった気がしたけども……送風の風かな。
【くしゃみたすかる】
【かわいいくしゃみ】
【\3000】
【感謝感激】
【こはねちゃんのくしゃみからしか得られない栄養素】
【それな】
【けど絶妙なタイミングで草】
【やっぱりこはねちゃんって「持ってる」よな】
【え、今のわざとじゃ……ないな】
【ああ……こはねちゃんだからな】
【草】
【こはねちゃんへの厚い信頼】
【積み重ねだからな……】
【こはねちゃんは全てにおいて持っているラッキーガールだよな】
【それな】
【そら個人では超有名なミナミちゃんの数十万登録を、たったの数ヶ月でぶっ飛んでの100万登録超えだし】
【あらためてこはねちゃんすげぇ】
【あの大事件はね……】
【ホップステップやべージャンプだったしな!】
【やべージャンプ(駅ビルのエスカレーターを何回も飛び降りて怪我ひとつせずに数百人の成人男性から逃げ切った】
【それはやべーわ……】
【そのポテンシャルどころか実績があるのに外が怖いのか……】
【むしろあれで引きこもりし直さなかっただけすげーわ】
【それな】
「……くちっ。ぶしっ」
「待ってて。ころころ探す」
【草】
【ころころて】
【足元だけ掃除してもダメじゃない……?】