TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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143話 【こはねちゃんとミナミちゃん、コラボ中】5

「ほらこはね様見て見て見てくださいこのアプリで預金口座見てこれ全部全部全部全部全部全部全部全部こはね様のために巻き上げたお金なの視聴者どもにこはね様の良さを布教して貢がせたマネーなのこんなのじゃまだまだ足りないだろうけどでもこれでしばらく贅沢三昧できるはずだからどうか許して」

 

震える手で見せてきたスマホの画面――そこには……うん、百万を遙かに超える金額。

 

え?

 

VTuberってそんなに儲かるの?

 

あ、儲かるか……みなみさん、個人勢でも名前が知れてるプロだし、なんだかファイナンスが強そうだもんね。

 

個人勢――企業所属じゃない活動者の強みは、そこだもんね。

セルフプロデュースがとてつもなく大変だからこそリターンも大きいんだもんね。

 

【俺たちが貢がされた金がこはねちゃんへ……ふぅ……】

 

【\50000】

【もっと貢げ \50000】

【もっと捧げろミナミちゃん \50000】

【ミナミちゃんが幸せならそれでいいんだ \50000】

 

【なにこのコメント欄……】

【ちょっと……】

【おかしい……】

【草】

【こはねちゃんリスナーが戸惑っている】

 

【推しが貢いでる相手に俺たちの金が渡る……それが百合で、あるいはミナミちゃんの主張の通りにTSな百合でもそれはそれで良し  俺たちは、これからも毎日元気に貢げるんだ……】

 

【分かる】

【推し活はほどほどにしようね……?】

【どうしよう  介護班が狂ってる連中だと思ってたが、世の中はもっと広かった】

【介護班はおさなきかよわいいきものを保護する使命を持った、あれでもまともな部類だからね……】

 

「……受け取って、くれない……? やっぱり私は価値もなにもない――」

 

「みなみさん」

 

ぎゅっ。

 

僕は、震えて冷たくなっている彼女の手を、両手で包む。

 

「あっ……♥」

 

……なんか急に変な声で鳴いたけど、聞かなかったことにしよう。

 

【!?】

【!?】

【こはねちゃん! なにをしたんだこはねちゃん!】

 

「僕は、君が友達で居てくれてるだけでとても嬉しいんです」

 

「で、でも、貢げない……」

「うーん……一緒にお出かけしたり話したりして楽しんでるけどなぁ」

 

みなみさんは、情緒が不安定。

 

女の子だからってわけじゃなくって、きっと僕がこの子の地雷ってのを踏んだからなんだ。

 

僕がパニックになって自傷したりするときの優花と同じく、なにか特定の――僕自身がパニックになる過去の記憶を掘り起こしたときと、同じなんだ。

 

僕たちは、子供じゃない。

 

青年――男も女も、少年少女じゃなくなったってことは、なにかしら心の傷がずきずきして、それでも生きてるはずだから。

 

「僕に、貢ぎたいの?」

「はひゃい……♥」

 

「なら、僕のお願いすること、なんでも聞くよね?」

 

「っっっ♥♥♥♥♥」

 

【ガタタッ】

【キマシ?】

【キマシ】

【こはねちゃん……やるのか! ここで……!】

【もしかして:ここからは配信できない展開に】

【それはそれで興奮する】

【草】

 

はあはあ。

 

青い顔のまま赤くなって汗だくになって震える、いつものごとくに髪の毛がぼさぼさな彼女の――寝不足みたいでクマができてて、外に出ないから僕みたいに真っ白な顔に浮かぶ、なぜか涙をだくだく流している目を見つめる。

 

「みなみさん」

「はぃ……!」

 

【お】

【行くか、こはねちゃん】

【逆境に強いこはねちゃん】

 

「友達って、居る?」

 

「        」

 

おめめが白目を剥き、動きが止まる。

 

【ふぁっ!?】

【こはねちゃん!?】

【どうして死霊魔法を唱えた!?】

【草】

 

「居ないんだね。じゃあ、僕と一緒だね」

 

「       ――はっ!? いっしょ!?」

 

ぐりんと眼球が戻ってくる。

 

……ちょっと怖い。

 

【下げて上げるこはねちゃん】

【この幼女……人心掌握術がすげぇ】

【ちょっと興奮してきた】

【わかる】

 

「なら、ヒマな日にバイト代ちょうだい?」

 

「ば、ばいと……?」

「うん、バイト」

 

きょとんとしたみなみさんの体の力が抜け、不自然な緊張がほぐれていく。

 

「みなみさんは、僕がお家に入っても平気?」

「あ、はい……こはね様になら隅から隅まで……」

 

「なら」

 

僕は、薄汚れている部屋を見回す。

 

「この部屋とかのお掃除。あと……最初はヘタだろうけど」

 

「ひゃんっ!?」

 

――僕は、ごわごわしている彼女の長い髪の毛を撫でる。

 

【●REC】

【こはねちゃんが何かをしている】

【素晴らしい……】

 

「髪の毛とか。少し短く切る程度なら……ほら。僕も引きこもりしててセルフカットはそこそこできるし、美容院行く怖さも知ってるから。お掃除のバイトの他にカットのバイトもさせてほしいな」

 

あとは、そうだな。

 

「如月先生みたく、ごはんをまとめて作ったりする家政婦さんのバイトもできるね」

 

「………………………………」

 

【おお】

【もしかして:天使】

【レッサーパンダが天使に進化した……!?】

【感動した】

【みなみちゃんの発狂も収まってるな】

 

【ていうか改めてこはねちゃんの家事スキルがカンストしている】

 

【もしかして:お嫁さん】

 

【誰の?】

【え? みんなの】

【百合ハーか……興奮する】

【でもこはねちゃんの心は男の子だよ?】

【肉体的百合ハー、精神的ショタ総受けのハーレムでどうかな?】

【\50000】

【草】

 

【こはねちゃん、ときどき自己主張通りの精神年齢と性別に感じるよね  でも、そこがいいんだ……それが幼女だってことが】

 

【すごくよくわかる】

【\50000】

【草】

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