TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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144話 【こはねちゃんとミナミちゃん、コラボ中】6

「ふふふ……こはねちゃんが通い妻に……」

 

「友達として正当な対価で家事を手伝うだけですけどね」

「家事手伝い……あとは籍を入れるだけ……! 家族になれば、資産は実質的に無条件でこはね様へ貢げることに……ふふ、ふふふふふ……」

 

友達。

 

前の僕には――僕から疎遠になって消滅し、みなみさんは何かがあったせいでやっぱり消滅した仲間。

ああいや、はるなさんは一応で前から友達なのか……それはともかく、僕は彼女が望んでいるその枠組みを利用して、暴走していた重くてしっとりしている感情を回避した。

 

「友達ですからね?」

「分かってる。――――――今は、まだ、ね」

 

完全に崩れてふにゃふにゃになった美人さんが、ひとりくねくねしながら返事を返してくる。

 

……こういうのにも、ときどきおかしくなる優花のおかげで耐性がついてきたなぁ……。

 

【なるほど、こはねちゃんは事情を知らなくともヤンヤンな感情を理解してるから、そういう方法でなだめるか】

 

【さすこは】

【こはねちゃん、レッサーパンダになる状況以外だと強いな】

【なんかかっこいい】

【これは男の子】

【男の娘?】

 

【自分のテリトリーだと落ち着いたロリショタに  敵地だとちいさきかわいいいきものなレッサーパンダに  それがこはねちゃんだ】

 

【草】

【草】

【TSっ子は最高でしょ?】

【TSっ子は最高だな!】

 

【けど、その  問題を先送りにしただけな気が】

 

【うん……】

【まあ……】

【こはねちゃん、がんばって】

【草】

【激重百合っ子の激重感情が熟成されるのを眺めるのも乙なものだぞ】

【おお】

【識者の意見が光るな!】

 

 

 

 

「……すごいですね、このパソコン。僕のもデスクトップだしそれなりの投資してるはずなのに、スペックが全然違う……」

 

「うん。ちょっと前から石油並みに値段がつり上がってる今の市場価格でパーツを集めたら――あ、もう品切れな上位モデルだけど、それでもたぶん100万はするね」

 

「はぇー」

 

「……メモリとかグラボとか分かるの?」

「僕も、素人知識ですけど一応動くそこそこのパソコンを組んで配信してるので」

 

最近はパソコンが高いらしい。

僕はそこまで詳しくなかったけども、聞いたら笑顔でくわしく教えてくれたみなみさん。

 

「物価高とメモリ――半導体不足、トドメに石油不足からの流通不足。買い替えるんならほんと、今でもまだ間に合うからスマホとか電化製品買った方がいいよ」

 

「あー……待ちはダメですか」

「解消される可能性もあるけど、供給が落ち着くのは早くても半年後。ゲーム機も続々と値上げ中。ムィッチもムィーエスも」

 

【それな】

【ただでさえの物価高だったのになぁ】

 

【今は時期が悪いおじさん「今は時期が悪いおじさん  いや、1年半ぶりにマジで  でも必要なら買っておこうね、値段が高くても手に入らないよりはマシだからね」】

 

【今は時期が悪いおじさん!?】

【意見がマイルドなタイプのおじさんだ! 囲め!】

【本質を突いてるタイプのおじさんは貴重だ……迎え入れよう……】

【草】

【おじさんはなんでも詳しいんだね】

【自分の詳しいことには詳しいのがおじさんだよ】

 

【お姉さんはショタっ子に詳しいです!!】

 

【しっしっ】

【こはねちゃんが自称ショタなもんだから、変なのが湧いて湧いて……】

 

「そうですよね。最近のスーパーでも野菜から調味料から高くなっちゃって」

 

僕は――最近は優花に連れられて、近所のコンビニとスーパーから人見知り克服練習中なんだ――で目にする値札を思い出す。

 

「野菜は天候によって上下あるのはしょうがないにしても肥料とか配送が高いから全体的に上がってるし、調味料も容器が小さくなった上に100円ずつくらい高くなったりしてますし。レジに行くとびっくりすることも多いですし……大変ですね」

 

「……こはねちゃんの感想。いちいち主婦のそれ。私の主婦になって♥」

 

「え、嫌ですけど」

「……雑に無下にされるのも、それはそれで……!」

 

僕がなるんなら主夫だよ?

 

……でもそれ、男としてはどうしても「ヒモ」って感じちゃうんだよなぁ……男女が逆転しただけで家の中での役割を交代しただけなのに、なぜか僕たち男は無性に悲しい思いをするんだ。

 

【草】

【草】

【即レスで草】

【こはねちゃん、ほんと、慣れてる相手なら強いな】

【男ボイチェンでの配信そのまんまで安心するわ】

【それな】

【こういうのもまたこはねちゃんの魅力だよな】

【マジでショタだってときどき錯覚するのがかわいいんだ】

 

【<URL>?】

 

【ミナミちゃーん、スパムはブロックしようよー】

 

【え、ひどい!】

 

【草】

【こはねちゃんが気にしてないからなぁ……】

【こはねちゃんってわりとタフよね】

【直接の対面じゃなくて、かつトラウマ発動しなきゃな】

【つまりミナミちゃんと本質的なのは同じか】

【あー】

 

「………………………………」

 

「? どうしたんですか?」

 

急に静かになった彼女。

 

……優花もこうなったあと突然はじけたりするから、ちょっと身構えちゃうな。

 

「……友達」

 

――ぽろっ。

 

みなみさんの瞳から、雫が落ちる。

 

「……はるなちゃんは、あくまでお姉ちゃんとして……だから……本当の友達、みたいな会話……小学校低学年以来の……」

 

「……みなみさん」

 

この子は、情緒が不安定。

だからこそ、引きこもっている。

 

さっきまでは生き生きと早口で楽しく解説していたのに、今は肩を揺らして泣いている。

 

だから――――――ぎゅっと、抱きしめる。

 

「パソコンのスペックとか、パーツとか……話、楽しそうに聞いてくれる友達……居なかった……っ」

 

「少なくともここに1人、居ますから。いくらでも聞きますからね、友達として」

 

今の僕は、女の子。

目の前のみなみさんと、同年代。

 

――せめて男に戻るまでは、そばに居てあげよう。

 

【ぶわっ】

【ミナミちゃん……】

【ミナミちゃんの趣味は偏ってるからなぁ】

【ハルナ姉でもそのへんまでは難しいし】

【女子で自作PCとかまで話せる友達……できてよかったね、ミナミちゃん】

 

【やはりこはねちゃんは天使だった】

【分かる】

【レッサーパンダにも天使にも主婦にもなれる……それがこはねちゃんだ……】

【草】

 

 

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