TSよわよわVtuberはバズっても外には出ません ~かわいくなったら余計他人が怖くなったんだけど!~   作:あずももも

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6話 女の子の体は勝手が違いすぎる/決壊寸前とくしゃみ

時刻は、夜7時。

 

「……ごくっ。やっぱり引きこもりには充分な兵糧が必要だよなぁ」

 

ちゅーっと吸い出したゼリー飲料をゴミ袋へ。

小腹が空いたときのための備えは万全だ。

 

ん、ストックが心もとなくなってきた……あとで通販で頼んどかないと。

 

「さて……」

 

僕は現実に向き直る。

 

おもむろに立ち上がり、パーカーの裾を持ち上げ――

 

「………………………………」

 

ない。

 

すっきりしすぎている。

 

つるつる。

 

すーすーする。

 

「……ふぅー……」

 

僕は天上を仰いで目を閉じる。

 

顔が熱くなる感覚とこめかみがすっと冷える感覚っていう不思議な感覚でしてきた、めまいを押しとどめる。

 

――ああ、逃げたいよ。

こんな現実を認識したくはない。

 

けども――これが白昼夢でない限り、事態は切迫している。

僕はなけなしの勇気を振り絞り、現実を直視した。

 

「……差し当たっては、お急ぎ便で下着が必要だな。特にぱんつが。……いや、着古して縮んだのなら穿けることは穿けそうだけど……うん。なんか、生理的にやだし……」

 

よくよく見てみるとシミがついてたりする――2年くらい履き古してるボクサーパンツ。

 

今の僕は、それを触るどころか目にするのも汚らわしいと感じてしまう。

 

パーカーをもういちど、ふともものつけ根が見えるぎりぎりまで持ち上げると、非常にいかがわしい一人称視点になる。

 

男だったら前に着いてぶらぶらしていた邪魔なものがあったけども、今の僕は女の子。

 

だから、

 

「うん、見えない」

 

さらに持ち上げ、下腹部が見えるようになり――下腹が少し膨らんでいて真っ白い肌が、まるで良くできたフィギュアみたいに男とは骨格の違う腰周りを見せつけてくるも、つるつるだけどもその下は見えない。

 

いや、よく見ようとすれば見えるかもしれないけども、ほら……僕の部屋、基本薄暗いし。

間接照明的な薄暗さだし?

 

ここは見えるはずのものが消失し、出現したはずのものが見えないってことで。

 

「……うん、知ってた」

 

ただの確認作業。

 

覚悟を決めて再確認し――気持ちを切り替えるための、儀式。

そうだ、僕は本当に「こはね」になっているんだって……さ。

 

「しかし、とにかくすっきりしてるな……」

 

こんなにまじまじと立った状態で下を見ることは――引きこもりだし、トイレの掃除も僕自身だからつまりは座ってするから本当にないんだ――ないけども、明らかに僕の記憶にない形状になっている下半身を認識する。

 

「……ネットに書いてあることは本当だったか。いや、だからなんだというわけだけど」

 

曰く、男の象徴は前に……そして「上」に着いているものの、女の子の構造はそれがかなり引っ込んでいて「下」で、おしりに近いらしい。

 

男と女とではホースの有る無し以外で、物理的な位置が違う――現実逃避しながら調べた情報は確かだった。

 

さっき僕が無意識で触っちゃった場所も、そういえば最初は前の方を触って「あれ? ない?」って無性疑惑を覚えてから、おしりの方にスライドした場所にあったわけで。

 

「……そういうところの構造は、人によって個体差が。けど、やっぱ男とは違うんだな」

 

ということで、ひとまずはいてない状態でも見ちゃいけないところが視界にはちらちら入ってくることはないらしい。

 

まぁおへそは見えるし、その上の胸も見えちゃうからとりあえずでパーカーのままだけど。

 

「持ってる服はどれも使えない……っていうかそれ以前に臭い……ポチるしかないか」

 

ごそごそと取り出したるは、メジャー。

巻き尺。

 

引きこもっていたとしても定期的に買ってみたりする家具やPCパーツなどを測るためのそれが、まさか僕自身の体を測るために使うことになるなんてな。

 

「えーっと……ふんふん。だいたい小5女子の平均。……小5かぁ……」

 

140cm――まさかの30cm以上縮んだという事実に打ちひしがれる。

 

まぁそれでも、もっと小さいよりはマシ。

ほら、本物の子供――小学校低学年とか、それ以下とかさ。

 

そう僕自身に言い聞かせて、なんとか立ち直ろうとする。

 

「いや、でも個人差もあるし……女性は特に低い背の女子とか居たし……いやでも、それでもせいぜいが中1か……中1なのかぁ……」

 

25歳成人男性が、一夜にして――高く見積もっても中1女子。

 

低ければ、小学校中ごろで――

 

「………………………………」

 

僕は、意を決して部屋の隅に飾られている毛布を――ばさりと剥ぎ取る。

 

姿見――全身鏡。

 

『週に1回でいいから自分の姿を見てください。そうしないと外見に無頓着になるそうです。無精髭も私の個人的にな好みではアリですが――こほん。とにかく』

 

妹よ、それは正しかった。

 

あと、妹の異性に対する趣味とかは知りたくなかったです。

妹が連れてくる彼氏さんのヒゲとかまじまじ見たくないもん。

 

こうして夏場は毛布、冬場は布団をかぶせて月に1回見れば良い方――洗面所でヒゲを剃る以外何もしなかった末路が、まさかのTSだよ。

 

最近はろくに鏡も見ずにささっと洗顔も済ませていたし、お風呂だって電子書籍読んだりしてまったくと良いほどに顔も体も見ていなかったし。

 

その報いが、これだ。

 

「ぐす……」

 

いや、落ち着こう、ちょっとばかりナイーブになっている。

こんなことで泣いてたら……疲れちゃうから。

 

で、その鏡には――光の加減でどうとでも見えそうだけど薄い色素の紫だと思う髪の毛が背中まで伸びている女の子が、肩を落として成人男性のようなため息をついていた。

 

「かわいい……のは当然か。なにしろ、ひより先生に描いてもらったんだもんなぁ」

 

僕はもう、諦めた。

 

この姿はかわいすぎる――だからもう、ひより先生の作りたもうた芸術品だと思い込むことにしたんだ。

 

そうだ、将来的に大成したひより先生がふと懐かしがり、かつて新人時代に言葉を尽くしたDMに心打たれ解説したコミッションサイトで――たかだか1万2万のために心血注いだイラストを、3D化した。

 

パーツ分けとか動きをつけるのは僕自身がなんとかやったにしても、イラスト自体は芸術品だから。

 

そのフィギュアともいえる姿だと認識すれば「大切にせねば」とは思うけども、性的欲求を抱いてはいけない神秘として崇められるはずだ。

 

男には、性的興奮ができる女の子とできない女の子とが存在する。

 

そのできない女の子とは――本当に好きな相手だ。

 

本当に好きだと――リアルの女子でもキャラクターでも、たとえ薄い本をお布施のために購入しても、ちょっとは興奮するだろうけども本気では興奮できない。

 

すごくすごく目の保養にはなるし、やっぱりちょっとは興奮できるけども「その先」へは行けない。

 

男とはスケベなクセしてピュアな存在なんだ。

 

例えるならば、年頃の娘――妻と自分の愛の結晶、結婚相手の瓜二つ、かつその幼い姿――が、うっかり裸でお風呂から上がってきたとしても、大半の父親は目のやりどころに困りはしても「はしたないから服を着なさい」と罪悪感を抱きながら言うだけ――それだろう。

 

たとえ妻の若いときの美貌を目にしたとしても、興奮には結びつかない。

生物学的にも、精神的にも、父親としても。

 

だってそれは「大切な相手」なんだから。

 

「……まぁ娘を持つ可能性が、完全にゼロになったわけだけども。……はぁ……」

 

僕の大切だったかもしれない相棒は、一夜にして爆発四散しちゃったんだ。

 

せめてはじけ飛んじゃったカタキレでも落ちてないかなって探し回ったけども、悲しいかな、僕についていた一生の友達はもう友達じゃなくなっていたんだ。

 

もっとも、部屋の隅っこで冷たくなっているブツを発見したとして――そのぶにぶにとした物体の処分に困ることは請け合いだけど。

 

なにしろ汚い、生理的に汚くて生理的に無理、あと人体の一部をゴミで出すのは倫理的にも主観的にもやばすぎるし、かといって保存とか無理だし。

 

相棒、友達だったもの……綺麗に消えてくれてありがとう。

でもできたらずっとそばに居てほしかったかな。

 

鏡の向こうの僕は、実にかわいげに落ち込んでいる。

 

高くて中学1年、低くて小学4年――そんな女の子がだぶだぶなパーカー1枚で、しかも絶世の美少女がはいてない状態で、目の前に居る。

 

でも、25から見ると10~13、4歳なんてのは、娘とは行かないまでも年の離れた親戚の子レベルで。

 

「女体」ということで悲しいことにも脳は興奮しちゃうけども、それまでだ。

 

二次元のロリキャラに興奮はしても、リアルのそれには興奮できない……そういうものだ。

 

ほとんどの男はロリキャラが好きだったとしても、リアルのそれとは別の種族だって頭と下半身が無意識に認定しているんだ。

 

意識しても見ても興奮こそするものの、そこまで。

それ以上には進めない。

 

そのおかげで、僕はまだ男で居られていると確信できる。

 

「でも……トイレとかお風呂は……入らないわけにはいかないよなぁ……」

 

僕は非常に落ち込みながら、すっかり高くなったパソコン前のイスに座り――あまりに大きくなったマウスとキーボードをかちかちと操作しながら、とりあえずどうでもいい動画でも自動再生させながら現実逃避することにした。

 

 

 

 

……とんとんっ。

 

「………………………………」

 

「兄さん? ……あら?」

 

ぴろん。

 

――優花は基本的にスマホを持ち歩いている。

それは、家の中でもほぼ無意識でいつでもだ。

 

だから、

 

『ごめん。カゼ引いて声がかすれてる。喉も腫れている気がする。でも熱もないし、体調自体はそこまで悪くないから安心して。万が一でも優花に移すと困るから、治っても少しのあいだは話せない』

 

「……そうだったの。分かりました、それなら治るまで家事は私がしますね。食事も……適当で良いなら買ってくるので、食べられたら食べてください。ああ、通販は部屋の前に置いておくので良いでしょうか? でも、悪くなったら……行けそうなら病院へ。無理そうなら教えて」

 

『分かった。いざとなったらいつもの先生のところに行く。ありがとう、優花』

 

廊下から近づいてきていた彼女が、引き返す足音。

 

「……ふぅ」

 

僕は元から体が弱いから、年に何回か――引きこもりニートなのにカゼを引いて寝込む。

 

はたして病原菌とやらはどこから来るのか。

 

それは閉め切っているはずの室内で、ふと見上げたら黒くてかさかさと動くあの存在がふいに現れたあのとき、心の底から叫んだ記憶がある。

 

それはともかくどこからともなく侵入してきたウイルスのせいで僕がカゼを引くのは毎年何回のことだから、彼女もそこまで不審には思わないはずだ。

 

僕は体が弱すぎて、朝の散歩で1メートルくらいのところをすれ違った誰かからすらウイルスをおすそ分けされるって知ってるから。

 

「……とはいえ、ごまかせるのはせいぜいが数日。それ以上は……」

 

優花は心配性だ。

 

いや、その原因は僕が作った以外にないんだけども、ともかくも指定伝染病レベルの病気ともなれば、どれだけ抵抗しようとも僕を病院へ連れて行くべくドアを開けて入り込んでくるだろう。

 

つくづくに、ニートしてただけで1回転倒して気絶して運ばれた事実のせいで「ただ引きこもって最低限の消費の代わりの家事をして迷惑を掛けないで暮らす」ことにすら信用がないのが悲しい。

 

こんなのはニートと引きこもりの両方で失格なんだ。

 

「それまでに体が元に――戻るってのは、楽観過ぎかなぁ……」

 

とはいえ。

 

――ぶるっ。

 

「そ、そろそろトイレに行かないとまずいんだけど……」

 

まずい。

 

何がって、ちょっとばかり寝坊しすぎたせいで、この睡眠サイクルの時期なら優花が帰ってくる前までに朝のルーチンワークは終わっているはずだったのが、そもそもとして顔を洗うどころかトイレにも行っていない。

 

そして優花はもう帰宅していて、今ごろは着替えとかをしていて――そのあとは夕食とかお風呂とかで頻繁に廊下へ出てくる。

 

――あれ?

 

僕、もしかして本当に詰んでる……?

 

「なんか、こう……感覚的にはまだ全然我慢できるのに、決壊間近っていう……」

 

もじもじ。

 

姿見の前の僕は――一張羅になってしまったパーカーの裾で股をぎゅっと抑え、意識したとたんに上がってきた尿意で思わず膝をくっつけて前かがみになっていて。

 

顔は真っ赤、なんならこの体で初の感覚に汗さえかいていて。

 

あれ?

 

「これ、まずくない……?」

 

がたがた。

 

なぜか1秒おきに膀胱が膨らむ感覚に、

 

「んひぃっ!?」

 

思わずで座り込んじゃうほどに体が危機感を訴えてきている。

 

「んぁっ!?」

 

しかもその衝撃で危うく決壊しかける悪循環。

 

「ひ……ひぃぃぃ……!」

 

ぎゅうううう。

 

勝手の違う体でいつもと違う感じの筋肉を総動員し、

 

「……ふーっ、ふーっ……せ、セーフ……!」

 

なんとか波が引いた。

 

けども、排泄ってのは周期的に押し寄せてくる。

 

猶予はもう、数分もない。

 

尿意。

 

そうだ、もしかしたら世界がおがしくなっているんじゃないかと「性転換」とかで調べた知識のせいだ。

 

女の子の体は男とは違って、子宮っていう臓器が膀胱の上に鎮座している。

 

なんだそれ、怖すぎる。

なんだよ、男にない臓器が入ってるって……。

 

「ぐす……」

 

怖い。

 

肉体の危機も相まって、涙が出てくる。

 

――子宮とかいう未知の物体が今の僕のお腹の中に存在するって考えるだけでお腹がきゅーっとなって余計に尿意が戻ってきそうなんだけど、なんとか今は出口をぎゅーっと締めつけることで意識を逸らす。

 

ともかくその関係で膀胱が男と比べて小さくて、さらには男の象徴の男特有の機能を制御する筋肉自体がないもんだから、これだけがんばっていても普通の男と比べると圧倒的に締め付ける力が弱い。

 

つまり?

 

「くしゃみで漏れるとか、じょ、冗談だと思って……ひぅっ!」

 

ぎゅーっ。

 

もはや恥ずかしいとかそんなのは投げ捨て、全力で股を――パーカーっていう布1枚越しで抑え、物理的に漏れないように……まるで子供みたいに抑える。

 

「………………………………」

 

ふたたびに体内の感覚と格闘。

 

ぽた、ぽた。

 

流れ落ちる、冷や汗。

下からの液体ではないけども、僕は今、体じゅうがじめじめとしている。

 

永遠にも等しく感じるその時間は――すぅっと過ぎ去った。

 

「……ふぅー……セーフ……」

 

とりあえず、我慢していたら今回の波も波は去ったらしい。

 

けども、膀胱の中の水分という圧力は変わらずに危機感を与えてくる。

 

「……ゆ、優花は……」

 

そろりそろりとドアへ忍び寄り――もちろん股は抑えたままで――かちゃりとドアノブをひねり、1ミリだけ開けてみて耳を澄ませる。

 

――少なくとも廊下ではなく、換気扇も回っていないから台所でもなく。

 

「部屋に居るか、夕食食べたりしてるかのどっちか……」

 

危機は去っていない。

行くならばすぐに行くべきだ。

 

じゃないとこんなところで漏らして男のプライドは木っ端みじん。

男として、大人として、兄として――すべてが砕け散る。

 

「で、でもぉ……」

 

僕は片手で押さえている、なくなっていた場所を見下ろす。

 

あまりのあまりさで内股になって、本当に女の子みたいな格好になっているのが気にならないくらいの下半身を。

 

……こんなところを。

 

見知らぬ――いや、知ってるどころか毎日何時間も画面で見てきたけども――とんでもない美少女のお尻を丸出しにしてトイレをして、出したそこを拭くとか、とんでもない犯罪な気がするから。

 

女の子の裸――小学校低学年まで限定なら、見慣れてはいる。

 

彼女とか居たわけでも犯罪を犯したわけでもなく、7歳違いとかいう「女の子」というよりは「被保護対象の子供」な優花の世話で、幾度となく見てきただけだ。

 

小さいころはお兄ちゃんっ子――僕が高校でやらかすまでは僕自身もそれに応えられていたから――だったから、お風呂もずっと一緒だったんだ。

 

でもそれだって当時の僕としてもやましさなんて覚えての行動じゃなかったし、そもそもとして肉親の――妹だ、怖じ気づくこともなかった。

 

そりゃあ優花が生まれたばかりのときに僕は既に小学生だ、母さんに頼まれておしめ変えたり風呂に入れてやったり、プールとか海とかで僕の体を洗うついでに一緒にあわあわしてあげた相手なんて、性的な対象となんて――たとえこの歳になっていても、できるはずがない。

 

おしめを替えるときは母さんから拭く方向について――お尻からお股にってやっちゃうと――男とは違って皮できゅっとすぼまっているし何よりも離れているのとは違って女の子は保護されていない割れ目しかなく、そこにお尻からの雑菌が入りやすいから気をつけてって教わったり。

 

そのことを小さい優花のトイレの際に――小学校低学年まではひとりでできない子だったから――何度となく教えてやったり。

 

あるいはトイレに急ぐタイミングを間違えて家の中とか出かけてるときにやらかして泣いてるとき、抱えてトイレに連れてってやって拭いてあげたりしていたんだ、その構造自体は見慣れていても性的な何を感じることもなかった。

 

そうだ、歳が離れているとはいえ肉親に異性が居てくれたおかげで、少なくとも「普通」のこととして――たぶん、この体の股にも抵抗はないはずなんだ。

 

……それもあって僕は、いわゆる「ロリキャラ」には興奮できない体質になっているんだけども、それは本当にどうでも良い。

 

さらに言えば「妹キャラ」も絶対に無理になってるけども、それも今はどうでも――ひぅっ!?

 

「ふーっ……ふーっ……」

 

あ……危なかったぁ……!

 

けど――この子は?

 

ひより大先生の創造したもうた「こはねちゃん」は?

 

この天使のごとき概念を具現化した存在は?

 

鏡に映るのは、我慢と恥辱と後悔と興奮でその真っ白な顔が真っ赤に染まる、普段はくりくりとした目つきで。

 

視聴者たちからは【妹キャラだな】【妹さんの妹さんって設定はどうでしょう】【こんなあどけない顔して中身は成人男性……ふぅ】とか【まったく、バ美肉ロリは最高だな!】とか言われて。

 

……あれ、そういやあのときからときどき、昨日ほどではなくてもTSの話題持ち出してくる視聴者たちだったっけ――言われてきたくらいの、優花とは別のベクトルな、小学校低学年向けなピュアな少女漫画の主人公的な美少女で。

 

背は140cm、1回しか見ていないから断定はできないけども優花の幼いころのようにがりがりで心配になる肉付き、これもまた幼い優花のときと同じく――ああ、そういえばそうだった。

 

幼いころからお兄ちゃんっ子で、今とは違ってクール系美人と鼻の高い優花がお風呂をせがまなくなってきたのは、だんだんと女の子の体つきになってきたからやんわりと断るも週に1回は突撃してきた小学校高学年を過ぎ、彼女が中学生になるかならないかのころ。

 

いつものように僕に合わせて脱衣所に突撃してきてすっぽんぽんになろうとして、ふと下腹部に彼女の髪と同じ色のそれが薄く生えているのを自慢されたからそれとなくたしなめた日からだったか。

 

あれは悪いことをした。

 

言い方とかもデリカシーに欠けていたって反省しているし、少し日が経ったころに謝ったっけ。

それでも僕が本格的に引きこもるまでは兄妹仲は良好で、だから恥ずかしそうに笑って許してくれていたんだ。

 

……つまりはそれが生える前の、たとえうっすらと膨らんできた胸や尻も気にせずに羞恥心とかが発生する前の「子供/妹」から「乙女/女の家族」になったそれ以前の姿ってことで。

 

だから保護者であるはずの成人男性な僕が子供のこんな姿に興奮しちゃいけないのに悲しい男の性で、必死に何かを我慢している女の子の姿を見ちゃったりなんてしたら――――――は、は……っ

 

「くちっ」

 

くしゃみ。

 

涙がぽろぽろと出ていたからか、鼻の奥がつんとして思わず出てしまった生理的反射。

 

「…………………………あっ」

 

それは、つまり――。

 

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