「ちょっと、なによこれ!? パンドラさん、ひどいじゃない今回のぱかプチ人形劇の台本!」
アーモンドアイは、ぱかプチを用いた人形劇が上手い。
その経験を活かして、仲良くなった後輩達とのぱかプチ人形劇の台本を書くことがあるのだが……
「え? ひどいって……アイちゃんの台本はいつも完璧だよ♡」
「ありがとう、って違うわよ! 誤植よ誤植! パンドラさんが作ってくれた台本の文字が間違ってるの!!」
「え~ほんとに? どこどこ? 何行目?」
アイが手書きで書いた台本を、パンドラが良かれと思ってスマホで打ち直して後輩たちに送ったのだがその文字が盛大に間違っていた。
パンドラはアイに親子のように寄り添って一緒にスマホを見る。
「ほら、タクトちゃんがティアラ四天王の1人ブーケちゃんに挑む前の会話。
『アイツだけは許さない…!』って最高にカッコいいセリフが!」
タクト『タイツだけは……許さない!』
スマホのグループLINEに送られた台本が、盛大に誤植されていた。
「あっ、ほんとだ。やっちゃった♡」
言い逃れのできないミスにあざとく舌をだして謝るパンドラ。怒るアイ。
「いややっちゃったじゃないわよもう! タクトちゃんがいきなり生足主義に目覚めちゃったみたいじゃない!」
「タクちゃん黒タイツ好きだもんね~」
「むしろブーケちゃんが勝負服だとがっつり生足になるのは今でも意外……ってそうじゃなくて!
誤植はまだまだあるのよ!」
再びスマホに目線を戻す2人。
「えー本当? どこどこ~?」
「タクトちゃんが暗い過去を語って
『私の憎しみは消えないんです!』って決意を新たにする超シブいシーンで……」
タクト『私の肉しみは、消えないんです!』
「やっちゃった♪」
「いやだからやっちゃったじゃないわよもう!」
「えへへ、肉しみってちょっと……何だろ?
タクちゃんだし熊肉でも一狩りしてきたのかな?」
「タクトちゃんをなんだと思ってるの!? 何でそんなに上機嫌なのよ!」
ぷりぷり怒るアイが可愛くて仕方ないのもあるだろうが、今日のパンドラはいつにも増して浮かれていた。
聞かれたパンドラは、デレデレした笑みを浮かべて答える。
「いや~実は先日彼ピができちゃって」
「え!? 本当、おめでとう! でもこちとら全然良くないのよ、まだ誤植あるんだから!」
「えーどこどこ?」
「ほらついに現れた四天王のブーケちゃんが
『あなたはタクトですか……!』って言う超緊迫した場面!」
ブーケ『あなたはトマトですか……!』
「あっ、ほんとだ~ゴメンね?」
「あなたはトマトですかって何よ! どういうボケをしたらそういうツッコミが返ってくるのよもう! もう!」
「……………………」
頬を膨らませて怒り始めたアイにさすがに思うところがあるのかパンドラも黙る。そして彼女なりに言葉を選んで言った。
「怒ったアイちゃんもぷりちーだね♡」
「いやぷりちーじゃないわよ激おこなのよ!? 誤植はまだあるんだから!」
「えーどこ? カッコいい彼ピのトレーナーも可愛い娘のアイちゃんもいるあたしがいったいどんな間違いしちゃった?」
「誰が娘よ!? とにかくその次のセリフよ、 タクトちゃんが『私がタクトです!』って言う超クールなシーンが!」
タクト『私がポテトです!』
パンドラが思わず吹き出した。
「なんでタクトちゃんがいきなりお芋宣言しちゃってるのよ! 楽しいお野菜収穫劇みたいになっちゃってるじゃない! タクトちゃんはいちご派なんだから!」
「アハハハハ! ごめん、待って、ツボに入っ、ふふっw そうね畑でいちご摘み摘みしてるもんねw」
「笑い事じゃないわよ! しかも最後まで間違ってるんだから!」
「どれどれ~♡」
パンドラは震えながらスマホを見る。アイがスクロールした台本の台詞にはこう書かれていた。
タクト『私の新しい脇を見せてあげます!』
「アッハハハハハwww やっちゃったwww」
「何よ新しい脇って! ワケワカンナイわよ!」
「ほら、サービスショットで可愛い男の子をメロメロに……的なね?」
「タクトちゃんは露出控えめでワイルドなこところがいいんだから! なんでこんなに間違いだらけなの!?」
「ごめん彼ピのことで頭がいっぱいでつい……うっかり?」
「しかももっとひどい誤植が最後にあるのよ! タクトちゃんが木彫りのナイフを構えて『やぁああああ!』って突っ込むところ!」
「え~? そんなセリフ間違えないと思うけどな~♡」
「間違ってるから言ってるのよ!」
タクト『まそっぷ!!』
「何よまそっぷって! しかも台本の最後に『彼ピができました~♡』って書いてあるの全然関係ないじゃない! 自慢したくて言っちゃっただけよね!?」
アイの追及にパンドラは今日一番のいい笑顔で答えた。
「言っちゃった♡ タクちゃんもブーケっちもおめでとうございますって言ってくれてしゅき♡」
「言っちゃった♡ じゃないわよもう……もうもうもう! これをこのままタクトちゃんとブーケちゃんが演じちゃったら……!」
渦中の2人はもう子供たちの待つイベント会場に向かってしまっている。今から連絡しても間に合わないだろう。
しかしパンドラは相変わらずのんきな浮かれ顔で言った。
「大丈夫だよ~2人とも誤植だって気付いて適当に直して喋ってくれるって!」
「甘いわよパンドラさん! 2人ともすっごい素直に言うこと聞いちゃうから多分……」
アイの知る限りデアリングタクトもカレンブーケドールも知人には非常に献身的で従順だ。
そして、アイの予感は的中してしまった。
帰ってきたタクトとブーケは、少し顔を赤らめながら報告する。
「「今回の人形劇、ちょっと恥ずかしかったけど大人気でした!!」」
あの誤植を真剣に読み上げる2人の姿が子供たちとファンにはウケてしまったらしく、複雑な気分になるアーモンドアイなのだった。
グランアレグレア「ブーケちゃんがやられたようだね……」
ラヴズオンリーユー「ふふふ……ブーケちゃんは我らティアラ四天王の中で最弱……」
クロノジェネシス「タクトさんご、ごときに負けるとは……ブーケさんは四天王のつ……面汚し、です……あう……」
グラン&ラヴズ((悪口苦手なのはわかるけど頑張ってクロノちゃん……!!))
みたいにみんなで楽しくぱかプチ人形劇を楽しんでると微笑ましくて良いと思います。